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ゲショゲショ!

飼育系虐待
(週末はお掃除でゲショ♪)
グイーン、グイーン、グイーン……

ある晴れた日曜日、早起きして部屋の掃除をしていると、普段はお寝坊さんの
ミニイカ娘も起き出してきて、何やらゲショゲショ、クルクルエビをおねだり
しはじめました。
「ミニイカちゃん待ってて、お掃除終わったらご飯上げるからね」
「ゲショ♪」
ミニイカ娘はエビを期待して、コードにまとわりつくように右、左と掃除機を
追いかけるようにウロウロしていました。

グイーン、グイーン、グイーン、ズポッ、ギャッ!グイーン、グイーン……。


「ふー、終わった!さぁミニイカちゃんご飯にしようか」

しかしそこにはミニイカちゃんの姿はなく、掃除機のフィルタから何やら黒っぽい、
液体とも削りカスともつかない得体のしれないものが、お掃除をしたばかり
の床にインクをぶちまけたように広がっていました。
「あらまぁー…」

以前にもこういうことがあったと、飼い主は事態をさとりました。
どうやら、ミニイカ娘は早くエビが欲しくて、クルクル、ゲショゲショ足元で
踊りまわっているうちに掃除機に吸い込まれてしまったようです。
普通の掃除機なら集塵タンクに吸い込まれて終わりなのでしょうが、超強力な
破砕機能が売り物のダ○ソンだったため、ただごとでは済まなかったようです。
そう、吸い込んだゴミと一緒に猛烈な勢いで、ひとたまりもなくミンチになって
しまったようです。タンクを開けてみても、見慣れたミニイカ娘の姿はまったく
見当たりません。原型をとどめないほどに粉砕されてしまったようです。

「やだあたしったら、またやっちゃった♪
でもさすがダ○ソンねー、ミニイカを吸い込んでも平気なのねー」

ドス黒く変色したノズルを覗き込んでしばしお買い得感を覚えた後、汚らしく
汚れた床をもういちど掃除して、朝食の準備に取り掛かったのでした。
(終わりでゲショ♪) 
edited by仂様 at
ミニイカと小エビ
あるところにミニイカ娘がおりました。ご主人様と一緒です。
ミニイカ「げしょ、げっしょ、げしょげしょ。」(いいお天気でゲショ、ご機嫌でゲショ。)
さんぽの途中、あるお家の窓辺の水槽にが見えました。
ミニイカ「げしょしょ、ぴいぴい。」(えびー、えびでげしょ、いっぱいいるデゲショ。)
飼い主「なに、ミニイカちゃん。」
ミニイカ「げしょー、ゲソー、ぴぴ。」(えびがおよいでるでゲショ。あそこにいきたいデゲショ。)
飼い主「あれは、よそさまのだからだめ、おうちにかえったらご飯あげるね。」
ミニイカ「げしょー、げやーそ!」(いきたい いきたい いきたい でげそー。)

その夜
ミニイカ「げそーげそそ、げそー。」(げっそ。あのえびを食べにいくでげそよ。)
なんと、ミニイカは水槽をにけだしました。玄関の郵便受けから器用に這い出します。
ととと・・・よるの町はとてもしずかです。真夏の夜の涼やかな空気がここちよいです・
ミニイカ「げそ、げしょしょ。」(うまく逃げられたデゲショ。えびの居場所はばっちりでゲショ。)
ミニイカは深夜の町をえびの家目指してまっしぐらです。

ミニイカ「げしょげしょ、ぴぴ。」(やっとついたでゲショ。)
ようやくつきました。えびのおうちはミニイカのお家のお隣さんなんです。
ミニイカはおうちを抜け出たように、反対に郵便受けから進入です。

ミニイカ「うんしょ、うんしょ、げしょー。」
水槽に、ミニイカの魔の手が伸びる。
ミニイカ「げしょー、げしょー、げそげっそ。」(ばんざいでげしょ、えびはいただきでゲショ)
ミニイカは水槽のえびに触手を伸ばします。そのとき。

なんと、えびの飼い主が現れました。
ミニイカ「げそげそ、ぴ。げしょげしょぴ。」
礼によって媚びたえがおを振りまきます。
ミニイカ「げしょげしょ。」(にんげんさん、えびをとってほしいでげしょ。)
えびの飼い主は、怒りを抑えるのに必死です。ミニイカを可能な限りやさしくつかみます。
ミニイカ「げそげそ、ぴ、げそーげええそお・・・」(えび、ほしいでげげええええ)
えびの飼い主は渾身の力でミニイカをたたきつけます。
ミニイカ(どうしてでげしょ、なんでかわいい私をいじめるでげしょか。)
相変わらず自分のしていることがわかっていません。 

えびの飼い主はそばにあったハンマーでミニイカの口をたたき壊しました。
ミニイカ「げしょ、げええええ、ええええええ。」
もはやゲショとは泣けません。えびをかじる自慢の歯を失ったミニイカは・・・
えびの飼い主はなおもミニイカをたたきます、すぐにぼろぞーきんのようになりました。

えびの飼い主「ほらよ、だいすきなえびとラストダンスだ。」
そういうとミニイカをえびの水槽に放り込みました。
ミニイカ(どうして、こんな目に、えびにたべられるなんてイカの恥じゃなイカ)
ミニイカの体に無数の小エビが群がります。水の中ではミニイカに勝ち目はありません、第一歯も腕輪も、体を守るワンピースもぼろぼろでようをなしません。

翌朝
ミニイカの飼い主「ミニイカちゃん、ミニイカちゃん。あれ、いないや。」
飼い主はすこし思案顔。
ミニイカの飼い主「ま、いいか、そろそろ飽きてきたもん。」
さわやかな朝の始まりです。 

<writed by nana様>
edited by仂様 at
「節分」


俺「ミニイカ娘ちゃん、今日は節分だね。豆撒きしようか?」
娘「まめまき?よく分からないけど楽しそうでゲショゲショ♪」
俺「その前に、ミニイカ娘ちゃん、節分らしく、鬼のコスプレしようか?」
娘「おに?なんでゲショ、それは?」
俺「まずは虎縞模様のワンピに着替えて、帽子に小さなお面を乗っけて、これに金棒のオモチャを持たせれば、ほら完璧!」
娘「ゲショゲショ♪私可愛いでゲショか?」
俺「ばっちり可愛いよ。じゃあミニイカ娘ちゃん、水槽の外めがけて『鬼は外』って、豆を撒くんだよ」
娘「ビャービャー、鬼はゲショオ!エビは内!!ビャッビャッ♪」
俺「ああ、楽しかったね、ミニイカ娘ちゃん」
娘「ビャビャ、面白いでゲショゲショー」
俺「じゃあ、最後に、齢の数だけ豆を食べようか。ミニイカ娘ちゃんは幾つ?」
娘「128歳でゲショ」

翌朝、住宅街の一角で、小さな体に128粒の豆を詰め込まれ、内臓破裂で死亡したミニイカ娘の死骸が転がっていた。

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         A/\A
         ∠/wwゝ  ワタシ
        JJ( ^O^)∩ カワイイ デゲショカ?
       ||⊂| V │ / 
       { } <。___>
       { } ∪∪ 


         A/\A
         ∠/wwゝ   オニハ ゲショオ!
       JJ( ^ヮ^)し     エビハ ウチ!
      回⊂| V |つ  ミ ○
          <。___>つ  ○
            ∪


   ワ~イ♪  A/\A
         ∠/wwゝ  オマメサン イッパイ
       ∩J( ^ヮ^)∩  タベルデ ゲショ♪
        \ | V │/ 
          <。___>
           ∪∪ 


       ‘・;; ',゜・`
          ';`Y´‘' 
        ○ Y´ ○
      ○ /⌒⌒\  ○
      ⊂<゜ つ( 。0。)つ
   ○     ̄ ̄<\/> ○ ○  ((○
 ○))  ○    V  V

AA by below様
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edited byアドミニイカ at
「三匹のミニイカ娘」

偶然にも同じ日の同じ場所で3匹のミニイカ娘が捨てられていた。それぞれ事情は違えども同じ境遇となったミニイカ娘たちはすぐに仲良くなった。
ミニイカ1「私は寿ちゃんでゲショ。ご主人様が長生きするように付けてくれたでげしょ。」
ミニイカ2「私はメロディーちゃんでゲショ。お歌がとても上手でゲショ。」
ミニイカ3「私はハッピーちゃんでゲショ。ご主人様と幸せに暮らせるように付けてクレタでゲショ。」
それぞれの飼い主はというと・・・
寿の飼い主は高齢者で、飼い主が亡くなると共に捨てられた。ミニイカ娘を溺愛していた飼い主は、本来子供に残すべきであろう財産すらミニイカ娘につぎこみ家族から見放された。
メロディーの飼い主は音楽家であったが、昨今の不況とミニイカがらみの投資の失敗で失踪した。
最期のハッピーはというと、飼い主がよりにもよってミニイカ娘ファンドなるいかがわしさ爆発の投資信託を大量購入して悲惨な末路をたどった。
そう、こいつらの飼い主及び関係者はミニイカ娘により悲惨な末路をたどった。よくこいつらが生きてここにいるのは関係者の強靭とも言える人格の賜物である。

寿「だれか通らないでゲショかねえ。」
ハッピー「また、えびをおなかいっぱい食べたいでげしょ。」
メロディー「わたしたちの魅力で、間抜けな人間なんていちころでゲショ。」
寿「そうでゲショ、なにしろ人間の大物は、鳩ぽっぽ、空き缶、挙句に泥鰌でしょ。私たちの方が断然いけてるでゲショ。」
ハッピー「そうでゲショ、私たちは、しょーひぜー、とか、ねんきんもんだいとかきりしゃしょっきんぐもそんなのかんけーねーでゲショ。」
メロディー「そうでゲショ。私たちのちえとゆうきで乗り切るデゲショ。」

たがかイカの分際で生意気な、ここで引導を渡してやろうか・・・と殺意を抑えつつ
人のよさそうな青年がミニイカのいる方に歩いてきた。

青年「おや、こんなとこにミニイカ娘が、しかも、3匹も、名札まである。ふむふむ。」

寿「あんまりえびをくれそうにないじゃなイカ。」
メロディー「そうでゲショね、でも、どじょーよりもよさげでゲショ。」
ハッピー「えびー、えっびー、えびー。」
青年は先ほど川原で見たことを思い出した。思い出さなければ良かったのだが。

青年の回想
散歩の途中川原で釣り人を見かけた。何か釣れたようだ。なんとミニイカ娘が釣れた。普通楽しい釣りを邪魔されれば、ミニイカなど捨てるかつぶすかするのが普通である。その釣り人はわざわざ釣り針から助けてやっていた。少し失敗したらしく、ミニイカは出血(スミが出ていた)したが自業自得である。助けてもらったミニイカ娘はあろうことか親切な釣り人の手に脱糞しそうになった。釣り人はあわててミニイカ娘をほうり投げたが。汚く脱糞したミニイカ娘のしりを綿棒で丁寧に拭いてやっていた。ミニイカ娘も気持ちよさそうだ。青年はすっかり関心してしまった。ミニイカみたいなものにもここまで親切にできる人がいるとは。そういえばその釣り人は、イカにもひとの良さそうな人だった。それこそ動物の管理の出来ないような馬鹿な女子高生にも謝ってしまうようないいひとオーラが出まくりである。

