今日はサークルの新年会。余興をやらなきゃいけない俺は何をするか考えていた。
しかし、今朝俺の部屋に侵入してきた一匹の泥棒ミニイカ娘。こいつのおかげでとてもいいアイディアが浮かんだ。
捕獲された泥棒ミニイカ娘は瓶の中で半べそをかきながら女座りしている。部屋に侵入したことを後悔しているのか、俺へ同情を誘発しているのかは知らないが、反省とは程遠い感じだ。
まぁいいさ。今夜の主役は出番までゆっくりしていてくれ。こっちは時間に余裕はない。
俺は昨年の年末に放送されたお笑い番組のワンシーンをこのミニイカ娘で再現したく、早急に余興の構成・準備にとりかかった。
そして夜。新年会も中盤に差し掛かり、いよいよ俺の余興の番だ。
俺「みなさま、これよりミニイカ娘ショーを開催しま~す!!でわでわ、主役のミニイカちゃんの登場です!」
俺は挨拶と同時に虫かごの蓋をあけた。サークルのメンバー逹の拍手に迎えられ、ミニイカ娘がゆっくり出てくる。腕輪とワンピースはすでに処理して全裸だ。
知らない風景、酔って赤ら顔で注目してくる人間逹、そこに全裸の自分。そのはじめての状況にミニイカ娘は硬直している。俺はそんなミニイカ娘を無視して余興の本題に入った。
俺「このミニイカ娘。何がスゴいかって、熱々の皿うどんを素手で食べることができるんです!!!」
メンバー1「皿うどんいうたら…長崎のあれか?」
メンバー2「おおっ!スゲー!がんばれ~!!」
盛り上がる場内。俺は用意していた皿うどんに熱々の中華餡をかけた。ミニイカ娘が食いつくようにムキエビを大量に入れた特注品だ。
「ハワァ…ゲショ~~~!!!」
目の前で盛り付けられるエビまみれの皿うどんに、ついさっきまで硬直していたミニイカ娘も過敏に反応を示す。自分の置かれている状況など完全に忘れてヨダレを垂らして呆けた顔をしている。
朝から餌を与えていないから無理もないか。
俺「ではスタート!」
俺はミニイカ娘に笑顔で皿うどんを差し出した。それをGoサインと感じとったミニイカ娘は大口を開けて皿うどんのエビを両手で掴んだ。
「ピピピピギェェェ!!!!」
熱々の餡はミニイカ娘の両手にこってりとまとわりついた。あまりの熱さにミニイカ娘は掴んだエビを地面に叩きつけた。
「ゲショ…」
涙ぐみながら真っ赤になった両手にふぅふぅと息をかけるミニイカ娘。しかしエビへの欲求は捨てられない。
再び皿うどんの前に立ちはだかり、今度は触手を使ってエビを恐る恐る掴もうとする。
ミニイカ娘はビクビク震えながらも触手でエビを掴む。しかしまだ熱々状態の餡は触手に絡み付く。
「ピピピィ!!」
弱々しい鳴き声と共に再びエビを投げ捨てた。
「コラー!素手でやれよ!!」
「食べ物捨てるなオラっ!!!」
メンバーたちからブーイングの嵐。ミニイカ娘は罵声の中、ヒックヒックと泣き出してしまった。そしてここでタイムアップ。
俺「しゅ~りょ~!!ミニイカ娘選手、完食ならず!!」
俺「自分の不甲斐なさに泣き出したミニイカ娘選手。皆さん、この弱虫にもう一度チャンスを頂けないでしょうか?」
罵声は嘲笑するような拍手に変わった。
俺「ありがとうございます!ではリベンジです!3、2、1、ゴー!!!」
カウントダウンのあと、俺は泣いているミニイカ娘の顔面にデコピンを食らわした。
「ピピッ!!!!」
デコピンは顎にクリーンヒット。ミニイカ娘はアッパーを食らったように放物線を描いてぶっ飛んだ。
そしてぶっ飛んだ先にはまだ湯気がたつほどの熱々の皿うどん。
「ブベッ!!」
熱々の皿うどんの中心部に頭から突っ込んだミニイカ娘は逆さ状態で熱々の餡の中でもがいている。
「ブハッ!!」
なんとか頭を抜いたミニイカ娘。しかし、触手は熱でピンク色に変色して縮み上がり、身体中に餡や野菜や麺がまとわりついている。
俺「おーっと、これは朝顔ドレスならぬ餡かけドレスだ~!非常にオシャレです!!」
メンバーたちは爆笑して拍手した。当のミニイカ娘はヌルヌル熱々の餡に足を取られ地獄から抜け出せずにもがいている。
俺「ではここで替え玉タイム!」
俺はもがいているミニイカ娘の頭に揚げたての麺をのせ、熱々の餡を再びぶっかけた。
「ピィィィィ!!!」
断末魔と思える鳴き声も大量の餡にかき消され、完全にミニイカ娘は静止し皿うどんの具の一部として見事に生まれ変わった。
俺「お待たせしました~!ミニイカ皿うどん完成で~す!」
俺は皿うどんに埋もれたミニイカ娘を丁寧に解体し、酒宴のシメとしてメンバーたちに振る舞った。メンバーたちは大満足。
こうして俺の新年会の余興は大成功を納めた。まったく今年もミニイカ娘に世話なりそうだぜw
終わりです
「ゲショゲショピ!ゲショゲショピ!」(ご主人様、お腹すいたでゲショ!エビ食べたいでゲショ!)
飼い主「お、ミニイカちゃんお腹すいたの?弱ったな…今ちょうどエビを切らしちゃって…おにぎりでもいいかな?」
(イヤでゲショ!エビでなきゃ食べないでゲショ!)
飼い主「ごめんね。今、夜中だからお店やってないんだ。えびせんでよかったらコンビニまで行ってくるよ」
(ホンモノのエビが食べたい気分なんでゲショ!!えびせんなんて食べたくないでゲショ!!)
飼い主「ホントにごめんね。困ったな」
(エビくれるまで泣いてやるでゲショ!ウエーンエーンエーン!!)
