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ゲショゲショ!

青い虐待師
ミニイカ娘という生物 ③

第3話「あたちは泳げないでゲショ」



がちゃり。



「ふぅ、帰宅ゥ!今日もたくさん走っちゃったぜ。疲れたなー!」


住宅街より少し離れた、田畑に四方を囲まれた年季を感じさせる古い平屋。


ここは青年が暮らしている家だ。

「ここの生活にもだいぶ慣れてきたなぁ。ばぁちゃんが死んで、この家を引き継いだのはいいけど、最初はボロボロだったからなー」


もともとこの家は青年の父親の祖父母が住んでいたのだ。祖父母たちは1年ほど前に病に倒れ、入院生活をしていたのでここの家はその間ずっと、放置されていた。


青年は転職を考えていたので、ここの場所に引っ越しをしてきたのだ。

「ふぅ、汗だらだらだ。取り合えずシャワー浴びよう。」

ポーチの中に視線を移す。

「こいつもなんか汚いし。洗ってやるか。」

相変わらずこの小さい生き物はうーん、うーん、と唸っていて意識がない。


洗濯物をカゴにいれ、浴室に入る。

「やっぱ暑い日は熱いシャワーに限るなぁ!!」

シャワーの温度は43度。風呂も沸かしていい感じだ。

「さてさて、こいつまだ起きないな」

ふむ、と首を傾げ桶を手に取ると水をなみなみとそそぐ。

すると青年はミニイカ娘を掴むとその桶の中にそっと入れた。

「元気がない魚はみずにつけると動き出すからこいつも入れてみよう。海水じゃないけど大丈夫だろ」

「ゴボボボボボボボボ!!!!」

水位は10センチ程。底の方からブクブクブクと泡が出てきた。どうやらミニイカ娘が目を覚ましたらしい。

「お、生き返った!よかったw」

ヒョイとミニイカ娘を桶から取り出すと、やれギャーギャーと泣き始めた。

「ゴボギャソオオオ!オエェ・・!!ゴボゴボ!ウエェーンエーン!!」

「起きたのはいいけど、水から出したらまた苦しみだしたな・・」

青年はミニイカ娘をまたヒョイと持ち上げ、再び水の中に戻してあげた。

「元気になーーーれっ!」

ミニイカ娘は目をカッ!と見開きながら水中でゴボゴボ言い、今度は水の中でもジタバタ蛇足を遮二無二激しく動かしている。

「ギョボボボボボボ!!!ボブブブブブ!!」

「なんか様子がおかしいな・・もしかして!?

青年はハッ!となり急いでミニイカ娘を取り出した。

浴室にある足の長い椅子の上にミニイカ娘をそっと置くと、その体がビクン!ビクン!となりながら水をゴボゴボと吐き出している。

「ゴボゲジョ!ゲッ!!」

その様子を見守りつつ青年はスマホをいじりだす。

ネットで調べた情報によると、どうやらミニイカ娘はイカのくせに泳げず、水の中でも息ができないらしい。要は【カナヅチ】なのだ。

「ごめんなぁ!てっきり魚と一緒かと思って水の中に入れちゃったよ…汗」


ミニイカ娘は水をたくさん飲んでしまったのか、その腹はスーパーボールのように膨れ、顔は青白く、目は虚ろだ。


「やべぇ、死んじゃったかな…?あ、でも息はしているみたいだ…よかった…」


青年は左手でミニイカ娘を掴んで固定すると、右手の親指で腹をグッグっと押す、するとミニイカ娘の口から大量の水が湧水のようにゴボボボと出てきた。


ミニイカ娘の腹がへっこみ、元の状態に戻るとうっすら目が開き、「ギャソォ…ギャソォ…」と力ない声で泣き出した。


「おぉ、良かった。臓器とかでて来たらどうしようかと思ったけど水だけ抜けたみたいだ、意外と単純な体なんだな」


「ちょっとまってろよー、すぐ終わらせるから」



と、青年は桶の水を捨てて、空になった容器にミニイカ娘を置くとササっと髪と体を洗い風呂に浸かる。


そこで改め、スマホでミニイカ娘の飼育方法を見ていると様々なことが分かってきた。


~ミニイカ娘ちゃんを飼ってみよう!~


ミニイカちゃんはとてもかわいいです!

その表情、感情、行動は人間のそれと同じで、まるで人間のミニチュアかと思うような生物です!


まずはミニイカちゃんの巣を用意してあげましょう!