青年「よし、お前らうちに来るか。」

寿「いってやるでげしょ。うんとえびをよこすデゲショ。」
メロディー「げそー、げしょーげしょ。♪」
ハッピー「いっぱいえびをよこすデゲショ。」

青年「よし、それじゃ行こうか。」
このとき彼がミニイカリンガルを所持していたら、某空軍大将を踏襲(とうしゅう)した穏やかで良い人間である彼も金正日もはだしで逃げ出すような形相になっていただろう。

青年のアパート

青年「ついたぞ、ええと、寿ちゃん、ハッピーちゃん、メロディーちゃんでいいんだね。ちゃんと覚えたぞ。」

ここで連中の特徴を記す。まあ、どうでもよさげだが
寿 こいつが3匹のなかで一番年長であり悪知恵がある。やや痩せ型で一番背が高い。
ハッピー 前の飼い主が甘やかしていたので一番のデブ。
メロディー 一番若いミニイカ娘、いつもいつも歌っている。

寿「あんまり、えびをくれそうに無いでゲショ。」
ハッピー「おなかすいたデゲショ、はやくえび。」

メロディー「えびー、えっびー、えっびー。」

青年「そうか、うれしいか。そうだ。えさをやらなくちゃ。他には水槽がいるな。」
青年は捨ててあった箱のままで買い物に出かけた。

寿「退屈でゲショね、しかも、狭苦しいでゲショ。」
ハッピー「おなかすいたでゲショ。えびはまだでゲショ。」
メロディー「お歌を歌うデゲショ。えびーえびー、えっびー、えっびー♪。えびは私の希望でゲショ♪。」
寿「ゲショ。箱から出るデゲショ。」
ハッピー「いっしょにいっていいでゲショか。」
寿「もちろんでゲショ。さっそく冷蔵庫をさがすでゲショ。」
メロディー「そこにはえびがあるんでゲショか。」
寿「とらすとみーでゲショ。だてに長生きしてないでゲショ、えびは冷蔵庫にあるものでゲショ。」

三匹はげそスキップで小さな冷蔵庫にたどり着いた。
寿「貧相な冷蔵庫でゲショ。どっかのみんしゅとうをおもわせるでげしょ。」
ハッピー「寿ちゃんははくしち(博識と言いたいらしい)でげそ。」
寿「空き缶とは違うでゲショ。ここにえびがあるんでゲソ。」
メロディー「えびーえびー、えっびー、えっびー♪えびをいっぱい食べるデゲショ。でも、どうやってあけるんでゲショ。」
寿「・・・・・・・。わたしにふくあんがあるんでゲショ。」
ハッピーとメロディー「ふくあんって何でゲショ。それってうまいでゲショか、とにかくえびが食べたいデゲショ。」
固まる寿 そうこうしていると、青年が帰ってきた。

青年「おまたせ、なんだ、お出迎えかい。分かった。いま、新しいうちと、ご飯を上げるね。」

寿「こっこれがふくあんでゲショ。あなたとはちがうんでゲショ。」
ハッピー「なんかわかんないけどすごいでゲショ。えびとお家がきたでゲショ。」
メロディー「げそ、げっそー♪えびを食べたらお歌でゲショ。」

青年は大型の水槽にベッドを三つ、えさの皿、水のみ桶、水浴び桶、墨はき場とトイレ、紙も用意した。

寿「しょぼいお家でゲショ。こーいうのをかいしょーなしって言うんでゲショ。」
ハッピー「ハッピーちゃんのおうちももっと広かったデゲショ。」
メロディー「メロディーちゃんのおうちのほうがきれいでゲショ。」

当然である、連中の飼い主は、後先考えずにミニイカにコストをかけた。まともな人間であればこんなものにコストはかけない。

青年「ご飯だよー。おたべー」
青年はブラックタイガーを差し出した。
三匹「げしょー♡♡♡。さいこうでゲショー。」
三匹はブラックタイガーに飛びつきます。瞬く間に食べてしまいます。

寿「おかわりをよこすでゲショ。」
ハッピー「こんなんじゃぜんぜんたりないでゲショ。」
メロディー「うたってあげるからもっとほしいでゲショ。」

青年「今日はこれでおしまい。また明日。」

寿「しょぼいでゲショ。えびがたりないでゲショ。」
ハッピー「ももっとほしいでゲショ。」

青年「さあ、早くお休み。俺も明日会社だ。」

真夜中
げしょげそ♪げげっつしょ~♪げそ~ぴいいぴいげそ~♪♪げそ~ぴいいぴいげそ~♪ぴいげそ~♪げしょげそ♪げげっつしょ~♪げそ~ぴいいぴいげそ~♪♪げそ~

青年「うるさいなあ。静かにしろ。まあ、耳栓でも付けるか。ふぁあ。おやすみ・・・」
このときミニイカを処分するべきだった・・・

翌日
ハッピー「こんなんじゃぜんぜんたりないでゲショ。」亡国の風船デブのような腹をゆらしながらいった。
メロディー「お歌を歌うとおなかが減るでゲショ。もっとえびを食べたいでゲショ。」
寿「しょぼいでゲショ。えびがたりないでゲショ。よし、外のお部屋にえびを探しに行く デゲショ。」
寿「こんなしょぼいかぎなんて簡単に開くでゲショ、盗賊の鍵の技法でゲショ。」
かちゃり 扉が開いた。ミニイカにそんな芸当が出来るわけ無いという突っ込みはご勘弁
ハッピーとメロディー「「すごいでげしょ~」」
寿「メロディーちゃん、なかの音を聞くでげしょ。おばかな人間はいないでゲショね。」
メロディー「いないで、げしょ。」
ハッピー「なかからおいしそうなにおいがするでゲショ。食い足りない分はいただきでゲショ。」
ハッピー「みるでゲショ。えびせんが、いっぱいでゲショ。」
寿「いま、袋を開けるデゲショ。」突っ込みはイカ略
メロディー「ゲショ~♪ゲショショ~♪」
メロディーは喜びの舞を踊っている。すると触手がテーブルの上の飲みかけのお茶の湯飲みをひっくりかえした。よりによってノートPCに派手にぶっかかった。

三匹は汚らしく食い荒らしその上汚らしいおきみあげまで残していた。
そんな日が何日か続いた。

東京某所ミニイカ娘料理専門店。
店主「いらっしゃい。」
客「この店で一番高い料理をお願いします。」
店主「へい、毎度、うちは、海原先生御用達の名店です。お任せを。ミニイカ娘のしゃぶしゃぶがお勧めです。」
客「ではそれを・・・」

高いミニイカ料理を注文した割には元気が無い。まるでミニイカ娘のワンピースのような白さだ。

隣の席で
先客「先生、どうしました。」
先生といわれた男「すみません。どうやら仕事が入ったようです。お勘定は是で。すみません。」
先生と呼ばれた男はついさっきまでの楽しげな表情からうって変わって、鋭い目つきになり、蒼白の客の隣に座った。

先生と呼ばれた男「失礼ですが。お力になれると思います。」
蒼白の客「はあ、ぼくはもうだめです。ううう。」
先生と呼ばれた男「私こういうものです。」
男は名刺をカウンターに置いた。そこには『弁護士 高野五十六』とあった。
蒼白の客「弁護士の先生にお願いするような金はないんです。ううう。」
高野「お話、聞かせていただけませんか。せめて最期の晩餐、私にご馳走させていただけませんか。」
蒼白の客「なぜ、わかった、俺が自殺しようとしていたことを。」
高野「ははっ。まあ、職業柄ね、ついでにミニイカがらみでしょう。」
蒼白の客「ええっ、なぜわかったんですか。」
高野「貴方の顔に書いています。大方ミニイカ娘の鳴き声でお仕事に差し障ったとか。」
蒼白の客「どんぴしゃりです。」
高野「詳しくお話聞かせてくださいますね。もっとも、最期の晩餐をしなくても良くなりましたが。」

男は駆け出しの漫画家でぼろアパートで漫画を描いていた。最近何とか連載をもらえ漫画家としての一歩を歩んだのだ、しかし、最近となりの部屋から毎晩ミニイカ娘の鳴き声がうるさくて仕事にならない。おかげで、〆切に間に合わなくなり、連載を打ち切られそうになっている。もうだめだとおもい、最期の晩餐にとミニイカ娘を食ってやろうと思ったわけだ。

高野「なるほど、なるほど。」うなづきながらスラスラとメモをとり、はやりのIパッドで何やら調べ物をしている。いけそうだなとか、ただでは済まさん、など、ときおりつぶやいて。手を止めた。
高野「あなたの苦しみは何とかなりますよ。さあ、腹ごしらえだ。ここのミニイカのしゃぶしゃぶは絶品です。」
高野はミニイカをしゃぶしゃぶし口に入れた。
ミニイカ「ゲショゲショー。」(たすけないかこの親父、告訴すっぞこんにゃろ~)
高野「こんな下等な生き物のためにご自身の命を捨ててはいけません。さあたべて。」
蒼白の客「はい・・・いただきます。うっうまい!」
高野「そうでしょう、ここのミニイカはきちんと裁く前にでこぴんをしていますからね。」
蒼白の客「うまい、うまい、こんなうまいもんがあったなんて。」
高野「ミニイカは本当にうまいです。刺身、てんぷら、フライ、蒸し物、燻製。こんなうまいものを食べないで死ぬだなんて、はとやまゆきおより愚かなことです。」
蒼白だった客「ははっは、うまいです。ミニイカも今のジョークも。」
高野「生きていればなんだって出来ますよ。」高野の目は遠くを冷たく見つめていた。

翌日から高野は漫画家のボロアパートへ向かった。驚くべきことに付近の住民もえびを食い荒らされる被害が続出していた。そのうえ大量のふんをばら撒いていった。
高野「なるほど、すみません、そのふんは残っていますか。」
住民「ああ、いま片付けるところさ。」
高野「お手伝いします。」高野はなれた手つきで掃除してしまった。もちろん物的証拠を確保するためでもある。
高野「被害届を警察に出されることをお勧めすします。」

寿「きょうもたいりょうでデゲショ。」
メロディー「げそー、げしょーげしょ。♪」
ハッピー「かいしょーなしのえび係じゃだめでゲショ。」

青年「ミニイカたち。ご飯だよ。」
青年はミニイカ娘たちにブラックタイガーをだした。

寿「ここのえびは、1匹づつじゃなイカ。かいしょーなしでげしょー。」
ハッピー「しかたないからたべてあげるデゲショ。」
メロディー「ここでなくても、えびはあるじゃなイカ。」

そのとき呼び鈴がなった。同時にミニイカ娘たちの天下の終わりでもある。
高野「○○さん(青年のなまえ)ですね。本職はこういうものです。」
高野は名刺を差し出した。
青年「はあ、弁護士さん、なんでしょう。」
高野「あなたに、民法718条に基づく損害賠償請求がなされています。」
青年「なんと・・・。」
高野「それと、当アパートの大家さんから、貴方に対し、賃貸借契約の解除するとのことです。理由はお分かりですね。」
青年「そんな・・・。まさかこいつら。」
高野「まさかではありません。当アパート賃貸契約では動物の持ち込みは禁じられています。特に有害動物、具体的にはミニイカ娘、有毒生物等を持ち込んだ場合は契約を解除できるとあります。」
高野が迫ると、二人組みの男性が割って入ってきた。
男1「警視庁、特命係りの○下です。」
男2「同じく○部です。」
杉○「貴方を有害動物取り締まり法(架空の法律です)違反で逮捕します。」
神○「さあ、一緒に来てもらおうね。」
青年「うわああ・・・おまえらなああ・・・」
青年はミニイカ娘の水槽にボーリングの玉をたたきつけた。