飼い主「しょうがない…アレを使うか。は~い、ミニイカちゃん。すぐ終わるからね~。そのまま動かないでね~」
プシュ---
「ゲショ!?ゲショゲショ!!ゲショ…zzz…」
(なんでゲショ!?このスプレーは!!すごく眠いでゲショ…zzz…)
ミニイカ娘の大ブームが一段落した昨今、予想されていた問題点が浮き彫りとなった。延々とかかる餌代・鳴き声による騒音、全てはミニイカ娘のワガママな性質が発端となっていた。
ただ、臆病な性格上、かなり厳しい躾を施せば改善できる問題ではあった。しかし、多くの飼い主はそれを虐待と拒絶し、結局野放しのままで頭を抱える状態が続いていた。
そんな問題を解消すべく新しい商品が開発された。
『ミニイカ娘安眠スプレー』
使い方は至って簡単。ミニイカ娘に吹き付けるだけ。これで数秒後にはミニイカ娘は睡眠状態に陥る。睡眠と言っても軽い睡眠ではなく植物人間ならぬ植物イカ状態になり、故意に起こさない限り半永久的に眠り続ける優れもの。
しかも眠り続けている間は餓死することはない。これはミニイカ娘唯一の優れた能力、150年生きる強い生命力があってのものだ。
ミニイカ娘の性質を網羅したこの商品は瞬く間に大ヒットし、躾や食費に困った飼い主たちの救世主となり、第二次ミニイカ娘ブームの火付け役ともなった。
では、眠ったミニイカ娘をどのように起こすか?これも至って簡単。ミニイカ娘を水の中に沈めるだけ。生命の危機を感じたミニイカ娘は一瞬で眠りから覚め、慌ててもがき苦しみます。
この扱いの容易さが大ヒットにも繋がったのかも知れない。
数日後
飼い主「さて、そろそろミニイカちゃんを起こすか…それっ!」
(…!!なんでゲショ!?水の中じゃなイカ、苦しい…)
飼い主「ミニイカちゃん、おはよー!目覚めはイカが?」
(最悪でゲショ!!死ぬかと思ったじゃなイカ!)
飼い主「ハハッ、相変わらず元気だな。だいぶ前に約束してたエビをあげるよ」
(エビ~!ご主人様最高でゲショ~♪モグモグッ…もう無くなったでゲショ。おかわりくれなイカ?)
飼い主「もう食べちゃったの?今日は一匹しか用意してないんだ」
(足りないでゲショ!早くおかわり出さないと大声で泣いてやるゲショ!!ヒック、ヒック…)
飼い主「やばい、また泣き出しそうだ。ごめんね、ミニイカちゃん。また少し眠っててくれる?」
プシュ~
(?またでゲショ…オネムがしたいでゲショ…zzz)
飼い主「やれやれ、しかし、こいつのワガママにも呆れたな…」
数ヵ月後
(…?雨でゲショか…??…ブフェッ!!!)
飼い主「ごめ~ん、ミニイカちゃん。起こしちゃった?観葉植物に水あげようと思ったら、じょうろひっくり返しちゃって…」
(ひどいじゃなイカ!あんまりでゲショ!このお詫びはエビ10匹くれないと許してあげないでゲショ!)
ウー、ワンワン!!!
(ギャピ!お主は誰でゲショ!?ちょっとご主人様!どうしてワンワンがお家にいるんでゲショ!?)
飼い主「そうか、お前にはまだ紹介してなかったね。ひと月前に友人から譲ってもらったジョンだ。新しい家族だよ」
(ひどいでゲショ!ワタシもここの家族でゲショ!ペットなんて飼うのは反対でゲショ!)
ワンワンワンワン!!ハッハッ
(ひっ!)
飼い主「ジョン!散歩に行きたいのか?よしよしっ、公園でも行こうな」
(ワタシもお散歩したいでゲショ!オネムばっかりで体がイタイでゲショ!)
飼い主「さて、五月蝿いコはおネンネの時間ですよ~」
(もうそのお薬イヤでゲショ!床擦れで体がイタイでゲショ!イタくて怖い夢ばかりみるでゲショ!)
プシュ~
(寝たくないでゲショ…サメの夢怖いでゲショ…いいコにするから許して…zzz)
150年後
姉「これ、ひいじぃちゃんが言ってたミニイカ娘じゃない?」
弟「すっげ~!今じゃほとんど駆除されたのにね」
姉「ひいじぃちゃん、置いた場所忘れたって言ってたけど、物置の奥にしまってたなんて、よっぽど邪魔だったんだね」
弟「せっかくだから起こしてやろうよ」
姉弟はミニイカ娘を水の入ったバケツに放り込んだ
(……!!!!ブヘブヘブヘ!!)
姉「目覚ました!掬ってあげるね」
弟「ブヒブヒだって!ブタみたい」
(…ここは…どこでゲショ??)
目を覚ましたミニイカ娘だが、次第に身体に異変が訪れた。
(…?体が動かないじゃなイカ…)
150年眠り続けたミニイカ娘。目覚めたと同時に一気に老衰が進んだ。
(おメメが見えないでゲショ…ワタシ、死んじゃうでゲショか…?)