〇ミニイカちゃんはとても繊細な生き物です。自由に動きまわれるように水槽は虫かごサイズではなく、Lサイズの少し大きめの水槽を用意してください。40cmのサイズであれば問題ないでしょう。


〇水飲み用のお皿

カブトムシなどに与えるゼリーの形ぐらいのお皿でOKです。


〇おトイレ、スミ吐き場

ミニイカ娘は人間のように排泄行為をします。

古くなったスミは定期的に吐き出し、新しいスミを体内で生産します。

まずは水槽の中に吸水性のよい砂を入れてあげましょう。ペットショップにミニイカ娘用の砂が売っていますので、それで大丈夫です。注意点は水槽の中にそのまま入れるのではなく、砂が飛び散らないように小さなかごタイプの物を入れてください。こちらもミニイカ娘用のトイレがありますので、こちらで。


〇ご飯入れ用のお皿

こちらはエビや、通常給餌のペレット等が入れば何でも大丈夫です。


〇寝床

こちらもミニイカ娘用の布団やベッドセットがありますので用意の方をお願いします。


〇オモチャなど

ミニイカ娘は好奇心旺盛で色々な物に興味を示します。オモチャを用意してあげればとても喜ぶでしょう。


〇水槽内の環境

ミニイカ娘は浜辺で暮らす生き物です。水槽内の床には砂をひき、浜辺のような環境を再現してあげる事でストレスなく暮らしていけるでしょう。特に野良のミニイカ娘を飼う場合はなるべくその場所を再現してあげると良いです。

出来ない場合は何も置かなくて大丈夫ですが、ストレス等がたまる環境だと元気が無くなったり、ワガママになったり、更には凶暴な性格に変化してしまう場合がありますのでご注意を。


全てを揃えるとお金がたくさんかかります。

弊社では全ての物が揃った「ミニイカ娘飼育スターターキット」を1万円で販売中です。

ご注文は下記のリンクから。



「なるほど……ペットショップここから遠いしなぁ…」


青年は迷わずその商品を購入したのだった。


風呂が終わり、ミニイカ娘を某通販サイトの空きダンボールにいれる。そこにミニイカ娘を置いて様子を見守る。するとムクリと立ち上がり辺りをキョロキョロと見回している。


「お!元気になった!よかったよかった。結構頑丈な体なんだなぁ~、あ、そういえばこいつ、拾った時に海藻みたいなゴミ持ってたな…一応入れておくか」と、青年はミニイカ娘が持っていたゴミをダンボールの中にそっといれた。 


 「ゲソ!アワワワ…ピョ?ゲソォォ!」


ミニイカ娘は突然視界に入った人間の手を見ると腰をペタンとして恐怖の表情を浮かべ後ずさりするが、自分の持っていた海藻を置かれるとパァァ!と笑顔になり、人間の方を見てゲショ、とお辞儀をすると海藻をモグモグと食べだしたのだった。

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ミニイカ娘という生物 ②
第2話「お引越しは命がけでゲショ」





ここは関東のとある浜辺。






今日は雲ひとつ無い青空。

まだ5月というのに、まるで真夏のように日差しが強い。






本日は晴天なり。






「ゲッショ…ゲッショ…ゲッショ…」






1匹のミニイカ娘が両手に海藻を持って暑い砂浜の上を走っている。





「ゲジョォォオ!暑すぎでゲショ!このままこんな暑い砂浜の上を走り続けていたら大火傷しちゃうでゲショ」







あたちの名前はミニイカ娘でゲショ。



この砂浜で暮らし始めて何年でゲショか…。



ここからそう遠くない岩場の影にある砂とイカ墨で塗り固められた、ミニイカ集落であたち達は暮らしていたのでゲショ。


そこの集落では、約100匹位のミニイカ娘が暮らしていたんでゲショが、最近の暑さでもっと涼しい場所にお引っ越しをすることになったんでゲショ。







海辺で暮らす野良ミニイカ娘達にとって、引越しは命がけである。

砂浜には人間はもちろんだが、カニや他の虫達、空には腹を空かせた鳥達が常にエサがないかと目を光らせている。


ミニイカ娘達は同じ場所にずっとねぐらを構えているワケではなく、その場の状況次第でより住みやすい場所を探して引越しをするのだ。








今日の朝、お引越しをしていたんでゲショが、途中休憩であたちが岩陰にウンチをしに行ってる時にカラスの大群が来たんでゲショ…… 











――30分程前――


100匹はいるだろうか。

荷物を抱えたミニイカ娘達が綺麗に1列になって歩いていた。




「ふぅ~。だいぶ歩いたんじゃなイカ?皆の衆ここいらでちょいと休憩するでげしょ。」




「リーダー。

もうあたちは疲れて動けないでゲショよ…」





リーダーと呼ばれた1番先頭を歩いている他のミニイカ娘より一回り大きなミニイカ娘が一際大声で話す。その体つきは屈強で顔には至る所に傷が有り、歴戦の強者のような風格をうかがわせる。