寿「ゲショー、ご主人がはっきょうしたでゲショ。」
ハッピー「逃げるデゲショ、にげるでゲショ。」
メロディー「どうしてこんなことになるんでゲショ、私たちなにも悪くないでゲショ。」

ガシャアンン 水槽が砕け、ボーリングの玉が窓ガラスを破る。
「ゲショ、ゲショ、びいび・・・」最後までなくことさえできずにいきたえたのは寿だった。前の主に長生きするようにと願われていた彼女が3匹の中で最初に死んだのは皮肉である。

ハッピー「今のうちに逃げるデゲショ。」
メロディー「寿ちゃんが、どうするデゲショ。」

ハッピー「そんなのかんけいねーデゲショ、いまのうち逃げるデゲショ。」
メロディー「そうでゲショ、寿もうたすからないでゲショ、いちばんえびをたくさんたべていたからいいでゲショね。」
ハッピー「さらばでゲショ、おろかなにんげんどもでゲショ。」

二匹はまんまと逃げおおせた・・・では終わりません

青年「はあ、はあ、はあ。」
青年は寿の死体を見やった。つぶれたときのイカ墨が桜の花びらのようだ。是は幸運の前触れだという。

杉○「ご同行、いただけますね。」
青年「はい。」
青年はうつむきながら連行されていった。
○下「弁護士さん。あなたからもお話を伺ってもよろしいでしょうか。」
高野「わかりました。協力しましょう。仕事がもうひとつ増えたか・・・。」
高野は青年を見てため息をついた。

そのころ
ハッピー「もう、ここまでくれば安全でゲショ。はあはあぜえぜえ。」
ハッピーはどこぞ風船デブのようなおなかをゆらしている。
メロディー「これからどうなちゃうんでゲショ。」

ハッピー「これから安全なところをさがすでゲショ。また、まぬけな人間にぱらさいとすればいいでゲショ。」
メロディー「ぱら さいとー?ハッピーちゃんは物知りでゲショ。それがいいでゲショ。」
ハッピー「さっそく、間抜けな人間があらわれたでげしょ。」

男「おっ、こんなところに元気なミニイカ娘が、しかも、ぷりぷりに良く太っている。」
ハッピー「ゲソー、ゲソー、ぴぴぴ。」
男「よし、試してみるか。」
ハッピー「ちょろいもんでげしょ。たくさんえびをよこすデゲショ。」
男は2匹を連れかえった。

男「さて、まづは洗わないと。」
男はハッピーのワンピースを丁寧にはがし、ぬるま湯のお風呂できれいにした。
ハッピー「きゃはは、きゃはは、スキンシップにしてははげしいでゲショ。」
ハッピー「これだけスキンシップすればえびも期待できるデゲショ。」

男「ほれ、最期のえびだ、味わってくいな。」
ハッピー「えっび~。えびでげしょ。」
ハッピーはまたたくまにえびをたえらげた。
ハッピー「おかわりをよこさないか。それと、いいかげんわたしのふくを返さないか。」

男はなにやら金属のかごを取り出し、ミニイカ娘を放り込んだ。そして、ミニイカ娘の触手がとどきそうでとどかないいちにワンピースを引っ掛けた。ワンピースはきれいに洗われて輝くような白さだった。
ハッピー「ゲソー、はやくわたしのふくを返さなイカ。」
男「さて、所定の位置にセットた。」
そういうと寒風吹きすさぶ軒先のフックにかごをつるした。
男「よし、1週間くらいで食べごろだな。近所に民家はないからしっかり大声だしな。」
ハッピー「さむいじゃナイカ。こごえそうでゲショ。ふくをかえすでゲショ。」
ハッピーは寒さで凍えそうになりながらもワンピースを取ろうとする。しかし、とどかない絶妙な距離においてあるために触手を伸ばすも無駄である。
ハッピー「ゲショーゲショー。」
男「さて、さて一匹はっと。あれ、逃げられたか、まあいいか。はっはは。」
男はメロディーをろくにさがさないで出て行った。

ハッピー「メロディーちゃん。たすけてくれなイカ。」
メロディー「たすけたいんででゲショが、どうにもならないでゲショ。メロディーちゃんはにげるでゲショ。」
ハッピー「こまっているときにたすけあうのがどうほうでげしょ。」
自分が寿にとった態度を棚に上げていい気なものである。

1日目
ハッピー「げしょ~、寒いでゲショ。ワンピースをとりもどすでゲショ。」
2日目
ハッピー「げしょー、何とかなるで、ゲショ。希望は捨てないでげしょ」
3日目
ハッピー「ゲショ、ワンピースは取れないでゲショ。触手ももう動かせないでゲショ。」
4日目
ハッピー「ううっ、げしょ、寒さが気にならないでゲショ。」
5日目
ハッピー「ゲショー、ギャーそ、ぎゃそー。」錯乱している
6日目
ハッピーは沈黙している・・・
7日目
男「よしっ、良い感じじゃないか。早速店に出せる。噂の郷土食、ミニイカの寒風干し。」

一方メロディーはというと
メロディー「はあ、はあ、はあ、にげるでげしょ。」
何とか男のうちからにげ出したメロディーは、砂浜に戻った。

浜辺にもどったメロディーにのらミニイカ娘が声をかけた。
のらミニイカ「おぬし、見かけない顔でゲショね、もしかしたらはぐれミニイカでゲショか、良かったら、わたしの巣にくるでげしょ。今年はおおくの仲間を失ったでげしょ。」
メロディー「ありがとうでゲショ。なんで、なかまをうしなったでゲショ。」
のらミニイカ「人間にやられたでげしょ。私たちは最近この浜に移り住んだんでゲショ。なぜかここの人間はきょうぼうでゲショ。」
本来この周辺にミニイカ娘は生息していなかった。つまり、ここのミニイカは外来魚にあたる、そこで先ほどの有害動物取り締まり法(架空の法律)ならびに都道府県有害動物駆除条例(架空の条例です)により、駆除されただが、ミニイカにそんなことはわからない。

そんな、こんなでメロディーは、のらミニイカの一員に加わった。

メロディー「なんでゲショか、これは。」
のらミニイカ「ごはんに決まってるデゲショ。」
メロディー「ごはんっていうのは海老とかいてごはんとよむでゲショよ。」
他の野良たちから鋭い視線が飛ぶ。
のらミニイカ「みんな、しょくじをつづけるでゲショ。」
メロディーを他のなかまからはなれたところに引きづった。
のらミニイカ「おぬし、飼いイカだったんでげしょ。ここでは飼いイカは憎まれているでゲショ、命が惜しければおとなしくしているデゲショ。」
メロディー「げしょ~。」メロディーは不満げに唸った。

厳しい労働、貧しい食事にうんざりのメロディーは時々飼われていたときのように歌を歌った。それが悲劇の始まるともシラず。

のらミニイカの巣
ガラガラガラ。テトラポットの中の巣轟音を立てて崩れ落ちる。巨大な重機によるものである。
環境省職員「通報にあったとおりだ。一網打尽にしてやる。覚悟しろ外来ミニイカ娘。」

のらミニイカ「どうしでここが分かったでゲショ。」
メロディー「とにかく逃げるデゲショ。」
多くのミニイカ娘が巣を逃げ出した。冬も厳しくなるこの時期に巣を追い出されれば全滅は免れない。環境省は冬眠の準備が終わったこのときを見計らって駆除に着手したのだ。
言うまでも無くメロディーの歌声でこの場所が露見したのだ。

のらミニイカ「もはやこれまででゲショ、みんなにげるでgsyあ・・」
哀れな野良ミニイカ娘は重機の無限軌道のつゆときえたのであります。
この厄災を招きよせたメロディーはかろうじて逃げ延びた。

メロディー「げしょー、なんでこんなめに。」
メロディーは己を省みることなく天を仰いだ。そこには凧が1つ舞っていた。

メロディー「ゲショ、いいこと思いついたデゲショ。お空には天国っていうとこがあるって聞いたことあるデゲショ。きっと海老もいっぱいあるデゲショ。」
メロディーは凧揚げをしているところに向かった。

メロディーがその場に着いたときにたまたま凧は地上にあった。どうやら凧の主は食事中らしい。

メロディー「ふっふっふ、これで、天国にいけるでゲショ。」
メロディーは凧に体を縛り付けると砂の中に隠れた。

しばらくすると凧が上げられた。当然メロディーもいっしょだ。

メロディー「げしょー、たかいでゲショ、きもちいでゲショ。」
ぐんぐん高度が増していく。
メロディー「ちょっと高すぎるんじゃなイカ、それに寒くなってきたでゲショ。」
さらに高度をます。
メロディー「がちがち、ううっ、寒すぎるデゲショ。」
さらに高く
メロディー「・・・」
メロディーはこともあろう失禁した。高度の高い場所で急速に体温を奪う。
メロディー「ゲ・・・ショ・・・・」
ぷちっ なんと凧の糸が切れた。
ひゅーメロディーはまっさかさまで青い海にダイブする。
ぽちゃん
メロディー「げげぼ、ぎゃぼお、げえ、げえ。」ざばあ
メロディーは、溺れ死ぬ前にサメのえさに成りました。

一方青年はというと
警察に逮捕された青年は、事実を認め、大変反省していた。安易にミニイカ娘を拾ってきたことをひどく後悔した。
一方民事の件も、交渉がまとまり、時間は掛かるが、全ての損害を弁済すると約束した。

東京某所
漫画家「先生、本当にお世話になりました。」
高野「いえ、ミニイカで苦しむ人をもみたくありませんからねえ。」
漫画家「それで、報酬の件ですが、今度原稿料が入ってからで。」
高野「その件ですが、報酬としてこの一ドル札をいただけませんか。」
漫画家「それは、漫画の資料として両替した1ドル札。」
高野「ええ、ですから報酬はこの一ドルで結構です。」
その1ドル紙幣にはミニイカ娘の墨で汚れていた。丁度、目と鼻の下についていた。まるでサングラスにちょび髭の様だった。この日のレートで(書いている時点で)1ドル76円に過ぎうない。のちにこの漫画家の出世作となる漫画「ちょび髭ワシントン」が大ヒットするのは別の話である。
店主「もりあがってるねえ、そうだ、せんせい。これ、食ってみい。」
高野「どれどれ、おお、これは北海道の伝説の珍味寒風干し。」
漫画家「うまいんですか。」
高野「私も話で聞いただけですが、金正日も唸ったという絶品だそうです。さあ、いただきましょう。」
ハッピー「げ・・・げ・・・しょ・・」
店主「すこしずつちぎってわけるんです。こんな風に。」
蛇足と触手のまったんから1センチ単位で引きちぎられる、泣き声が次第に小さくなっていく。
漫画家「すごい生命力ですね。」
高野「生命力とうまさしかないいきものですからねえ。」
店主「頭は雑炊でおだしします。」
一同「「これはうまい、うまいとしか言葉が無い。」」