姉「あら、動かないよ。死んじゃった?」
弟「寿命じゃないの?あとで処分しなくちゃ」
(ワタシの…人生は何だったんでゲショ…返してくれなイカ…)
ワガママなミニイカ娘を抑制する為に開発されたミニイカ娘安眠スプレー。
果たしてワガママはミニイカ娘だけだろうか。それとも…
男1「どうも先生。お招き頂いてありがとうございます。本日はよろしくお願いいたします。」
女「こちらこそ。どうぞ座ってください。」
男2「失礼いたします。」
昼下がりの閑静な住宅街。秀麗な婦人と記者風の男二人が談笑をしている。
そのテーブルの上には綺麗なドレスを着せられたミニイカ娘がちょこんと鎮座していた。
齢五十を越えているであろう、この婦人は、今、注目を浴びている環境保護団体『ミニイカ娘平和の会』の主宰を勤めている、言わば会長である。
そしてこの会長にインタビューをしている二人の男は、地域密着型の情報誌を発行している、編集長と記者兼カメラマンである。
取材は穏やかに進んだ。
編集長「では率直にお聞きします。団体としての今後の展開は?」
会長「何よりミニイカ娘の地位向上です。」
編集長「地位向上とは?具体的に…」
会長「すべてのミニイカ娘に人間と変わらない権利を約束します。さて、ところで皆さん。ミニイカ娘と聞いてまず最初に何を思い浮かべます?」
編集長「まぁ、一般的には近年人気のペット。あと貴重な水産資源ですかね。」
会長「私達はそのイメージを真っ向から否定します。ミニイカ娘は泣くことも、笑うことも可能な上、二足歩行で行動し、卵生では珍しく子育てもします。
非常に人間に近い生物で、豊かな感情、高い知能を持つ自然界においても稀に見る優秀な生物です。」
さらに会長は続けた
「はるか昔の学会でミニイカ娘をイカの仲間と位置付けして以来、ペットにされたり、食用にされたり、悪戯の対象にされたりと我々人類はミニイカ娘に対して悲惨な扱いをしてきました。
私たちはそんなミニイカ娘を解放・保護し、人類と手を繋いで『地球市民』として共存共栄していく未来を目指しております」
編集長「…なるほど」
会長「あまり納得されていないご様子ですわね。ではミニイカ娘がいかに優秀で高等な知能を持っている生物か御覧にいれて差し上げましょう。マリーさん、ご用意なさい」
会長の言葉にマリーと名付けられたドレス姿のミニイカ娘が立ち上がり、そそくさとテーブルの端に置いてあった小さな模型のようなグランドピアノまで移動した。
そのピアノは小さいながら精巧に作られたミニイカ娘専用のピアノであった。
ドレス姿のミニイカ娘はピアノの前に座ると、両手と触手を使い器用に鍵盤を鳴らしはじめた。
編集長「ほぉ~、こいつはたまげたなぁ」
御供の記者もカメラの撮影をはじめる。
演奏を終えたミニイカ娘は一礼して再び会長の近くに鎮座した。会長は満足げな表情で
「いかがかしら?『蛇足』と揶揄される両手と発達した触手を使い、人が演奏するよりも深い音色を奏でることが出来ますの」
編集長「いや~、素晴らしい」
会長「演奏出来るようになるまではとても長い道のりでした。でも、ミニイカ娘本来の高い知能、そして私との信頼し合える関係を築いたことにより、みるみると上達していきました。おかげで多少の会話もできますのよ」
会長は得意げに話した。そんな中、部屋のドアをノックする音と共に秘書らしき女性の声が聞こえた。
「会長。お電話です」
会長「わかりました。ごめんなさい、少し席を外します。ごゆっくりなさってね」
会長は編集長たちに会釈すりと、静かにその部屋から立ち去った。
部屋には男二人とマリーと名付けられたミニイカ娘だけになった。
「ふぅ」
会長が部屋を出た瞬間、編集長は溜め息をついた。カメラマンの男も肩を撫で下ろした。
編集長「…おまえ、気づいた?」
記者「…はい」
二人は小声で会話する。
編集長「あの触手の動きと音色、完全にズレてたよな…」
記者「僕も途中で『マズいな…』って感じました」
編集長「はぁ~…」
次は大きな溜め息をついた。
無理もない。この二人は本当ならばこの団体の裏側、黒い噂を徹底調査する予定であった。再来月号の目玉記事として特集を組んでいたのである。
しかし取材を重ねるうち、団体に勘づかれたのか、会長宅に直々に呼び出されてヘタに動くことができなくなってしまったのだ。
編集長「…しょうもないミニイカ娘のヤラセお遊戯まで見せられてよ。このままじゃ単なる団体の宣伝記事だわ…」
記者「でもこの団体の黒い噂って本当なんですか?」
記者の何気ない問いかけに、編集長は部屋に飾ってある額縁を指差した。
編集長「あの写真見ろよ。去年の団体の決起集会の写真だ」
記者は編集長の指差した額縁の写真を凝視した。
記者「あら~、あれは某暴力団幹部ですね。あ、問題の絶えない国会議員もいますね」
編集長「ほら、その斜め後ろには最近引退した某司会者も写ってるだろ。結局、環境保護団体なんて仮の姿。ホントにいったい何が目的なのやら…」
記者「ミニイカ娘なんかに権益が絡むんですかね? 」
編集長「わかんねえ。…しっかし、お前は本当に優秀な生き物なのか?ミニイカちゃんよ…」
編集長はドレス姿で鎮座しているミニイカ娘に問いかけた。目があったミニイカ娘は
「ゲショ~?」
と言葉を理解出来ていないような返事が返ってくる。
編集長はまたまた深い溜め息をつくと、取材前に出されたお茶に飲み、テーブル中央に置かれたお茶菓子の封を開けた。
編集長は小袋に入った高級そうなエビあられを指で摘まんだ。
「ゲショ~!!!」
つい今まで大人しく座っていたドレス姿のミニイカ娘が目を輝かせながら立ち上がり、編集長のほうに駆け寄った。
編集長「ん!?なんだコイツ?これが欲しいのか?
編集長はミニイカ娘の目の前に手に持っていたエビあられをちらつかせた。
ミニイカ娘は触手で乱暴にそれをぶん取ると、ガリガリと齧りだした。
エビあられは一瞬で胃に収まった。しかし、ミニイカ娘は物足りないのか、ゲショゲショと茶菓子の入った器に近づき、中のお菓子を物色しはじめた。
触手で小袋を開封し、中身が豆あられや海苔あられなら「チィッ!」と、不満げな表情で投げ捨て、エビあられを見つけると迷わずに口に放り込んだ。
突然の出来事に編集長と記者は呆然と見つめていたが、一瞬の沈黙のあと、
編集長「ははは!!これはヤンチャなやつだな!やはりミニイカ娘はこうじゃないと!」
編集長の高笑いと共に記者は、エビあられを貪り食っている姿や、気に入らないあれを放り投げている姿などを次々にカメラに収め続けた。
会長「お待たせいたしました…。……!?」
会長は部屋に戻ると、その惨状を見るや絶句してしまった。テーブルの上のミニイカ娘はドレスが張り裂けそうなほどパンパンに膨らんだ腹を抱え至福の表情を浮かべている。
回りには破れたお菓子の小袋や投げ捨てた残害が一面に広がっていた。
「マリーさん!!!!」
会長は大声で寝転がっているミニイカ娘を怒鳴りつけた。急な怒声に驚いたミニイカ娘は、ビクッ!と体を震わせ我に返った。
すると今度は、ミニイカ娘は驚いた表情から一変して真っ青な表情になった。食べ過ぎで膨れ上がった腹を抱えながら苦しそうに唸り声をあげている。
そんなミニイカ娘に次の生理現象が襲いかかった。
ブリブリブリブリブリュリュッッッッ!!!!
