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ゲショゲショ!

仂様
FLASH GAME「潮干狩りしなイカ?


殆ど運次第のゲームです。
不具合などがあればお知らせください。
※音声あり

このゲームを作るに当たり、ミニイカリシンジ様、虐殺しなイカ様、ミニイカ娘が嫌い様、かわいいイカの絵様の画像・アイデア等を使わせていただきました。皆様、どうもありがとうございます。 
edited by仂様 at
フラッシュゲーム「救出しなイカ?」
フラッシュゲーム「救出しなイカ?」


ワイド画面&ステレオサウンドでお楽しみください。
気に入っていただけたなら、削除されないうちにDL&保存することをお勧めします。
不具合・動作異常等があればお知らせください。 
edited by仂様 at
「バカじゃなイカ?」
FLASH MOVIE「バカじゃなイカ?」
※音声なし
edited by仂様 at
FLASH GAME「充電しないか?」
FLASH GAME「充電しないか?」

※音声あり

GoogleCrommeでは動作確認済みですが、不具合などがあればお知らせください。
但し、不具合ではなく仕様の場合あり。 

なお、本作制作に当たり、前原一征様、かわいいイカの絵様、ミニイカリシンジ様、虐殺しなイカ様のアイデア、画像等を使わせていただきました。皆様、どうもすみません。 

edited by仂様 at
「シバかなイカ?」
http://www1.axfc.net/uploader/Flash/so/2259

画面下部真ん中の楕円をクリックして、蝿叩きでミニイカ娘をビンタし続けて下さい。
Google Chromeでは動作確認済みですが、不具合等があればご連絡ください。
修正可能であれば修正します(なにぶん私もこの手の創作は初めてなもので)。

※音声付です。

尚、本作を作るにあたり、dude様、虐殺しなイカ様、ミニイカリシンジ様、かわいいイカの絵様、イカを食す会様他、多くの方の画像・映像作品、アイデアを使わせていただきました。皆様ありがとうございます。 
edited by仂様 at
「不幸のミニイカ娘 外伝」

 黒い小箱の宅急便が届けられた。送り主の名前に心当たりは無かった。荷物は「生もの」と書かれていた。
 何だろうと思い開けてみると、スチロールの緩衝材に囲まれて、冬眠状態のミニイカ娘と1枚の手紙が入っていた。
 曰く「不幸のミニイカ娘 この荷物を送られたあなたは、このミニイカ娘を大切に飼い続けなければなりません。さもないと、あなたに不幸が訪れます」

 下らねえ。過去にも不幸の手紙やら不幸のメールやらが流行ったなんて話は耳にしたことがあるし、その派生でこの「不幸のミニイカ娘」なんてネタ話を聞いたこともある。いずれも都市伝説みたいなものだと思っていた。
 まさか本当に送られてくるとはな。
 俺は再度箱に貼られた荷札に目をやった。名前にも住所にも心当たりは無いが、その筆跡には見覚えがある。手紙ももう一度見てみた。 利き腕じゃない方の手で書いたのか、荷札の文字とは似ても似つかない下手糞な筆跡に、黒々とした大きなシミが広がっていた。
 都市伝説では「ミニイカ娘のイカ墨で書かれた文字だ」とされている。黒いシミももちろんイカ墨だ。

 まあ、こんな下らない悪戯をする犯人捜しはどうでもいい。荷札の差出人の住所も電話番号も、どうせ出鱈目だろう。
 それより俺は、ミニイカ娘が大嫌いなんだよ!
 なんだよこのふざけた生き物は。エビばっかり食べやがって、イカのくせに泳ぎも出来ねえ。そんな駄目な生き物が人間に向かってあざとい笑顔を振りまくだけで人の心を蕩かして、餌にありつけているんだから、ふざけるなという気持ちが沸き起こるのも当然だろう。
 こんな生き物でも、外づらが良いことで通している俺は、愛好家に気を遣って、「ほうほう、ミニイカ娘ですか、可愛いですね」と適当に調子を合わせてやってんだぜ。少しは俺の心中をおもんぱかれってもんだよ糞イカ娘がよ!
 どこのご親切な方が俺に送ってくれたかは知らないが、せっかく頂いたご厚意だ。日頃のストレス発散に、ありがたく虐待させてもらうぜ。

