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ゲショゲショ!

姉弟シリーズ
姉弟シリーズ短編「節分」
姉の場合

「ミニイカちゃん、今日は節分といって豆をまくんだよ!」
「げそげそー?」首をかしげるミニイカちゃんをお風呂につれていく。
「びぃ!ぶぶぶぶ・・・・」そこに貼ってあったのはシャチやサメの絵。
反射的にスミを吐いているミニイカちゃんに対し
「ミニイカちゃん、あれに向かって豆を投げ付けるんだよ!
 シャチは外!サメは外!ってね。」といって、豆を投げ付けた。
貼ってあった紙が破けていくと「げそー」と喜ぶミニイカちゃん。
そのまま袋の中の豆を触手で掴んで絵に向かって投げつけていく。
みるみるうちにシャチやサメの絵はグズグズに崩れて落ちていき、
「げそそ!げっそそー!」と得意げなミニイカちゃん。

それとね、「これを家に中に招き入れるの!」とエビを取り出して
「エビはうち!」とミニイカちゃんに投げていく。「げそー!」と
触手で器用にキャッチしエビを満足そうに食べているミニイカちゃんを
見ながら、「いつまでも元気でいてね」とイカ帽子を撫でる姉であった。

弟の場合

今日は節分か・・・かといって豆もない。
「げしょ!げしょ!げそー!げそー!」

そういえばこいつらがいたかw
箱の中のミニイカ娘たちは誘われている研究機関の方から
「余り物」ということで頂いたので30匹くらいいる。
比較的若い個体が多いようで、まだ自らの状況が分かってない。

さっそく1匹を取り出して台所へ。「げしょ?げそー!げそー!」
それをラップに包んで体を丸め、丸おにぎりをつくる容器に押し込めた。
「げひ!げひー!げひー!」苦しそうにしているが気にしない。
続いて2匹目。既に1匹目は容器の中で苦しそうに「げひょ・・げひょ」
と蠢いている。それを見て暴れだす2匹目だったが即座にラップに包んで
丸めずに容器に押し込んだ。「いぎぃぃぃ!いぎ!いぎ!ひぎぃぃ!」
はみ出ている触手を縁に沿って押し込む。しばらくすると声も止んで
きたので取り出すと、丸まったまま動けなくなって「げぞぉ・・げぞぉ」
と泣いているのと全身が変な方向に曲がり「ひぃ・・・ひぃ・・・」と
荒い呼吸が聞こえていた。

そんな感じで20のミニイカだんごができあがった。
一部は触手や手が外からはみ出して変な物体になっている。
ちょうど年と同じ分だけ食べればいいんだよね。
と、フライヤーに並々と油を注いでいった(終)
edited byミニイカ姉弟 at
姉弟シリーズ短編「てるてる坊主」
姉の場合 

「あーあ、また雨だねー」 「げそぉ・・・・・」 「明日のお散歩、
晴れるようにてるてる坊主作ろっかミニイカちゃん!」「げそげそ!」
こうして、ミニイカ娘を象ったてるてる坊主が並びました。 ミニイカ
娘もそれを眺めて「げしょ!んふふ~♪げしょ!」と喜んでます。

弟の場合 

「なんだ、今日も雨か。」 「ぴぃぃぃぃいい!ぎゃぴぃいいいい!」 
「うるさいなー 2日ぐらいエサなしで我慢しろよ。」 「そうだな、
明日は晴れるようにてるてる坊主でも作ろうかな」 と、弟はケースの
中からミニイカ娘を取り出し触手の右側を無理やり 引っ張って交差
させ首にぐるっと1回転。抵抗するミニイカ娘を無視し 同じく左側も
交差させ首に1回転させ、思いっきり締め上げた。 「ひぃ!ん・・ぐ
・・・げぇええええ」と息が出来ずに苦しそうにしている ミニイカ娘
を見ながら、後ろの触手を中に入れてキツクこぶ結びにした。 「ぐぅ
・・・ぎぃえ・・そぉおお!」と自分の触手に吊られ真っ赤な顔で 
バタバタするミニイカ娘を軒先に持っていって、釘で触手を打ちつける。 
「ぐぴぃ!ぎぴぃ!」と打ち込む毎に飛び上がって更に締まるミニイカ娘。 
「てるてる坊主なら、腕や足はいらないよね(はぁと)」とノミをトンカ
チで 柱に押し付けながら、「ガンガンガン!」「!!!」と腕と足を切り
落とす。 「よし、完成した!」 軒先には黒い液体が滴り落ち、泡を吹いて
だらりとしたてるてるミニイカ娘。 明日は、いい虐待日和になりそうだ!
edited byミニイカ姉弟 at
姉弟シリーズ 3章

ミニイカ、そして彼との出会い 終盤からのスピンオフ

(そのころ、隣人の部屋では・・・)

初めての客が帰り、また元の実験場に戻った部屋で彼はつぶやいた。。

「残念だな、ここが一番美味しいのに」と

鍋の中で揺れているミニイカ娘の頭部を見つめていた。

「あの時の話をするのは間違いだっただろうか。明らかにあれ以降よそよそ

しくなったな・・・」自分の身の上話をするのは初めてだったので、つい調子

に乗ってあれこれしゃべってしまった。「しかし、あの時がなければ今の自分

は存在していない。それは間違いない真実・・」


(数年前、実家にて)


「げそげそげそ~♪」「げそー♪」「げっそげっそ!」

「げしょしょ!」「びぃ・・・びぃ・・・」自宅のリビングはまさにミニイカ娘達に

よって占領されている。毎週木曜日の午後は姉が散歩をしていたように、

俺はミニイカ娘達(現在6匹)をリビングで遊ばせていた。活発な4匹は

机の周りをくるくる回って追いかけっこをしている。おとなしい2匹は外の

景色に興味津々だ。普段は俺がかつて風呂の水を注ぎ込んだ水槽で

飼っているので、この日をいつも楽しみにしているらしく、昨晩は眠れな

かったようで遅くまでげそげそ声がしていた。


姉を演じて9ヶ月経つが未だに連絡はない。ちなみにペットショップは

閉店してしまった。(この6匹は親が閉店セールで買ってきたもの。

元は1匹5000円くらいする高級品らしい)そもそも固定電話は変更され、

携帯電話は解約されてしまったので連絡のしようもないが。

ミニイカ娘のキーホルダーがついた新しい携帯を開き、姉の先輩からの

メールに目を通す。『○○(姉の名前)ちゃん、やっぱりここもダメだった。

ごめんなさい。でも絶対探してあげるから』俺の一件で教職への道を諦めた

先輩は、空いてる時間を使って姉探しに奔走している。


「げしょー!」どうやら俺が座っているソファーが追いかけっこの会場に

なったようだ。伸ばしている足に乗った2匹はそのまま俺の体を登ってくる。

途中、滑りやすい箇所などを「はぁ・・はぁ・・」と必死で走ってソファに

たどり着くと、下の2匹に向かって「げしょげしょー!」と誇らしげに鳴く。

下の2匹はまだ登れない為、悔しいのか「びぃびぃ」泣き出した。そのまま

足で2匹を踏み潰したくなる衝動を抑えつつ2匹を拾ってソファに置いた。

すると途端に元気になって4匹で遊んでいる。「姉を演じるのも大分楽に

なってきたから、そろそろこっちを何とかするかな・・」とミニイカ娘を

眺めていた。


【親に大学に復学しろと迫られた俺は、姉が通っていた大学に連絡

をして事情を話したところ、姉と先輩の担当教官の奨めで系列の

通信制高校に転校することになった。親へは、担当教官の知り合い

の大学病院の教授から、「ミニイカ娘を亡くしたショックで記憶喪失

になりミニイカ娘と出会う前に退行している。とりあえずは自宅療養

をしながら高校生をやり直す形で様子をみてはどうか。」という説明

をし、納得してもらっている。】


「あら○○(割愛)、今日は外出するの?」

「うん、ちょっと用事があるからこの子達連れて海行ってくる。」

「ちゃんと門限までには帰りなさい。最近は危ない人も多いんだから」

「はいはい(おいおい・・)」と言いながら家を出る。

「ようやく昔のようにミニイカ娘連れて外出できるようになったか。」

「ええ、でも外出するならもうちょっとおしゃれにしてもいいのに。」

「あの格好なら男の子みたいだから襲われる心配ないから却って

いいんじゃないか。」


そんな会話があったことは知らないが、「ゲソゲソ!」と活発な4匹

を小さなケースごとボストンバックに入れてバスに乗り込む。残る2

匹はリビングのお気に入りの場所に小さなケースを置いて移し、

エサは親にまかせてきた。向かう場所は姉がよくミニイカ娘を探して

いた海岸だ。座る際の癖に苦笑しながら、ボストンバックからケース

を取り出した。防音ケース越しの為鳴き声が聞こえないが、目をキラ

キラさせながら流れる景色に夢中な4匹。おや、1匹が首を動かし

すぎて目を回して尻餅をついて泣いている。他の3匹は景色に夢中で

全く意に介してないが。


目的地が近づいてきたので、再びボストンバックに入れるとケース

がガタガタと揺れる。おそらく突然景色が遮られたのでご不満なんだ

ろうが、気にせず脇において到着を待った。海岸は自宅からバスで

45分くらいのところにある。急深で波が荒く遊泳禁止なので、

普段から人はおらず、いたとしてもせいぜい釣り人くらいだ。

よって希少になった天然のミニイカ娘を探すには絶好の地である。


僅かながらある砂浜に着き、さっきからバタバタ音がしているケース

を取り出した。中では3匹が触手でケースを叩いていたが、

(1匹は相変わらず涙目でスミも吐いている。ミニイカ娘にも車酔い

があるのだろうか)突然視界が海と砂浜に変わったことから、3匹は

叩くのやめ嬉しそうに外の景色を眺めている。試しにケースを少し

開けてみたところ「げしょげしょげしょ!」「げしょー!」

「げそげそ!」と「外に出せ」の大合唱だ。ボストンバックから

リールのついた花柄の腕輪を3つ取り出し、ケースを半分開け

ミニイカ娘を取り出しお腹につけた。「げしょ?げそげそげそ

ーげそ!」と違和感で嫌がっているが無視。3匹付けたところで、

まとめて砂浜に下ろした。


3匹のミニイカ娘は「げそげそ!げそげそ!げそげそー!」と

初めての砂浜で大はしゃぎ。砂浜の感触が面白いらしく足についた

砂を触手で払ったり、時折ある石につまずいて倒れて体中砂だらけ

になっている。とにかくバラバラに動こうとするがリールは

1.5mしかないので「うぬうううう!げーそ!げーそ!」

と鳴き触手で腕輪を外そうとするが、このお手製のミニイカ娘用

リールはそんなことではびくともしないようだ。


ミニイカ娘たちはその後進路を変え波打ち際までやってきた。

おそらく初めて見るであろう海。波が引いた後の湿った砂浜を

「げっそげっそ!」言いながらピョンピョン跳ねている。

「そんなことしていると、波にさらわれるぞ」と言っていたら案の定、

波がやってきて腰まで浸かる。「ぴぎゃ!」と冷たそうにしている間

もなく、引きの力で3匹は倒れそのまま持って行かれそうになった。

「ぴぃいいいいい!ぴぃいいいいい!」ともがいているミニイカ娘の

リールを手元に引き寄せたところ、びしょ濡れになった3匹は

「エーン!エーン!」と泣き出した。「ほらな」とタオルで拭いて

水気は取ったが砂浜にに尻餅をついたままで動きそうになかったので、

再びケースに入れ腕輪を外してやった。1匹はようやく顔色が元に

戻ってきたようで「げしょ!」と鳴いているが、戻ってきた3匹が

震えているので「げしょげしょ?」と不思議そうに首を傾げている。


「げしょ?」「エーン!エーン!」と賑やかなケースを携えて

海岸を歩く。砂浜は短いので、前方に行き止まりであるテトラポット

の山が見えてきた。姉がかつてミニイカ娘を拾ったのもこの近くらしい


会えるといいな・・あわよくば持って帰りたい。と思いながら進んで

いると。「こん!」と元気な1匹が海側のケースの壁を触手で叩いて

何か言っている。何だ?と思いそちらに向かうと、波に漂う大き目の

ペットボトルが1つ。そしてその手前に、前かがみになったミニイカ娘が

「ぴぃ!ぴぃ!」と肩まで浸かって泣き叫んでいた。ラベルで見えないが

ペットボトルの中で何かが動いている。


「天然物発見!」・・と俺はケースとバックをその場に置いて靴を脱ぎ

海に入って漂っているペットボトルを引き上げた。すると、既に半分

ぐらい海水が入っておりその中で1匹のミニイカ娘が溺れていた。

「ぴぃぴぃ!ぴぃぴぃ!」と足元にいたミニイカ娘が触手を振り回し

ばしゃばしゃ水音を立てている。心配しているんだろうか。基本自分

勝手なミニイカ娘にしては珍しい。天然物は養殖物とは違うのだろうか。


とりあえずいペットボトルを逆さにして海水を出すが、肝心のミニイカ

娘が「イ~イ~!」と注ぎ口にしがみついて落ちてこない。仕方なく

容器と足元にいたミニイカ娘を掬い上げ乾いた砂浜に置いたところ、

足元にいたミニイカ娘は逃げることなく容器に触手を入れ中のを

引っ張り始めたのである。しかし狭い注ぎ口に詰まり、それ以上は

「げーそ!げーそ!」と引っ張ってもビクともしない。詰まった

ミニイカ娘は苦しいのか「コホッ・・ゲソッ・・・」と咽ている。


「どうやってこの中に入ったんだか・・・ 」と容器を見てみると

側面に割れている箇所を発見。なるほどここから入ったのかと。

手元にあった石で叩き割ろうとする。バコッ!バコッ!と叩くと

「ピィ!ピィ!」「ひぃぃ!ひぃぃ」と中と外のミニイカ娘が叫ぶ。

バコッ!バコォオオオン!という音と共に壊れたペットボトル。

その中で「ひぃぃぃぃ!」と腰が抜けたかのように伏せている1匹と、

注ぎ口で「ぴぃぃぃ!」と泣いているミニイカ娘を摘むと、タオルで

拭いてバックから捕獲用にと用意してきた蓋付の透明カップに入れ、

さっきから気になって「げしょげしょ!」と鳴いていた4匹(3匹も

この騒ぎでようやく元気になったようだ)の待つケースに入れてみた。


「ひぃ・・ひぃ・・」「ぴぃ・・ぴぃ・・」と泣いている2匹を

「げしょ!」「ゲショ?」「げそげそ」「げそー!」と4匹が取り

囲んで触手を向けるがカップ越しなので手前で止められてしまう。

それが理解できない4匹はしきりにカップに向かって触手で叩く形

になり、ぴぃぴぃと更に泣き続ける2匹であったが、うち1匹が

目の前にいるちょっと違う同胞に気づき、腕で泣いている1匹の肩

を叩いて気づかせ「げそ・・・!」と鳴いた。するともう1匹も

目の前にいる同胞にようやく気づき「げそ・・?」と鳴き、

「げしょげしょ!」「げそーげそー!」「げそ!」「げしょー」

と4匹もそれに答えてる。すると、1匹は突然目の前の4匹に

満面の笑みで「げそォ!」と鳴き、ケースの中は大騒ぎだった。


「突然天然のミニイカ娘と一緒にさせる訳にはいかないから、

これでいいんだよな」と俺は満足し、ケースをボストンバック

に入れて「ぴぎゃ!」とびっくりする天然2匹をよそに小さい

海岸を後にした。その姿を「げそ?」「げそ・・・」「げしょ」

「ゲソ・・」と見つめていた10数匹のミニイカ娘には気づかずに。


ところ変わってテトラポットの中。

『げそげそー、げそげそー』携帯電話の着ボイスが鳴る。

「終了予定時刻だがそちらは終わったかね?」

「はい所長。最初こそ逃げ回ってかわいそうでしたけど

研究所謹製の特製エサの効果は抜群で、おかげでスムーズに

掃除ができました。今はミニイカ娘達をきれいになった住処

に戻しています。」


足元にはたくさんのミニイカちゃん達が住処に戻っていく。

最初足を踏み入れた当初は奥から漂ってくるイカスミの臭いで

充満していたけど、海水を利用した高圧洗浄の結果、今は新築

そのもので、奥に入ったミニイカちゃん達も「げっそげそー」

と喜んでくれている。


「長い間お疲れ様。これで君が担当の太平洋側については

一通り終わったことになるね・・・私が言うのもなんだけど、

そのまま実家に帰ってみたらどうだね。君が出て行った後の

ご家族の様子は大学の先輩から聞いているんだろ?話によれば

弟さんは君になりきってミニイカ娘も飼っているそうじゃないか。」


そう、数ヶ月前家を飛び出した私はそのままミニイカ娘の育成

保護を目的とした私的な研究機関に飛び込んで、・・・・色々

とやってきた。今やっているミニイカ娘の住処掃除もその一環だが、

ミニイカ娘のPV作成(某大手アニメーション会社が子ども向けの

アニメを作成してくれ大反響を得た。)や、逆にミニイカ娘を加工

する工場に潜入、隠し撮りをして動画サイトにアップするなど、

『ミニイカ娘の動物愛護法適用』を目的とした活動をおこなってきた。

特に後者の反響は凄まじくマスコミのバッシングを受けた加工会社の

廃業が相次ぎ、海外の環境保護団体にも注目されている。


「いえ、私が実家に戻るのは、弟が動物愛護法違反で逮捕された時です。

あいつは私の大事なミニイカちゃん達を殺した犯罪者なんですから。」


私が出て行った後の実家については、退学した大学の先輩が逐次メールで

情報を送ってくれていたが、ここ数カ月は確認もしてない。心配してくれ

ている先輩には悪いけど、正直ざまあみろとしか思えない。私のふりを

している弟も今はおとなしくしているだけでそろそろ本性を見せるだろう。

確かに友人にも姉妹みたいだねと言われるほど似ていたが、中身は大違いだ。

正直気持ち悪い。私を騙った詐欺容疑でも捕まってもらいたいくらいだ。


「・・・・まあいい。では、これから事務所に戻ってくるんだな。

 遅くなるだろうからくれぐれも安全運転を。」

「分かりました。最寄りのPAについたらまた連絡します。」


電話を切った頃には大体のミニイカちゃん達は巣に戻っていたが、

一集団がまだテトラポットの上にいるようだ。「ミニイカちゃん、

掃除終わったよ、戻っておいで!」と呼び掛けると、私に気づいた

数匹のミニイカちゃんが、砂浜を触手で差して「げそげそ・・・」

と鳴いている。誰か居るのかと思い向こう側に渡ろうとしたが、

既に干潮は過ぎているのでテトラポットを登らないといけない。

あらかじめ用意してあったロープをつたってようやく上に登った

ところそこには既に誰もおらず、海岸入り口にあるバス停に

ボストンバックを持った高校生らしき姿があった。

後ろ姿なので顔は分からない。「ふふっ、こんなところに来る

なんて、試合に負けたか失恋でもしたかな?そんな子には是非

ミニイカちゃんで癒して欲しいな・・・ところで、何があった

んだろう」と周囲を見渡すが、壊れたペットボトルの容器が

あるくらいで何もなかった。


とりあえず、自分の周りに集まったミニイカちゃん達を籠に入れ

ロープで下に降ろしていく。すると、綺麗になった住処と仲間を

見つけ「ゲショゲショ!」と笑顔で奥に走っていった。

これで今日の作業は終了!荷物を片付け、駐車場に止めてある

作業車に乗りこんだ。「一番最後がここになったのは予想通り

所長の作戦ね。思い通りいかなくてごめんなさい。でも今の

『私』が どうなっているのか確認しておくことは必要かな?