けたたましい音が部屋中に響いた。その音とともにミニイカ娘の下半身から大量の糞尿が溢れだした。
あまりの惨状に会長はヘナヘナと腰から崩れ落ちた。
全てを出しきったミニイカ娘はスッキリした表情で寝転がっていたが、会長の果てた姿が視界に入るや、慌て立ち上がり、狼狽しはじめた。
「いや~、これは愉快ですな~」
編集長が笑顔で手を叩く。
編集長「流石のミニイカ娘も食欲には勝てないんですねぇ~!やはりトイレトレーニングは難しいでしょ?
チンパンジーですら教えるのは難しいそうですからね~!」
溜めていた鬱憤を晴らすかのように編集長は捲し立てた。
記者はここぞとばかりにカメラを撮り始めた。
編集長「今回はペットのミニイカ娘の野性的な姿を垣間見れることができて良かったです」
編集長の皮肉に会長は笑顔を取り繕いつつも、頬はピクピクと震えていた。
そして取材は終り、男二人はミニイカ娘の糞尿の臭いが立ち込めた部屋を後にした。
会長は二人を見送ることもなく、眉間に幾つものシワを寄せ、窓から遠くを見つめていた。
ここはとある海岸。夏のある日、この浜辺を2匹の野生ミニイカ娘が仲良くと歩いていた。
この2匹の行く先は、干潮時に海岸に出現する潮溜まりだ。
ここいらの野生のミニイカ娘達は干潮時を見計らって潮溜まりで海水浴を楽しんでいる。
ミニイカ娘は泳ぐことは出来ないものの、海洋生物らしく海水への執着は強い。
干潮時に出現する潮溜まりはミニイカ娘にとって唯一海水を堪能できる場所で、波にさらわれる恐れもなく、サメなどの天敵もいない。
よってこの時間帯の潮溜まりはミニイカ娘専用のプライベートビーチと化する。
この2匹は同胞たちでごったがえするいつもの海岸から少し離れた潮溜まりを目指していた。
ひと夏の冒険と言った感じだろうか。
「着いたでゲショ!」
「誰もいなくて最高じゃなイカ!」
静かな海岸に歓声が響く。遥か遠くの海岸線からは優しい波の音が聞こえる。
この2匹は誰も邪魔することのできない楽園に足を踏み入れた。
2匹は潮溜まりの水面に足をつけ、パシャパシャと水を掛け合って遊んでいる。
勿論泳ぐことは出来ないが、水遊びは大好きなようだ。
そのうちの一匹がお腹くらいまで水に浸かった。もう一匹はその場で待機している。
ミニイカ娘は海水浴をする際、最低でも2匹で行動する。そのうちの一匹が監視役を勤め、
遊泳中のミニイカ娘が溺れたときに、すぐさま触手で助けれるように待機しておくのだ。
この地域に生息するミニイカ娘達の生活の知恵とも言える。
この2匹も交代ごうたいで水遊びを楽しんでいた。すると水浴びをしていたほうの1匹が水中で動く何かを見つけたようだ。
「ゲショ?」
潮溜まりの底のほうに数匹のスジエビがいた。
稀にこういう副産物もあるのが潮溜まりの魅力なのだ。
「ゲッショ~♪」
冒険と水遊びでお腹を空かせたミニイカ娘は、スジエビを見つけるや、無心で深い部分に入っていった。
ブビャブビャブビャ!
やはり一瞬で溺れてしまった。足が付かないため必死でもがいて、もう一匹の助けを待った。
しかしその後方から同じようにバシャバシャともがく音がする。
するとそこには監視役として待機している筈のもう一匹の溺れている姿があった。
「なんでお主が溺れてるのでゲショ!監視役じゃなイカ!」
「お主がこっそり海に潜っていったから怪しいと思ったんでゲショ!」
「あのエビは私が見つけたんじゃなイカ!横取りはイカんでしょ!」
「ならとっくに交代の時間でゲショ!早く私を助けるでゲショ!」
醜い争いは続くも、2匹を助ける仲間はこの楽園にはいない。
その2匹の危機を感じ取ったのか、スジエビの群れがゆっくりミニイカ娘に近付いていく。
スジエビ達は溺れているミニイカ娘の身体にとりつき、獲物を補食するように啄み始めた。
「お主ら痛いじゃなイカ!離れるでゲショ!」
「痛いでゲショ!エビに食われるイカなんて末代の恥でゲショ!」
2匹のミニイカ娘は全身エビまみれになりながら、その重さによってゆっくりと潮溜まりの底へと沈んでゆきました。
数時間後、帰りの遅い2匹を探しに仲間達がこの海岸を訪れました。
しかし、潮溜まりは既に海の中に消え、2匹の遺体もスジエビの群れに食べ尽くされてしまい何も残らなかったようです。
やがて海は自然の厳しさを取り戻していくかのように大きな波が押し寄せるのでした。
おわり
猛暑日が続く8月のある朝、一台の軽自動車が車道を走っていた。
運転しているのは三十路過ぎの女性。金髪で顔はノーメイク。全身はスウェット。
車内で煙草をふかしながら、カーステで大音量の音楽を流して運転している。
お世辞にも上品と言い難い女性のすぐそばで、場違いな笑顔の小さな生き物の姿が。
ミニイカ娘だ。
ミニイカ娘はダッシュボードの上にちょこんと座り、終止笑顔でドライブを満喫しているご様子だ。
「今日はご主人様とドライブでゲショ。イイ天気で最高でゲショ!」」
「ご主人様はいつも殆ど遊んでくれないから今日はたっぷり甘えるでゲショ!」
「車は速いでゲショ!故郷の同胞たちにも見せてやりたいでゲショ!」
ゲショゲショと上機嫌のミニイカ娘を一切無視する女性飼い主。
いや、完全に耳に入っていない。これから向かう目的地に心が行ってしまっているようだ。
程なくして車は停車した。着いた先は