 まず俺は冬眠モードのミニイカ娘の帽子に思い切りデコピンをかました。首振り人形のように頭部をガクンガクンと震わせながら目覚めたミニイカ娘、生意気にも俺に向かって怒りの表情を表し、触手を俺に向けてきやがった。
 何生意気な態度取ってんだよ!俺はミニイカ娘をむんずと掴むと、壁に思い切り叩きつけるように投げつけた。
「ギャビッ!」と小さな悲鳴を上げて、ミニイカ娘が一時壁にへばりついた。やがて自重で床に落ちたミニイカ娘、前戯らしい前戯もなくいきなりフルスロットルモードで虐待にあったので、ビエーーーンと大泣きする段階を省略して、初っ端から白い虚ろな涙目で「ハワワ…」とビビリまくりだ。俺は床でgkbrしているミニイカ娘を左手で拾い上げた。
 腰を抜かしたミニイカ娘は逃げる素振りもせず容易に俺の手中に納まった。

 さて、どうやってこいつで遊ぼうかな。そんなことを考えながらミニイカ娘の面を見ていると、涙目が次第に活気を取り戻しつつあるのが分かる。奥歯を食いしばっているようだ。さてはイカ墨攻撃でもするつもりだな。先手を打って、俺は左手の親指と中指をミニイカ娘の頬に宛がい、力を込めた。奥歯をへし折られそうになったミニイカ娘、顎の力を抜いて口を開いた。その口に俺は短くなったタバコの燃えさしを突っ込んだ。
「?…フンギッ!」小さな火種を喉の奥まで突っ込まれたミニイカ娘、触手が太陽神のように四方八方にピンと広がり、あの小さな目がこんなに大きくなるのかと思うくらいに見開かれた。「んーーーんーーー」と、何か言おうとしてるのは分かるが、タバコが猿ぐつわになってるのと、喉の奥に燃えさしを突っ込まれて声帯が火傷したのか、まともに声が出せる状態ではない。タバコの火種が消えた頃合に吸殻を引き抜いてやると、ミニイカ娘の口からモワッと紫の煙、それに続いてドロリとした黒い半液状の塊を吐き出した。

 机の上に放すと、四つん這いになり、涙目でゼーゼー荒い息を吐くミニイカ娘。その尻をデコピンの要領で爪弾くと、先ほど吐いた黒い塊に顔から突っ込んだ。突っ伏したまま、わなわなと肩を震わせるミニイカ娘、きっと今の自分の境遇を惨めに思っているのだろう。今までは、恐らく心優しいご主人様のもと、恵まれた環境に居たんだろうな。
 それをご主人様、何かをきっかけにミニイカ娘に愛想を尽かして、放擲されてしまったんだろう。その放擲の手段が、なんの悪戯心だか悪意だか分からんが、よりによっても俺宛に「不幸のミニイカ娘」に仕立て上げられるとはな。
 お前は今自分が置かれた立場を理解できているのか、ミニイカ娘?出来ているから、こうして汚物に顔を突っ込んだまま肩を震わせて泣いてるんだろうな。 

 俺はテニスラケットを持ち出し、摘み上げたミニイカ娘をボール代わりに、壁に向かってサーブショットを50本決めた。
 最初は「ギャッ!」「ゲジョッ!」と打たれる度に短い悲鳴を上げていたミニイカ娘も、一心不乱に打ち続ける間に、イカ墨まみれで瀕死の状態だ。そろそろ止めを刺してやるのが仏心って奴かな。でも、テニスのラケットじゃあ殺すには生温い。そう思った俺は、ゴルフクラブを持ち出してきた。