絶対に会いたくないけどね。」と研究所とは反対側になる実家の

方角に曲がっていく作業車。その顔は悪意に満ちていた。


バスに乗り込みバックから4+2匹が入ったケースを眺めたところ、

拾った2匹がカップの底でキョトンとしている一方、4匹はカップを

取り囲んでジャンプしたり走りまわったりしていた。蓋を少し開け、

小分けされたエサをカップの中とケースにパラパラと撒く。4匹は

嬉しそうに食べているが、2匹は初めて見るのだろうか動かない。

すると、4匹のうちの1匹がカップの中にいる2匹に対して、

ゆっくりと触手でエサを掴み、口に運んで食べなばら「げっそげそ!」

と鳴いている。2匹のうちの1匹がおそるおそるエサを拾い、

口の中に入れたところ「げそげそ!」とびっくりした表情でもう

片方に伝え、感動したかのようにエサをじっくりと味わっていた。



久しぶりの実家。裏手に車を止め車内から家を眺める。

リビングの電気はついているが、2階はまだのようだ。ん、

リビングの窓際にもぞもぞと動く影。まさかミニイカちゃん?

「やっぱり・・・本当に飼っているのね。ちょっと意外。」

ガラスとケース越しなのであまりよく聞こえないが、どうやら

飼い主が帰ってくるのを待って鳴いているようだ。すると、

「すぐ戻ってくるからね・・・全く、携帯忘れて出かけるなんて!」

と聞き覚えのある母親の声。「うるさくてテレビも聞こえない。

すまないが○○の部屋に持って行ってくれないか」と相変わらず

興味がないオヤジの声と共に、鳴き声が徐々に遠ざかっていく。

そして付けられた私の部屋の電気。どうやら本当に弟は私として

生活しているようだ。

少しは見直したと思った矢先に聞こえた「げぞ!げぞ?げぞぉぉぉ!

げぞぉぉ!」の叫び声に私は身の毛がよだつ思いがした。この声は

「仲間がいない!みんなどこ行ったの!」という声。「あの野郎、

最初油断させておいてまた殺したのか!」と思わず車のドアを開け

ようとしたところ、「バン!」「きゃっ!」と通行人にぶつかった。

しまった!頭に血が上って・・「だ、大丈夫ですか?」と声をかけた

相手を見て、私は驚いた。


そう、目の前で転がったボストンバックの中を開けて「大丈夫?」と

声をかけているのは、海岸のバス停でボストンバックを持っていた

高校生であり、私の振りをしている弟だった。その姿は昔の私を彷彿と

させ、いられなくなった私は車に乗り込んで走り去っていった。

びっくりした。家の裏手にバンが止まっていて、側を通ったら突然ドア

が開いてぶつかりボストンバックが宙を舞った。中から作業服姿の女性が

出てきて謝っていたけど私はボストンバックが気になっていたから反応

せずに、中を開けてみたら6匹のミニイカ娘たちが「うえ~んうえ~ん」

とひっくり返って泣いている。思わず「大丈夫?」と声をかけたら、

それを見ていた女性、車に乗り込んで急発進させて行ってしまった。

県外ナンバーだったけど、道でも間違えたのかな?

まあミニイカ娘が元気ならいいかと思いつつ「ただいまー」とドアを開ける。


そこには、明らかに怒っている母親の姿だった。

「え、まだ門限まで時間あるよ」と言うと、手には私の携帯電話。

「あ!」「全くこの子は携帯電話忘れて!残った2匹がうるさくてあんたの

声でも聞かせようと思ったのに。」

「ごめん、それでその2匹はまだリビングにいるよね?声聞こえないけど。」

「パパがうるさいからって、あんたの部屋に連れて行ったらもっとうるさ・・」

「え!だって私の部屋には入れないでって紙置いてあったじゃん!」

「そんなの知らないわよ。大体そんなこと言っても、ってちょっと!」

これはヤバいとボストンバックを持ったまま階段を駆け上がる。


やはりこんな親にまかせていたのは失敗だったのか。姉がキレるのも分かる

気がする。階段の真ん中くらいから、「げそぉぉぉぉぉ! げそぉぉぉぉ!」と

いう泣き声が聞こえてきた。ボストンバックの中にいる4匹も気づいたのだろうか。

バタバタケースの中を動いている。


ペット用のミニイカ娘の特徴として、いつもの住処に戻された際、戻した人が

飼い主かそうでないか、いつもいる仲間が揃っているかいないかで、「飼い主に

捨てられた!」と感じることがあるらしい。今回戻ったのが下にいた2匹だけで、

しかも戻したのは別人。おそらくそう思ったに違いない。こうなると、例え飼い主

が戻っても懐いてくれなかったり、嫉妬からか戻ってきたミニイカ娘に危害を加える

可能性もあるらしい。


部屋の前にボストンバックを置きドアを開ける。蓋も開けっ放しのケースの中で、

ミニイカ娘が「げそぉぉぉ!ぉぉぉぉぉぉ!げそぉぉぉぉぉ!」と目を赤く腫らし

泣き叫んでいた。涙の痕がくっきりと残り、壁を叩きつけたのかよく使う触手の

先端が赤く腫れている。「ごめんごめん」とケースに近づき、右腕を伸ばして

人差し指と中指で2匹の頭を撫でる。「げそ・・?」と上を向いた2匹のミニイカ娘。

すると、無表情で触手を伸ばし俺の指にぐるぐる巻きついて締め付けだした。

「痛い痛い!やめて!」左で取ろうとしても残りの触手で弾かれてしまう。

やむを得ずケースから取り出し巻いている反対側に腕を回転させた。遠心力で

段々伸びていく触手、しかし落ちないようにと止めると巻き戻るように元に

戻ってしまう。目を回している感じもない。左手で掴んで引き離そうとしたとき、

突然2匹が指に噛み付いた。「痛い!!」あまりの痛さにぶんぶん振り回すが

離れようとしない。それどころか更に力を入れだしたので、痛さのあまり、

頭に血が上った。「痛たいんだから!」とフローリングにミニイカ毎叩きつけた。


「ゴン!」「うぅぅ」まだ離れない。

「ゴン!」「うげぇええ」少し噛む力が弱くなってきた。

「ゴン!」「げぇええええそぉぉぉぉ」

「ゴン!」 あれ、何か楽しくなってきた。懐かしいなこの感覚。

「ゴン!」「ぴぃぃ!ぴぃぃぃ!」

「ゴン!」「ぴぃぃぃぃ ぴぎゃああ!!

「ゴン!」「ぴぎゃあああ!ぴぎゃあああああ!」


気がついたら、既に指に触手はなく床には黒い染みが出来、その真ん中で

2匹のミニイカ娘が「ぴぃ・・・ぴぃ・・・」と弱々しく泣いていた。

インドア派の2匹も嫉妬からかちょっと反抗してみたけど、まさかここまで

痛い仕打ちを受けるとは思わなかっただろう。しかし、もう手遅れだった。

1匹はもう触手の一部しか動かすことができず、もう1匹も傷だらけだ。


「ありがとミニイカちゃん。私の中に燻る感覚を思い出させてくれて」と

摘み、ケースの中に放り投げた。汚れた床をティッシュで拭いた後、

ドアを開け「ミニイカちゃん♪」とボストンバックを勢い良く開ける。

すると、「ぎゃそぉぉぉぉ!」と絶叫と共にファスナーにミニイカ娘の

触手が挟まっていた。思わぬ登場に思わず笑みが溢れる。ケースの中では、

絶叫している仲間と今までと様子が違う飼い主に3匹が固まっており、

対照的にカップの中の2匹は何だか楽しそうである。


実はケースの中で仲間が飼い主に裏切られたと抵抗していると感じ取った

4匹は、ケースから脱出すべく連なって一番上の1匹が2匹のいるカップの

上に上り、そこから触手で蓋を開け外に出た。しかし外に出るにはファスナー

を開けないとならない。そうこうしているうちに、床に叩きつける音と共に

許しを乞う仲間の声が聞こえてきたので、何とかしないととファスナーの

開いていているところに触手を入れていたところを反対側に開けられてしまい

挟まったのだった。


「ふぃぎゃああ!あああ!あぁ!ああ!」ファスナーに触手が引っかかって

宙ぶらりんでバタバタしているミニイカ娘。俺の指に別の触手で巻きついて

ぶら下がり痛そうな顔をしながら「外してくれ」とげそげそと鳴いている。

しかし、無駄な抵抗をした2匹のお陰で抑えていた感情が吹き出した俺は

ファスナーが挟まったままのミニイカ娘をそのまま、ゆっくりと引っ張り出した。


「げそ?げそぉおおお!ぎぴぃいいい!」助けてくれると思ったミニイカ娘は、

突然挟まったまま引っ張ろうとする俺に対してえ?という顔をするが、その痛さに

顔を歪める。しかし見たことのないような笑顔で引っ張り続ける俺に対して明らか

な恐怖の表情を示し、巻き付いていた触手を解いてファスナー側に飛び乗った。

「ぴぎゃ!」しかしそちら側には支えとなるものがなく、今まで同じく宙吊りに

なり「ぴぎゃぁぁ!ぴぎゃぁぁ!」とバタバタしているミニイカ娘を捕まえる。

掌に明らかに震えている様子が伝わってくる。そして思い切り、挟まったまま

引っ張りあげた。「ぴぎえ!ぎえええ!えええええ!」ぶち・・・ぶち・・・

ぶちと触手が裂かれる鋭い音が響き、「ぶちぃ!」という音と共に裂かれた

3本の触手と、掌には裂かれた触手を別の触手で押さえながら

「びぃぃぃぃぃぃぃぃ!」とバタバタと暴れ泣き喚くミニイカ娘。大事に

育てられてきたペット用ミニイカ娘では経験したことのない痛みなのだろう。

千切られた先端から黒い液体がじわじわと浮かび、掌にぽと・・ぽと・・と

垂れている。つい、その部分を「撫でて」やりたくなったので、指でぐりぐりと

擦るように押し当てた。「っっ!ぴぃぃ!みぎぃやぁぁぁぁぁぁぁ!」触手を

振り回し「ぁ・・・ぁ・・・ぁ・・」と気絶した。


バックの先端には未だに触手が不気味に動いていたので、気絶したミニイカ娘を

床に置いてファスナーを反対側に開け、取り外してふとケースを見たところ、

真っ青な顔で呆然としている3匹の横で、カップの中にいる2匹がぴょんぴょん

跳ねながらその触手の切れ端を見て「げそげそー!」と欲しがっているようだ。

「天然物は雑食だな」とケースの中に手を突っ込む。すかさず既存の3匹は

必死で反対側に逃げ、1匹に至っては吐いたことのないスミまで吐いて怯えて

いるのに対し、今か今かと待ちわびているカップの蓋を開けて投げ入れると、

2匹はその触手を1本ずつ、ペットでは退化している腕で器用に持ち、

「はむっ、はむっ」と美味しそうに食べ始めた。


共食いを始めて見たのか、「げそぉぉぉぉ!」と外で2匹のミニイカ娘が驚愕の

表情で、ケースから脱出しようと中を走り回っている。そんなことお構いないし

に触手を食べ終えた2匹は残った1本を2匹で分けあって仲良く食べていた。

ちなみに残り1匹は慣れないスミ吐きで目が回って倒れている。床のは未だに気絶中。


完食後、俺を見て「げそげそ!」と満足そうな表情を見せる天然2匹。ただ俺は

「もっと欲しい。こいつらも食わせろ」と言っているようにも見えたので、

先ほど放り投げた2匹を食べさせてやろうとカップを持ち上げ、ケースの中に

放してやった。中には先ほど床に叩きつけたミニイカ娘が2匹。1匹はうつ伏せ

で凹んだイカ帽子から黒い液体が周囲に染み渡り、ぱたん・・・ぱたん・・・

とうつろな目で首と胴体が左右に動いている。もう1匹は意外と当たり所?が

よかったのか、「げそ・・・・・げそ・・・・・」とお腹を触手で押さえながら

気が触れた仲間を呆然と見つめていた。


「げそ!」広い空間にやってきた2匹は付近をキョロキョロ見回して興味津々

の模様。そして傷を負った2匹がいるところへ。「げっそげっそー!」まさかここ

でスキップするか。お腹を押さえたミニイカ娘が「げ・・そ・・?」と一言言い

終わる前に、2匹は触手でそのミニイカ娘の足を掬い投げして転がし、

倒れている1匹の前へ。すると2匹は顔を見合わせて、「げそぉ!」と言い、

1匹がイカ帽子を、1匹が足から噛んで食べ始めた。食べられているミニイカ

娘はビクビクっと何回か痙攣をしてその後動かなくなり、「ぴぃ!ひぃ!」水槽

の端っこまで飛ばされたミニイカ娘が痛さで叫んでいるその先で1分も経たな

いうちに真っ黒になりながら1匹のミニイカ娘を平らげた2匹のミニイカ娘は

残った腕を触手でつまみ上げコリコリと咀嚼した後、その腕輪を自分の腕に

入れて「げしょしょしょしょ!」と鳴きながら、尻餅して泣いているもう1匹の方

に歩き出した。


泣いているミニイカ娘の頭を2匹の触手がぺちぺちと叩く、「ぴぃ・・・?」と

首を上げたミニイカ娘の前には、真っ黒になった2匹のミニイカ娘が触手を向け

笑顔で立っていた。2匹の片腕には同胞の腕輪が収まっている。2匹は反対側の

腕を示しながら「げそげそ・・」と言いながら迫ってくる。おそらく「ここに

あと1つ腕輪が欲しいゲソ」と.。


「ひ!ひぃぃ!ぴぃぃややあああああ!」とお腹を押さえながらヨタヨタと

逃げるミニイカ娘。それをにこやかに「げしょしょしょしょ」「げしょしょー」

と後をついていく2匹。逃げられないことを分かっていて敢えてじっくりいた

ぶるつもりなのか、1匹対2匹の鬼ごっこが始まった。

角から角へ逃げる1匹と追いかける2匹。「ひぃ、ひぃ、ひぃ」と中にある

おもちゃの家に隠れれば2匹でそれをひっくり返す。一番高い石の上で俺に

助けを求めて鳴いたので俺はケースの中に手を入れる。必死にその中に駆け

込んで「びぃ・・・びぃ・・・」と肩で息をしているミニイカ娘だったが、

残念ながら手はそのままなんだな。「げっそげそ」「げそー」と2匹も現れて、

逃げ込んだミニイカ娘の触手を引っ張ってずるずると引きずっていった。


「ぴぇ!ぴぇえええ!ひぴゃあああああああああ!」と泣き叫びながら抵抗する

ミニイカ娘。すると2匹は掴んでいる触手を齧りだした。「コリコリ・・・・

コリコリ・・・・・」鈍い音が響く。「ぴぃぎぃぃぃぃ!ぎぃぃい!

ぎぃぃぃぃ!」頭を押さえて悶絶しているが、「げそ」「げそ」と鳴くだけで

そのまま食べ続ける2匹。他の触手にも手を伸ばして齧り続け、余り使わない

頭の後ろの2本を残し他の触手は全て肩に掛からない程度まで短くして、

「げそげそ」と2本を触手を引っ張っていく2匹のミニイカ娘。思わず携帯を

取り出しカメラを向けてみると笑顔で「げそげそー」と獲物を前にポーズまで

取ってくれた。こいつらなかなかやるな。


そして、さっき食べた1匹の残骸が残る箇所にたどり着くと、触手を噛み切ら

れひくひくしているミニイカ娘の上に乗って2匹でジャンプを始めた。

「げっそげそー」「げそー」と。ストンピング攻撃を受け、「うぎぃ!