『パチンコ・スロット れもん』
国道沿いに近頃オープンしたパチンコ店だ。
その建物の豪華な外観を見たミニイカ娘は
「ゲショ~!!大きなお城でゲショ!」
「今日はここでパーティーでゲショ??」
「お姫様になった気分じゃなイカ?」
テンションも最高潮に上がり、ゲッショゲッショ~♪と小躍りを始めている。
そんな事などお構いなく、飼い主の女性は車のキーを抜くと
ミニイカ娘を車内に放置したままお店の方にスタスタと歩いて行くのでした。
「ゲショ~!?ご主人さ~ま~!!」
車内のミニイカ娘に振り向くことなく、女性は派手な建物の奥へと消えていきました。
数時間後、車内ではミニイカ娘が助手席の上でへたり込んでいました。
時刻はお昼を過ぎ、ますます日差しは強くなっています。
「暑いでゲショ~!蒸し風呂じゃなイカ・・・」
「ご主人様、帰って来ないでゲショ・・・」
「仕方がない、こんな時はご飯でも食べて暑さを忘れるでゲショ・・・」
車内に置き去りにされたミニイカ娘は、少しでも暑さを紛らわそうと
女性のポーチからえびせんを取り出しカリカリと食べ始めました。
ところが、三本目のえびせんを口に入れた瞬間、ブハッ!と咳き込んでしまいました。
どうやらえびせんが口の中の水分を全て吸い取ってしまったようだ。
「お口の中がカラカラでゲショ!」
「誰かお水をくれなイカ?」
「ご主人様早く帰ってきてほしいでゲショ~、ウッ、ウッ・・・」
ついにミニイカ娘は泣き出してしまいました。泣くことで無駄に体力や水分を奪われるとも知らずに。
そんな中、ミニイカ娘は何かを発見しました。ガラス容器に入った香水がさっきのポーチから顔を出していました。
「お水でゲショ~!!!」
中身を水と勘違いしたミニイカ娘は、そのガラス容器を必死で開けようとしました。
しかし、触手を巻きつけても開くことはなく、腕輪でガンガン叩いてもビクともしません。
業を煮やしたミニイカ娘は触手を使い、ガラス容器をフロントガラスに思いっきり投げつけました。
バシャン!!
ガラス容器は見事に砕け散り、中身の液体も零れ落ちました。
フロントガラスにも大きなヒビが入りましたが、ミニイカ娘は気にもかけず液体の方に走ります。
砂漠でオアシスを見つけたかのようにミニイカ娘は液体を躊躇なくゴクゴクと飲みました。
すると・・・、
「ゲエエエェェェ・・・!!」
「苦いでゲショ!!臭いでゲショ!!気分が悪いでゲショ!!」
香水を一気飲みしたミニイカ娘。気分が悪くなって衰弱してしまいました。
さらにそれから数時間経ちました。車内は軽く40℃を超えています。
ミニイカ娘は直射日光を避けるため、さっきのポーチを日除けにしてご主人様の帰りを待ちました。
喉もカラカラで呼吸することすらやっとの状態です。
そんな中、建物から飼い主の女性の姿が現れました。
パチンコの戦績はあまり良くなかったのか、それが夏の暑さと相まって、かなりご機嫌斜めのようです。
女性はキーを開くと、少し乱暴にドアを開けました。
「ゲッ!!!!」
女性は驚愕しました。車内からモワ~ンと漂う香水のキツい臭い、
割られた香水、そしてヒビの入ったフロントガラス・・・
ご主人様に気づいたミニイカ娘は力を振り絞って立ち上がり、
「遅いじゃなイカ!!暑かったでゲソ!!」
「早くお水がほしいでゲショ!!」
と、ゲショゲショ猛アピールを始めました。
すると、女性は
「オメー、何してくれたんだ!!アー!?」
「車ん中ムチャクチャにしあがって!留守番もできねーのかよ!!」
と、ミニイカ娘を怒鳴りつけました。
ミニイカ娘はあまりの迫力に震えながらも、
「誤解でゲショ!お話を聞いてくれなイカ?」
「とりあえず、お水が飲みたいでゲショ!お水・・・お水・・・」
必死に弁解するが、女性には通じない。
女性は、
「お前、ゲショゲショばっかでわかんねーんだよ、この低能!!」
と言い放ちます。
ミニイカ娘は水を貰うため、必死で人間の言葉を喋ろうとしました。
「ゲショ・・・オミジュ・・・オ、ミ、ジュ・・・」
するとその人間語?を聞いた飼い主は顔が真っ赤になり、ピクピクと引きつり始めました。
「テメー、今なんつった・・・?」
「お水、お水だと?どこでそんな言葉覚えた・・・」
さっきより明らかに豹変していく口調にミニイカ娘はアワワと腰を抜かしてしまいました。
「確かに私はお水だよ。場末のスネックの人気のないホステスだよ!!」
「でもなぁ、オマエなんかに馬鹿にされる筋合いねーんだよ!!」
「オマエだって常連客が飼えなくなった、って言うから嫌々引き取ってやったのによ!」
「口を開けばエビエビ、挙句に飼い主の車メチャクチャにしてお水呼ばわりか!!!」
「とっとと、死にやがれ!イカの出来損ないがっ!!」
女性はミニイカ娘を掴み揚げると、駐車場の焼けたアスファルトに思いっきり叩きつけました。
「二度と来るか!こんな店!!」
女性はミニイカ娘には目もくれず、そのまま車を走らせていきました。
ミニイカ娘は、これまでの記憶が走馬灯のように・・・
・・・そんな余裕もなく後続車に次々轢かれ、関西風のイカ焼きのようにぺったんこにプレスされちゃいました。
おわり
スポンジの上のミニイカ娘は俺と目が合うと、
「ゲッショ、ゲッショ~♪」
と余裕の表情で俺に手を振った。さっきまでケツ振ってたやつが生意気な!!!