 床に小さな人工芝生のシートを敷き、室内でドライバーをフルスイングしても壁や天井に当たらないことを確認すると、人工芝生に半死半生のミニイカ娘を座らせた。
「俺は…」呟きながらクラブをすっと構える。
「ミニイカ娘が…」言いながらゆったりテークバック。
「大っ嫌いだあああああ!!!!!!」叫びながらトップスピードでフルスイング!!
「ビチッ!!」と立てた音は、ドライバーショットの瞬間のものか、ミニイカ娘が白壁に思い切り叩きつけられた瞬間のものか、俺には判別つかなかったが、ペロンという感じで壁から剥がれ落ちたミニイカ娘、その壁には墨痕鮮やかにミニイカ娘が大の字となった魚拓ならぬ烏賊拓が描かれていた。

「やあこれは瑞兆かな」
と言いたくなるようなその出来栄えに、息絶えたミニイカ娘のことを忘れて、暫し見とれてしまった。
 おっと、生ゴミはさっさと処分しとかないとな。床に横たわっているミニイカ娘を拾い上げ、台所の生ゴミ入れに放り込むと、俺は先ほどの烏賊拓を眺めながら新しいタバコに火を点け、しばしの賢者タイム。
―――この壁じゃあ、部屋を出る時は修繕費を取られそうだな。でも、もともとスモーカーの部屋だし、関係ねえか。それよりも、今度彼女が来た時どうしよう。申し分のない女だが、ミニイカ娘愛好家というのが唯一にして最大の欠点の彼女、この壁の烏賊拓を見ると怒り出すかもな。ポスターでも貼って、隠しとくか―――
 そこへ俺の携帯に着信。思いを馳せてるこのタイミングで、彼女からのものだった。何だろう。

「あ、もしもし、つよ君?わたし。今いい?実は昨日、宅急便送ってたんだけどぉ、届いてる?うん、黒い箱のやつ。今、ネットで見たら、『配達済み』ってなってたから、もうつよ君も箱を開けてるだろうなあって思って。テヘ☆びっくりした?ちょっとイタズラで『不幸のミニイカ娘』にしちゃってるの。実はこの前、友達が『もう飼えないから』って言うから、わたしが引き取ったんだけどぉ、わたしももう3匹もミニイカちゃん飼ってるじゃない。そう言えばつよ君、わたしのうちに来るといつも『ミニイカ娘、可愛いね』って言ってくれてたからぁ、もしかしたらつよ君可愛がってくれるかなって思って、贈ってみたんだけど、ねえ、可愛いでしょ。今頃はもう仲良くなってる頃かなと思って電話したんだけど、どう?元気にしてる?え、ううん、つよ君じゃなくて、ミニイカちゃん。ちょっと声聞かせて」
「ぬぐっ……ぐ……ぐぇ、ぐぇしょぐぇじょ……」
声を振り絞ってそういうのが精一杯だった。

 後悔はしていない、きっと「ミニイカ娘を可愛がるような女なんか別れなさい」という、神様の思し召しだろう。イカ墨ブレンドのバレンタインチョコレートにも、未練はない。

(終わり) 
edited by仂様 at
「不幸のミニイカ娘」
【招かれざる客】

「あんなもの、てっきり都市伝説だと思っていたのに…」
僕は呻き声を上げて、黒い小箱を見た。

 ある夜仕事から帰ると、マンションの宅配ロッカーに荷物が届けられていた。黒い小さな箱で、送り主の名前に心当たりはなかったが、手に取った感触では重量感もなく、中に機械類が入っているようには、直感的には思えなかった。
「危険物が入っているようでもなさそうだし、取り合えず開けてみるか」
 そろりとパッケージを開けると、スチロール製の緩衝材に囲まれて、小さな白っぽいものが入っていた。何だろうと思い摘み上げてみるとそれは、すやすやと眠るミニイカ娘だった。
 下手な字で書かれた手紙が1通添えられていた。
「不幸のミニイカ娘 この荷物を送られたあなたは、このミニイカ娘を大切に飼い続けなければなりません。さもないと、あなたに不幸が訪れます」
 手紙の余白はべっとりと黒い墨で汚れていた。