うぎぃ!」とバタつくミニイカ娘だったが、触手が短く抵抗できない。

「うげっ!」とイカスミと吐き出し、真っ黒になる2匹だかおかまいなし。

イカスミ以外も吐き出し、口からは青黒い液体をダラダラさせてうぅ・・

とか言ってるミニイカ娘。


これから食べるのかと思いきや、上にいた1匹が「げそー」ともう1匹に

告げると「げそ!」と1匹が下に降り、1本の触手を上に乗っているのに

伸ばすと突然その先端を噛み切った。「何をするんだ?」と訝しげに

見ていると、黒い液体がしたたるその触手を仰向けで倒れているミニイカ娘

の下腹部に突っ込んだのである。「んん!んんんん!」と経験したのことの

ない痛みに顔を真っ青にして体を捩らせ起き上がろうとするが、もう1匹が

上に乗って触手を口の中に突っ込んで押さえつけているので叫べないし動けない。

突っ込んだ1匹は触手を上下に動かして下腹部の奥に徐々に進めていく。

「まるでレイプだな。こいつらにも性欲ってあるのかなw」


その後、イカスミでも吐くかのように力みだした1匹。すると刺し込まれた

触手が黄緑色に変化して「げそぉぉおおおお!」と唸ると同時に、その先から

ぬるっとと何かが下腹部に入っていく。「卵でも植えつける気か?」

何かを入れたミニイカ娘はそのままフラフラと立ち上がり、差し込んでいた

触手を抜く。すると元の色に戻りつつある触手の先端に黄色の粒のような

ものがついていた。抑えつけていた1匹も降りてきて、労をねぎらって

いるようにげしょげしょ言っている。最期に気絶しているミニイカ娘に

粒をぱらぱらとこぼすと、2匹で壁際に移動して俺に向かって

「げしょげしょ!」「げしょ!」とケースから出してくれとばかり鳴き出した。


「まさか産卵するのは思わなかったw これが育てばなんでもできそうだ。

思わぬ収穫」と2匹を空のケースに移動させると、「げそ~」と疲れた

様子でごろんと横になりスースー寝息を書いて寝てしまった。ちなみに

いつ奪い取ったのか、2匹の両腕には2つのリングが付いていた。


ふと背後を振り返ったところ、触手が千切れて気絶していたミニイカ娘と目が合う。

「ぴぃ!」と気づいて俺の部屋の中を逃げ回るミニイカ娘を見ながら追いかけ、

「大丈夫だよ、もうイタズラしないからさ」と手を差し伸べるが警戒心は

取れないようだ。しかし、伝家の宝刀「ミニイカ娘のエサ(高級品)」の缶詰を

開ける「プシュッ」という音に「げしょ・・」と動きは止まり、その一部を指に

掬ってミニイカ娘に向けると、千切れてない触手で俺の指をツンツン叩き、

大丈夫と分かったのかスッとそれを掬って大きな口を開け「ゲショ~」と

頬張り、「ゲショ!ゲショ!」と目の前にやってきておかわりを催促し出した。

入口に置きっぱなしのケースを持ってくると、最初は「ゲジョッゲジョッ」と

警戒していたが既に俺の横でエサを食べている同胞にコロっと転向しエサ

おねだりモードに変わっていた。


缶詰の残りを皿に載せ1匹と一緒にケースの中に入れる。皿に群がる4匹の

ミニイカ娘を見て「さあ食べろ、あと4匹なら何匹分生まれるのかな。」と、

1匹だけになったケースの中で「げそ・・・(助かった)、げそ?(何これ?)」

と黄色い粒を見て胸をなでおろそうとしてスカッと幻想の触手が空を切った

リングのないミニイカ娘を横目でみてニヤりとつぶやいた。(終) 

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姉弟シリーズ 第2章

今日も雨。梅雨なんで仕方ない。

でもミニイカちゃんは今日も元気で一緒にお散歩。

自分の部屋の水槽に手を入れると「げそげそー」と

大好きなえびのぬいぐるみを放り投げて乗ってくれる。

手作りのあまがっぱを着せて、肩の上に乗せて一緒にでかけた。


いつもの道もミニイカちゃんと一緒だと全然違って見える。

大きい雫が傘に当たって「ボトっ」と音がすると、

「げそー?げっそげそー?」っと不思議そうに見つめ、

あまがっぱから触手を伸ばして傘に触れるその姿は

可愛いなんて通り越して愛おしむ存在。


でも、その存在を家族は理解してくれない。

それどころか・・・・うっ・・・うっ・・・うっ。涙が流れる。

「げそ~?げそーっ」ミニイカちゃんの触手が頬を撫でてくれる。

ありがとうミニイカちゃん。あなたを拾った時、ひどく衰弱していて

慌ててペットショップに駆けつけて・・・・預けてもらったから

あなたは弟(もうあんなのは家族じゃない)に殺されなくて済んだ。


お腹が破裂してゴミ箱に捨てられていたミニイカちゃん、

冷凍庫に凍ったまま入れられていたミニイカちゃん

そして夕飯のおかずに出されてきたミニイカちゃん。

あなたたちのことを思うと、涙が止まらなくなる。

「絶対に、守るからね!」とミニイカちゃんにキスをし、

「また友だちつれてくるからね!」「げそー♪」


ふと、とある家の前で足が止まる。「きれい・・・」

そこは付近でも有名な紫陽花の庭。フェンス越しに近づいてみると、

「げそ!げしょ!」ミニイカちゃんが何かを見つけたらしい。

それは紫陽花の葉っぱにとまるカタツムリだった。

始めて見るようで「げそ?げっそげそ?」と興味津々。

そして肩から傘を持つ腕まで降り、触手で葉っぱを指差し

「げそー!げしょ!」とミニイカちゃんが鳴いている。


「かたつむりさんとお話したいのかな?」と思い、

反対側の腕に飛び乗らせ、葉っぱに乗せる。濡れていて

「あわわわわわ・・・」と滑りそうになりながらもご対面。

触手を伸ばしてご挨拶すると、向こうも触覚を動かした。

「げしょげしょ!」と調子に乗ったミニイカちゃんは、

かたつむりの上に乗って「うわああああ」と大感激。

そのままかたつむりは葉っぱの上にゆっくり動いていく。

その場面を私は持ってる携帯で記念にパチリ。


ふと、フェンスの奥から聞き覚えのある鳴き声が聞こえてきた。

「ェ・・・・ソ・・・・ゲ・・・・ソ・・・ゲソ・・」

ミニイカちゃん!この声はかなり弱ってる声。慌ててカタツムリに

乗ってるミニイカちゃんを確認し「ちょっと待っててね」「げそー♪」

傘を上に掛け濡れないようにし、フェンスの入り口に小走りで向かう。

インターホンを押したが反応はない。が鍵はかかってなかったので

腕を伸ばし裏側からカチャっと戸を回し、中に入った。

声が聞こえたのはこのあたり・・・と思って駆けつけたそこは・・・


「うぅ・・ひどい・・・」そこは犬小屋だった。寝ている柴犬の前で

ボロボロになったミニイカちゃんがうめき声をあげていた。

おもちゃ替わりに噛まれたのだろう、全身噛み痕でいっぱいだった。

「こんな状態じゃ、助けても助からないかもしれない・・・」

でも、助けられなくても最期を看取ることはできるだろうと、そっと

犬小屋の中に手をいれ、瀕死のミニイカちゃんを持ち出した。


すると「ウゥ・・ワンワン!ワン!」とおもちゃを取り上げられた犬が

吠えて飛び出してきた。ミニイカちゃんを両腕に抱いて慌てて走り出す。

玄関からは遠くなったが、ここまでならリールは届かない。そこから、

大回りで玄関までたどり着く。戸を回し「おまたせ!ミニイカちゃん!」


しかしそこにミニイカ娘はなく、ひっくり返った傘にカタツムリのみ。

「え・・・ミニイカちゃん!・・うそ・・・ミニイカちゃんどこー」

瀕死のミニイカを脇に置き、必死で付近を探しだすが見つからない。

「まさか!連れて行かれた?・・・でも誰が・・・まさかあいつか。

 でもまだ学校のはずなのにどうやって?」そう思って携帯を確認すると

 メールが届いていた。その内容に私は血がサーッと引いていった。


『弟さん今日体調不良で早退したけど、休むように言っておいてね』

それは現在弟の学校に教育実習に行っている大学の先輩からだった。

「あの馬鹿!」私は脇に置いた瀕死なミニイカ娘を拾い、傘も差さずに

自宅へ急いで走っていった。ミニイカちゃんの命が危ない!



凝りもせずミニイカ娘を自室で飼っている姉について親から相談を受けた俺は、

【どんなシチュエーションでミニイカを捕獲できるか】調査を開始。すると、

近頃ミニイカ娘の飼い主は『LOVE!MINIIKA』という愛好家御用達の

雑誌に、着飾った自慢のミニイカ娘の写真を投稿するのが流行っているらしい。


特にこの時期はテレビで放映された「かたつむりの上に乗り葉っぱカサを持った

ミニイカ娘」を真似させようと愛好家達が挙って写真を投稿しているらしい。

負けず嫌いな姉のこと。そういえば紫陽花がきれいに咲いている箇所を親に

聞いていたことを思い出し、この辺りでは有名な「紫陽花の家」にミニイカ娘と

立ち寄るんではないかと考えた俺はまず囮となるミニイカを探すことにした。


まずは姉がお世話になっているペットショップへ伊達メガネをして入店。

すると入り口の水槽にいたミニイカ娘が俺を見て「ゲソ・・・」と鳴いた。

それを見たのかオーナーが寄ってきて「この子なんだけど、かつてお客さんに

販売したんだが元からの集団に馴染めず苛められて返却されてきたんだ」と

一方的に話し出した。確かに頭や手足に触手で締められたような痕がある。


「普段は人を見ても怯えて何も話さないんだけど、君には安心できる何かが

 あったんじゃないかな。いつも来ている女の子みたいに。」おそらく姉だろう。

「君、うちに来たということはミニイカ娘が欲しいんだろう?この子をできれば

 育ててやって欲しいんだけどどうかな?代金はいいから」ということで、

想定された出費もなく無事弱ったミニイカ娘を手に入れることができた。


日を改めて取りに行くことになったので、姉がいつも散歩をする木曜日に設定。

(姉の通う大学では木曜日は午前中のみ)俺は前日遅くまでゲームをして、

寝不足による体調不良を演出し午前11時に早退し、母親の車で自宅に戻る。

車の中で着替えてペットショップに寄り、小さめの水槽の中で興味深そうに「げそ

げそ?」と鳴いているそれを紫陽花の庭の入り口で蓋を開け外に出してやった。

初めての外出なのか「げそー♪、げそー♪」と庭の中を嬉しそうに走っていく。

その後「ワンワンワン!」「キャアアア!ゲショオオオオ!ゲショオオオ!」と

逃げるミニイカ娘、追いかける柴犬、そして捕まり噛まれるのも確認して立ち去る。

そして俺はその家の裏にある倉庫にて、姉がミニイカとやってくるのを待っていた。

もちろん紫陽花の家にはおもちゃで遊ぶのが大好きな柴犬がいることは調査済。


「ちょっと待っててね」と玄関に入るのを確認し、素早くその場所へ行き、

かたつむりの上で「わぁわぁ」言ってたミニイカ娘を掴み、小さめの水槽に

放り込んだ。立て掛けてあった傘が落ちる。「ピィ!ゲショ!」と突然の出来事で

助けを求めるミニイカ娘だったが「ウゥ・・ワンワン!ワン!」と庭で犬が鳴く

声で打ち消された。そのまま倉庫に戻り「あの馬鹿!」という叫び声と共に姉が

走っていくのを確認し、水槽の中で震えているミニイカを見ながら

「さて、どうしようかな」とほくそえんだ。その顔は相当極悪だったのだろう。

「ひぃぃぃぃぃ」とミニイカ娘は後ずさり泣いていた。


雨に濡れたままでハァハァ言いながら家に帰ってきた姉。

しかし自宅には誰もいないようだ。弟の自転車もない。

傷だらけのミニイカ娘は「ひぃ・・ひぃ・・」と苦しそうに呻いていたので、

とりあえず風呂場に連れていきミニイカ用の桶にぬるま湯を入れ軽く洗う。

傷口に染みるようで時折「ぴぎっ、ぴぎっ」と泣くが「我慢してね」と呼びかける。

だいぶ落ち着いたようだったので、そのままにして弟の部屋へ直行。


弟の部屋には鍵がかかっていたがドアノブを壊してこじ開けた。親に怒られようが

気にしない。同罪だ。乱雑にマンガやゲーム攻略本が置かれた弟の部屋。

その中に、図書館のシールが貼られた見覚えのある雑誌があるのに気づいた。

「これってLOVE!MINIIKA ・・・なんでアイツがこんなものを?」

そして付箋が貼られたページを開き、そこから落ちた白い紙を見て全身が

逆立つような怒りが沸き上がる。


付箋が貼られたページは最近話題の「かたつむり+葉っぱがさ@ミニイカ娘」

特集だったが、落ちた白い紙にパソコンで打たれた記号を組み合わせて描か

れていたのは、葉っぱがさを持ったまま口に刀が刺し込まれ、鉄板の上で焼か

れているミニイカ娘だった。


                 _,,二二二二ニ=‐::ァ
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     ブスブス…   /: :/ /: /|: :|> `二┃ イ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄´ '-' `'`'`'`'`'`'`゙´
               /: : : /: /: |: j{^ヽ∨个ー{;;_{7^) ジジ…
           /: :/ : /: 厶イ: 八  ':. 厂{人:\|
  ブスブス…   /: :/ : /: :{O |: | ヘ. ∨\| /:\:\_ ジジ…
             「: /」: :」.: :人_〈 〈_  \);;)/〈: :〈く: : :/
          く: : :> :./三三j='r><二二O<_)三'`、ジジ…
           ̄./三三└'゙ー:;‐;;‐;;'`ー;;ヾ'`"´三'三;`、
    ジュー       囮ヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱ囮
               囮災炎災炎炙災炒炎災灸災炭囮
               ◎┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴◎


「あの野郎、なんて事を!」と部屋を出、一目散に元の場所に走っていく姉。

「見つけたら、焼き土下座させてやる!」と叫びながら・・・・


その頃、紫陽花の家から自宅とは反対側にある駄菓子屋に弟とミニイカ娘は

いた。近くにある小学校もまだ授業中なので誰もいない。お店のおばあちゃん

に「鉄板使うよ」と言い、ミニイカの入った水槽を鉄板の脇に置いた。中学まで、

学校帰りによくここでお好み焼きとか焼そばを焼いていたので顔なじみだ。どう

やらおばあちゃんは大好きな時代劇に夢中で手が離せないようなので勝手に

冷蔵庫からエビをいくつか取り出し、温まってきた鉄板の上で焼きだした。


すると、今まで水槽の中でビクビクしていたミニイカが「うわぁ!げしょ!」と

鉄板の上を動くエビを追っている。大分温まってきたのでうち1本を水槽の

中に入れてあげた。「げそー?げそー♪」とエビに近づき、触手で持ち上げ

ようとするが熱かったのか「ぴぎゃっ!」と落とす。そして俺を見つめ「ぴぇーん」

と泣いていたが少し経って冷めてきたのか恐る恐る触手でつついた後、持ち

上げて少しずつ食べていたが大丈夫だと分かったのでパクっと食べ終わると、

俺を見つめ「げしょ!げしょ!とエサを催促し始めた。


水槽からミニイカを取り出し軽く焼いたエビを乗せた紙皿の上に。目の前の

エビに目を輝かせながら「げしょー♪」と大きな口をあけてパクっと完食。そして

俺を見つめ笑顔で「げしょげしょ!」と鳴くミニイカを見て、「そろそろ頃合いだな」

と判断。まずペットショップでミニイカにおまけで付いてきた蕗の葉っぱを持たせる。

最初は「げそー?」と不思議そうに眺めていたが「げそげそ!」と面白そうにくるくる

回し始めた。そして目の前で大ぶりな生エビをチラつかせ、大きな口を開けたところ

に隠し持っていたミニチュアの模造刀を突き刺した。


「え!ぐびぇ!びぇえええええええええ!」模造刀はミニイカの口を貫通し、

反対側に突き出ている。「びぇえええ!びぃえええ!」と突然の痛みに悶絶して

いるミニイカを持ち上げ、足を折り曲げ澱粉糊をつけて固定する。ちなみにふき

の葉っぱのもち手にも糊をつけておいたので振っても落ちることはない。反対側

の手で鉄板にバターを溶かし、その上にミニイカを近づけていく。「びぃええええ!

びぃええええええ!」口の中の激痛と、足から感じる熱さに怯え顔面蒼白のミニイカ

を熱く焼けた鉄板の上に落とした。「ぴぎゃあああああああああああああああ!」

「パシャッ!」その決定的瞬間を、タイマー設定していたデジカメで記念撮影した。


 「あーもう!あいつ!どこにいるのよ!」その頃姉は紫陽花の家の周辺で途方に

暮れていた。そんな時、ポトッ、と手提げのバックについていたミニイカちゃんの

キーホルダーが地面に落ちた。

「そんな・・・ミニイカちゃん・・・ミニイカちゃん・・・・ミニイカちゃ

ああああああん」目にはうっすらと涙が溢れ、今でも泣きそうな顔をしていた姉は

取り憑かれるかのようにそのまま反対側に向かって駆けて行った。


激痛と共に「ジュー」と焼ける足。飛び跳ねたくても足はくっついていて動かず、

少しでも動こうとすれば俺が持っている突き刺さった刀が動く。何をしても激痛

という状態に「ぴぃぃぃぃ!ぴぃぃぃぃ!」と泣きじゃくるしかないミニイカ。

その姿をニヤニヤして俺は眺めていた。「こういう写真を集めた雑誌があっても

いいじゃないイカ?」と思いながら。


足はキツネ色に焼き上がりいい匂いがしてくると共に「ぴぃ・・・ぴぃ・・・」と

段々泣き声も弱くなってきたので、模造刀を抜きふきの葉っぱを切り取った。

抜いたところからどろどろと黒い体液が流れて鉄板を賑わしている。

「そろそろ満遍なく焼かないと」とコテを取り出し、鉄板の上で転がし始めた。

ジュージュー焼かれつつ「ぴぎっ!ぴぎぃぃぃぃぃ!」と泣き喚きながら転がって

いたミニイカはイカ帽子をコテで押し焼かれ「ピギャアアア!」と断末魔の悲鳴

を上げて意識を失った。この後焼そばでも焼いて具にするかと思った矢先、

何か嫌な予感がしたので焼きミニイカ娘をフードパックに入れ、さっと鉄板を

片付けてその場を後にした。「あれ、もう帰ったの?それに何焼いていたの?