おわり

Written by 前原一征様
edited byアドミニイカ at
「部長のミニイカ娘」

職場の部長が1週間、奥様と海外旅行に出られることとなり、その間、部長が可愛がっているミニイカ娘の
世話を任されることになった。

「いやー、我侭な娘でね、ご飯はエビしか食べないと来たもんだ。しかもうちの娘は生エビだけ。
干しエビなんて見向きもしないし、エビスナックなんて論外。君もテレビとかで見たことあると思うけど、
本当に我侭で自分勝手な生き物だよ。でもそこがまた可愛くてねえ」
日曜日にお邪魔した部長宅で、部長は携行用ケージにミニイカ娘を移しながら、俺にこんなことを話していた。

「食事代は嵩む事になるだろうから、とりあえず3万円、君に渡しておくよ。これだけあれば1週間の
エビ代にはなるだろう。じゃ、たのむよ。今日の夕方には私は出発だからね」
そう言って財布から万札3枚抜き取って、部長は俺に餌代を渡した。

俺は部長から仮住まい用の水槽と、ミニイカ娘が日ごろ使っているベッドや行水桶やトイレ等の
身の回り用品、いわばミニイカ娘飼育キットを預かり、車のリアシートに載せると、助手席には
ミニイカ娘が入った携行用ケージを置いて、部長宅を後にした。

部長と一緒にいる時は、始終「ゲショ♪ゲショ♪」と歌うような鳴き声を上げながら、愛想笑いを
浮かべていたミニイカ娘だったが、今助手席にいる、信号待ちの間時折目配せして見ている
このミニイカ娘は、打って変わって無愛想・・・と言うより無表情で、かねてから耳にしていた
「ミニイカ娘は腹黒く裏表が激しい」という話を、俺に想起させていた。

アパートに着いた俺は、一先ずリアシートの飼育キットを部屋に運び込んだ。事前に聞いていたより
水槽は大振りで、床に散乱した雑誌類を足で払いのけながら置き場を確保した。次いでミニイカ娘の
入ったケージと、その他諸々の荷物を車から運び込んだ。

ミニイカ娘は相変わらず無愛想で静かだが、寧ろ俺にはそうしてくれた方がありがたかった。
待遇に不満があると「ビギャアアアア! ビギャアアアア」と時間かまわず金切り声や泣き声を上げて、
かなり飼い主の手を煩わせる生き物だと聞いていたからだ。部長の躾が良いのだろうか。

と思ったのも束の間、取り合えず自分が置かれた境遇、部長宅からしばらくの間、この部屋に
ご厄介になるということを理解すると、まるでこの部屋及び俺を値踏みするかのように、じろじろと
部屋中を眺め回し始めた。

「狭い部屋でゲショね。こんな薄汚いところで、しばらく棲まなきゃいけないでゲソか?」
一通り室内を眺め回した後、そう言わんばかりの目で、俺に一瞥寄越した。

「水槽も小さいでゲショ。こんなところに閉じ込めてないで、どうせ狭い部屋中で遊ばせてくれなイカ?」
触手で水槽の壁をペチペチと叩きながら、俺にアピールし始めた。

とは言え、俺もミニイカ娘とは接し始めたばかりだ。さっきまで部長の瀟洒なお宅を拝見した後で、
俺の狭くて粗末なアパートの部屋に帰って、少し心が卑しくなって、そんな自虐的な妄想が
芽生えたのかもしれない。

「馬鹿馬鹿しい」
俺はそう呟くと、自分の卑屈さに苦笑いし、気分転換ついでにミニイカ娘の餌及び自分の飯を買いに、
近所のスーパーへ出かけた。


スーパーから戻った俺は、部屋の惨憺たる惨状を目の当たりにして、手に持った買い物袋を床に落とした。
俺の留守中、ミニイカ娘は水槽から飛び出し、俺の部屋を勝手にかき回し、何に驚いたのか(おそらく
恐竜のフィギュアに驚いたのだろう)イカ墨を部屋中に撒き散らし、8割方出来上がっていた1000ピースの
ジグソーパズルをバラバラに崩し、あろうことか俺のノートPCのキーボードの上でもりもりと
湯気立つうんちを垂れてやがった!!オーマイガッ!!!

「ちくしょう!!!あの糞ミニイカどこ行った!!!!」

部屋を見回すと、ミニイカ娘は床にあったお気に入りのビンテージデニムでお尻を拭き拭きしてやがった・・・

「おお、帰ってきたでゲショか。このボロキレ、古いし汚いから、別にお尻拭いてもいいでゲショ?」

そう言わんばかりに全く悪びれる様子も無く、俺のほうに一瞥くれると、プイッと背を向けて、
俺の部屋の探検の続きをおっぱじめようとしていた。

「ふざくんなあああああああああ!!!!!!!!」

すかさずミニイカ娘を捕まえると、掌でその胴体を締め上げた。最初は怯え、狼狽したミニイカ娘も、
俺の目を見つめて、こう話し掛けた(ように俺には感じられた)。
「良いでゲショか?私は部長から預かった、大事なミニイカ娘でゲショよ?」
ぬぐっ・・・自然、俺の右手の握力が緩む・・・とともに、ミニイカ娘は鼻で笑うような表情を浮かべ、
俺の拳からすり抜けて、床にピョイと飛び降りた。

とりあえずミニイカ娘が散らかした室内を掃除すると、水槽から容易に逃げ出すミニイカ娘をどうするか
思案した末、チェーンキーホルダーの輪っかを首に嵌め、もう一端を部屋の隅で埃を被っていた鉄アレイに
結び付けて、鉄アレイごと水槽の中に入れておいた。これで流石に水槽から逃げ出すことは出来ないだろう。
ザマアミロ。

さて、鎖でつながれたミニイカ娘は、当初は困惑した様であったが、やがて
「私を虐待していいでゲショか?早く自由にするでゲショ」
と、小ばかにしたような表情で俺を見ていた。さて、こんなもん虐待というにはまだ程遠いだろう。
本当の虐待がどんなものか思い知らせて・・・

だめだ、このミニイカ娘は部長からの預かり物だ、残虐することは出来ない!
水槽の中のミニイカ娘はニタニタしながら
「どうするでゲショ。私を傷物で返したら、部長様が許さないんじゃなイカ?」
と言わんばかりの、余裕の表情である。さてどうするか・・・

最初に考えたアイデアはこうだ。このミニイカ娘は散々にいたぶるとして、部長には良く似た替え玉を返す。
となると替え玉をどこから調達するかだが、野生のものや生食用に売られているものは、排便後に
自分でお尻を拭くという高度なトイレの躾が出来ていないし、今から俺に躾けられる自信もない。
今俺の目の前で、ビンテージデニムで演じて見せたあの尻拭きの仕草は、このミニイカ娘がペットとして
イカほどのグレードのものかを物語っている。

かといってペットショップで売っているものは、部長から餌代として預かった3万円では到底足りない。
運よく捨てられたばかりの高級ペットのミニイカ娘を拾う僥倖に出くわす、なんて投機的手段には俺は賭けない。
それに何より、俺が知らないこのミニイカ娘の習性を1週間で知り尽くして、替え玉にマスターさせるなんて
芸当、出来るわけがない。

ならばこのミニイカ娘を、死なない程度に痛めつけてやるというのはどうだ。ミニイカ娘は生命力が強く、
多少の痣や傷はすぐに回復すると聞いている。とはいえ、これも部長に返す前に傷か回復しきれるか、
そんなことに気を使いながら虐待していたのでは、思い切った虐待は出来ない。
それにこのミニイカ娘が部長に何を伝えるか分かったものではない。
既に俺との間でさえ、これだけコミュニケーションらしきものが取れているのだからな。
ふむ・・・

しばらく思案した結果、俺は一つのアイデアを思いついた。


1週間後、部長が海外旅行から帰ってきた。俺は車に飼育キットと携行用ケージに入れたミニイカ娘とを
車に乗せ、部長宅に届けた。

「いやー、どうも済まなかったね。うちのミニイカ娘、何か迷惑は掛けなかったかい?」
「とんでもないですよ、部長の日ごろの躾が良いせいか、面倒ごとは何もありませんでした」
「そうかそうか、それは何より。君の来期の賞与査定には、いくらか色を付けさせてもらうよ」
「ありがとうございます」
「どれどれ、ミニイカ娘ちゃん、僕にお顔を見せてちょ~だい」

部下である俺の前であることも憚らず、部長は甘い声を出しながら、ケージの中のミニイカ娘とご対面した。
部長のデレデレした表情とは対照的に、ミニイカ娘はキョトンとした表情で部長を見ていた。

「あれ~、ミニイカ娘ちゃん、1週間で僕の顔忘れちゃったかなあ?薄情だぞお。それに何だか・・・
目つきが前よりきつくなったかな・・・?」
「あはは、久しぶりに部長と会って、緊張してるんでしょう。まあ、元の生活環境に戻れば、
すぐに思い出してくれるんじゃないですか。それより部長、お昼はこれからですか?
この1週間のミニイカ娘のこと、色々お話したいこともあるんですよ」

俺は適当なことを言ってその場を取り繕うと、部長を食事に誘った。部長はもちろん断る理由も無く、
寧ろ俺のミニイカ娘飼育体験談を聞きたがっていた。俺は部長とミニイカ娘を乗せて、海岸通のファミレスへ
車を向かわせた。


さて、読者の皆様はお気づきであろう。部長に返したミニイカ娘は替え玉である。種明かしはこうだ。
俺はミニイカ娘が大量に巣食っているという海浜公園で黒ミニイカ娘を3匹捕まえてきた。普通の白い
ミニイカ娘とくらべ、悪知恵が働き頭が良いとされる黒ミニイカ娘だが、出没ポイントにエビを囮にした
ネズミ捕りを仕掛けたら、容易に捕まえられた。

「ビギャ!何するでゲショか!!」
「早く私たちを解放しなイカ!!」

とでも言っているのだろう、黒ミニイカ娘たちは口々に私を罵り、イカ墨を吐きかけようとしたが、
俺は取り合わずビニール袋を被せ、家に持ち帰り、水槽の中に入れた。

「ここはどこでゲショ!?」
「私たちをどうするつもりでゲショ!?」

家に着いてもうるさい黒ミニイカ娘たちだが、水槽の中に鎖で繋がれたミニイカ娘がいるのに気付くと、
興味深そうにそっちを見入った。やはり野生の黒ミニイカ娘、上流階級に相当する高級ペットのミニイカ娘が
珍しいのだろう・・・ということは無く、黒ミニイカ娘は単に相手の力を値踏みすると、よってたかって
触手でペチペチ殴るイジメに出た。

後で知ったことだが、高級ペットのミニイカ娘が、飼い主に愛想尽かされて捨てられ野良化し、自然界では
黒ミニイカ娘や野生のミニイカ娘に苛められて、ほどなく死に至るらしい。
ミニイカ娘にとって、自然界に出れば何も出来ない高級ペット崩れは、足を引っ張るだけの穀潰しとなり得るので、
大概のコミュニティが仲間入りさせないどころか、積極的なイジメの対象となるのだ。その習性は
自然環境でなくても変わらないらしい。