「不幸のミニイカ娘」―――「不幸の手紙」とか「不幸のメール」とかの話は、みんなも幾度か耳にしたことがあると思う。もしかしたら実際に貰ったことがある人もいるかな。「この手紙を受け取ったあなたは○日以内に○通、同じ内容の手紙を送りなさい。そうしなければあなたは不幸になります」てな文面が書かれた手紙のフォークロアだ。
 このフォークロアは色んなバリエーションやパロディも生み出して、もはや笑いの種にもならないが、そうしたバリエーションの一つに「不幸のミニイカ娘」というのもあった。

 話の骨子はこうだ―――ミニイカ娘を溺愛していたある飼い主、ミニイカ娘が求めるままにエビを与え続けたため、やがて生活は困窮を極め始めた。いつしか肺病を患い始めた飼い主、しかしミニイカ娘にエビを食べさせなければならないため、自分の治療費は捻出できない。このままでは私は死んでしまう。私が死んだらこのミニイカ娘はどうなるの!?
 意を決した飼い主は、ミニイカ娘が原因で疎遠となった知人に小箱に入れたミニイカ娘を送り、爾後の世話を頼もうとした。当然、どの知人も「こんなもの送ってくるな」とつき返してきた。日増しに症状が悪化する肺病と赤貧洗うが如き生活と疎外感から、次第に心も歪み始めた飼い主、最後に送り出したミニイカ娘の箱の中に添えられた手紙は、呪わしい文面となった。その文字は、既に貧窮から筆記用具も買えなくなった飼い主が、ミニイカ娘のイカ墨で書いたものであり、書き終えた飼い主は力尽きるかのように、書面にドッと血を吐いた、否、その時吐き出したのはどす黒いイカ墨だった……
 最後にミニイカ娘を受け取った人は、当然今までの人と同様に小箱ごとミニイカ娘を送り返そうとしたが、既に飼い主は事切れた後だった。受取人の居なくなった小箱は、今もあちこちを転々とし、今では最初の送り主がどこの誰であったかも調べようの無い状況となっている……

 流石に僕も、こんな突っ込みどころ満載の都市伝説を真に受けたりしないし、今僕の目の前にある黒い小箱のミニイカ娘も、都市伝説をモデルにした誰かの悪戯だろうと思う。念のため荷札の電話番号に電話を掛けてみたが、「現在使われておりません」とのメッセージが虚しく流れるだけだった。
 さて、どうしようかな。僕は小箱の中ですやすや寝ているミニイカ娘の頬を何気なくつついた。ミニイカ娘が目を覚ました。
 余計なことをしちゃったかな…僕の思いを余所に、ミニイカ娘は眠い目をこすり、キョロキョロと初めて見る光景を見やり、そして僕の方に向き直って、「ホュゥ?」と声を上げながら首を傾げた。しばらくそうしてまじまじと僕の顔を見つめた後、お腹を擦ると、ジワッと涙ぐみ、ホエーーーーーーンと大声を上げて泣き始めた。 


【小さな侵略者】

 まずいな、このマンションはペット不可だし、遮音性は思いのほか低い。両隣の人に聞かれると面倒だ。僕は何とか泣き止むよう、頭を撫でてあげたり、脇をつついたりしてみたりしたが、ミニイカ娘はいやいやと身を捩るだけで、一向に泣き止みそうに無い。
 困ったな、ミニイカ娘のあやし方なんて分からないよ。どうすれば泣き止むんだ…僕は途方にくれたが、餌を与えれば泣き止むんじゃないかと思い至り、特売の時に買っておいた冷凍エビの買い置きを1尾解凍してミニイカ娘に与えた。
 尻尾から頭まで瞬く間に食べ尽くしたミニイカ娘、ようやくこれで泣き止んでくれたか…と安堵するのも束の間だった。