イカの匂いがするけどイカなんて冷蔵庫に入れたっけなあ。」おばあちゃんが

気づいた時には、そこには誰もなくエビ代の200円だけが置かれていた。


「おばあちゃんおばあちゃん、ここに○○(弟)来なかった?」と姉が辿り着い

たのはその5分後だった。駄菓子屋に入るなり、まだ残る焼きイカの匂いと

地面に落ちてた青い触手のかけら、置かれたままの馴染みのペットショップ

の小さな水槽を見て、「う・・・・う・・・・・う・・・・・う・・・・」と

その場に崩れ落ちた。


その後、焼けたミニイカ娘を食べようと自宅に戻ろうとしていた俺は、待ち

伏せしていた涙目の姉に「ミニイカちゃんの仇!」と駄菓子屋から持ち

出した木刀でボコボコにされ全治2週間の大怪我を負うことになった。

倒れる俺をよそにフードパックのまだ熱いミニイカを抱え大泣きする姉。

その後、パトカーと救急車が駆けつけるまで泣き続けていたようだ。

姉は家族に対する不信から勝手に大学を中退し、(入院中、先輩の教育実習生

から涙ながらに怒られた。ただ姉のミニイカ娘への傾倒ぶりは周りでも有名

だったようだ。)ペットショップから紹介されたミニイカ娘のブリーダーの家

に住み込みで働いているようで実家には戻ってない。

なお俺は退院して学校に戻ったが「ミニイカ殺し」なるレッテルを貼られて

通えなくなり通信制に転校する羽目に。世間体を気にする両親は段々

おかしくなっていき、突然俺を姉の名前で呼び、時折ミニイカ娘を連れて

きて飼うように言ってきたり、姉が通っていた大学や高校に連れていこうと

するなど一時はヤバかったが、姉の同級生や先輩の尽力もあってようやく

正気に戻り、現在は仕事の傍ら「ミニイカ娘SOS」というNPO団体の

役員を務めミニイカ娘トラブルの相談に応じている。弟の存在感はミニ

イカ娘イカだったのかと思うとやるせないが、「姉」を演じたことで得たミニ

イカ娘で散々「実験」できたからいいとしよう。その時の写真は駄菓子

屋の鉄板ミニイカと一緒に今でも大切に部屋に飾ってある。


その後、姉がそのブリーダーから独立しとある海岸の小屋を借りて

野生のミニイカ娘を集めて育てているという情報が入った為、高校を

卒業した俺は「姉の近況報告」を条件に親から援助を受け海岸近く

のアパートに入居した。もちろんその真の目的が「ミニイカ娘の大量捕

獲」であることを親は知らないのだが・・・

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姉弟シリーズ 序章
おなかがすいた。

冷蔵庫には何も食べ物はない・・・がミニイカ娘ならある。
姉が大切に育ているペットだが俺にはイカにしか見えない。

そういえば、姉は昨晩親と大げんかをし朝家を飛び出したきりだ。
「そんな生き物何匹も飼って、いくらかかるのよ!」

じゃあ俺がいただくかと思いケースの蓋を開け1匹を取り出す。
飼うのが飽きたら食べるのがオススメとネットに書いてあったからだ。
ちなみに生でも煮ても焼いても美味しいらしい。

警戒心のないミニイカ娘はこっちをみて「ゲショ?」と鳴く。
とりあえず汚れを取ろうと台所へ。いつも姉がやっているように、
浅めの皿に乗せヌルめのお湯をかけてあげる。ミニイカ娘は
満足そうで「ゲショゲッショッショ、ゲショショ♪」とか歌っている間に
俺はワサビと醤油を冷蔵庫から取り出して混ぜてスタンバイ。

お湯を拭きほっかほかになったミニイカ娘を掴む。そして頭に
先程のわさび醤油をつけ、おもむろに口の中に放り投げた。

「ゲショ!ゲショゲショ!ゲショー!ゲショー!」と口の中で暴れる
ミニイカ娘。手足や触手で口をこじ開けようとする、すごい力だが
舌で全身を舐めまわし、口に残りのワサビ醤油を含む。

「キャッキャッキャ、ギャーアアアアアアア」くすぐられたのと目に
ワサビ醤油が染みたのか勢いが収まったのでそのまま渾身の力を込めて
20回ほど連続で噛みだした。イカの美味しさが口いっぱいに溢れ
ワサビ醤油との相性も最高。その度に口の中からミニイカ娘の抵抗と
悲鳴が聞こえていたが15回くらいした頃には既に声はなかった。

そのままエラを取り除いてごっくん。いやあ美味しかった。ごはんが欲しくなる。
ふと、ミニイカ娘がいたケースを見ると残りの3匹が肩を震わせ
「ハワワワワワワ・・」と叫びうわんうわん泣いている。
俺は先ほど残ったエラの部分をガラス越しに3匹に見せてやると、
3匹は更に奥に逃げ、固まって泣き叫んでいた。
あと3匹か。姉が帰ってくる前に片付けるかなと俺は笑いながら
ケースの中に手を伸ばした。

ケースに手を伸ばしてミニイカ娘を捕まえようとする。
しかし、3匹のミニイカ娘は泣きながら必死に逃げるため掴み取れない。
かと言って中身をひっくり返そうなら逃げられそうな感じもする。

そうだ!と蓋を締め、風呂場に行き風呂の水をバケツ一杯に汲んでくる。
確かこいつら泳げないはず・・・とケースの中にそれをぶちまけてみた。
「ブクブグボゴッ!ボゴボゴガバッ!ゲッ ゲショ!ゲショ!ゲショー!」
頭の上まで注がれた水に飲み込まれ3匹は溺れ、水面でバシャバシャ
しているのを見て思わず笑みがこぼれてくる。早速一匹の胴体を鷲掴み
する。「ビャアアア!」と全身でバタバタし触手で指を開かせようとする姿は
まさにイキのいい魚類そのもの

「うううううう!ゲショ!ゲショ!」とケースの中の2匹は泣きながらそれを
見ている。どうやら姉が入れたおもちゃが浮きだし、その上に二段重ねで
しがみついているようだ。

そのまま捕まえたミニイカ娘を「最初が生なら、次はこれだな」と皿に乗せ、
ラップをしっかりかけて電子レンジに入れてみた。設定はおまかせ。最初の
一回りでミニイカ娘は異変に気づき、ラップをどかそうとするが輪ゴムで
動かないようにしているのでビクともしない。体内からの急な熱さと水分の
蒸発に「ビャア!ビャア!」と鳴き、触手で必死にラップを破こうとするが、
体から立ち上る蒸気に「ギャアアアアアアアアア!」と痛みを訴えのたうち
回っているミニイカ娘。その声は電子レンジの外にも聞こえ、ケースの中
でしがみついている2匹はビャービャー泣いている。しばらくして声も聞こえ
なくなった時、電子レンジから「パンッ」という音がしたので開けたところ皿の
上で、もくもくと湯気を出しながらミニイカ娘は苦悶に歪む顔のまま破裂し、
頭や腹からは内臓が溢れ出て無残な姿になっていた。

それを発泡スチロールの皿に乗せ、2匹の待つケースの中に浮かせてみる。
2匹は変わり果てた姿になった仲間を見て「ゲショ・・・・ゲショ・・・・ウワアアア
ンウワアアアン」と泣き出した。
「大丈夫だよ、お前らもすぐに仲間になるかさ」と言い残し、失敗作の
ミニイカ娘を生ごみに放り投げ、最後の2匹の処理にとりかかった。

おもちゃにしがみついて怯え震えている2匹のミニイカ娘を眺めながら
とりあえず自分の部屋に行き、物色すると出てきたのは戦艦のおもちゃ。
ぜんまい仕掛けで水中を動く子どもの頃遊んだものだ。
サメではないが、今のあいつらにはこれでも十分かなとゼンマイを巻き
2匹の背後に向かって浮かべてやった。「ジー」と戦艦は水中を進んでいく。

「ゲ・・・・ゲソ?」と2匹は背後から何か迫ってくるのに気づくが、下の1匹
は上に覆いかぶさっているので後ろが向けず、上の1匹は下のにしがみつ
いているので後ろを向く余裕が無い。そうこうしているうちに、戦艦は2匹
のイカの背中を急襲した。

「ドン!」「ギャア!」「ボチャン・・ゲボゲボゴボ・・」
「ビィィィィ!」「ブババババ!」

背中に当たって驚いた上の1匹は水の中に落ち、もう1匹は戦艦の黒い
姿をサメにでも誤認したのだろうか、驚いてイカスミを吐き出した。「ブバ
ババ・・バ・バ・バ・・・ドタッ」しかしイカスミも長続きせず吐き疲れてげっそり
しその場に倒れるミニイカ娘。「グボゴバババ・・・ゲボッ・・ゲボッ」水の中に
落とされ溺れたままのミニイカ娘。

とりあえず溺れているミニイカ娘の触手を摘みあげる。「ゲボッ・・・ビィイイ!」
触手に吊り下げられながら、頭を振ってバタバタしているミニイカ娘。
そのままテーブルに置いてあったジップ○ックコンテナに押し込める。
「ビギャアアア!ギュイイイ!」無理やり押し込んだのでキツそうだが蓋をして
冷蔵庫へ。「イカの保存方法はこっちでしょう」と冷凍庫を開け、姉がエサ用
にと買ってきたであろうむきエビ(開封済み)の隣に置き引き出しを閉めた。
なお冷凍庫の設定は「強」に変更。冷凍庫の中からはくぐもった声で「ピイイ
イィ!ピィイイイ!」と叫び声が聞こえ、「タンタンタタタンタン!」とコンテナを
触手で叩く音も聞こえるが無視。

とりあえずケースの前へ戻ったら、イカスミを吐ききったミニイカ娘はげっそり
した顔で横たわっていた。戦艦はところどころ真っ黒になって止まっている。
俺の姿を確認するや、「ピギャアア!ピギャアア!」と後ずさり震えている
ミニイカ娘。

とりあえず手を伸ばして掴んでみたところ、「ゲ・ゲソ・・」とブルブル震える
だけで抵抗する素振りはない。「お前どっちがいい?」と尋ねてみたが
「ウワーンウワーン」と泣き続けるだけだったので、ちょうど置いてあった空の
物干しハンガーを取り出し、洗濯バサミでミニイカ娘を水平にし触手や
手足を挟んで吊るしてみた。 

「ゲショオオオ!ゲショオオオ!」挟まれた痛みからか、バタバタして取ろう
とするが「パチィーン!」と触手の1つが外れた痛みでミニイカ娘は飛び
上がるほど暴れガシャガシャいうイカ干しハンガー。それを冷蔵庫の前に
ひっかけたまま、深めの鍋に水を入れIHの電源を入れておく。
「ゲショ!ゲショゲショ!」どうやら冷蔵庫に向かって生存確認をしている
ようだがそんな状況か?

お湯が温まって湯気が出てくるのを確認し、そのちょうど上に干したままの
ハンガーをかけてみる。すると、さっきまでガシャガシャしていたハンガーが
突然ピタっととまり、ハンガーには蒼い顔をしたミニイカ娘が下を怯えた顔
で覗いていた。

「さあ、外したいんだろ?外してあげようか」
と洗濯バサミを外そうとすると「ビイイイイイ!」と首をブンブン振るミニイカ娘。
「まあ遠慮するなって」と右手の洗濯ばさみを開放。
すると重心が崩れ触手で頭が引っ張られ「ギャアアアア!」と叫ぶミニイカ娘。
「じゃあ次はこっちだな」と左足の洗濯バサミを開放。
重心は元に戻ったが触手にかかる加重は増えずるずると頭が下がってくる。
鍋の中は既に沸騰しもくもくと水蒸気が上がり、ミニイカ娘は段々赤く
火照ってきた。

そういえば、こっちはどうなったと冷凍庫に聞き耳を立ててみるが反応はない。
そういえばさっき何かの音がしていたなと思い冷凍庫を引き出してみると、
ジップ○ックコンテナの蓋は開けられ、ミニイカ娘が立ったまま凍っていた。
固くて食べられなかったのか一部が欠けたむきエビがその傍らに残されていた。
取り出してみると既に意識はなく全身カチコチに凍っている。触手は全て上
を向いて脱出しようとした形跡が伺えた。

それを「ゲーショ!ゲーショ!」と吊り下げられているミニイカ娘が上から
叫んでバタバタしている。「お前は自分のことを心配したら?」ほらまた
1本触手を挟んでいたハサミが外れ慌てるミニイカ娘。冷凍ミニイカ娘は
そのまま、エビと一緒にまた時期が来るまで冷凍庫で眠ってもらうことになった。
それを眺めるミニイカ娘の気持ちはイカほどか。

さて、あとはお前だけだぞと釣られているミニイカ娘につぶやく。ミニイカ娘は
只々泣いていた。試しにハンガーを揺らしてみたところ、水分で滑りやすく
なったことで触手を挟んでいたハサミが全て外れ、ガクンっと前のめりになった
勢いで左手のハサミも取れついにミニイカ娘は逆さ吊りになった。ぐらんぐらん
と揺れるハンガー。眼科に迫る鍋。「アワワワワワ!アアアアア!」と喚くミニ
イカ娘。自分を支えているのは右足だけだというのに。

そしたらひっかけてあった上部が外れ、ミニイカ娘を挟んだままハンガーは
鍋へ落下。その勢いで右足のハサミが取れ、「ギャアアアアアアア!」と
叫び声と共にミニイカ娘は頭から落ちていった。

「ギャソオオオオ!ギャソオオオオ!バシャアアア」と鍋の中から声がした
ものの数秒後には
「ギャ・・・ソ・・・・」という言葉を残しミニイカ娘は熱湯の中を漂っていた。 

「・・・ただいま」

姉は結局夜になってようやく帰ってきた。
両手に大量の荷物を手に。

「まったく朝飛び出して、今までなにしてきたの!」と怒る母親を無視し
自分の帰りを待っているはずの彼女達がいるケースへ駆け寄る姉。

しかしそこには既に何もなく。
「ここにいた生き物は引きとってもらった」との紙が1枚。

「うそ・・・・・・・・」呆然とする姉。
ガシャ。荷物が下に落ちる。荷物は大量の乾燥させたエビだった。
「当たり前でしょ!150年も生きる生き物、誰が責任持って飼うの?」

「だからそれは都市伝説・・・」
「だまりなさい!とにかく夕食あるから早く食べなさい。
 せっかく珍しく○○(俺)がおかず作ったんだから」

「○○が・・・・?何で突然」と疑問を感じながら食卓に引っ張られた姉。
姉を待っていたのは、イカ料理であった。

「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
edited byミニイカ姉弟 at
第2作 アルバイト@ミニイカ娘

水産加工会社でアルバイトをすることになった。

ここを選んだ理由は時給の高さ。他と比べても歴然。

おそらく「高いけどキツい」んだろうが問題ない。


指定された集合場所に集まる。

予想通り俺も含めて皆ガテンな若い人ばかりだ。


そこに「集まったね」と採用担当の女性がやってくる。

こういう職場にありがちな夜の商売系の人だ。

ん?この人何か口にくわえていたような。


「わが社へようこそ」

「うちの仕事はキツイが高いからがっちり稼いでくれ」

「今からこれに着替えて工場内を回ってもらう」

「一通り説明したら早速作業してもらうからよろしく」


と作業着を渡される。思ったより軽装だ。でもなぜヘルメット?