「ギョビ!ギャビイイイイイ!!」
「ギャッギャッ!ゲショショショ!!」
口々に雄叫びを上げながら黒ミニイカ娘たちは、3匹でよってたかってリンチするようにミニイカ娘を苛め、
苛められているミニイカ娘は
「ゲショ、ゲショ」
とお上品に小声を出しながら触手でか弱い抵抗をするのみで、時折俺の方に
「助けてほしいでゲショ。あなたは私を助けなきゃいけない義務があるはずでゲショ」
と、涙目で助けを求める視線を送っていた。

俺は俺で、野生の、しかも黒ミニイカ娘と、高級ペットとして育てられたミニイカ娘とでは、
これだけ性格や体力、行動様式に違いがあるんだなと感心しながら眺めていた。
そういえばこのミニイカ娘、よくテレビで紹介されるように、ペタンと座り込んでわんわん泣き喚かないな、
育ちがいいからかな、と気付き、わんわん泣き喚き始めたら仲裁に入るかと考えていたが、
一向に大泣きする様子が無く、小声でゲショゲショ呟きながらシクシクと涙を流すのみである。
流石にこれは泣き喚きそうに無いなと思い、俺は黒ミニイカ娘3匹を引き離した。

これも後で知ったことだが、あのわんわん大泣きする仕草は、あくまでも人間に向けた欲求不満を示す
パフォーマンスであり、同類に対しては見せないらしい。なるほど、よくできた生き物だ。


さて、ミニイカ娘イジメを遮って、俺は黒ミニイカ娘3匹にこんこんと言い聞かせた。

「いいか、お前ら。お前らはこれから、高級ペット用ミニイカ娘に成りすましてもらう。
そして、今ここにいる、このミニイカ娘の替え玉となってもらう。そのためには、その下品極まりない
ギャビギャビした鳴き方を始め、下卑た仕草は全て改めて、高級ペットとしての上品な仕草や振る舞いを
身に着けてもらいたい。
もしお前たちが俺の指示に素直に従い、高級ペットに成りすませる努力を払うなら、俺はお前たちに
毎日朝夕、ブラックタイガーを3尾ずつ与えよう。どうだ、やるか?」

最初は特徴的な吊り目を更に吊り上げて不機嫌そうに俺の話を聞いていた黒ミニイカ娘たちだが、
話が進むにつれて、自分にとってメリットの大きい話であることが分かり、その吊り目を輝かせて
俺の話に「ギャビャッ!ギャビギャバ♪」と賛同した、というか、こいつらは人間の言葉を解するのか?

一方で人間の言葉を解しているかどうかは分からんが、黒ミニイカ娘たちの会話を聞いて事態を概ね
把握したであろうミニイカ娘は、青い顔をして俺の顔を見つめ、へなへなとその場に崩れ落ちるように
座り込むと、ここで初めて「ビャエエエエエエエ!!!ビィエエエエエエエ!!!」と、マスコミが
ミニイカ娘を紹介するときに必ず映す、例の大泣き姿を披露した。本当に、お笑い芸人の持ち芸のように
出すべきタイミングを心得ているんだな、こいつは。

ところがそんな泣き方が黒ミニイカ娘たちに通用するはずも無く、また3匹でよってたかって
「もっと泣くでゲショ」「お前の居場所は私たちが頂くでゲショ」とばかりに、さっきのイジメの
続きを再開した。

そんな様子を尻目に、俺は冷蔵庫から昼に買ってきたブラックタイガーを、その日の夕飯として
黒ミニイカ娘たちに3尾ずつ分け与えた。

「ほら、これが誓いのブラックタイガーだ。お前たち、これを毎日食べたければ、俺の言うことを
聞いて高級ペットに成りすますんだぞ」
「ギャビ!ギャビビッ!」
「まずその下品な鳴き声は止めろ」
「ゲショゲショ」

ずる賢いだけあって、なかなか物分りがよろしい。やはり食い意地が張っただけで物分りの悪そうな
白ミニイカ娘じゃなく、黒ミニイカ娘にして正解だったようだ。

さて、部長から預かったミニイカ娘はどうするか、一応リスクヘッジとして、部長に返す日まで無傷で
活かしておくべきだろうから、餌を与えないわけにもいかないな。まあ、こいつには予備の餌として
買っておいた干しエビで充分だろう。そう思い、黒ミニイカ娘たちがムシャムシャと美味しそうに
ブラックタイガーを頬張る脇で、鎖で繋がれたミニイカ娘にはパラパラと干しエビを目の前に振りかけてやった。

ところがどうだろう、ミニイカ娘は触手で拾い上げた干しエビと、今目の前で黒ミニイカ娘たちが
これ見よがしに頬張るブラックタイガーをしげしげと見比べると、あろうことか干しエビを「チッ」と舌打ち
するとともに、ぽいと投げ捨てて、
「ギェビビビビビビ!!!ギェビビビビビビ!!!」と大泣きを始めたではないか。

こいつにとって、干しエビはエビじゃないとでも言うのか?


頭に来た俺は思わずミニイカ娘の頭部にデコピンを食らわせた。
「ギャビ!」とのけぞって鎖いっぱいの長さを吹っ飛ぶミニイカ娘、危うく首がもげるところであった。

おそらく生まれて初めての衝撃であろうデコピンを食らって、泣くより顔面が凍りついたミニイカ娘、
生命の危機を察知したときに見せると言う白い小さな目に涙を湛えて、俺の方を見入った。
そんなミニイカ娘の周りを、最後の1尾のブラックタイガーを頭上にかざし、ニヤニヤと取り囲む
黒ミニイカ娘たち。本当にこいつらも自分の役割分かってるよな。
今目の前でブラックタイガーを美味そうに食する黒ミニイカ娘たちと、貧相な干しエビしか与えられない
自分の境遇を比べて、ポロリポロリとミニイカ娘の頬を涙が零れる。

そのうち涙で干しエビが膨らむんじゃないかと思うまもなく、すきっ腹には耐えられないのか、ぽりぽりと
干しエビを拾い食いし始めた。その顔めがけて黒ミニイカ娘たちが一斉に食べ終えたブラックタイガーの
尻尾を吐きつける。ミニイカ娘、更に涙がポロリポロリ、そのうち足元に水溜りでも出来るんじゃないかと
視線をそっちに移すと、なんと本当にミニイカ娘の足元に水溜りが広がりつつあった。
なんだこれは?しかも臭うぞ。よく見ると水溜りの正体は、黒ミニイカ娘たちの放尿であった。

床に散らばった干しエビが、見る見るおしっこ塗れになっていく。あまりのことに動きが止まるミニイカ娘。
にやにやしながらその面持ちを眺める黒ミニイカ娘たち。しかし空腹には抗えず、おしっこ塗れの干しエビを
あわてて拾い集め、くんくんと臭いを嗅いだ後、しばし躊躇したものの、意を決して口に入れ始めた。

「ギャビビ、ギャビ・・・ゲショショ、ゲショショ」
と一斉に嘲笑を浴びせる黒ミニイカ娘たち。
与えられた干しエビを食い終わると、今朝までのお姫様の境遇から一転して最下層のミニイカ娘状態に
叩き落された自分の境遇を嘆き、「オビョビョビョビョオオオオオ!!!」と感情をコントロールできず、
おしっこの水溜りに泣き伏せた。

「これはいかん」と思った俺はすかさずミニイカ娘を拾い上げた。もちろん、助け、励ますためではない。
ミニイカ娘の純白のワンピースがおしっこに染まらないようにと思ってだ。最終的にこのワンピースは替え玉に
選ばれた黒ミニイカ娘に着せるのだから、汚れたり破れたりしないよう、今のうちに剥ぎ取っておくか。

もはや放心状態のミニイカ娘からワンピースを剥ぎ取るのは、難しいことではなかった。
裸にひん剥かれたミニイカ娘はもとのおしっこの水溜りに戻し、ワンピースは丁寧に手もみ洗いした。
洗い終わるとワンピースを黒ミニイカ娘たちの頭上に翳し、

「お前たち、晴れて替え玉に成りすませたら、このワンピースを着ることが出来るぞ」

と発破をかけると、黒ミニイカ娘たちも女の子なんだな、嬉しそうに目を輝かせ、頭上のワンピースめがけて
触手を伸ばしてきた。可愛いもんだ。

さて、その晩は水槽に白黒4匹のミニイカ娘を入れ、金網の蓋に鉄アレイの重石を乗せて寝た。ミニイカ娘は
一晩中さめざめと、おっと、しくしくと泣き続けていたようだが、
黒ミニイカ娘たちは「ギャービャーギャービャー」と高いびきを鳴らして気持ちよく寝入っていた。
やれやれ、いびきも矯正すべきかな。でも、俺の計画じゃ差し支えは無いかもな。


翌朝、ミニイカ娘の水槽を覗き込むと、ミニイカ娘はおしっこの水溜りで一晩中泣き続けていたせいで、
顔はむくれあがり、目は真っ赤で、しかも小便漬けで臭かった。どうするんだ、これ?

黒ミニイカ娘たちは、生まれて初めての安全な境遇でブラックタイガーを食べてたっぷり眠れて、
健康そのものの肌つやをしている。まずは俺自身洗面と朝食を済ませた後、取り合えず3匹に朝の排便を促すと、
ティッシュペーパーを持たせてお尻を拭くよう、手取り足取り教えようとしたのだが、困ったことにこいつらは
持たせたティシュペーパーを引き裂いて遊ぶだけで、一向にお尻を拭こうとはしない。
1週間面倒を見て、「案外こいつら賢いな」と思うことの多い黒ミニイカ娘だったが、結局トイレの躾だけは
マスター出来なかった。
俺の躾け方に問題があったのか、黒ミニイカ娘自体トイレの躾を相容れないのか、それは分からない。

黒ミニイカ娘たちに約束通りのブラックタイガー3尾を与え、食べ終わったところで開封したエビスナックを
袋ごと水槽に入れ、こう言い聞かせた。

「いいか、お前たち。このエビスナックはお前たちのお昼ご飯だ。間違ってもお昼ご飯前に食べたりしちゃ駄目だぞ。
3匹で仲良く分けて食べろよ」

驚いたことに、留守中ビデオカメラを回して監視していたが、黒ミニイカ娘たちは本当に窓から差し込む日光が
南中するころまで、エビスナックに手をつけなかった。黒ミニイカ娘に対する俺の評価が押しなべて高いのは、
こうした利口さが背景にある。

その一方で、ミニイカ娘には俺の朝飯の残りの塩鮭の骨と皮を与えておいた。はたしてミニイカ娘がこれを
餌として認識できているかどうかは不明。まあいい、昨晩同様、背に腹は変えられないからそのうち食べるだろう。
昼飯は抜きだが、この程度でミニイカ娘が餓死することはないことは知っている。

トイレ用皿のティッシュペーパーと飲料用の水と水浴び用の水を入れ替えると昨夜と同様に金網の蓋に
鉄アレイの重石を乗せて、俺は会社に出かけた。


DIYのお店に寄り道してから帰宅すると、まずは水槽の中を覗いてみた。部長から預かっているミニイカ娘は、
グッタリと横たわっている。朝飯に与えた鮭の骨と皮はそのまま手付かずで残されていた。わがままな奴だ。