「疲れたでゲショ。」

「お腹すいたでゲショ…」

「ゲショお……」

「もう動けないでゲショ……」






弱音を吐き出すミニイカ娘達。






実際にはまだ100m程しか移動してないのだが、ミニイカ娘達にとっては遠い距離なのだろう。

地面に倒れ込んでいる者や、肩で息をしている個体が多く目立つ。





そこに1羽のカラスが飛んできた。





「カー、あんな所にエサが沢山いるカー。仲間たちに知らせるカー」




するとバサッ!バサッ!とたちまち多くのカラスが集まって来て、ミニイカ娘達の周りを囲んだのだ。





「皆の衆!大変でゲソ!カラスの大群が押し寄せてきたでゲショ!!」


「ギャァァ!殺されるでゲショ!逃げるでゲショ!!」


「アワワワ…!」





慌てふためくミニイカ軍団。





腰が抜けてその場から動けなくなる者や、失禁脱糞してギャアギャア泣きわめくだけの者、四方八方にバラバラに逃げ回るミニイカ娘がいたりして大混乱だw






「皆の衆!!あそこの岩場に隠れるでゲショ!!走るでゲショ!」



「リーダー、無理でゲショ!みんな疲れて動けないでゲショよ!!ギャアアァ!!」





と、喋っていたミニイカ娘をカラスがパクっ!と咥えて空に飛んで行ってしまった。





「ぐぅ、まずいでゲショ、とりあえず穴を掘って隠れるでゲショよ!!」






リーダーが大声で他のミニイカ娘達に指示をする。





しかし、あちらこちらでミニイカ娘達がカラスに襲われてパニックに陥っており、走る所では無い。





もはや収拾不可能である。






「グゥ!子供たちだけでも助けたいでゲショが…!」





カラスに啄まれて青い血がドロドロ流れているリーダーミニイカ娘。これはもう助からなさそうだ。





「穴を掘ってこの子達だけでも助けるでゲショ!」





両手に子ミニイカを20匹程抱えてリーダーミニイカ娘が砂浜に穴を掘る。





そこに他のミニイカ娘が助けを求めてリーダーミニイカの服やら足やらを引っ張り始めたのだ。





「リーダー!助けて欲しいでゲジョォォオ!!血がダラダラ垂れてイタイイタイでゲジョ!死にそうでゲジョォォ!!」


「オマエ何自分だけ被害者ヅラカマしてるんでゲショか!あたちの方が重症でげしょ!どかなイカ!!」






リーダーを掴んだミニイカ娘達が自分を助けろと言わんばかりにお互いケンカをはじめてしまったのだ。






自分だけ助かろうという薄汚いミニイカ娘達、哀れである。







「お前たち、何をやってるでゲショ!あたちらはもう助からんでゲショ!子供達を砂の中に隠すでゲショ!そんなに群がったら穴が掘れないでゲショよ!!離れるでゲショ!!」





仲間達を諭すリーダーが喋ったその瞬間!






ブチっ!!






「ガ…ギョ!!」




大きなカラスがリーダーミニイカ娘の首を噛みちぎったのだ!!