疑問もあるがとりあえず支度をしさっそく工場の中へ入った。



工場を入ると女性達が製品のチェックをしていた。

おそらくここがラインの最終地点なのだろう。

色々な種類の缶詰とたまにパックされたひものが流れていた。

どうも原材料はイカのようだが・・・


「ここからは作業場になる」と採用担当の女性は

やけに分厚いドアを開け中に入っていくがその先もドア。

「ここのドアが開いている間、向こうのドアは開かない仕組みだ」

全員が通路に入ったのを確認し、女性は奥のドアを開ける。


すると・・・・


「ゲショ~!ゲショ!ゲショ!」「ビィイイ!びぃいいい!」

「ウワアアアアア!アアアアアア!」「ギャア!ギャア!」


作業場は小さな生き物の悲鳴とイカの生臭さで溢れていた。

凄惨な現場に圧倒されている俺たちを尻目にその女性は

イカの帽子を被った生物の髪の毛を掴み説明を始めた。


「これはミニイカ娘って言われるイカの一種だ。なぜこういう形に

 なったかは分かっていない。2本足で歩き臆病だが懐柔しやすい」


「このミニイカ娘の成分がアンチエイジングに絶大な効果がある

 ことが最近の研究で判明したのだが、関東の一地域でしか捕れず

 人工孵化は不可能とされていた。それを我が社は今年の秋、

 世界で初めて成功した」と写真を見せる。


写真の中には、巨大な容器に入って笑顔をみせる無数のミニイカ娘がいた。

掴まれたミニイカ娘はその写真を見て「ゲショ・・ゲショ・・」と呟く。


「・・・ということで、我が社はこの生き物を捌き加工しているんだが、

 こいつには見た目のかわいさに加えて感情もある。それが体力だけでなく

 メンタルに効いてくるのもいて、定職率の低さが唯一の懸案なんだ。


問 題 な い よ な?」とニヤリ。「ヒィィィ!」と泣きだすイカ。


すると、数人がヘルメットを外し「失礼します」とその場を立ち去ってた。

一人・・・また一人と姿を消し、残ったのは俺だけになっていた。


「まったく・・テレビで特集とかするからこうなるんだ」と零す女性。

ああ、それで見覚えがあったのか。このミニイカ娘、その見た目と性格から

近年ペットとしてブームになっているんだった。海洋生物では異例の

大ヒットになり、ペットショップでは品薄でプレミアムがついていたはず。


その反面、今まで通り漁を続けていた地域への批判が相次ぎ

海外の自然保護団体まで加わって「クジラ、イルカ、ミニイカ娘を守れ」と

国際問題にもなっていたんだっけ。



「・・で、君は大丈夫なのか?」と言われたが、「喜んで!」と即答。

「よろしい、それではさっそくこの作業を手伝ってもらうよ」と断末魔の

悲鳴が聞こえるなかwktkしながら俺は後をついて行った。



「なんというチャンスなんだろう!」

思い出すまで忘れていたが、元々このミニイカ娘とそれをかわいいという

世論に違和感を感じていた俺は、清々しい気持ちで女性についていった。


傍らではミニイカ娘たちがプレス機に挟まれイカスミを吐かされていた。

ミニイカ娘の胴体を潰さない程度にプレス機は調整されている。

「おらぁ!さっさと出さんかい!ミンチにするぞ!」と怒鳴られている。

顔は蒼くげっそりし、墨まみれになり小刻みに震えているミニイカ娘たち。

小さい口からは「ウッウッウッ・・・」と嗚咽をあげながらイカスミを出していた。

そして出し尽くして意識を失ったミニイカ娘は別のラインに流されていく。

ラインには「S(捌き)」と書かれてあった。これから解体なのだろう。


なんかゾクゾクしてきた。恐怖ではなく、悦びの感情が沸き上がってくる。


女性はとある一角で止まった。「ここがお前の仕事場所だ」

そこは・・・上にあるダクトから落ちてくるミニイカ娘を捕まえて、

各商品ごとに初期加工して送る工程、それは今までぬくぬくと育てられた

ミニイカ娘が初めて現実、そして自分の運命を思い知らされる場所でもある。


さっそく工程を見学する。今はこの時期に多い「姿焼(贈答用)」らしく、

とくに品質が優れているミニイカ娘がこちらに送られているそうだ。

ダクトから落ちてくるのは一度に5匹で、目を回しているものもあれば

元気で「ゲショゲショ?」と騒ぐもの、驚いて走り回るものと様々。


それを1匹ずつ捕まえ触手を、そして手足を特殊な紐で縛るのだが

突然天国から地獄に落とされたミニイカ娘の抵抗も意外と激しく

「ピギャアア!ピギャアアア!」「ウワアア!ビィイイイイ!」と騒ぎ暴れる。

人手不足なのか作業は追いつかず、1匹が逃げ出した。

壁の隅に走っていき鉄骨を登ろうとしたが滑って落ちてピクピクしている。


それを走って捕りに行き、嫌がるミニイカ娘を抑えて下腹部に太い串を挿し込む。

すると「ピぐああああああああ!」とミニイカ娘は絶叫しボロボロと涙を流した。

女性によれば、一度逃げ出したのは贈答用としてはNGらしく、一般用の姿焼きに

なるため最初から下腹部から頭にかけて1本の串を差しておくんだそうだ。

なお贈答用のミニイカ娘も連動して「ウエーンウエーン」と泣いているが、

こいつらは焼き工程で紐が溶け、踊りながら自然に焼かれるんだそうだ。


そんな説明を聞いていたら、女性のポケットから先ほど摘まんでいたミニイカ娘の

触手が出ている。そしてそろーっとイカ帽子が見えてきたので注視していたら目が

あった。向こうは一旦隠れたが、こっちが笑顔で手を出すと周囲がこんな状況なの

にも関わらず、飛び出してこっちに走ってきた。俺は足元に手を置くとそのまま手

に乗り肩まで登ってきた。「フゥフゥ、ハァハァ、ゲショ~」何かほっと一息

ついているんだが、そんな気にはさせない。さっそく肩にいるミニイカ娘を掴み、

目の前に持ってきた。「ゲショ?」まだ分かっていない。次第に力を入れていく。

「ゲ、ゲショッ!ゲショッ!」と慌てて泣き出すミニイカ娘。手足をばたつかせ

触手で指を開かせようとするが反対側の手で触手を強く引っ張った。


「プチンッ」「ピギャアア!」1本の触手が千切れ悲鳴をあげるミニイカ娘。

触手はまだ余韻でうねうね動いているが、試しに口にしてみる。

・・・ん?ウマイ! 生暖かいところはあるが、コリコリしていて美味だ。


ミニイカ娘は「ゲ・・ォ」と涙目になりながら取れた触手の根本を別の触手で

さすっていたので、その触手を掴み1本ずつ思いっきり引っ張ってみた。


「ブチッッッ」「ピギャアアア!」

「ブチッッッ」「ピギャピギャアアア!」

「ブチッッッ」「アアァァァァァァァァァ!・・ウエーンウエ-ン」


3本引きちぎったところで、ミニイカ娘は痛さでわんわんと泣き出した。

千切れた触手の根元が赤く腫れているのでそこを強く揉み出してやると、

「ウギャアアア!ゲショオオオ!ゲショオオオ!・・・ハァハァ・・ゲショォ・・」

さぞかし痛そうだ。ついでに他の触手も全て抜いてやろうとしたところ、

「大体扱い方は分かったか」と女性に言われ我に戻る。俺の右手の中で

涙を溜めながら「ふぇショオォォ・・ふぇショオオ」と弱々しく泣くミニイカ娘。


なお俺がミニイカ娘と戯れている間も、ダクトからはミニイカ娘が落ち続け

「ゲショゲショ!」「ウワアアア!」「キュウウウ!」と叫び声がしていた。

なお150匹現在でNG発生は5匹らしい。目の前にNGとなったミニイカ娘が

串に貫通された状態で「ギャビアアアア!ビャアアアア!」と喚いている。

下腹部と頭から夥しい黒い体液を流しつつ目からは大量の涙。口からはイカスミを

垂れ流し、一般焼きの工程に流されていくミニイカ娘。

「ウウウウウウウ!アアアアアア!」体を縛られているだけのミニイカ娘達も

この先自分たちがどうなるのか解っているのだろう。自分たちの先にある閉まった

黒い箱の中で、仲間たちの絶叫が聞こえるのだから。


そんなことを考えていたら女性から「それの頭を食べろ」と食事用のナプキン

を渡された。俺は目の前でピィピィ泣いているミニイカ娘をしばし眺める。

どうやら本当のようだ。一瞬躊躇したがそんなことばかり言ってられない。

少し汚れたミニイカ娘の頭や帽子を拭いてやるとさっきの涙目はどこへ行った

のかと笑顔で「ゲショショ!」と微笑んでいる。


そして一思いに口の中に頭を入れ、思い切り噛んでみた・・・・


とっさの行動でミニイカ娘も反応できなかったのか、

首もとに歯が当たる直前になって「うわわわわわ!、ゲ、ゲショ-!」と

口の中で触手が暴れ口を押し戻そうとするミニイカ娘。だがもう遅い。


そのまま触手ごとミニイカ娘の首に歯を立てた。

「グゲエエエエエエエ!ゲェエエエエエエ!」苦しむミニイカ娘。

そのままゆっくりと噛み締めていく。「ギェエエエエエエ!グェエエエエエ!」

ミニイカ娘は口の中でまだ暴れている。触手が口の中でうねうねと動く。


そして噛み締めたまま掴んでいるミニイカ娘を引っ張って切り離す。

「グ・・・ゲ・・・・ソ・・・・」ブチブチブチ!肉が裂かれていく音。

そして手元には首が取れ夥しい量の黒い液体が流れる胴体が、

口の中には未だに触手が動いているミニイカ娘の頭部があった。


胴体を女性が用意してくれたビニール袋に入れ、頭部をそのまま咀嚼してみる。

なるほど脳みその濃厚な味わいに帽子や触手のコリコリ感。

今まで食べたことのないような味だ。そう思いながら味わっていると・・・

「お前は合格だ」「やっと戦力になれる人材が来てくれた。感謝する」と

女性は深々と頭を下げた。どうやら一連の流れは全て適性試験だったようだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・


こうして俺はこのミニイカ娘加工工場で働くことになった。

毎日、「ゲショゲショ?」とダクトから落ちてくるミニイカ娘達をやさしく

縛っている。最初は遊ぶふりをして頭を撫でつつ触手を縛り、次いで足を

持ち上げて縛れば動けない。「ゲッション!ゲション!」叫ぶミニイカ娘の手を

縛って箱に入れ、焼き工程に流していく。ラインの向こう側から聞こえて来る

ミニイカ娘の断末魔の叫びも心地良いBGMだ。その後正社員にならないかと

いう話もいただき、現在はダクト拾いだけではなく贈答用のミニイカ娘踊り焼き

工程や一般用ミニイカ娘串焼き工程などにも携わるようになった。


踊り焼き工程では灼熱で紐が解け、死のダンスを踊るミニイカ娘を観察している。

「ゲショ?ゲショゲショ!ギャアアアアアア!ギュアアアアアア!」拘束が取れた

と同時に焼かれる熱さで狭い四方を走りまわるミニイカ娘たち。段々全身が火に

包まれ「ギャア・・・ゲ・・・ショ」と1匹ずつ倒れていく姿は非常に面白い。

ただパニック状態だけあってミニイカ娘同士がぶつかることもあったので、

柵を作り足元でローラーを回し1匹ずつが均一に「死のマラソン」をして焼き

上げるように変更した。こうすると体も隅々まで焼けて死に顔もまた必死さが

出ていて顧客にも好評だそうだ。


一般用串焼き工程では焼く前の串刺し工程が面白い。ミニイカ娘が落ちてくる

下に既に鉄串が入っており、「グサッ!ゲショオオオオ!グギャアアアア!」

という叫び声がラインに反響している。そのままピクピクしているミニイカ娘を

くるくる回転しながら焼きあげていく。たまに規格外品をいただくが、いい酒の

つまみですよこれ。


そんなことで、自分にとっては天職を得たことになった。

会社も好成績で工場の拡大を検討中とのこと。人員も引き続き募集中!

必要なのはミニイカ娘に対する愛情のみ。みなさんも、やってみませんか?

edited byミニイカ姉弟 at
第1作 ミニイカ娘捕まえてみた

ミニイカ娘大漁ゲット。どうやら集団で海岸を歩いていたようで一網打尽。

逃げ出したのもあるけど17匹くらいいるんじゃないか。とりあえずクーラー

ボックスじゃ間に合わなかったから発泡スチロールもらってきて詰め込んで

封してきた。 遅れて走ってきた1匹は素手で捕まえてきた。ビギャーとか

言って手足ばたつかせて触手で抵抗していたけど、触手もってぐるぐるしたら

目を回して気を失ったので、空いてた金魚鉢ひっくり返して置いてある。

おっと目が覚めたようだ。 


逆さ金魚鉢の中で目覚めたミニイカ娘は俺の姿を確認するや、ギャピ!

ギャビ!と騒ぎ、脱出しようとぺちぺち触手で叩き出した。ぺちぺちぺち・・・

ただ段々疲れてきたのか叩くスピードが遅くなり、最後にはへたって

びえんびえん泣き出した。数分後泣きつかれたのかぐったりしている

ミニイカ娘を確認し席を立った。 



グオングオン・・・・でかい機械の前にたどり着いた俺はクーラーボックスと

発泡スチロールを開け中のミニイカ娘を取り出した。 詰め込んだ当初は

「ピギャッ!ピギャ!」と大合唱が聞こえたものの中に入っていた大量の氷

で冷やされたからか途中から声はなくなり、箱を開けた頃には大体が

死んだように凍って動かなくなっていた。 そして、その機械の中にミニイカ娘を

そのまま投げ入れていく。するとミニイカ娘はみるみるうちに「胴開き」→

「内蔵除去」→ 「頭開き」→「眼球除去」→「口球取り」→「えら取り」の

工程を経てミニイカ娘の胴体と足を切り離さずに内臓だけを除去してスルメ

状の "手足触手付き開きミニイカ娘"に加工されていった。 全く意識のない

まま加工されるのもあれば、意識が戻り必死の抵抗虚しく「グギャ!ゲギャ!

ぴぎぃぃ!」などとと擬音を発しながら捌かれていくミニイカ娘達。断末魔の

悲鳴に箱にいた残りが逃げ出そうとしたので、竹刀で上からバンバン叩きつけ、

ミニイカ娘を失神させてまた放り投げる。 そして数十分後、17枚の手足触手

付き開きミニイカ娘が揃い15枚は買い取ってもらい2枚は引き取ってきた。 


金魚鉢に戻りぐったりしているミニイカ娘に先程の工程で出た副産物を注射

してみる。注射中に意識が戻り触手で注射を妨げようとしたが、払いのけて

無事注入。するとみるみる顔色がよくなってきたが、突然「おえーんおえーん」

と泣き出し、大粒の涙を流し始めた。注入されたのが同胞のものだと分かった

のだろうか。 そして先ほど加工したミニイカ娘の開きを見せたところ、顔を蒼く

してかつての同胞の変わり果てた姿を呆然と見つめているミニイカ娘。

その目は赤く腫れ、口からは言葉にもならないつぶやきが聞こえていた。

 「お前は新たなミニイカ娘を捕るための囮としてイカしていくからな」

いつかはわさび醤油つけて踊り食いしてやるけどそれまでのお楽しみ。


囮となったミニイカ娘を連れて夜の海岸を散歩する。

見た目こそ何も変わらぬミニイカ娘。てくてく海岸を歩いてる。

先日の大騒動でミニイカ娘はすっかり臆病になり、テトラポットの奥など人が

寄れない場所に身を潜めているようだ。

ちょうど今は干潮時。今ならあの住処に裏側から行けるので

発信機と仕掛けを埋め込んだミニイカ娘を先に行かせる。

すると、テトラの奥から数匹のミニイカ娘が現れ囮に驚いている。

どうやらこの囮、あの時も遅れて走ってきただけあって生きてないと

思われたのだろう。辺りはゲゲゲショ!ゲッゲショ!と大騒ぎ。

発信機で確認すると20匹位がスキップして歓迎してるようだ。

「今回は上出来」とリモコンのボタンを押すと、接地している触手の先から

電流が流れ、地上にいたミニイカ娘達は「ギェソ!」と感電して気を失い、

テトラにいた残りのミニイカ娘は驚いて一目散に逃げていった。

なお囮は感電防止処理済み。倒れる同胞・逃げる同胞を見つめる囮の

気持ちはイカほどか分からないが、もはやこのミニイカにとっては

「これでエビが食べれる」のが優先らしく顔には安堵の表情が見て取れる。

なお仕掛けを埋めこんでから、囮には仕事が成功したときのみ

好物のエビを与えるようにしている。失敗した際には以前も与えた

同胞の残り滓を無理やり注射。栄養は抜群だが副作用があるようで

与えると一晩中ゲジョンゲジョン泣き崩れている。

また今のところはないが、もし逃げた時は触手から電流が貫くだろう。

気絶している20匹のミニイカ娘をクーラーボックスに入れながら、

満足そうにエビを食べている囮を見て「食欲には勝てないな、お互い」と。


※なお20匹のミニイカ娘は東京の高級料理店に生きたまま卸されました。

 どうやら究極の珍味として、とある雑誌の企画で登場したそうです。


~数週間後

 「またダメか、お前本当に使えないな」「ゲショ・・・げしょげしょ・・・」

ドカッとミニイカ娘を蹴り上げる。

「ブゲッ、ゲショ・・バンっ・・ずるずる、ぱたっ」

壁にぶつかって黒い液体をつけながら落下していくミニイカ娘。

「ゲショ・・・ゲショ・・・ゲショ・・・ウワーンウワーン・・」


最近ミニイカ娘狩りがうまくいかない。

元々出来の悪いミニイカ娘だったのに加えどうやら顔を覚えられたらしく、

今ではどこの海岸に行っても逃げられるようになってしまった。

同胞の残り滓も底を付いた為最近では物理的な制裁となり、

先程も腹を蹴飛ばされた痛みに加え仲間を思い出すようで泣き続けている。

「そろそろ潮時だな。楽にさせてやるか。」

と、泣きつかれて寝ているミニイカ娘の発信機を外して持っていった。

ミニイカ娘が腹を触手でさすりながら起きてみると、

いつもの場所ではなく、そこは台所だった。

「ゲ・・・ゲ・・・・・ゲショ?」

よく見るとミニイカ娘はかつて入れられた金魚鉢の中にいる。

あの時とは上下が逆だが、上には蓋がしてあって取り外せない。

その近くにはまな板、そして散々仲間を切り刻んできた包丁。

向こうにはグツグツ沸騰している鍋と油をしいてあるフライパン。

「ゲショ・・・・ゲショ・・・ゲショ・・・・・」

ミニイカ娘はそれが何を意味しているのか瞬時に理解したものの、

今更抵抗しても意味が無いと、その光景を呆然と眺めていた。


しかし、ミニイカ娘は鍋の中で何かがボイルされているのに気づき目を疑った。

鍋の中には、噂で聞いた大きい伊勢海老が鎮座していたのである。

最近仕事がうまくいかず満足に食べてなかっただけに、ミニイカ娘の腹は

ぎゅるぎゅる鳴り、ヨダレが溢れてくる。「ピャー!ゲショ!ゲショゲショ!」


そこで金魚鉢の蓋をあけミニイカ娘を取り出す。伊勢海老を上から眺めさせると

キャッキャして喜び、鍋から香る匂いに顔を赤らめてクンクンして陶酔してる。

そして、これを食べさせろと言わんばかりの笑顔を見せるミニイカ娘。


うなずき、火を止め鍋の中から伊勢海老を取り出し皿に載せる。

そして、ミニイカ娘をその皿に乗せ・・ずにスルーさせ

「好きなエビの残香と一緒に風呂はどうだ」と言い残し鍋の中に放り投げた。


「ギャアアア!ゴボゴボゴボガガバガバアア!ゲショオオオオオ!!!」

熱湯の中に突き落とされ熱湯の熱さと息のできない苦しさに悶絶し暴れる。

触手で何とか鍋から上がろうとしても「ギャアアア!ゲショオオオ、ボチャン」

熱くなった縁に触ってくっついてしまい、焦げて切れてしまった2~3本の触手。

お玉で掬ってみるとミニイカ娘の白い肌が全身火傷で真っ赤に腫れ上がり、

触手は爛れ一部は鍋の縁に残り、口からは墨に塗れた泡が出ていたが意識は

辛うじてあるようだ。


そのまま氷水でいっぱいにしておいたボウルに移し替える。火傷の痛みは収まる

ものの今度は身を切るような冷たさに「ギャアアア・・ゴボゴボ・・・ゲショォォ」

と必死に脱出しようとばたつかせ、氷を触手で掴み足場にしようしたものの、

冷たさに触手が動かなくなり、体が震えそのままパタンっと倒れ氷水の中に

沈んでいった。水を飲まないようザルに移し替え水切りをし、大好きなエビと

一緒の皿へ置く。しかしミニイカ娘の反応はなかった。


フライパンに火をつけ伊勢海老から身を取り出し炒め始める。

「さて、大好きなエビと一緒にラスト・ダンスだ」

その中に気を失ったままのミニイカ娘を放り込んだ。「ジュー ジャアアアアア」

「ギャアアア! ゲーショ! ゲーショ! ゲーショ!」さっきとは違う身を焦が

すような痛みに襲われ飛び起きたミニイカ娘は必死にフライパンの上を踊る

ように飛び回る。逃げようとしても菜箸で遮られ、途中で投入されたバターの

塊に阻害され身動きが取れなくなってくる。途中から意識ももう限界になり、

「ゲショ・・・ゲショ」とつぶやきながら大好きなエビと一緒に炒められるミニイカ娘

だったが最期。目の前にあった伊勢海老の身を少し齧り、幸せそうな顔をして

意識を閉ざした。先に切り刻まなかった飼い主の温情が少しは理解できたようだ。


まな板に移して、ミニイカ娘を輪切りにしフライパンに戻して料理は続けられた。

皿の上に盛りつけられたミニイカ娘と伊勢海老の炒め物。伊勢海老の美味しさは

言うまでもないがミニイカ娘の帽子の柔らかさ、触手のコリコリ感、手足や胴体の

弾力さなどまさに絶品である。笑顔のままのミニイカ娘の頭部分を見つめ、

「わさび醤油で踊り食いと言ったはずなのに、バター炒めが美味しいってネットに

書いてあったから つい試してしまってゴメンな」とつぶやき、頭を口に入れた。

なんとも言えない美味であった。かすかに伊勢海老の味がした。 

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黒ミニイカ娘>>>ミニイカ娘

ミニイカ娘を飼い始めて以降、娘の栄子はすっかり虜になってしまい「ミニイカちゃんが寂しがって泣くから」といつも一緒にいた。一度学校にも連れていったが、男子に「いつメニューに載るんだw」とからわれてショックを受けそれ以来不登校が続いている。