俺は爆発しそうな感情を抑えつつ、持参したポリタンクに入ったとっておきの液体を取り出した。
液体の正体は、この堤防に来る途中、近くの食肉加工センターに無理を言って分けてもらった豚の血だ。
ポリタンクを開けた瞬間、赤黒く濁った液体は、鼻が曲がりそうなくらいの異臭を放つ。
俺は豚の血を、ミニイカ娘の周りに柄杓で撒き散らした。
ミニイカ娘は俺が何をしているのか解らない様子だが、俺は構わずに黙々と豚の血を撒き続けた。
5分ほどして、効果が出たのか、撒いた豚の血の臭いに釣られて、
黒い魚影がミニイカ娘の周りを囲んだ。辺り一面には血生臭い香りが漂っている。
何か異変を感じたミニイカ娘は寝転がるのを止め、不安そうに魚影を目で追っていた。
そしてその黒い魚影は大きな音と共に水面からバシャ!っと顔を出した。
「ピーッ!!!!」
ミニイカ娘は恐怖で腰を抜かして震えている。
その正体は、5メートル級のホオジロザメ・・・とまではいかないものの、
大きさ50センチくらいの小型のサメ数匹がミニイカ娘の乗るスポンジの周りを取り囲んでいる。
全て俺の計算通り。俺の苛立ちは黒い笑みに変わった。
ミニイカ娘の最大の脅威、サメに絶命させることが俺の算段だった。
案の定、ミニイカ娘は恐怖のあまり、腰を抜かして失禁してしまっている。最期まで不衛生なやつだ。
まあ、ペット出身のミニイカ娘が、まさかサメと対峙するなんて夢にも思ってなかっただろう。
その引きつった表情を見れただけでも、わざわざ沖の堤防まで足を運んだ甲斐があった。
サメはミニイカ娘を完全にロックオンしたらしく、いつでも襲える状態を保っている。
当のミニイカ娘は、一矢報いようとイカ墨で一生懸命抵抗しているが、サメには全く効果が無さそうだ。
それどころか、吐いたイカ墨や失禁した排泄物をスポンジの繊維が吸収してしまい、その重さでスポンジが徐々に沈みかけてしまっている。
絶体絶命。万事休す。
沈みゆく船は遂にミニイカ娘の足元にまで浸水していた。
すると一匹のサメがミニイカ娘の触手目掛けて噛み付いた。
「ピーッ!!!!」
悲鳴が静かな海原にこだまする。
ミニイカ娘は触手を引っ張られて海に引き摺り込まれた。
引き摺られるミニイカ娘にもう一匹のサメが接近し、ワンピースのスカートの部分を引きちぎった。
ミニイカ娘は無残にも、貧相な裸体を露にした。
たった5センチほどのミニイカ娘をサメ達は丸飲みせず、まるでジワジワと弄ぶかの如く攻撃している。
俺は水とサメの恐怖に怯え苦しむミニイカ娘を見て、異常なくらい興奮していた。
やがて海面からミニイカ娘の
「ピエッ・・・ピエッ・・・」
と、弱々しい鳴き声が微かに聞こえてきた。
両足は食いちぎられ、どす黒いイカ墨のような体液が海面に浮かんでいる。
触手は未だにサメにくわえられたままで、市中引き回しのような状態で晒し者となっている。
しかしミニイカ娘は、まだ意識があるらしく、苦悶に満ちた表情でサメに牽引されていた。
そしてサメは触手をくわえたまま、海深くに潜って行き、
その数分後にはイカ帽子の残骸やワンピースの切れ端がプカプカと海面に浮かび上がっていた。
遂に終わった。
俺は達成感と脱力感に挟まれながらも素早く後処理をし、帰路に就くため渡し船が迎えに来るのを待った。
ふと気がつくと、俺は自宅のベッドの上だった。窓の外は真っ暗で時間の感覚が全く解らない状態だった。
どうやら深く眠っていたらしい。
「夢…?……夢オチ?」
もしやミニイカ娘を甚振っていたのは全て夢の中の出来事だったのか?
いや、違う。間違いなく現実だ。
日除けの無い堤防によって赤く焼けた素肌
未だに異臭を放つ柄杓とポリタンク
なにより戦利品として持ち帰ったミニイカ娘のイカ帽子やワンピースの残骸
途切れつつも記憶が戻ってきた。
早朝から興奮状態だった俺は、家に着いた瞬間
緊張の糸がプッツリ切れ、片付けや着替えをしないまま眠ってしまったのだ。
折角の大事な休日を無駄に過ごしてしまった。あと数時間すれば朝が来て仕事に行かなくてはならない。
トホホ。変な時間に目が覚めてしまった。
とりあえず喉を潤して、もう一眠りするか。
俺はとぼとぼとキッチンに向かった。
すると居間から何やら騒がしい音がする。
俺は、初めてじゃない妙な胸騒ぎがした。
そーっと居間の戸を開けると…
なんと30匹ほどのミニイカ娘の姿がそこにはあった。
「ゲッ!………」
俺は息を殺した。
ヤツらは桜エビを囲んで宴会のようにゲショゲショと馬鹿騒ぎしている。
俺の居間をまるで棲家のように寝そべったり、踊ったり…
俺は眠気などふっ飛び、一瞬にして殺意が溢れ出す
『1匹いれば30匹』
ゴキブリとミニイカ娘の共通点の一つだ。勿論、他にも共通点は沢山有るが。
やはりあの四つん這いだけではなかったのか…
閉じ込めた筈の嗜虐心が完全に剥き出しになる。
やるか…。ミニイカ娘三十匹殺し…!
俺は片手でデコピンの素振りをしながら、静かに居間に入室した。
終わりです
「ゲショッ!!!?」
ミニイカ娘の身体がビクッ!っと反応した。
その瞬間、
ブリブリブリブリブリブリ!!!!
驚いたミニイカ娘は、肛門から音を立てながら大量の排泄物を出産したのである。
なにより驚くべきはその量だった。ミニイカ娘の体長の3倍はある排泄物がそこにはあった。
一体、あの小さな身体のどこに入っていたのか?