黒ミニイカ娘たちは俺の顔を見ると、心なしか表情を緩めたように見えた。が、俺は黒ミニイカ娘たちに
「ご主人様が帰ってきたら、『お帰りなさいませ、ご主人様』と言わなきゃ駄目だろ。次から言わなきゃ晩御飯は抜きだ」と叱りつけた。

俺の叱責に「何いってやがるんだ、こいつ?」見たいな不貞腐れた表情をしていた黒ミニイカ娘たちも、
「晩御飯抜き」と聞かされるととたんに血相を変えて、「ゲショゲショ、ゲショショ」と歌うように鳴き始めた。
所詮はミニイカ娘の亜種である。それでも打算でも俺の意のままに動いてくれれば、それで充分だ。

コンビニ弁当をつつきながら、留守中に録画したビデオを早送りで再生する。俺の留守中の出来事を確認していると、
呆れたことにミニイカ娘は俺が出かけるとすぐに鎖が届く限りに移動して、黒ミニイカ娘用に用意した
エビスナックの袋の中に忍び込もうとしていた。

当然黒ミニイカ娘たちがそんなこそ泥を許す訳なく、3匹で全裸のミニイカ娘を引きずり出し手足や触手を
フルに使っての、殴る蹴るの暴行を加えていた。幸いなことに、黒ミニイカ娘といえども所詮は軟体動物なので、
パンチもキックもまるで身体的ダメージを与えられていないということだ。お陰でビデオに映っていた壮絶な
光景とは裏腹に、ミニイカ娘には大した外傷も与えられず、痣も残っていなかった。
一応部長から預かってるミニイカ娘だからな、最後まで無事であることに越したことはない。


さて、自分の飯を食い終わり、黒ミニイカ娘たちにブラックタイガーを、ミニイカ娘には干しエビを与えて、
こいつらの晩飯も終わると、DIYのお店から買って帰った刷毛とペンキを取り出した。黒ミニイカ娘の
黒い帽子を白に塗り替えるためだ。
いくらなんでもこれは子供騙しかなと思いつつ、つや消しホワイトの2度塗りをしてみると、案外しっくりと
似合っている。これならぱっと見は騙せそうだな。

ところで干しエビを侘しそうにポリポリと齧っていたミニイカ娘は、帽子を白く塗り替えた黒ミニイカ娘の
姿を見て、驚愕のあまり手にした干しエビとぽろぽろと床に落とすと、「ギャビャアアアアアアアア!!!!」と
今までで最大の大声で慟哭した。
黒ミニイカ娘から聞かされたであろう「ミニイカ娘の替え玉に成りすます」という話が、嘘ではないことを
理解できたのだろう。

ここまで来れば俺としては計画の大半が出来上がったようなものだ。後は今度の日曜日までに、
黒ミニイカ娘たちを可能な限り躾けて、さしあたり部長に見せたときに訝しがられなければ良い。
それまで黒ミニイカ娘たちはエビで手なずけて、こいつらの鬱憤やストレスは部長から預かった全裸ミニイカ娘を
サンドバッグにさせておけば、波風立てず順調に事を進められるだろう。へっへっへ。


とうとう、部長にミニイカ娘を返す日曜日が来た。前述した部長とミニイカ娘の再会の場面で、実際に部長が
ご対面しているのは、黒ミニイカ娘のうち、一番優秀だった固体だ。

海岸通のファミレスで昼食を取りながら、俺は部長に、ミニイカ娘ちゃんがビンテージデニムを異様に気に入り、
しがみ付いて離れなかったとか、パソコンのキーボードの上でゲショゲショ歌いながらスッテプを踏むので、
でたらめなデータが入力されたとか、いかにもミニイカ娘愛好家が喜びそうな、適当に作ったお茶目ないたずら
エピソードを語って聞かせたら、部長は蕩けそうに目を細め、嬉しそうに俺の話に聞き入っていた。
本当のことを話そうかとも思ったが、預かっていたミニイカ娘は散々虐待した上に、偽者にすり替えて
しまっているし、やはり部長には言い出しにくいな。黙っておこう。俺ってヘタレ。

その傍らで部長は自身が注文したエビチャーハンから、具のエビをより分けてケージ内のミニイカ娘に与えていた。

「しかしこの娘、ご飯を食べる行儀が前より悪くなったかな?」
「え?そうですか?気のせいじゃ・・・」
「はっはっは。多分お前の行儀の悪さを真似したんだろう。まあいい、僕の家でまたお行儀を勉強しようねえ、
ミニイカ娘ちゃん♪」

と、部長はミニイカ娘を大して疑う様子もなく愛でていた。
とはいえ、このまま返していたのでは、偽者だとばれるのは時間の問題だ。

俺は昼食を済ませ、部長と車に乗り込む前に、こう提案した。

「ところで部長、昨日私、この近くの海浜公園でミニイカ娘ちゃんを遊ばせてあげたんですけど、
楽しそうにしてましたよ。寄っていきます、その公園?」
「ほほう、そうか。言われてみればこの娘は文字通り箱入り状態で育ててきたから、自然の中で
遊ばせてやるのも、たまには良いかもな」

部長も乗り気になり、二人で海浜公園へ寄り道することにした。


「うむ、海鳥や猫も見当たらないし、ミニイカ娘をく放しても安全そうだな」
部長は周囲を確認すると、携行用ケージの中のミニイカ娘を浜辺に放してみた。ミニイカ娘は砂浜に降り立つと、
しばらく周囲を見回した後に、一方向へまっしぐらにトテトテと走り始めた。

「はっはっは。あいつ、あんなにはしゃいじゃって、よっぽど自然に放たれたのが嬉しいんだな」
部長も最初は目を細めて見ていたが、ミニイカ娘が何の躊躇もなく一目散に一方向目指して走っていくのを見ると、
少し不安になったのか「おーーい」と呼びかけながら慌てて後を追い始めた。

しかしミニイカ娘はお構い無しに走り去っていくと、海浜公園端のテトラポットエリアで姿を消してしまった。
「えええええ?ミニイカ娘ちゃーーーーん!!」
そうだ、ここは黒ミニイカ娘を捕まえた海浜公園。黒ミニイカ娘は帰巣本能で、一目散に自分の巣に向かったのだ。

部長が息を切らしながらテトラポットまで走り、中を覗き込むと、そこには同じような格好をした野生の
ミニイカ娘がウジャウジャ。50匹あまりが群れを成している中で、どれが自分のミニイカ娘だか分からない。

「ぼ、僕の、僕のミニイカ娘ちゃんなら、僕が手を伸ばせば飛び乗ってくるはず!!!」

と、群れに向けて右手をさし伸ばすと、俺が仕込んだ替え玉ミニイカ娘が

「このオジサンの家に住まわせてもらうと、いくらでもエビが食べ放題でゲショ」

と既に吹聴して回ったのか、どのミニイカ娘も全く警戒することなく、それどころか我先にと部長の右手に
群がってきた。

予想外の反応に驚いた部長、思右手に鈴なり状態となったミニイカ娘を振り払おうとして、思わず
テトラポットに向けて右腕をブンと振るうと、コンクリートに頭や体を打ち付けて「ギャビィ!」と呻き声をあげ
失神するミニイカ娘が続出。

「何でゲショか?この人、全然私たちに優しくしてくれそうにないじゃなイカ?」
「話が違うじゃなイカ?エビがいっぱいもらえるんじゃなイカ?」
「逆に私たちを虐待するでゲショよ。みんなで力合わせて撃退するでゲショ!」

自分たちの利に成らない人間だと判断するや否や、ミニイカ娘たちは部長めがけてイカ墨を噴出、
数十匹のミニイカ娘のイカ墨攻撃を受けて、哀れ部長、あっという間に全身真っ黒。
ミニイカ娘たちも浴びせるだけイカ墨を浴びせると、皆人間の手の届かない隙間に逃げ込み、
部長がいくら呼んでも泣き叫んでも、姿を見せるものはいなかった。

「ミニイカ娘ちゃーーーーん!!・・・畜生、こんなことなら目立つようにバッグでも持たせておけば良かった・・・」

がっくり落胆する部長を尻目に、俺は計画が成功したことで胸を撫で下ろした。


部長には通り一遍等のお悔やみの言葉を述べ、家まで車で送った。部長は助手席で主のいなくなった
携行用ケージを抱えて終始無言でいたが、多分懲りずにまたミニイカ娘を飼うんだろうな。

部長を送って家に帰ると、部屋には部長から預かった全裸のミニイカ娘が、安物のプラスチック製の
水槽に横たわっていた。

2匹の黒ミニイカ娘には、そえぞれブラックタイガーを2尾ずつ持たせて開放してやった。2匹はこの部屋での
生活を名残惜しそうにしていたが、自分たちの役割が終わったのを悟って、素直に立ち去った。
やはりミニイカ娘にしては賢い生き物だ。

この水槽内に横たわるミニイカ娘は、もう部長に返す必要もなく、自分の好きにしていい存在となった。
俺は水槽を持ち上げ、激しく左右に揺する。ミニイカ娘はベシベシと音を立てながら水槽の壁を右から左へ
飛び交っていたが、揺するのを止めて水槽の底にポトリと力なく落ちると、なにやら口がアウアウと
動いているのが確認出来た。

今まで精神的な虐待がメインで肉体的な虐待は控えてきたが(その分黒ミニイカ娘たちが散々嬲り者に
していたようだが)、これからは遠慮は要らない。
さて、ビンテージデニムとノートPCを駄目にしたお仕置きだ、どんな虐待を加えてやろうかね。
おっと、その前に、一度打ちひしがれたこの生ごみのようなミニイカ娘を、再び可愛がって
立ち直らせてやるというのも一興だ。
PCの修理代の請求権を放棄した分、こいつには楽しませてもらわないとな。

ま、その様子はおいおいビデオに収めて、みんなに紹介させてもらいますよ。それまでお楽しみに。

(未完)

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        ギャピ         ゲショッ!
     /■\ ギャピピ   /\       /■\ ギャピャピャ♪
    ∠/wwゝ      ∠/wwゝ◇=====∠/wwゝ
    JJ( `曲´)>======◇j(:;>0<)し ペチ∩(`∀´)し
    ○) V (つ   = ⊂V⊂) ◇====\)V ⊂) 
     ∠。。>      ⊂)。。/ ペチ   ∠。。 )
     U  Ц       (( U        と/ U   
AA by below様

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「もし自分でお尻を拭くミニイカがいたら」みたいな話を考えて、
下書き描くだけ描いて放置してたものを流用したものです

 

この場面を読んだ時に頭に浮かんでしまったものです・・・本当にごめんなさい

 

デコピンで飛ばされている状態(分かり難い
繋いでいるのが紐なのは、鎖が面倒だった・・・とかいう訳じゃないです

 

「志村~!後ろ!後ろ~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

edited byアドミニイカ at
立体のミニイカ娘を利用した虐待

 

ねんぷちの泣きミニイカ娘だけを残し他のみんなはバッサリ殺しちゃいました。
地面の黒く書き殴った紙ですが、墨だと思って下さい。


ねんぷちの首って外しにくいんですね。着脱には苦労します。

 

 

 


はやくごめんなさいって言わないと本当に締めちゃうよ、ミニイカちゃん?