困り果てた家族は、せめてミニイカに友達ができればと思い総出で海岸を捜し歩いたが見つからなかった。 ある日のこと、栄子宛に見慣れない会社から荷物が届いた。商品名には「お友達」とだけ記載されている。栄子はミニイカと散歩中でまだ帰ってこない。家族は不審に思いながらも箱を開けてみた。すると、中には真っ黒な服をきたつり目のミニイカ娘がすぴーと寝息を立てながら寝ていたのである。


添付されていた紙にはこう書かれていた。「視聴者から送られてきました。ミニイカちゃんのお友達です。」そう、姉を心配した弟がラジオに「ミニイカ娘がいたら譲ってください」と投書をしていたのだ。家族は帰ってきたら栄子が嬉しがるだろうなと部屋に持っていき、未だ寝ているミニイカ娘をベットに寝かせ部屋を後にした。


ただいまー!(げそげそー!)と栄子がミニイカ娘と散歩から帰ってきた。おかえり栄子、ミニイカちゃん。部屋に行ってご覧。友達が待っているよ。なに?(げそ?)いいからいいから。と栄子を階段に押しこんでいった。階段を上りながら一体なんだろう?とりあえずミニイカちゃんおやつねーげそー!とえびせんを受け取って嘗めるように味わっているミニイカ娘。 


部屋に入る。誰もいないよね?ミニイカちゃんは肩から床に降りてげそげそ言いながらパリパリえびせんを食べている。あれ?ベットの脇にあるミニイカ専用ベットの上で黒い物体が動いている。栄子が近づいてみると、まるで白黒反転したかのようなツリ目のミニイカ娘がいた。え?突然現れた存在にビックリした栄子だったが、先ほどの母親の言葉をようやく思い出す。あなたがミニイカちゃんのお友達?と聞くとげじょ!とちょっと怒っているようだ。げそげそ?えびせんを食べ終えたミニイカちゃんが声に気づいてやってくる。すると、げじょー!とミニイカちゃんを指差し、黒いミニイカちゃんが歩いてきて初めて2匹は対面した。部屋の配置と2匹の立ち位置が偶然分かれて、白黒反転ながら鏡を見ているようだ。


げそ! げじょ!げそげそ! げじょーげじょ!げそ? げじょー!げそー! げじょー! いつも笑顔のミニイカちゃんと違ってつり目だからかちょっと怖そうに見えるけど、やっぱり同胞は違うのかな。2匹で仲良く遊びだしたから大丈夫そうだね。2匹は暫くの会話の後、仲良く走りだした。部屋の紹介をしているようで、ケースやベットの前に立ってはげそげそ!げじょーと得意げに説明している。 


よかったねミニイカちゃん。友達ができたね。でも、なんかミニイカちゃん取らちゃったみたいで寂しいな・・・そういえば、学校・・・行かないと・・・いつまでもプリント届けてもらうのも悪いし・・そんなことを思いながら栄子はテーブルの上で眠りに落ちていった。


その頃、ミニイカ娘と黒ミニイカ娘は栄子の机の上にいた。箱の中に文房具が置いてある。ミニイカ娘がげしょ!げしょ!と得意げに説明をしようとしたところ、突然黒ミニイカ娘が物差しを取り出して、げじょー!と鳴きミニイカ娘を叩いたのである。バシッ!バシッ!げ、げしょー!ミニイカ娘は叩かれて赤くなった顔を押さえ、突然態度を急変させた黒ミニイカ娘から逃げようとする。栄子に助けを求めようとするが遠いため声が届かない。物差しをブンブン振り回す黒ミニイカ娘から、びぃええええ!と怯えながら逃げるもののバシッ!背中を叩かれ、触手を叩かれ、イカ帽子を叩かれついに背後は断崖絶壁。追い詰められたミニイカ娘娘はげしょ~げしょ~泣きながら懇願するも、げじょ!と黒ミニイカ娘に触手で箱の手前まで連れてこられ、物差しごと仰向けに倒された。げじょげじょ!と黒ミニイカ娘は触手で道具箱に手を伸ばし、取り出したのはコンパス。物差しが乗っかかって鳴けない動けないミニイカ娘の胴体に上がり、狙いを定める。そして、げじょー!という声と共に、コンパスの針は物差しについている穴を経由してミニイカ娘のイカ帽子を直撃し、机に突き刺さった。ぐぇ!!!!!とくぐもった嗚咽の声。悶絶しのたうちまわるミニイカ娘。コンパスらしく、支点となったイカ帽子から滲みでた黒い体液がミニイカ娘の大きさの円を描いていた。それをげじょじょ!げじょー!と笑顔の黒ミニイカ娘。そして痙攣の後、動かなくなったミニイカ娘に跳びかかって柔らかいイカ帽子から齧っていった。


あれ?ついうたた寝を。ミニイカちゃん・・・?机の上で何かを食べる音がするので駆けつけた栄子が見たものは、黒く染まったミニイカ娘の胴体を掴み齧り続ける黒ミニイカ娘だった。呆然とする栄子に気づいた黒ミニイカ娘は、口を離す。ミニイカ娘の首なし胴体が下に落ちる。そして、げじょげじょ!と笑顔で鳴いた。

~おいしいエサをありがとうでゲジョ!これからよろしくでゲジョ!~

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黒ミニイカ娘、侵入。
ミニイカ娘と黒ミニイカ娘はいつも仲良し。
今日も家の中で追いかけっこをしています。

白:ゲソゲソー(待てー)
黒:ゲッソゲソ(早く来いよー)
白:ハヒハヒハヒハヒハヒ(はぁ・・・はぁ・・・)
黒:ゲッソソソソソ!(ははは、遅いでゲソ)

黒ミニイカ娘は2日前、ミニイカ娘のいるこの家にやってきました。
半年間飼い主によって甘やかされ、まるまる太ったミニイカ娘は
黒ミニイカ娘にどう頑張っても追いつくことができません。

白:ゲソ・・ゲソ・・ゲソ・・(もう・・・疲れた・・でゲソ・・・)
  ゲソゲソ・・ゲソゲソ(疲れたから休むでゲソ・・・お腹すいたでゲソ・・)
黒:ゲソゲソ?(もうバテたでゲソ?)ゲソゲソ(エサはいただくでゲソ)
白:ギィエソ・・ギィエソ・・・ゲソ・・(ああエビ・・エビ・・・食べたいでゲソ・・)

そんなことが話されているとは知らずに、飼い主はたっぷりとエビを与えます。
「黒ミニイカちゃんも、ミニイカちゃんくらい食べないとね」

黒:ゲソゲソー!(エビいただきー)
白:ゲソ・・・・(エビ・・・・)ぱたっ・・・

悪知恵の働く黒ミニイカ娘はエサの時間に合わせ、ミニイカ娘をけしかけては
追いかけっこをし、エサを独占していました。ミニイカ娘が気がついた頃には
既にエビはなく、ミニイカ娘はゲショ・・・ゲショ・・・(エビ・・・エビが欲しいでゲソ・・)
と僅かに残ったエビの破片を舐め、、空腹を凌いでおりましたがそろそろ限界でした。
白:ギィエソー!ギィエソー!(エビー!エビー!)ドアに向かって泣き叫ぶミニイカ娘。

バンッ
白:ビィィィィ!(ひぃぃぃ!)

突然開けられるドア。ドアに打ち付けられるミニイカ娘。そこにいたのは飼い主とその父親。
父:まったく・・・お前は栄子の気持ちが分からないのか!
   娘が一人で寂しそうだからと連れてきたお友達を無視してエサも独り占めするなんて!
娘:ミニイカちゃん、どうしてなの・・・仲良くできないの?
父:もうこのミニイカは捨てるしかないな。
娘:ミニイカちゃん・・・ざんねん・・・・ばいばい

父親はばたばたするミニイカ娘を摘むと、そのまま外に連れていった。
白:ビギィィィ!ビギィィィ!(どうして私が追い出されなければならないでゲソ!お腹空いているのは私でゲソ!)

その様子を眺めていた黒ミニイカ娘。
黒:ゲソゲソ!(これでエビを独り占めでゲソ!)

春分の日は過ぎたものの、まだ肌寒い夜。近くの浜辺に連れてこられたミニイカ娘はその場で置き去りにされた。
白:ビィエソ!ビィエソ!(置いて行かないでゲソ!エビが食べたいでゲソ!)泣いても喚いても遠ざかる人影。
白:ビィエエエエ!ビィエエエエエ!

誰もいない初春の海岸に、ミニイカ娘の絶叫が木霊する。
その声に誘われるかのように、黒い影が集まっていった。

~翌朝~

住民1:あれ、こんなところでミニイカ娘が死んでいるぞ。捨てミニイカかぁ。
住民2:これだけ丸々と太っているからおそらく、そうだろうね。
住民1:それにしても、アイツらも分かっているよな。イカ帽子と触手だけ綺麗に食べられているよ。
住民2:生きたまま啄まれて絶命するなんて、さぞかし地獄だっただろうな。すごい顔だよ。

カァー!カァー!
近くのテトラポットの上にいるカラスが鳴いた。

ミニイカ娘を追い出した黒ミニイカ娘は室内でぬくぬくと過ごしているうちに
毎日与えられるエビでは満足しなくなりその量は段々増えていきました。
黒:ゲッソー!ゲソゲソー!(おい、メシくれでゲソ!)
娘:え、もうお腹空いたの?おかーさーん!ミニイカちゃんごはんだってー

以前のミニイカとは比べものにならない食欲、折しもエビの不漁が続き
エサの価格も上がっており、家計を預かる母親には頭痛の種になってました。

娘が寝静まったある夜のこと。夫婦は電気も付けず居間にいた。
母:ねえ、あのミニイカ何とかならないの?このままじゃ家計は火の車よ。
父:とは言っても、栄子が可愛がっているペットを捨てるわけにはいかない。
母:あなた知らないのね?栄子、あのミニイカ「怖い」って言っているのよ。
  前飼っていた白い方が可愛かったって・・・今考えるとあのミニイカ・・・
父:今のが前のを追い出したって?馬鹿言うな!そんなことがあるかよ。
母:じゃあ言うけどここ最近、冷蔵庫の中の生エビが減っているのは何故?
  最初は気づかなかったけど段々その数が増えているの。
  この家でそんなことするのが他にどこにいるの?
父:証拠は?どうせおっちょこちょいなお前が忘れているだけだろう?
母:だから、今こうして電気も消して台所から遠いこの場所で待っているのよ。
父:ふんっ、馬鹿馬鹿しい。俺は寝るぞ。急に呼び出して何かと思ったよ全く。

そうして居間を出た父親は、暗い廊下を黒いものがもぞもぞと動いているのを
見て「ふん、何がミニイカだ。ゴキブリじゃないか。全く・・」と踵で踏みつぶした。
すると「グゲッ!」という鈍い音が鳴り響き、踵にべっとりと液体がついたのである。
父「なんだ?」と呟き、電気を付ける。するとそこには、胴体を潰され虫の息の
小さな黒ミニイカ娘がウゲ・・・ウゲ・・とエサのエビを零しながら匍匐前進していた。
そしてその先には、ゲソ!ゲソ!(逃げろ!見つかったでゲソ!)と鳴きながら
風呂場に向かって走る10匹以上の黒仔ミニイカ娘達。意外とすばしっこい。

母「なによ今の?」と飛び出してきたが匍匐前進していた黒ミニイカを踏んで転倒。
目の前の状況に固まっていた父親にぶつかっているうちに、黒仔ミニイカ娘達は
どこかに消えていったのである。数分後ようやく起きた夫婦が見たものは、
足元で絶命している黒仔ミニイカ娘とその上に乗っかりドヤ顔で「ゲソゲソ!ゲソ!
ゲソ!(沢山いるからもっとエサくれでゲソ!)」と鳴く黒ミニイカ娘だった。その口
には冷蔵庫から盗んであろう生エビの尻尾が咥えられていたのである。

目の前でケタケタ鳴く黒ミニイカ娘の行動に
やっぱりかという顔をする母と、蒼い顔をして俯いた父。
母:ほらね。黒いのは見た目だけじゃなかったのよ。
父:・・・・・・

何も言えない父の膝の上に乗ってエサを催促する黒ミニイカ。
黒:ゲソ!ゲソッゲソ!(早くたっぷりエサくれでゲソ!)
釣り上がった目でピョンピョン跳ねているそれを突然太い腕が掴んだ。
黒:ゲソッ!グゲッ!(何するでゲソ!早くエサをく・・・・!)

その腕は黒ミニイカ娘の胴体を強く締め上げていく。
父:お前は・・・・・・栄子の・・・・やさしい思いを裏切ったのか!
その顔は涙で溢れていた。栄子とかつてのミニイカへの後悔で。
黒:グ・・!グ・・!(苦しいでゲソ!放せでゲソ!)グァアアアア!
  グアアアアアアアアアア! ブ・・ブ・・ブ・・プチュン・・・・
胴体がワンピースごと破裂し中からドロドロと体液がこぼれていく。
腕を離したところ、掌は真っ黒に染まっていた。生臭い匂いが充満する。

黒:ゲフッ!グゲッ!グギィイイイ!(痛いでゲソ!何ででゲソ!)
胴体から夥しい体液を流しながら、触手で後退るミニイカ娘。
室内灯に照らされた黒く塗れた腕が伸びてくる。
黒:フゲッ!ビギッ!ブグッ!(体が動かないでゲソ!何したでゲソ!)
黒い両腕は黒ミニイカ娘の首と帽子を荒々しく掴んだ。
黒:ギヒ!ギヒ!ギヒ!(やめろでゲソ!そこは痛いでゲソ!)

そして、・・・・・・・ググッ 目一杯力を込め握りしめる。
黒:ギャヒ!ヒギャヒ!ヒギャァァァァァァァァァァァ! ブシャァァァァアァァ・・・
目玉が飛び、イカ帽子が張り裂け、中から夥しい量の体液が飛び出てきた。
いつの間に用意されていたバケツの中にドバドバと落ちていく。
一緒に落ちた小さく黄色い物体は脳みそか。そのまま手を離す。
ベチャ・・・・自らの体液の中に落とされた黒ミニイカ娘の残骸が回っていた。

~深夜の大掃除終了後~

父:娘には「黒いミニイカは旅に出たよ」とでも言うか。間違えてはいない。
母:(突然の変容に呆れながらも)黒仔ミニイカ娘はどうするのよ?
黒仔ミニイカ娘:ゲショ!ゲショ!(お腹がすいたでゲソ!)
父/母:(無言で)捕まえてビニール袋に詰めていく。
黒仔ミニイカ娘:ゲゲショ!ゲショ!(くすぐったいでゲソ!)
母:明日の燃えるゴミに出しておきましょう。
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ミニイカ、そして彼との出会い
海からの強い風が吹き付ける1月の深夜、ふと目が覚めた。

「暖房切るとやはり寒いな・・・やむを得えない。少し付けるか」と
ベットから出たところ、何だか玄関から「ぺちぺち・・・ぺちぺち」と
ドアを柔らかい物で叩く音がする。ドア越しに見たが誰もいない。
気味が悪いのでそのまま寝ようと思ったが、念の為チェーンをつけて
ドアを開けたところ、そこにはブルブル震えた小さな生物が立っていた。
目に涙を浮かべ「ゲショ・・・ゲショ・・・・グスッ」と鳴いている。

これって、ミニイカ娘だよな・・・野生は冬眠しているんじゃないのか。
まあ翌朝出せばいいんだから、と思い玄関に招き入れる仕草を
したところ、「ゲショ!ゲショゲショ!」と入ってきたのでドアを閉めた
ところ「ピギャア!」と叫び声。何かと思ったら触手が挟まっている。
「ピギャ!ピギャ!」とドアの向こうで叫ぶ声。もう1回開けたところ、
そこには挟まった触手にフーフー息を吹きかけているミニイカ娘。
既に中に入ったミニイカ娘が心配そうに「ゲソゲソ?」と鳴いている。
2匹か・・しかたないなと思いもう1匹も部屋に入れてドアを閉めた。

鍵をかけて2匹を持ち上げて居間に戻ろうとすると、2匹は触手を
伸ばし俺の指を払いのけ、ドアに向かって「ゲショ!ゲショ!」と鳴く。
真夜中に人の親切を何だと思っているんだと不機嫌に思いながらも
外の様子を覗いてみる。すると、奥からぞくぞくとミニイカ娘が出てくる
ではないか。・・・ゲショゲショゲショゲショゲショゲショゲショゲショ
ゲショゲショゲショゲショゲショゲショゲショゲショゲショゲショ・・・・
集団はドアの前で止まり、開けろとばかりにドアをぺちぺち叩いたり
ジャンプして「ゲショ!ゲショ!」と鳴くなど俄に騒がしくなっていた。

俺は、廃棄予定で置いてあったスーツケースを引っ張ってくると、
玄関で90度に広げその中にミニイカ娘を1匹だけ入れた。キョロ
キョロ辺りを見回してから「ゲショ~ゲショ~」とミニイカ娘は外に
出ようと側面を駆け上がろうとするが滑って転び、3回繰り返した後
「びぇーんびぇーん」と泣いている。 ケースの外にいるミニイカ娘は
周囲を「ゲショ!ゲショ!」とわなわな震えながら回っていたので、
中に入れてあげた。数分後、ケースの中から2匹の泣き声がする
のを確認しドアを開けると、同胞の泣き声で触発されたミニイカ娘
の集団がげしょげしょーと部屋に入ると同時にスーツケースの中に
滑り落ちていった。その大体が思わず短い滑り台に「ヒィイイイイ」と
鳴きながら。 頭から落ちてきて、「いぎぎぎ」と動けなくなったのもいる。

ケースがミニイカ娘だらけになったのを確認し数えてみたら22匹。
外にはもうミニイカ娘はいないと判断し、ドアをしめて鍵をかけた。
「げそ!ゲソゲソ!」ケースの中からミニイカ娘たちが俺をみて、
跳ねて何か鳴いている。何かを要求するような素振りだったので、
上からばたんと閉める。突然真っ暗になり大騒ぎになるミニイカ娘。
そのまま起こして90度持ちあげたところ、「ぴぎぃいい」と中から、
悲鳴が聞こえてくる。恐らく中はドミノ倒しだ。今度は縦に90度。
「ウワアアアアアア」という騒ぎ声とバタバタと音がしている。中では
上へ下へと大騒動になっているだろう。そんなことをしていたらよう
やく静かになってきたので開けてみると、ミニイカ娘全員が目を回し
倒れていた。スミを吐き気絶しているのもいる。ケースは深いので
逃げ出すこともないだろうと開けたままにして寝ることにした。