「リーダー!!???」


「ギャァァァァア!!」


「オゴ、ガギギギギギ!」





リーダーがカラスに襲われると次々とミニイカ娘達はカラスに食い荒らされてしまった。





「ミュイ…キャソォ…?ギョ!」





リーダーの足元に落ちた子ミニイカ達はカラスの群れに踏み潰された。







「カーカー、こいつ硬くて不味いカー、ペッ!!」



リーダーミニイカ娘はその屈強な体から硬く、まずかったのか、カラスはリーダーミニイカ娘の首をペッ!と吐き出した。




リーダーの首が無くなった胴体に無惨な首がグショリと落ちる。




しばらくすると、ミニイカ娘達を食い荒らしたカラス達は満足したのか帰って行った。





静まり返る惨劇場を岩陰で用を足していたミニイカ娘が覗き込んでいる。





「なんか騒がしいと思って見てたらヤバいことになっていたでげしょ…だからあたちは夜移動した方がいいんじゃなイカ?って言ったのに…」






このミニイカ娘は仲間達が襲われている現場をただただ震えながら見ているしかなかったようだ。




「ヤツらが戻ってきたら大変でゲショ。とはいえ目的地もまだ先でゲショし…危険でゲショが、あっちのニンゲンのクルマが走ってる方を渡って草むらの中に隠れるでゲショ。」





ミニイカ娘はアワワワとなる声を押し殺して、死ぬ気で持ってた食料の海藻を握りしめながら人間の領域に足を踏み入れた。





「ゲッショ、ゲッショ、ゲッショ…!」





道路に着くと車がビュンビュンと往来していた。




今日は日曜日で出かける人や観光客の車が行き交う時間なのか、車の往来が激しい。






「ひい~こんな所渡れないでげじょ!!渡った瞬間ペチャンコになるでゲソ!」






と、思った以上に危険なその場を見てしまったミニイカ娘。ガクっと膝から落ちる。






「エーンエーンエーン!!もう終わりでゲショ!あたちはここで飢え死にするんでゲショ!!ウワアアン!!」








泣き崩れるミニイカ娘。






もはや泣くことしか出来ない。













どれぐらいの時間が経過しただろう。









そこにハッハッっとジョギング中の青年が通りかかった。





「ん?誰かいるのか?変な泣き声が聞こえるぞ…」





おそるおそる声のする方に行くと、岩陰で泣き崩れたのか、目元を真っ赤に染めて気絶しているミニイカ娘を発見したのである。




「これはもしかしてミニイカ娘か?なんでこんな所に一人でいるんだろう」





プニ、プニ、とミニイカ娘の頬を指で突くがう~ん、う~ん、と唸るだけで反応がない。




「群れからはぐれた?迷子か?」





考える青年。





「昼寝をするにしてもこんな暑い日だしなぁ、それになんか苦しそうな顔してるぞ」






目の前のミニイカ娘はほおっておくとそのまま干からびて死にそうな気がしたので、ヒョイっとその体を掴むと、身に付けていたポーチにミニイカ娘をそっと入れた。






「とりあえずウチで保護してやるか。飼い方よくわかんないけど」








青年は自宅に向かい、足早に走り出したのだった。












ミニイカ娘の引っ越しは命がけである。

常に危険と隣り合わせなのだ。


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ミニイカ娘という生物 ①
第1話「ミニイカ娘という生物」 



早朝の日曜日。 


まだ朝の五時で朝日が差してきてとても気持ちがいい。 

俺は日課のジョギングをしていた。 

先月、海沿いの街に引っ越してきて毎朝健康の為に走っているのだが、
たまには海辺を走ろうと思い、
波の心地よい音を聞いていると何やら変な声が聞こえてきた。 




 「ゲッショ、ゲッショ、ゲッショ…」 




誰かいるのか?と思い岩陰を覗くと、

小さな生き物がゾロゾロと動いているではないか。 



これはもしかしてミニイカ娘か? 






 ―――ミニイカ娘とは――― 



現在2025年。 


今から15年ほど前に発見され、
その可愛い容姿と人間のような表情豊かな愛嬌を振りまくことから可愛いペットとして珍重されてきたのが、 この【ミニイカ娘】である。 

2010年程に発見されたミニイカ娘は、様々なメディア機関や研究機関によって報道、研究され、養殖方法等も確立され、人々の身近な存在となっていった。 

発見当初は関東の一部の地域でしか生存が確認されなかったが、数年もすると全国で生存が確認されたのだ。
研究によると、人間と同様の器官が多数ある為、地球外生命体の襲来か?と危惧されたりもしたが、どうやら現在に至るまで人類の存在を脅かす行動はないようだった。

しかし、このミニイカ娘という生命体はどうやら【エビ】が大好物のようで、漁業関係者によると、ありとあらゆる海老を食い散らかす【害獣】として大変駆除に追われていたらしい。 

某チェーン店の100円寿司からは海老が無くなり、よもや高級食材の仲間入りを果たしていた、なんてこともあったらしい。 

とはいえ、駆除しても居なくならず、食材としては中々美味しく、そして可愛いペットにもなる、その可愛らしい姿から各地で観光名物にもなる、
となると日本政府は【特定外来生物】に指定するのも難しいようで、
ミニイカ娘に関してはほぼほぼノータッチの状態であったのだ。 