俺はただ呆れるばかりだった。
その大量の排泄物は、人間のものとは異なり、イカ墨の塊のようなもので強烈な磯の香りがした。
渾身の一本を捻り出したミニイカ娘は相当ショックだったようで、今までで一番甲高い声で泣き崩れていた。
「ピィーッ!!ピィーッ!!」
もう、泣くしか術がないのだろう。現実から目を背けたいのかも知れない。
ミニイカ娘はワンピースの尻の部分が真っ黒に汚れて両足にも排泄物が付着して不潔極まりない。
俺は蔑むように
「きったねぇなぁ!!このデカグソ娘め!!」
と叱責しながら、ミニイカ娘の糞を処理したあと、ウェットティッシュでミニイカ娘の汚れた部分を綺麗に拭き取ってやった。
これが死に化粧になる事を知らないミニイカ娘は、ただ屈辱的な表情を浮かべながら甲高い声で泣いているだけだった。
このとき既に俺には矯正という二文字は頭になく、
ただ自分の嗜虐心の赴くまま、目の前の哀れな生き物を弄ぶ「鬼」と化してるように思え震えが止まらなかった。
数時間後、俺は沖の堤防にいた。
釣り客が渡し船でしか訪れないような、沿岸部からかなり離れた堤防だ。
俺は自分の中のミニイカ娘に対する嗜虐心に恐怖を覚えいた。
おそらく、矯正なんて頭に無かったのだろう。ただ虐待したいだけで。
だが・・・、これは本当の自分じゃない。俺は生命の尊さ、素晴らしさを知っている!
しかし、今朝このミニイカ娘に遭遇したことによって、あらぬ感情が芽生えてしまったのは事実・・・!
その感情を打ち消すべく、そしてこれが最期の嗜虐と誓いミニイカ娘を最高のカタチで処分するつもりだ。
こいつさえ居なくなれば俺の嗜虐心は消える・・・!
俺は四つん這いミニイカ娘の粘着シートを細かくハサミで切り取った。
その結果、手足、触手には切り取られた粘着テープの欠片が残るものの、やっと手足が自由に動かせるようになたったのだ。
せめて最期くらいは手足を自由にしてやろう。俺の単なる気まぐれだった。
「ゲショー!!!」
何時間ぶりに粘着シートから解放されたのだろう、ミニイカ娘は大喜びで手足を大きく動かしている。
おそらく、自分は許された。自由を手に入れたとでも浮かれているのであろう。
そして俺におべっかを使うようにニコニコと微笑んだ。
だめだ。やっぱりこいつを八つ裂きにしたい。
俺は自分の嗜虐心とサヨナラするために元・四つん這いのミニイカ娘を思いっきり海めがけて蹴り飛ばした。
ミニイカ娘は、
「ゲショ~~~~!!?」
と弧を描きながらチャプンと着水した。そしてすぐさまバシャバシャと海面を叩くように無様に溺れていた。
このまま溺死させてもよかったが、最後の虐待だから簡単に死なせる訳がない。
俺は家から持参した台所用スポンジを溺れるミニイカ娘の目の前に放り投げた。
ミニイカ娘は藁をも掴む勢いでスポンジに掴まり、必死でスポンジの上によじ登って一命をとり留めた。
ハァハァと呼吸を整えながら一安心したミニイカ娘は、プカプカと水面に浮かぶスポンジを気にいったのか、仰向けに寝転びだした。
しかも偉そうに足まで組んで気持ち良さそうな表情をしている。
「生意気だ。殺したい。」
俺の頭の中はその言葉で埋め尽くされいた。
尻を叩かれたミニイカ娘は悲鳴をあげ、四つん這いの手足をガクガク振るわせながらも粘着シートに沈まないよう必死で体制を整えている。
俺は再び乾燥ワカメを一摘まみ取り出し、ミニイカ娘の口元にあてがった。
ミニイカ娘は頑なに口を開かず、歯を食い縛る。
余程エビ以外は口にしたくないらしい。ここまで抵抗するとはいい度胸をしている。
俺は片方の手でミニイカ娘の脇腹を先程と同じようにくすぐった。
すると再びミニイカ娘は大口を開いて笑いだした。しっかし俺もミニイカ娘の扱いが慣れたなw
自惚れながら、俺はミニイカ娘の開いた口の中に一握りほどの乾燥ワカメを放り込み、飲み込ませた。
ミニイカ娘は、汚物でも放り込まれかのような表情でゲーゲー嘔吐いている。
気にせず俺はペットボトルに入った水をミニイカ娘に無理矢理飲ませる。
ブハァと苦しそうに水を吐き出したが、結構な量を飲んだようだ。
大きな溜め息をつくミニイカ娘を見て
「お楽しみはこれからだ」
と俺は小さく呟いた。
予想していた事態になった。時間が経つに連れミニイカ娘の腹は、水分を吸収した乾燥ワカメによって肥大していた。
「うっぷ~っ、うぐぅ~」
呼吸するのも困難なミニイカ娘、パンパンに膨れた腹は、地面の粘着シートにべったり引っ付いてさらに呼吸を妨害する。
「満腹そうだな。なんなら薬やろうか?ミニブタ娘ちゃん♪」
ミニイカ娘は助けを乞うように俺を見る。仕方がない。俺は居間の薬箱から薬を探した。
しかし、ミニイカ娘御用達の『ラッパのマーク』のあの薬は見つからなかった。
代わりに見つかったのは『イチジク』と書かれたあの形状の薬品だった。
俺はイチジク状の容器のキャップを外し、四つん這いのミニイカ娘の背後に回った。
ミニイカ娘は未知の物体の登場に興味を示しつつも、それが自分の方向に向けられていることに凄く怯えていた。
俺は静かにミニイカ娘のワンピースの裾を目繰り上げる。
「ゲショ!?」
顔を赤らめながら焦るミニイカ娘、まるでスカートをめくられた少女のようだ。生意気な。
まぁ、当たり前だが下着は着用していない。よって、シワの少ない粗末な肛門がお出迎えする。
俺はお出迎えに応じるように、今回は直に肛門にデコピンのキッスをする。
「ピギッ!」