「シャッゲシャッゲシャッゲシャッゲシャッゲシャッゲシャッゲ・・・・」
シャケ?イカならいるけど・・・とか寝ぼけていた俺は起きて驚く。
寝ている自分の周りをミニイカ娘達が取り囲んでぐるぐる回っていた。
自分の周りを取り囲むようにぐるぐる回るミニイカ娘たち。おかしい
・・・スーツケースから出てこれるはずがないと思い玄関を見に
ベットから出ようとした時、「ゲショショ!!」という1匹の鳴き声に
反応して、ミニイカ娘たちが自分めがけて突進してきた。

半数の触手が手足に絡みつく、慌ててブンブン振るが「ゲショー」
「ゲショー」と意地でも離そうとしない。そして半数が手足に噛み
付いた!「痛ぇ!、何しやがるこの軟体無勢が!」と噛み付いて
いるミニイカ娘を引き剥がし、壁に投げつけようとするが指に絡まって
投げられない。伊勢海老を殻ごと食べると言われるだけあって見た目
に似合わずかなり痛いのを堪え、「ふざけるな!」と指にくっついている
ミニイカ娘の触手を引きちぎろうとするが触手はゴムみたいに伸びて
却ってこっちが痛くなる。止む無く指に纏まりつくミニイカ娘ごと壁に
何度も叩きつけた。「ゲショッ!ゲショ!」足元にいるミニイカ娘を
踏み潰す。「グゲ!グゲ!」壁に流れる黒い体液、足の裏は真っ黒
だ。ただし力尽きて触手を引き剥がしても、次のミニイカ娘が仇討ち
とばかりに「ゲショー」とやってくる。

ミニイカ娘を8匹ほど引きずりながら机まで行きカッターを取り出した俺は、
向かってくるミニイカ娘の首元を切り裂いた。「ブギャアア!」迸る体液。
それを掴み、怒りそのままに壁に打ち付ける。「まず1匹目!」纏わり
ついた触手を切り込み、手で千切り、拳で叩き落す。足で押さえ苦
しそうにしているミニイカ娘を蹴り飛ばす。ベットの上にいるのはそのまま
体重をかけて押しつぶした。

「ゲショ・・・・・」最後のミニイカ娘が力尽きて倒れようやく開放された。
噛まれた痕からは出血しているようでジンジンと痛い。狭い部屋は
ミニイカ娘の死骸と体液でグチャグチャだ。体液からか辺りにはイヤな
臭いが充満している。「一体、何だったんだ・・・?」と家に招きいれた
ことを後悔していると、傷口から物凄い熱を感じ目が回り始めそのまま
ベットに倒れた。体が・・・動かない・・・・

すると信じられないことに、死んだはずのミニイカ娘達がもぞもぞと
動き出した。手足がなく首がもげたまま、ゆらゆらと動き出すミニイカ娘達。
「げしょ~」
うわ・・・やめ・・・ そして一斉に自分めがけて飛びかかってきた。

「うわああああああああああああああ!」 

「・・・・・・ハッ!」そこは何の変哲もない自分の部屋だった。
「ゆ、夢か・・・・・れにしても、タチの悪い夢だったな。」
体を触ってみても、どこも怪我をしている様子はない。

そういえばと玄関のミニイカ娘達を思い出して、布団を退けようとして
絶句する。「スゥスゥ・・ゲショゲショ・・ン?ゲショゲショ!」何と枕元で
ミニイカ娘達が寝ていたのであった。「マジかよ・・・勘弁してくれよ」起き
出した奴らは夢の中と同じく「ゲッショゲッショゲッショゲッショ」言いながら
円を描いて回りだしたので、気持ち悪くなって布団をかけてその上に枕を
重しがわりに置いて辺りを見回す。中から「ゲソ?ウグ・・ウググ・・ギギ」
とか声がしているがこの際気にしない。

するとベットの柱に連なって登っている8匹を発見、俺を見て一斉に逃げ
だしたが下敷きにされた2匹がぴぃ!ぴぃ!と苦しそうにもがいている。
それを落ちていた紙袋に入れスーツケースの前に行くと、3匹が連なって
通路を作り触手でひっかけ1匹が登っていた。中にはまだ2匹いて、俺に
気づくと通路の3匹のうち1匹が上に逃げたため登ってる1匹と土台の2匹
が落下する。逃げたものの縁の上ではわわわしている1匹を捕まえ紙袋の
2匹と一緒にケースの中に落とした。あと14匹だ。

逃げた6匹は俺の部屋の隅っこでミニイカタワーを作りながらブブッーと
スミを吐いていた。よく見たら昔貰ったシャチを象ったサッカーチームの
マスコットのキーホルダーが落ちており、それに驚いていたようだ。
上から紙袋を被せてひっくり返す。「ブギャアア」とか泣き声がするが
無視してスーツケースに放り投げる。ちなみにスミに塗れたぬいぐるみも
一緒だ。「ピギャアア、ウギャアア」と大騒ぎになるスーツケースを他所に
ベッドへ戻る。枕を取り布団をめくると、ゲッショゲッショと回っていた
うちの3匹が枕で身動きが取れなくなっていたのかぐったりした様子で
「ゲソ~」と鳴いている。1匹は離れたところでぐったりとして残りの4匹
が近くにいてイカ帽子を触手で撫でている。枕から引っ張り出したようだ。
俺に気づいたのか、4匹は俺に向かって「ゲソ!ゲソ!」と触手で威嚇?
して抗議。腹が立ったのでそのうち1匹のイカ帽子に力を込めてデコピン
すると「ブゲェ!」とぶっ飛んで壁にぶつかり口からスミを吹いて倒れた。
それを見た3匹は「ピギャアア」と外に逃げようとしてベットから落下。
ベチ!ベチベチと鈍い音がして床に叩きつけられピクピク痙攣している。
全て紙袋に入れスーツケース内に放り投げた。これで終了か。

倒れている同胞に他のミニイカ娘が集まって看病を始めた。触手がうね
うねと倒れているミニイカ娘に集中する様は何かのアニメのようだ。
一段落して起き上がって「ゲソ?」と鳴いているのを確認し、蓋を閉め
キャスターでぐるぐる回し、持ち上げて上下にシェイクしてみる。
「うああああ!げげげげげしょ!」と中でぶつかり静かになったのを
確認してケースを外に持ち出しゴロゴロと近くの海岸まで連れて行く。
「砂浜に置くだけじゃまた戻ってくる可能性があるよな・・」と
思った俺はケースを開けると、目を回しているミニイカ娘を1体ずつ
海に向かって放り投げていった。ちょうといい肩の運動である。

「ドボンっ」「ブクブク・・・」「ブゴボゴバグゴ・・ゲ、ゲショ」
溺れて沈むミニイカ娘。3匹目を投げたところで泣き声で気づき、
スーツケースから逃げ出すミニイカ娘達。仲間のことを顧みず、足蹴に
して飛び出した数匹を捕まえ、海に放り投げていく。
「ぎゃそ~~~~~~」悲鳴も聞こえるが気にせず。海鳥の群れが気づ
いたらしく、わらわらと集まってくる。海上で溺れたミニイカ娘を我先
にと争う海鳥達に「まだまだあるぞー」とミニイカ娘を投げていった。
海に落ちる前に海鳥達はキャッチしそのまま飛び立っていった
「ゲショ~」「げしょ~」と上空で泣き叫ぶ声と共に。

エサやりも気がついたらあと1匹。よく見たら砂浜を走って逃げていく
のが数匹いた。「ひぃ・・・ひぃ・・・げそ・・・げそ・・・」と白い
息を吐き逃げていくミニイカ娘達。スーツケースの中を1匹を捕まえ、
その後を追ってみた。

ミニイカ娘が一生懸命走ったって、人間がゆっくり歩くのと変わらない。
「ぴぃ・・ぴぃ・・・」弱々しく鳴くミニイカ娘の触手を摘みながら、
砂浜を必死に走るミニイカ娘4匹とスーツケースを持ちつつ並走?する。
「ヒィ!・・・げそぉ・・・」気づいたのか速度を上げるミニイカ娘達。
捕まえた1匹が手元でびぃびぃ泣いているが、目を合わせようとはしない。

片手を空けたかったのでスーツケースの取っ手に触手できつく縛ってみた。
「ぴぃぃぃぃ!」一際大きな泣き声が響く。縛られた触手が痛いらしいが、
最近若い女性に流行りの等身大ミニイカ娘キーホルダーのようで面白い。

上空が、海鳥による俺が投げたエサの争奪戦で騒がしくなってきた。
時折、ミニイカ娘のものだと思われる服の一部や腕輪、そして触手が
降ってくる。おおかた全身啄まれて絶命していると思いきや、まだ
生きているのもあるようで高い頃から「げーしょ!げしょー!」と
声が聞こえている。

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・げそぉ」ミニイカ娘達の逃走も限界かなと思って
いたそんな時、上空から「ぴぎゃあアアア!げしょおおお!」と声がして
何かが落ちてくる。どうやらエサ取り合いの際、捕まえていた触手が切れ
落下したようだ。「ぴぎゃあああああああ!」恐怖で全身をバタバタさせ
ながら上から降ってくるミニイカ娘。そのまま逃走しているミニイカ娘達
の目の前に「ぼふっ」という音を立てて落下した。しかし、ミニイカ娘達
はそれに目もくれずに逃げ続けた。

「ピィィィ!ゲショ!」キーホルダーのミニイカ娘がそれを見て激しく
鳴き出した。近づいてみると、触手は5本しかなく足も欠け、顔面に石が
めり込んでおり動く気配もない。「ゲーショ!げーしょ!げしょー!」と
全身を震わせて鳴き続けるミニイカ娘の呼びかけにも応じないと思いきや、
触手を1本上げ「ゲ・・・・ショ・・」とか細い声を上げ生き絶えた。
「ぴぃぃぃぃぃぃぃ!」「ぴぃぃぃぃぃぃ!」弔いなのか、高い声を上げ
泣き叫ぶミニイカ娘。なお死骸はエサを取り戻しに野鳥がやってきたので、
投げてやった。

「あれ?」逃走中のミニイカ娘の姿が見えない。おかしいなこの近くには
隠れる場所もない・・・と思ったら砂浜の小さい足跡は手前で右折し、
その先の小屋に向かって走っていく4匹を発見。「逃がすまい」とスーツ
ケース片手に追い掛ける。等身大キーホルダーは動くたびにケースに頭を
強打してひぃ・・ひぃ・・言ってる。追いつき、目の前に立ちふさがる。
初めて止まった4匹。その目は同胞を見殺しにした後悔もなく、ただ自身
の保身のみで全身がブルブルと震えていた。

ここで何かが閃いた。「このまま懲らしめるのも面白くない。様子を伺う
のもいいかも」と思い、何も言わずにその場を後にする。呆然としている
4匹だったが小屋に向かって再び走っていった。ようやく小屋の前に着くと
「げしょ・・・」と鳴き、体力の限界だったのかその場に倒れこむ4匹。
すると小屋から女性が飛び出てきて、「あああああああ!ミニイカちゃん!
ミニイカちゃん!」と4匹を抱いて号泣している。小屋の奥からは大量
のミニイカ娘が出てきて女性を囲んでいた。「ごめんね!ごめんね!昨日、
貴女達がいると思い込んで鍵をかけてしまって・・・・うううぅぅぅ」
「他はダメだったの・・・また人間にやられたの?・ああ、弟にしろロク
でもないのばっかりでもう!」

それを遠目で見ながら、ぶら下がって気絶しているミニイカ娘を見る。
さっきまでのような「こいつら懲らしめてやろう」という気はとうに
失せていたが、ふと、「何か使えるかもしれないな」という感情が湧き、
俺は海岸を後にするのだった。

ミニイカ娘と自宅に帰ってきたのは午前7時半を回ったところだった。
会社に行かないとならないので、とりあえずミニイカ娘の触手を解こうと
したがきつく結び過ぎてうまく解けない。「ぴぃぃぃ!」触手を無理やり
引っ張ったためか、気絶していたミニイカ娘が痛さで飛び起き、真っ赤に
腫れた顔で痛そうに泣き出す。しかし取れそうにない。「ぴぃぃ・・・
びぃぃぃぃ・・・・」帽子を押さえ痛がるミニイカ娘。止む無く宙吊りに
ならないようにケースを横倒してから支度をして家を飛び出た。

午後7時過ぎ、ようやく自宅に帰ってくると俺の部屋の前に人がいる。
何だと思いその前に立つと、大家のおばちゃんが怒った顔をして俺に突っ
かかってきた。「あんたここはペット厳禁だと言ったじゃないか!ギャア
ギャア騒いでうるさい!」その言葉で、俺はミニイカ娘を縛ったまま玄関
に置いていたことをようやく思い出した。「ああ、それミニイカ娘。昨晩
物音がするから戸を開けたら突然部屋に入り込んできたから捕まえて
朝海岸に放してきたんだけど残っていたんだ。すぐ片付けますすみません」
と言うと「ミニイカ娘?なんだそれは?」と分からない様子。説明するにも
拘束してあるから躊躇していると、その場にいた隣人が「新種のイカです
よ大家さん、最近話題でしょ」と説明。そして「これ捌くと美味しいんで
すよこれ」と。え、これ食べれるの?「食用なのか?まあ、分からないけ
ど今晩中に片付けておくれ」と怒ったまま立ち去る大家さん。

未だに頭が?で一杯の俺を他所に、ニヤニヤと笑う隣人に俺は問う
「食べたことあるのか?」「ああ、うまいぜ」そして驚くべき発言。
「海岸の小屋で大量に飼われているだろ?」今朝、4匹を抱きかかえて
号泣していた女性とその周りを囲む大量のミニイカ娘を思い出し
「そういえば女性がいたな」とつぶやくと、隣人は「お、そこまで見て
いたのか。あれ俺の姉貴だよ」「!」「姉は俺とは色々あってな、今は
あそこを借りて飼っているんだよ」「俺は親から頼まれてここに住んで
いるんだ。姉とあれの監視の為にね」

隣人からの衝撃的な発言に驚く俺だったが、だからこそドアの向こうから
現在も鳴き続けているミニイカ娘がどういう状態かも理解できたのだろう。
隣人に感謝しつつもドアを開ける。すると、「びぃぃ!、げそぉ!」と
一際大きな泣き声と共に飛び出すミニイカ娘。しかし縛られているスーツ
ケースが邪魔して「ゴンッ」とドアにぶつかり、触手に引っ張られて倒れる。
「ぴぃぃぃっ!」

「はははははは!そんなことをしていたのか。確かにこんなキーホルダー
売ってるしねぇ」と笑う隣人。慌てて触手を解こうとする俺を見て、
「ダメだよこうなったらこうしないと」とビクトリノクスを取り出し、
触手に押し当てて切り出した。「ぴぎぃぃぃぃぃぃ!」と高い声を上げ、
気絶するミニイカ娘をよそにザクザクと触手を切っている。床に血だろう
か黒い液体がトロトロ流れてきた。「はい終わりっ」と、半分に切られた
触手を持って気絶しているミニイカ娘を掴むその顔は嬉しそうだ。
「俺の部屋に連れていくから、そのスーツケースと玄関は先に掃除した
方がいいよ。臭いキツイからね」「それはどうするんだ?」「まあ見てな
って。すぐ食べやしないから掃除終わったらベルを鳴らしてくれ」といい、
部屋に戻っていった。

黒く汚れた玄関を片付け、スーツケースを風呂場で掃除した。一晩
置いただけなのにイカスミの臭いがキツい。切り離された触手の半分も
ようやく取り外すことができたので、それをビニール袋に入れ、斜め向かい
の部屋のインターホンを押す。

すると、奥から「入ってー」と声がしたのでドアを開けてみた。
このアパートに入居して大分経つが、他の部屋に入るのは久しぶりだ。
俺の部屋と同じ玄関と狭い通路・・の先に、また別のドアがある。
部屋の大半は組み立て式の防音室によってほぼ占領されていた。
そのドアの前に隣人は笑顔で立っていた。「ようこそ、我が家へ」
「お前、こんな部屋に住んでいたのか?寝る場所もないじゃないか。」
「この部屋は前線基地だからね。まあともかくこの中に入ってくれ」と
玄関の鍵をかけ、防音室のドアを開けた。・・何の声も聞こえてこない。
そのまま中に入っていく隣人の後を追って入ったが、中は真っ暗である。
「ちょっと待ってて」と隣人がドアを閉め、電気をつける。すると・・・

「ゲソ!ゲソ!ゲソ!」「げしょ~げしょ~」「きゅぃ!きゅぃぃぃ」
「ギャアギャア!」「ピギャアアアア!」「ぴぃぃぃ!ぴいぃぃぃ!」

狭い防音室の中に無数に置かれたカラーボックスと昆虫用プラケース。
その中に数え切れない程のミニイカ娘がいて、もの凄い勢いで鳴き出した。
どうやら始めて見た俺に助けを求めているかように、ケースの端に殺到し
触手でバンバン叩いている。想像を超えた世界に絶句して声が出ない。

よく見るとケースには張り紙があり、日付とアルファベットがついている。
おそらく日付は捕まえた日だろうが、アルファベットはどういう意味なんだ
と思ったら「日付は捕獲した日、アルファベットは処理方法で分けてある」
と隣人。「大体俺の思いつきもあるけどね 」といいながら、小さいケース
を持ってきた。中には先ほどの触手を切り取ったミニイカ娘がぐったりと
したまま横になっている。

「さて、まずはお前に謝らなければならない」と深々と頭を下げる隣人。
突然のことで、何だと思ったが隣人はそのまま話し続けた。
「昨日、ミニイカ娘の集団を小屋から誘い出したんだが、休んでいた間に
逃げ出してお前の部屋に行ったようだ。気がつき探していたらお前の部屋
から声がするから帰ってくるのを待っていた。色々迷惑をかけた。」

「まあ仕方ないだろ」と俺は答えたが、突然ニヤっと笑って俺を見つめ
こう切り出した。「ただね、鳴き声が普通は鳴かない声【命の危険を感じ
たときに発する】だったからひょっとすると「同胞」かなとも思ってね。
それで、残りの20匹くらいはどうしたんだ?」

「ああそれは、」と俺は入ってきた時の対応やその後の悪夢、そして
翌朝の出来事を話したところ、「はははははっ!」と笑い出した隣人。
その声に部屋中のミニイカ娘が「ビクッ」ってなって固まり「ひぃぃぃ
ぃ!」とブルブル震えているものもある。
「普通の人ならまずドアを開けないし、開けても丁重に扱って翌日警察
に電話するよ。 こんな人もいるんだな、同胞ではないけどそれに近い
何かはあるね。いやあ驚いた。」