時は流れ2025年。 

ミニイカ娘も駆除されたり、扱い方法が一般的になってきて久しい。

野良のミニイカ娘は漁業関係者に駆除されるか、
食材として扱われそれなりの地位を得たようだ。 

野良のミニイカ娘を捕まえたければ、エビせんを持って海岸に行けば捕獲できる。

ミニイカ娘をペットにするという人も普通にいる。

だがしかし、野生物は扱いが難しいらしく、
初心者はもっぱら養殖物の、ペット専用ミニイカ娘から飼い始めるらしい。

ペット専用は幼体で1匹辺り1万円程。

発見当初は1匹数百万近くしていたようだが、

ご覧の通りの繁殖力が確認されてからというもの、

値段は一気に大暴落したようだ。

しつけ方法にも異なるようだが、海老が大好きなので、大好きな海老を与え続けると、えび代で家計が圧迫されることは必須。

だが安心してほしい。


このエビは川などにいる藻海老や川エビ、ザリガニやアミエビ、オキアミ等でも大丈夫なのだ。 

ここで読者は疑問に思うだろう。 
ミニイカ娘のおかげで【海老】は高騰しているのでは?と。

実はミニイカ娘は自身でエビを捕獲することが大変困難なのだ。
その小さい体長と、うねうねと動く髪の部分の触手は適用範囲が狭く、
なんの為に付いているのか分からない程無力なのだ。 

分かりやすく言うと触手は自身の手足、
物を持ったり食べたり、身体の手入れをする事ぐらいにしか使えない。



何とも哀れな生き物なのだ。 



では野良のミニイカ娘はどうやって生きているのか?

研究機関によるサンプルの解剖結果によって分かった事らしいのだが、
野生の個体は海辺の藻屑や海藻、プランクトン等を食べて育っているようだ。

さらには、人間の漁によって水揚げされたエビを食い散らかしていたこともある。

しかし、現在では駆除方法も確立されていて、
ミニイカ娘もエビを盗むと人間に殺されるという事を学んでいるので、そう簡単にはエビにはありつけない。 

とはいえ、ペットのミニイカ娘の平均寿命は未だ確確立はされていないが、
15年経った現在でも生きている個体が大多数程と言い、単純計算だと15年生きている。 

 これはあくまで大切に育てられた個体の話だ。 

野生でも大自然の中で危険がなくひっそり暮らせた貴重な個体は、
15年たった今でも生き長らえることができているという。

ただその数は少数だ。 

 しかし、野生動植物に食べられたり、
人間社会に侵入してきて車に轢き殺されたり、子供の玩具にされて殺されたりするので、こういう個体はせいぜい生きられて2.3年だ。 


 あまりに短い一生。 


2~3年なのは、生まれてから成体になるまで2年かかるせいだ。



つまり1年で死ぬ。



 といっても、これは早々に死んでしまう個体のことで、
大多数は自分たちの縄張りを持ってひっそりと暮らすので、5年ほどは生きることができるとの事。 



 それでも5年だ。 


 話は変わるが、

ミニイカ娘は基本は水色の髪と両腕に腕輪、白いワンピースなのだが、もう一種類、 

 【黒いミニイカ娘】

が存在する。

 この個体については様々な研究がされているが、未だに確立的な結果は出ていない。
 いちばん有用なのは、

[共喰い]

をすると遺伝子が変化して黒くなる、というものだ。 
 ミニイカ娘は基本的には共喰いはしないのだが、極度の飢餓感を感じるとごく稀に共喰いをしてしまうという。 

 さらには強制的に同族を喰わせると低い確率で、黒いミニイカ娘に変化するというものだ。

 ミニイカ娘にはその可愛らしい愛嬌から大変可愛がられるが、
それをよく思わない者たちも一定数いる。 

 ここの読者ならご存知だと思うが、、、



そう。 




【虐待】




されるのだ。 

 可愛らしい見た目、人間によく似た表情、仕草、全てが嗜虐心をくすぐられるのだ。 

 これは勿論だが、普段虐待等は絶対にしない人間にも躊躇に現れる。 


 筆者もそのひとりだ。


今回はこのミニイカ娘の虐待、飼育、生体記録を余すことなく、 文章にしていきたいと思う。
edited by青い虐待師 at