痛々しい声をあげ、肛門はイソギンチャクのようにキュッっと締まる。
なかなか楽しい。いやいや、本題に戻らなくては。お遊びはここまでだ。
俺はイチジクの注入口をミニイカ娘の肛門にゆっくり差し込んだ。
しかしミニイカ娘のイソギンチャクは固く口を閉ざしたままで挿入に至らない。
どうしたものか?少し考え、とりあえず注入口にサラダ油を塗り、
「お前初めてかここは?力抜けよ」
と優しい言葉をかけてやった。
すると、その潤滑油と俺の優しさが噛み合ったのか、注入口がミニイカ娘の肛門にメコリメコリと音を立てて入っていった。
俺はイチジクの内溶液を一気に注入した。
「アワワワワ…」
今まで味わったことの無い、なんともムズ痒い感触がミニイカ娘を襲う。
俺は注入口を抜き、ワンピースの裾を元に戻すと、ミニイカ娘を真正面から観察してやった。
奇妙な感触はやがて便意に変わったようで、ミニイカ娘は脂汗をかいてもがいている。
やはり、生物として排便中は一番無防備になるため見られたくないのであろう。まして、プライドのお高いペットのミニイカ娘なのだから。
しかし、今、ミニイカ娘の頭の中は排泄のことで一杯だろう。便意は情け容赦なく降りかかる。
俺はそんな可哀想な状態に終止符を打つべく、苦しむミニイカ娘の耳元でパチーンと大きく手を叩いた。
「ギャピッ!!」
唐突に放ったデコピンは、再び四つん這いミニイカ娘の肛門を捉えたようで、苦痛な表情を浮かべながら歯を食い縛るように泣き叫ぶ。
なかなかいい反応だ。そんなミニイカ娘を見て俺はふと思った。
膨れっ面や泣きっ面はたくさん見てきたが、笑顔はあまり見てないな。
ミニイカ娘の特長とも言える素敵な笑顔。この笑顔に魅了される飼い主もたくさんいる。ミニイカ娘の最大の武器と言えるだろう。
この四つん這いミニイカ娘はさっき桜エビを摘まんだとき少し笑顔を見せただけ。ほんの一瞬だ。是非笑顔が見たくなる。
ならば、またエビを見せようか?いや、それでは馬鹿な飼い主と一緒だ。矯正の意味がない。
俺は自分流でミニイカ娘を笑顔にしてみせる!例えどんな手を使おうとも。俺は四つん這いのミニイカ娘に向けて手を伸ばした。
「ハワワワ…」
かなり怯えている様子だ。俺はミニイカ娘の脇腹を優しく指先でくすぐってやった。
「キャハ!キャハ!」
震えた小さな声が聞こえる。抵抗出来ないミニイカ娘は涙ぐみながらも笑顔を見せてくれた。原始的な方法だが効果テキメン。
やはり、ミニイカ娘の笑顔は本当にカワイイ。俺はその笑顔を見続けたくて、30分ほど脇腹を責め続けていた。
ミニイカ娘はゼイゼイと過呼吸になりながらも素敵な笑顔を見せてくれる。このまま永遠に見ていたかった。
しかし、俺の指がピキピキと、もう限界である。くすぐりの指を制止したとたん、ミニイカ娘は糸がプツンと切れたように失神してしまった。
やばい!顔面から粘着シートにダイブしそうだ。こんなところで窒息死されたら困る。
俺は慌ててイカ帽子を摘まみ、ミニイカ娘の身体の下に丸めたガーゼを敷いた。
昨晩からずっと四つん這いだったミニイカ娘、肉体的にもボロボロだったであろう。
甘いとは思ったが、少しのあいだミニイカ娘をガーゼの布団で寝かしてやることにする。
小一時間ほどして四つん這いのミニイカ娘は目を覚ました。まだ頭がぼーっとするのか、あわよくば二度寝しそうな感じだ。
居間から離れていた俺はゆっくりミニイカ娘のいるテーブルに近づいた。
俺と目があったミニイカ娘は、現状を思い出したのか、青ざめた表情で震えだした。
眠る前の惨劇が、悪い夢であって欲しかったのであろう。何故に自分は目を覚ましてしまったのか?
知能の低いミニイカ娘でも、これからの自分の末路を大方予想出来ているようだ。
俺は四つん這いミニイカ娘の下に敷いていたガーゼを引っ張り抜いた。
「ゲショ…」
力なく鳴いたミニイカ娘は、再び粘着シートの恐怖に晒された。
肉体的、精神的に追い詰められたミニイカ娘、もはや涙すら流せないようだ。本当なら今頃、好物のエビで優雅な朝食を摂っている時間帯だ。
飼い主に可愛く笑顔で駄々をこねたらオカワリも貰えただろう。何処で歯車が狂ったのか、今は手足、触手すら動かせない。
ワガママの一つも言えない。プライドもズタズタにされ、もう何も無いのだ。
そんなミニイカ娘を俺は哀れに思い、せめてエサだけでも与えようと戸棚から乾燥ワカメを取り出した。
泳ぐことの出来ないミニイカ娘は砂浜に漂着する海藻をよく補食する。野生のミニイカ娘にとって貴重な食料だ。
ペットとして飼われていたコイツにもこれが食べ物と認識出来るだろう。俺は乾燥ワカメを一欠片摘まんでミニイカ娘の口元に持っていった。
ミニイカ娘は不思議そうな顔をしたが、ワカメの匂いを嗅ぐなり不機嫌な顔をする。俺は躊躇せず無理矢理口に乾燥ワカメを放り込んだ。
「ペッ!」
驚いたことに乾燥ワカメを威勢よく吐き出したのだ。この期に及んでまだワガママを言うのか。いや、今までの悪しき習慣で反射的に吐き出したのか。
ただ、吐き出したときの不快な表情が俺は気にくわなかった。
俺は机からプラスチックの定規を持ってくると、ミニイカ娘の四つん這いの尻をフルスイングでひっぱたいた。
「ピギャ~ッ!!!」
感情の赴くまま、俺は2発3発と叩き続けた。思わず息が荒くなる。
ミニイカ娘は枯れたと思われた涙を再び流し大泣きしている。コイツまだこんな余裕があったのか。
俺は荒ぶる感情を抑えつつ、四つん這いで泣き叫ぶミニイカ娘を睨み付けていた。