「せっかくだし、さっき言ったとおりいいものをご馳走するよ。」と
ケースに向かい、ミニイカ娘を物色し始める。「この辺りはちょうど
いい感じになってるはずだから・・」ととあるケースをカラーボックス
から引っ張り出した。ケースには2週間前の日付とEの文字。ケースの
中には、ミニイカ娘が4匹端っこに固まってびぃびぃと震え鳴いていた。

防音室から出されたミニイカ娘入りのケースは狭い台所に置かれた。
なお台所周辺には防音壁が張り巡らせ、ここもまた個室のようだ。
隣人は鍋に氷を入れ、その中にびぇ~んと泣いているミニイカ娘を1匹
掴んで落とす。「びぃぃ!」と氷にぶつかってフラフラしているミニ
イカ娘。そして更に氷を入れていく・・・イカ帽子が見えなくなるくらい
になった頃、冷たさに「ぴぃぃぃぃぃいい!ぴぃいぃぃいいい!」と
イカ帽子と触手を振り回して脱出しようとするミニイカ娘だが深い鍋と
氷の中では走っても暴れても転ぶだけでその度に「ぴぃぃ!」と高い声
がするが、「ピィい・・・ぃいいいぃい・・・ぃぃ・・・・・」と段々
弱々しくなり動かなくなった。

ケースの中の3匹は肩を寄せ合って「びぇ~ん!」と泣き更にブルブル
震えている。鍋の中が収まった頃「そろそろかな」と氷の中から冷たく
なったミニイカ娘を取り出すと、引き出しからスライサーを取り出して
ミニイカ娘をスライスし始めた。3匹の目の前で段々削られていくミニ
イカ娘。それを見せ付けられ3匹は「ぴぃぃぃぃ!」とケースの中をバタ
バタと走り回り、壁にぶつかり、仲間とぶつかって「びぇぇぇぇぇぇ」と
泣いている。

数分後蓋を開けると中には白・青・黒のスライスで一杯になっていた。
それをボウルに移す。次の1匹を取り出すと、「びぇえ!びぇえ!」と
暴れて触手で指を巻き付き抵抗している。それを氷に入れず直に
スライサーに寝かせると、力を入れて生きたままスライスし始めた。
「びぎぇえええええ!ぎぃええええそおおお!ぎぃええええそおお!
びげぇえええそ!」甲高い絶叫を上げて首を持ち上げようとし触手で
巻きつくがそのまま抑え込んでスライス。スライサーをミニイカ娘が
上下するする度に、言葉もならないミニイカ娘の悲鳴が続く。
そしてイカ帽子を下に持ち替え、大根でもするかのようにガシガシと
横に動かしていった。「びぃぃえぐfくぇ98あsぐびゅええdsd
hr5ty!」と言葉にならない泣き声が続いて帽子が大方削られて
なくなった頃、ミニイカ娘は口から黒い泡を吹いてそのまま事切れた。

「ひいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!」ケースの中の2匹は腰が抜け、痙攣
してその場から動けない。そのまま残りもスライスし、中を開けると黒い
液体に浸かったミニイカ娘だったもので一杯に。それを一旦水切りし
残りを先ほどのボウルに入れて混ぜる。鍋はコンロに移して火をつける。
そして隣人はケースからショックからか動けなくなっている1匹を摘み上げ、
そのまま鍋にポトン。火はついているが未だに氷の鍋の中で「びぎぎぎ
ぎぎ!」と涙を流し叫びながら走るミニイカ娘。そのままぐるぐると鍋の
周りを回っていたが、段々温まり氷が解けてきて水がどんどん増えていく。
「あああああああ!げしょおお!」と足元を見て怯え、ジャブジャブ音を
立てて逃げるミニイカ娘。しかし、「びぃやあああ!びぃいいい!」氷に
できた亀裂に足が嵌り抜けなくなってバタバタしている。「ぴぃぃぃい!
ぴぃいいい!」足を抜こうと触手で引っ張り、ずぽっと抜けた勢いで飛
んだ先は「ぴぃやあああああああああ!ボトン・・・・ブクブク!ブク
ブクブク!」既に氷はなくなっていた。「ブクビクビヂヒクビガボごぼあ!
ぶがああ!びぶがあああ!」バシャバシャ水音を立てながら溺れている
ミニイカ娘。辛うじて残っている氷につかまっていたようだが、それも段々
溶けていく。そして・・・・・水はミニイカ娘の背丈を越え、「びぎゃあ!
びぎゃあ!びぎゃああああ!」と溺れ飲み込まれ、「ブク・・ブク・・・
・ブク・・・」という音を残して鍋の底に沈んでいった。 


断末魔の叫びを聞いたからかケースの中の最後の1匹は口の周りを
黒く染め既に気絶していた。沈んだミニイカ娘をお玉で掬い細切れの
2匹と一緒にボウルの中へ。そして鍋を水を入れ換えてそこに3匹分の
ミニイカ娘を注ぎ火をつける。最初は強火で、そして沸騰する手前で
弱火にするとまだ気絶している最後の1匹を摘むとお玉に乗せ鍋の中へ。
「ゲショ・・・ぴぃ!ぴぃぃいいいいい!」熱湯の中に入れられて飛び
上がって悲鳴を上げるミニイカ娘。お玉の柄に触手でしがみついたミニ
イカ娘のその眼下に広がっていたのは、中でゆらゆらと揺れている同胞
と細切れの同胞。そしてお玉を段々下に入れていく。「ぴぎゃああああ
ああああ!ぴぃいいい!」更に上への上へと登っていき、自分の指まで
登り着いたミニイカ娘。そのイカ帽子をデコピンで飛ばし、「ぴぎぃ!」
鍋の中に落とす。熱湯の中に落とされ「ギヤアアアアアアアア!ギアア
アアア!」と叫び、既に事切れている同胞の上によじ登ったミニイカ娘は、
「げしょおおお!げしょおおお!」と呼びかけている。しかし反応はなく、
自分も熱さからか「げしょ・・・」と折り重なるようにして倒れていった。

「やっと完成。やっぱミニイカの味を知ってもらうのはこれじゃないと」
と隣人は言いながら、調味用を入れて煮込み、2つのお椀にスープを入れ
て簡易テーブルに持ってきた。中は2種類の細切れのミニイカ娘。そして
1枚皿を用意し、2体のミニイカ娘を乗せて持ってきた。そして俺に
「まずスープを飲んでみれくれ、それからこの2匹をハサミで」と肉を
切るハサミを取り出し、チョキンチョキンと手足と触手を切り落として
スープの中に落としていった。

・・・・・目の前でゆらゆらとゆれる白と青と黒の物体。そして原型が
はっきりしている手足と触手。そのグロテスクさにちょっと躊躇したが、
せっかくいただいたものだからと試しに食べてみる。「・・うまい!」
なんだこの味は、変わっていても所詮イカだと思っていた俺の先入観を
払拭する味。それにきれいにスライスされたのより、ちょっと黒みが
かった歪な形の方がカキのような味も出ていてより深い。すると、
「そっちの方がうまいだろ?」と隣人は驚いている俺をみて笑う。
「生きたまま捌いたほうが何故かうまいんだ。生で食べるなら逆なんだ
けど。ただ、丸ごとは違うんだけどね」とだるまになったミニイカ娘を
見つめる隣人。

「へぇ・・・・ところで、余り聞きにくいんだがお前と姉の関係はどこ
からこうなったんだ?」と俺は問う。「待ってました!」と予想外に
隣人はやけに乗る気だ。「いやぁ、本にでもしようかと思うくらいだよ」
と隣人は饒舌に姉とミニイカ娘について語りだした・・・・


「・・・・ということさ。おっと長話し過ぎて冷めちまった」とだるま
のミニイカ娘を台所に持っていく隣人。

正直笑い事じゃない。初めて食べたミニイカ娘の味もどこかへ行ってしま
うくらいそれは衝撃的なものだった。そういえば以前、週刊誌の中吊りに
「可愛いからって要注意!ミニイカ娘で崩壊した家族」とかあったなあと。

「まあ、そのお陰で俺は日本ではおそらく唯一のミニイカ娘料理研究家
になれたからね。非公式ながらある 民間会社の研究機関から一緒に
働かないか?と打診されているしその点では姉に感謝しているよ。
 それまで何の目標もなく自堕落に生きていたからさ」と言って壁に
貼ってある2枚の写真を指差す。

1枚はよくある駄菓子屋の薄い鉄板の上で折りたたまれた足から湯気
を立てながら顔を真っ赤にして泣きじゃくってるミニイカ娘。その口
には小刀が刺さり何とか抜こうと青い触手が巻きついている。必死で腕を
振っているのにふきの葉っぱが手にくっついているからか、なんか奇妙な
脱力感に見舞われる。「なお言い忘れたけどこの模造刀抜く時、触手
は2~3本引き千切ったね。金切り声を上げるミニイカ娘もおいしさの
秘訣だから。残りは刀で切り取って一緒に焼いた。」

2枚目は、ん・・・誰だこのミキサーの中で笑顔のミニイカ娘達と向き
あって笑ってる女子高生みたいのは?「それが俺だよ」「は?・・お前
まさか・・・・」と思わず本能的にあとずさる俺を隣人は軽く笑う。

「おいおいさっき話したじゃないか。狂った親に遁走した姉の代わりを
させられたって。退院して引きこもってる俺に、 ○○(姉の名前)、
またミニイカ娘を飼っていいから頼むから大学に戻ってくれ!って親が
土下座してくるんだぜ? 「姉はもういない。それに俺が戻りたいのは
高校だ。」って断っても「訳の分からないことを」と話がつながらない。
悩んだ俺は大学に連絡して事の真相を話し、『ショックで退行現象が
起きてるからリハビリとして系列の高校の通信制に通う』ということに
なったのさ。「それが、あの格好につながるのか?しかし似合うな。」

「おいおい、とりあえず黒歴史だぞ。幸か不幸か余り見た目が変わらない
姉弟で助かったよ。でもたまにあるスクーリングは嫌だったが慣れたし。
登校条件にミニイカ娘を要求していたから事欠かなかったしね」と笑う。
「たまにリビングで放し飼いにしたりして、それなりに楽しかったよ。
野良ミニイカを捕まえたら飼ってたミニイカが捕食されたりと、勉強に
なることもあった。それがきっかけで繁殖の仕方も覚えたんで、物置に
なってた自分の部屋で色々実験をやらせてもらった。」

「あの写真は卒業式の後だな。音信不通だった姉を友人が探してきて、
親と面会させたんだ。そこでようやく正気に戻ったらしく、俺の姿を見て
◯◯(俺の名前)、いつからそういう道に走ったんだとか言ってるしw
でもまあそのお陰で俺は行きたくもない大学に進まなくて済んだから
いいけど、姉としてミニイカ娘を可愛がるのは卒業ということで、
残りのをミキサーに入れて処分したんだよ。」

「大体さ、姉が家族不信になったとどめは俺を殴って警察署から帰って
きた時、風呂場の小型桶の中で寝ていた傷だらけのミニイカが風呂の
中で溺死していたからだよ。親父がぬいぐるみだと思って風呂の中に
放り投げたらしいしお互い様だよ、おっと火を止めにいかないと」と
隣人は台所に向かう。

ミニイカ娘で狂わされた家族・・・・そんなことを考えていると、
「ところで、今後の計画なんだけど」ととある作戦を持ちかけられた。

「あれを使って、姉とコンタクト取ってもらえないかな?そろそろ起きた頃
だろう」というと、火を止めた隣人は防音室に入って1つの小さなケースを
持ってきた。隣人と俺の姿に逃げ惑いケースの中を転げまわる触手の
切れたミニイカ娘。すっかり忘れていたが、先程まで俺の部屋の玄関で
騒いでいたあれだった。「とりあえずそれを数日間飼ってみて警戒心が
なくなったら姉の小屋に届けて欲しい。そのケースじゃ怪しまれるから
適当な袋か箱があるといいけど持ってるか?」「まあ恩人でもあるし引き
受けるけどまた騒がれても大家に怒られるだけだぞ」「大丈夫。そのケース
は防音仕様だから10匹詰め込んでもかすかにしか聞こえない」そういえ
ばさっきから大声で泣き叫んでいるようだけど、何も聴こえないのはその
せいか。「慣れてくるまでは適当にそれ以降は1日2回くらいにしてくれ。
エサはここにある」と『ミニイカ娘のえさ(業務用)』と表示されている大きい
袋を渡された。「何かあったら携帯に連絡してくれ、実験に集中している
と気づかないからね」

ケースの中で泣き喚くミニイカ娘とエサを引き取り自分の部屋に戻った俺は、
ドアを開けた途端に漂う生臭さに急に現実に引き戻されたような感触を
味わった。「なるほど・・これはキツイな」と消臭剤を取り出してあたりを
シューシュー撒く。ケースに向けると「ヒィィィ!」と言ってるのだろう
ミニイカ娘が怯えて震えていた。

目の前のケースの端で、
触手でイカ帽子を抱え縮こまって震えているミニイカ娘。

「この状態でスキンシップといってもどうやってとればいいものか」
と思ったが、「とりあえずはエサ与えておけばいいだろう」と玄関に置いた
エサを持ってくる。ガサガサと袋を開けると、中にはいかにもペットフード
のような固形物がありエビの臭いがキツイ。ケースの蓋を開けると、『はは
・・は・・わわわ・わ・・』とか『ゲ・・ソゲソゲソゲソ、げしょげしょげ
しょ・・』と微かなつぶやきが聞こえているがこちらを向こうとはしない。

そこに付属の計量カップに満載にしたエサをパラパラと投げ入れ蓋をした。
高価なケース故にエサは飛び散らず螺旋状に落ちて一箇所に纏まっていく。
音に気づいたミニイカ娘がエサのある方向を向くが、俺が気になるのか
動けない。そこでケースの前にスカイプ用のカメラを置き、物置から様子を
見ることにした。

人がいなくなったのを確認すると、ミニイカ娘はため息をついたような
表情をしてエサのある場所にトコトコと移動した。そして触手でエサを
まじまじと見つめている。そしておそるおそる口にすると、突然笑顔になり
何か呟きながら必死に食べ出した。「これで第一段階はクリアかな」と思い
部屋に戻ると、俺の存在に気づいたのか突然食べるのを止めて逃げ出し
壁面にぶつかる。涙目に顔を赤くして起き上がり、怯えている様子のミニ
イカ娘に対して、俺は無視を決め込みケースから離れた机の上にパソコン
を置き、ミニイカ娘関連の情報を集めることにした。

【怯えている ミニイカ娘】でググってみたところ、NPOを謳っている割
には商魂逞しそうな団体と、明らかに隣人が好みそうなマニア向けのサイト
がヒットした。まずその団体のを見たが、「何らかの虐待を受けている
可能性がありますので、ミニイカ娘虐待通報センターにご連絡ください」
と回答にならない回答しかなく、後者はSNS形式の為誰かの紹介がないと
入れないようだが、ミニイカ娘が怯えるサンプル動画を見る限り、ここに
聞くのはお門違いといったところか。参ったな。もう時間も遅いので俺は
寝るためパソコンを持ってベットに移動し、横になった。

画面の向こうでは、俺を気にしながらもエサを食べるミニイカ娘の姿が
映っている。俺が顔を上げると止まる。結局、計量カップ(1食分)を
食べ終わるのに小一時間かかったようだ。ミニイカ娘は眠くなったのか
仰向けになって切られた触手の断面を眺めているものの、俺が起き上がる
と途端に跳ね起きるなど警戒心を解こうとはしない。そうこうしている
うちにこちらが眠たくなりそのまま寝てしまった。

ミニイカ娘は、それから1時間以上経ってようやくゲショ・・・
と眠りについたようだ。 


その頃ようやく回顧モードから解き放たれた隣人は、その会員制SNS
にて日記を書いていた。画面の隅では、理科室のような部屋でピーピー
泣いて逃げるミニイカ娘を捕まえては中央にある大きな桶の中で頭を
叩き潰す動画が流されている。ピーギャッ!ピギャァ!と騒がしい。
この動画は、テレビでも放送された【競争激化で倒産したミニイカ娘
ブリーダー養成学校に残されたミニイカ娘を有志が「保護」した動画】
の知られざる続編としてSNS参加者がアップしたもの。

新聞にも掲載されたバケツの中でゲショゲショ鳴いているミニイカ娘は
高級ブランドミニイカ娘と言われる優秀な個体でNPO団体が引き取って
いったが、所謂欠損品といわれる本来なら孵化させてはならない個体や
体力、精神力に劣った個体はそのまま置いてかれ、処分に困った行政
がSNS参加者が表向きに所属する会社に依頼してきたようだ。

よく見ると腕輪がなかったり、ワンピースが短かったり、触手が分かれ
てない個体やうまく歩けない、泣いてばかりで目の周りがボロボロ、
触手を自傷し続ける個体がいる。さすがにこれでは、捕まえて食べる
訳にはいかない。放すわけにもいかない。結局は殲滅し尽くすしかない。

隣人は動画を横目で見つつ日記を書きながら、側にあったミニイカ娘
入りのえびせん(徳用)の袋に手を伸ばした。大きめのえびせんには、
青いミニイカ娘がくっきり写ってる。「あんなの溺死させればすぐ
片付くのに、わざわざ掛矢で1匹ずつ頭を潰していくなんて実にあの人
らしいよ。いいなぁ俺もやってみたい。」とミニイカ娘入りのえびせん
(徳用)をパリパリ食べ出した。ちなみにこのえびせん、原型を留め
すぎていた為クレームが出て、一度回収されたものをSNSの参加者が
共同で安価で買取り、頒布しているシロモノだ。

防音室の向こうからは、えびせんを見つめる一部のミニイカ娘が
よだれを垂らしてる。「お前らも馬鹿だなあ。かつて同胞がこの
えびせん食べて発狂死したのを忘れたのかよ」腹いっぱい食べた後、
奇声と共に壁に激突して死んだミニイカ娘を思い出した。

「さて、あのミニイカが慣れるのに何日かかるかな?っと。」
「彼に罪はないからね」「罪は姉貴とミニイカが被ればいいこと」隣人は
書いた日記に寄せられる仲間からのレスを読みながらほくそ笑んだ。

「楽しくなりそうだ」 
edited byミニイカ姉弟 at