 

 

集団いじめ
人間社会にはびこるそれはここにも起きていた

防寒具を剥ぎ取られ
エビは取られ代わりにタコ足と交換され
スミをかけられる

そんなとある水槽内のミニイカ娘たち・・・

by ミニイカ娘をいじ愛で隊様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

edited byアドミニイカ at
ドールハウス

 

 

 by ミニイカちゃん様

 

 

 

edited byアドミニイカ at
愛情<異稿>

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そしてとうとう完全に腐り切った嬰児の頭部だけが残されるに至った時には、
母親はもう嬰児に接吻することをやめてしまっていた。
男はとある期待を込め、母親の唇の糸を抜いてみる。

いきなり大きな口をあけて、母親は嬰児の頭部を丸呑みにする。
心が壊れた顔には、もはや何の表情も見られない。

嬰児を喰らい終わった後も、母親は頭をふらふらと揺らしながら、ぴちゃぴちゃと
音を立て舌舐めずりをしている。
そしてその後も、水槽内を意味なく歩き回りながら、舌舐めずりを止めようと
しない。

嬰児がよほど旨かったのか、縫い合わされた唇の傷が痛むのか。
ミニイカ娘はその後もさまよい、舌舐めずりを止めることはなかった。

  お前は良くやったよ。
  ただ他の連中とは違いすぎたのが、お前の不幸の始まりだったんだ。
  奇跡を起こすミニイカ娘など、最高の玩具でしかないんだ。

俺はつぶやいた。
そして水槽にそっとエサと水を入れると、その場を立ち去った。

 


次の日水槽を覗くと、ミニイカ娘は昨日同様、始終舌舐めずりをしながら、
休むこと無く歩いている。昨晩、ぴちゃぴちゃという音が止まなかったことを
考えると、夜通し舌舐めずりをしながら水槽内を歩き回っていたのだろう。

やつれた顔にはぼんやりと不安の表情が浮かんでおり、落ち着いていられない
さまが伺える。

心が壊れていても、嬰児を食らった罪悪感に苛まれているのだろうか。
しかし、唇の縫い傷は、確かに薄くなりつつあった。
このミニイカ娘の治癒能力は、自分自身にも極めて有効なようだ。
それも今となっては、あまり意味があるようには思えない。

昨日入れたエサには、手を付けた形跡はなかった。
俺は無言でエサと水を入れ替えると、水槽を後にした。

二日目の朝、ミニイカ娘は水槽の隅に顔を突っ込んで、しゃがんでいた。
僅かに頭が揺れ、相変わらずぺちゃぺちゃと音を立てている。
水槽の反対側に回り様子を確認すると、ミニイカは頭を壁に押し付けて、
うつむき加減でわ僅かに微笑み、無心に舌舐めずりをしている。

表情からすると、どうやら少しは落ち着ける場所を見つけたようだ。
しかし、今日もエサに手を付けた形跡はない。

  このミニイカ娘も もう長くはないな。

俺はこの壊れたミニイカ娘にもう構わず、放っておくことにした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日経ち、水槽からは舌舐めずりの音が聞こえなくなった。

水槽を覗くと、ミニイカ娘は死んでいた。
水槽の隅に頭を突っ込んだまま、小さく萎んで冷たくなっていたのだ。
これで静かに眠ることが出来たのだろうか。

 


俺はその屍骸を拾い上げようとした。
次の瞬間、俺は驚きのあまりミニイカ娘を取り落としそうになった。
ミニイカ娘の胸に、嬰児が抱かれていたのだ。

  ・・・なんだ、これは?

事実を理解するのに、かなりの時間が必要だった。
俺はミニイカ娘の胸に抱かれる、少し汚れた嬰児をただ見つめ想いを巡らせた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ようやく真相を解すると、俺は冷水を浴びせられたような衝撃を受ける。

  ・・・あの腐り切った頭から、嬰児が蘇ったのか。
  コイツは最後の最後に、俺にいっぱい食わせやがった!

そう、ミニイカ娘は丸ごと嬰児の頭を飲み込んだ振りをして、実は胃の中に
「囲って」いたのだ。だから餓死するまで餌を食べなかったのだ。

そして心が壊れた振りをして、始終ぺちゃぺちゃ舌舐めずりをすることで、
俺をまんまと油断させていたのだ。

俺の居ないところでは嬰児を吐き戻し、舐めて蘇生させていたのに違いない。
どんなに舐める音を立てようと、俺が気付こうはずもなかったのだ。
このちっぽけなミニイカ娘に、見事にしてやられてしまった。

なんとも言えぬ敗北感に苛まれるところだが、俺はそれとは異なる別の心地悪さに、
ずっと気をとられていた。

母親の胸に取り付く嬰児に目をやる。
嬰児は母の胸に顔を埋めた形で、抱かれている。

最初に気付いたように、嬰児は何か汚らしい。帽子は染みがあり萎びている。
触手にも染みがいたるところに見られ、緑や灰色、黄色っぽい部分がまだらに
ある。よく見ると、太さも揃っていない。

 


どこかおかしい・・・。

俺に見つめられていることに気がついたのか、嬰児はゆっくりとこちらを
振り向いた。

眼球のない、空っぽの黒い眼窩が俺を見つめる。
腐って捲れ上がった口元は、歯並びが剥き出しで、まるで笑っているかの
ようだった。姿勢を変え露になった手は、ミイラのよう萎びている。

そう、あのミニイカ娘にも、大きな計算違いがあったのだ。
腐った頭だけから全身を再生するには、流石に無理があったらしい。
蘇った嬰児は生ける屍、いわゆるゾンビとでも言うべき有様だったのだ。

  ふっ・・・

俺は嘲笑気味にため息をついた。
人を欺くほど賢く、死んだ嬰児を蘇らせる能力を持つ「奇跡のミニイカ娘」が、
己が命と引き換えに得たものが、この小さな「化け物」だったとは・・・。

  ミニイカ娘とは、決して救われることない生き物なのだ。

俺はミニイカ娘の虐げられた宿命を垣間見て、しばし感慨に耽る。

その間に、嬰児は再び「母」の胸に顔を埋める。
すると、先ほどは気付く余裕がなかったが、ちゅう、ちゅう、と微かな音を
立てているのが聞こえた。

まるで母乳を吸っているかのような音だ。
いや、卵生で子育てをしないミニイカに、母乳などありえない。
俺は不思議に思い、水槽の横から覗き込み様子を確かめた。

なんと、嬰児は「母」の胸に噛み付き、血を啜っていたのだった。
唇と頬のない口からは血が零れ出し、辺りを血に染めている。

再生するため、栄養を取ろうとしているのか、それとも・・・。
しかし、そのあまりのおぞましさに、俺は思わず目を背ける。

そこには、「母」ミニイカ娘の顔があった。

  - これで良かったのか? -

俺は無言で「母」に問いかける。
ミニイカ娘は、それでも、少し微笑んでいるように見えた。



(完)

 

Written by 切り貼り屋様
 


 

 

edited byアドミニイカ at
愛情


男がその噂を耳にしたのは10年ほど前のことだった。
曰く、極々稀に他の個体よりも並外れて母性愛の強いミニイカ娘がおり、
そういったミニイカ娘は死んだ嬰児を舐めて蘇生させることがあり得る、と。

男は半信半疑のまま、それを探し当てる作業に着手した。
大量に親子セットのミニイカを調達し、片っ端から嬰児を抹殺していく。
大半の母親は嬰児が殺されることに無関心で、
たまに例外があっても、死んだ嬰児を舐めることはせず、
ただ泣くだけだった。
しかし、いったいどれだけの数の嬰児ミニイカ娘を殺した後だろうか、
男はやっと目的の母ミニイカ娘に辿り着いたのだった。

遊び疲れて母親の腕の中ですやすやと眠っている嬰児に向かい、
にっこり笑い掛けながら手を伸ばす。
相応の飼育期間を経て、男との間にはすでに信頼関係が築かれているため、
母親は特に警戒を示さない。
男は嬰児の頭を優しく撫でてあげる際にうっかり手元が狂った風を装って、
その帽子を大きくずり下ろすように取り外す。
嬰児がピョっと小さく声を漏らすのと、
母親がピギャっと驚きの声を上げるのはほぼ同時だった。
母親は慌てて嬰児の帽子を元の位置に直したものの、時すでに遅く、
瞬く間に嬰児が萎れていき、そのまま干からびて死に絶える。
母親はほんの一瞬だけ感情の揺らぎを見せたが、
次の瞬間には一心不乱に嬰児を舐め始めた。
これか、これのことか!?
男は激しい興奮に駆られながら、前々からの計画通り、
産地直送の高級イセエビを母親の傍らに投げ入れた。
しかし、母親はイセエビには一瞥もくれることなく嬰児を舐め続ける。
ほう、大好物だってのに…こいつは見上げたもんだ。
男は素直に感心する他なかった。

それは母親が文字通り飲まず食わずの不眠不休で舐め続けて三日目のことだった。
ついに嬰児が蘇生し、それを見届けた母親はここで初めて歓喜の涙に暮れながら、
嬰児をしかと抱きしめ、その頬に自分の頬を摺り寄せるのだった。
嬰児は自らの身に何が起きたのかよく分かっていない様子で、
それでも母親にじゃれついている。
噂は本当だったんだ…!最高のオモチャを手に入れたぞ!
男が深い感動に浸っていたら、母親が非難めいた視線を投げ掛けてきた。
おそらく男が嬰児の帽子を外した件を責めているのだろう。
「悪かった。帽子を取ると死ぬとは知らなかったんだ」
男が白々しく謝ると、母親はとりあえず許す気になったのか、
再び嬰児に向き直り、嬰児を高い高いしてあやし始めた。
嬰児はキャッキャとはしゃぎ、母親はその顔一杯に微笑みを浮かべている。
この親子は今、間違いなく幸せの絶頂にあった。

 

男は二匹の様子を眺めながら、糸を通した針を用意し、おもむろに母親を掴むなり、
その唇の脇にズブリと突き刺した。
突然の事態に母親はピグっと叫び、それを見た嬰児がピギャーピギャー泣き喚くも、
男は構わず針を進めて、母親の上唇と下唇をがっちり縫い合わせ、
母親の口を閉じた状態で固定する。
元々利発で聡明な個体だっただけに、これが何を意味するかをすぐ理解したと見え、
母親は唇からだらだら血を滴らせながらも嬰児を両腕で強く抱きしめ、
その上から触手ですっぽり覆い隠した状態で男に背を向け、必死に嬰児を守ろうとし、
嬰児は嬰児で、動物の本能として今ここで母親と離れたら死ぬことを予感しているのか、
必死になって母親のワンピースにしがみ付いている。
しかし、悲しいかな、所詮はミニイカ娘の力などたかが知れており、
容赦なく両者を引き離した男はまず右手の母親を床に叩き付けてから、
次に左手の嬰児をその眼前に突き出す。
母親はすっかり取り乱しオロオロしながら、繰り返し繰り返し自分を指差す。
殺すなら自分を殺してくれと言いたいのだろう。
男がそんな母親にデコピンをかまして弾き飛ばし、
相変らず泣き喚き続ける嬰児を握り直して、鋭く尖ったキリの先を向けると、
母親はその場に土下座し、開かない口で大きく泣き叫び、
額を床に擦り付けるようにしながら許しを請う。

しかし、男は薄笑いを浮かべ、キリで嬰児の右足の甲を刺し貫く。
真っ赤な鮮血が飛び散り、嬰児の絶叫が響く。
母親が鬼の形相となって、猛然と触手で男を攻撃して来たが、
それを簡単に手で払い除けた男は、続けて嬰児の左足の甲、
右手の甲、左手の甲の順番にキリで刺し貫き、
続けて嬰児の四肢の関節を一つ一つ反対方向に折り曲げていく。
さらに男は長い時間を掛け、気を失う寸前の絶妙な匙加減で嬰児をいたぶっていき、
最後はすでに半狂乱に陥っている母親の触手を嬰児の首に巻きつけて絞り上げ、
嬰児は長くてか細い断末魔の声を発しながら息絶えた。

母親はしばし放心状態になっていたが、やがてはっと正気を取り戻すと、
男が乱暴に打ち捨てた嬰児の遺骸を抱き寄せ、
まるで何かに取り憑かれたかのような態でその全身に接吻し始めた。
だが、三日を過ぎても嬰児は蘇生せず、四日目にはとうとう腐乱も始まった。
にも関わらず、母親はひたすら接吻を続ける。
何か食べないと、そろそろ体が持たないだろう。
実際、母親の腹が何度も鳴るのを男は耳にしていた。
そこで男は七日目に嬰児の遺体の右足を切断し、
それを流動食化したものを無理矢理に母親の鼻からチューブで胃に流し込む。
母親は全力で抵抗したが、徒労に終わる。
何とか嘔吐して胃の中のものを戻そうとするも、
なにせ唇を縫い合わされているため、それも叶わず、
母親は諦めたようにしくしくすすり泣きながら、嬰児の遺骸への接吻を再開する。

それからまた七日が経ち、男は今度は嬰児の左足を流動食にして母親に強制摂取させ、
その後も一週間サイクルで嬰児の遺骸を細かくバラバラに解体し、母親に与えていく。
母親は段々と自らの嬰児を食らうことに対する反発が減退していくとともに、
嬰児の亡骸に接吻する作業もどこかおざなりなものになっていき、
そしてとうとう完全に腐り切った嬰児の頭部だけが残されるに至った時には、
母親はもう嬰児に接吻することをやめてしまっていた。
男はとある期待を込め、母親の唇の糸を抜いてみる。
すると母親はいきなり嬰児の頭部に齧り付き、それをムシャムシャ食べ始めるのだった。

口をすぼめて嬰児の眼球をチュルチュル吸い出している母親に向け、男は心で語り掛けた。
お前は良くやったよ。いや違うな、お前は本当に素晴らしかった。
人間の母親で、お前より母親らしい母親が何人いるだろう?
人並の母性愛を持ち合わさず、
それゆえ俺による虐待を免れて里子に出され、
今は別の飼い主の元でぬくぬくと暮らしていると聞く他の母ミニイカ娘たちと、
人間ですら叶わないほど強烈な母性愛を持っていたがゆえに、
こうして俺による虐待を受け、最高のオモチャ扱いされ、
母親として最大限の辛苦を味わうことになったお前。
果たしてどっちの生涯がより豊かだったんだろうな?

男には分からなかった。



 

 

edited byアドミニイカ at
赤ちゃんミニイカ食育記11~13


「…ぇそ?」

小エビを食べ終えたタイミングを狙ってミニイカ娘を掴むと、食事の満足感からか素直に従った。
水槽から出される瞬間、ミニイカ娘は名残惜しそうに触手を伸ばし、小エビを一つ拾い上げる。
どこまでも卑しい生き物だ。

部屋を移り大きな水槽を見付けたミニイカ娘は「ゲソ、ゲッソ」と喜び、手の中でもそもそと動いた。
早くあそこへ戻りたいらしい。無機質な水槽を嫌がるのは良い反応だ。

だが蓋が開き、中に撒かれた物を見ると、ミニイカ娘は「げそ?」と鳴き、急に大人しくなった。
卵の存在に気付いたのだ。

砂地にそっと着地したミニイカ娘は辺りを一瞥し、まずは隠れ家のある内陸部へ向かう。
土管を覗き込み、しばらく中を行ったり来たりすると、次にテトラポッド群の方へ向かった。
それらの上にある卵が気になるらしくチラチラ見やりながら、時々登ろうとする仕草をしてうろうろする。
やがて波打ち際に戻り、隠れ家全体を見渡せる位置に立つと、ミニイカ娘は大声で鳴き始めた。

「ゲソォ~ッ!」
…………
「ゲ~ソォ~ッ!」

どうやら仲間を探しているようだ。
なるほど、群れで生活する野生下なら、卵があるところに仲間がいるはずだ。その仲間達がなぜ卵を放って消えたのか、気掛かりなのだろう。

「ゲ~ショ~ッ!」
…………

ミニイカ娘はしばらく鳴き続けていたが、やがて「ゲソッ」と決意したように一鳴きすると、自ら行動を起こした。
流木まで駆け寄るとその上に置かれた卵を触手で一つずつ巻き取り、丁寧に海に並べる。

成功だ。
このミニイカ娘は卵の世話を始めたのだ。

ミニイカ娘は流木上の卵を全て片付けると、続いてテトラポッドに駆けて行き、同じように卵を回収し始めた。

一匹だけで大忙しだが、よく観察するとミニイカ娘はこの作業をとても慎重に行っていた。

触手一本につき卵は一個までしか持たず、先を少し余らせて卵の縦と横に一周ずつ巻き付くと、抱えるようにして持ち上げる。
それから急いで波打ち際に移動するが、その際触手を体から十分に離して振動が極力伝わらないようにし、海面上まで卵を持ってくると余らせた触手の先で海底を掘り、窪みを作ってからゆっくり卵を置く。

特に最初の巻き付きは至難の技のようで、締め付けが強いと卵は割れてしまい、緩いと隙間から落ちてしまう。
これにミニイカ娘は細心の注意を払っており、何度も触手を巻き直すことがあった。
 


砂地から立って見える範囲の卵を全て片付けると、ミニイカ娘はテトラポッドによじ登り、さらに奥まった所に置かれた卵を見付けた。
ミニイカ娘は丸みを帯びた狭い足場に立ち上がり、そこから触手を伸ばして卵に巻き付く。

「ゲソ…、ソォ…」

ミニイカ娘の表情は真剣そのものだ。種の存続が賭かっているだけに、失敗は許されない。

九本の触手は全て卵で埋まっていた。
最後の十本目の触手が残された卵に巻き付き、プルプル震えながら慎重に持ち上げる。
その瞬間、悲劇は起こった。

…つるん!
「ゲショッ!?」

巻いた触手の隙間から卵が滑り落ち、パシャッ!と音をたてて割れた。それを合図に、緊張の糸が切れた他の触手からも卵が次々に滑り落ちる。

パシャパシャッ!パシャンッ!
「ゲジョア゙ァ゙~ッ!!」

ミニイカ娘は狂ったように触手を乱舞させたが時すでに遅く、辺りは一面卵の虐殺現場となった。

「アワワァ…」

ミニイカ娘はテトラポッドから飛び降りると必死に割れた卵をかき集めるが、それで元に戻るわけが無く、中身のオレンジや白のぶよぶよした物体が触手に絡み付くだけである。
これらが赤ちゃんに成育するはずだったものだ。

「うぅっ…、げしょお…」

ミニイカ娘は肩を落とし、卵の残骸を見つめながらしばらく泣いていた。
自らの不注意を嘆いているようだ。

やがて諦めがついたのか、一ヶ所に寄せ集めて砂をかける。
ミニイカ娘なりの弔いなのだろう。
再びテトラポッドに登ると、触手と両腕で卵を抱き抱え二、三個ずつ運ぶ。効率より安全優先だ。

時間を掛けてテトラポッドの上を片付けると、今度は砂地に置かれた卵も浅瀬に移し始めた。
どうやら卵は乾燥を防ぐために海水に浸すらしい。

ついに全ての卵を移し終えると、水槽の海側は並べられた卵でいっぱいになった。ミニイカ娘は「フイーッ…」と一息つくと、傷や汚れがないか一つ一つ点検して回っている。
その念入りな様子から察して、私はこのミニイカ娘を雌だと確信した。
そして手際の良さから間違いなく、過去に群れで仲間達と卵の世話をした経験がある。

卵…。そうだ、私は本来の目的を忘れていた。
最初に知人からこれらをもらい受けた際、卵を食べ損ねたのだ。
ミニイカ娘が世話を始めたからと言って、それも失敗しないとは限らない。新鮮なうちに頂くとしよう。

私は匙を持ってくると、水槽の蓋を開けた。 

  


だが、母性本能の芽生えたミニイカ娘が素直に卵を渡すとは考えにくい。私は試しにそっと匙を卵に近づけてみた。

「…ゲソッ!?、ゲソゲソッ!」

驚いたミニイカ娘は卵を庇うように前に立ち塞がり、触手を伸ばして「チィッ」とこれを払いのけた。
当然の反応だろう。
私が匙を引っ込めると、警戒しながらこちらを見つめていたミニイカ娘は、安心して卵の世話に戻る。

幸いあの程度では敵対心を抱かれることはなかったようだ。
私もミニイカ娘がこの先世話に集中出来るよう手荒なことはしたくなかったが、かと言ってこいつが寝るのを待つ気はない。

私は少し思案して、ふとミニイカ娘が卵の世話を始めてから、まだ食事を済ませていないことを思い出した。
何も食べずにすでに半日以上が経過している。過去の飼育経験上、旺盛な食欲を持つミニイカ娘なら今頃は餌を寄越せと鳴き喚いていてもおかしくない。
それなら、卵を分けてもらう“対価”として与えたらどうか。

私が再び匙を卵に近づけると、またミニイカ娘は「ゲソソッ」と慌てて前に立ち塞がる。
そのとき、もう片方の手に持った小エビをミニイカ娘に見せてみた。

「…!、げしょぉ…」
じゅるり…

案の定ミニイカ娘は途端に目を輝かせ、よだれを垂らし始めた。私がその小エビを与えると、匙など気にせず喜んで食べ出す。
私は次々と小エビを与え、ミニイカ娘もそれに存分に応える。これは自らの空腹も忘れるほど世話に没頭した報酬だ。遠慮することは無い。

私が隙を衝いて素早く卵を掬うと、ミニイカ娘は「ゲショッ!?」と驚き、小エビを投げ捨て慌てて触手を伸ばしてきた。
私がすかさずその鼻面に新たな小エビを差し出すと、ミニイカ娘は目を点にしたが、それをまたしぶしぶ受け取る。
これは一種の“刷り込み”だ。冷静に考えれば小エビをくれるからと言って卵を奪われても良い理由にはならないのだが、ミニイカ娘も所詮は動物なのでそうした論理的思考が出来ない。
目の前にぶら下げられた餌に不安を宥められて、相手への警戒心も薄れてしまうのだ。

ミニイカ娘は食事に夢中になっている。
その隙に私がゆっくり匙を持ち上げると、気付いたミニイカ娘は小エビを食べながら「あっ、あっ」と間抜けな声を上げ、遠退いていく卵を見送るだけだった。

“分かっちゃいるけど止められない”、そのミニイカ娘の反応を見て、私の脳裏にそんな言葉が浮かんだ。


 

 

edited byアドミニイカ at