 エビを食べてにこやかなミニイカ娘、僕の顔を見つめて「ゲェッビィー、ゲェッビィー」と歌うように鳴いているので機嫌が戻ったのかと思いきや、僕がその様子を眺めているだけでいると、また涙目になって、さっきより大きな声でビエーーーーーーンと泣き始めた。何だ、エビのおかわりを催促してたのか?仕方なく僕は冷凍庫のエビをもう1尾解凍し、ミニイカ娘に与えた。―――結果として、僕が買い置きしていた冷凍エビを全て食べ尽くすまで、ミニイカ娘は泣き止まなかった。

 満腹になって丸くなったお腹を撫でながらスヤスヤと眠り始めたミニイカ娘を見ながら、これからどうしたものかと僕は考えた。飼うつもりは無い。このマンションはペット不可だし、僕は生き物を飼育するのは苦手だ。じゃあ殺すか。それも嫌だ。僕は生き物の殺生を見るのもするのも苦手だ。踊り食いとか活造りとか、箸をつける気にもならない。
 やっぱ捨てるのが一番だな。そう思い、僕はミニイカ娘を黒い箱に収めると、「すみませんが、拾った方は大切に育てて上げてください」と手紙を添えて、近所の公園へ捨てに行った。

 人気無い公園のベンチに、そっと箱ごと置き捨てにして帰ろうとしたところ、背後から「ちょっと君、君」と呼び止める声がした。振り返ると暗闇の中からお巡りさんが追いかけてきている。手には、さっき置き捨てにした黒い小箱を持っていた。「君、何ですか、これは?」お巡りさんはどうやら先刻から僕の背後をつけていたとのことだった。夜中に手に何か持って、キョロキョロとあちこちの様子を伺いながら歩いている姿を見て、犯罪の可能性があると思ったらしい。
 もちろん犯罪の件は即座に否定したけど、「箱の中を見せてもらっていいですか?」と、丁寧な言葉とは裏腹に、有無を言わせない強い口調でお巡りさんは訊いてきた。仕方なく僕は箱の蓋を開けて中身を見せた。お巡りさんは驚き「君、ちょっと、そこの交番まできてもらえる?」と、最寄の交番まで引っ張られた。

 どうやら僕の取った行動はペットの不法投棄であり、しかもミニイカ娘は「人畜に害を与える可能性がある」との理由で、他にも色々法に抵触するんだそうだ。夜の交番でさんざんお説教を喰らった後、今回は口頭注意だけで放免してもらえたが、住所と名前は控えられたので、この次警察沙汰になると面倒なことになりそうだ。
 やれやれ、安易に捨てるのはNGになっちゃった。渋々僕は、ミニイカ娘の入った箱を持って、とぼとぼとマンションに帰った。

 さて、このまま小箱の中に入れっぱなしという訳にもいかないだろうな。だけど僕の部屋には水槽も籠も無いし、仕方が無いのでガラクタ入れの段ボール箱を一つ空けてその中にミニイカ娘を入れておいた。明日また、何か方法を考えるか。 


【行き場の無いお荷物】

 翌朝、僕はミニイカ娘の「ピィイイイイイイイ!!!」という甲高い鳴き声で目を覚ました。
「おいおい、そんな声で鳴かれたら、隣の部屋にまで響くだろ」
 僕は慌ててベッドから飛び起き、ミニイカ娘を入れた段ボール箱に駆け寄った。段ボール箱の蓋を開けると、ミニイカ娘は怒った顔をして僕を見上げた。
「こんな狭い所に閉じ込めるなんて酷いじゃなイカ」
 とでも言いたいのだろうか。だけどこれより広い住まい用意できないよ。苦々しい思いでミニイカ娘を見ていると、ミニイカ娘はプイッとソッポを向き、次にお腹を擦り始めると、また「ワァーーーーーーン!」と派手に泣きだした。
 朝御飯が欲しいのか。でもこんな早朝にこの辺のスーパーは開店してない。仕方がなくコンビにで調達したエビスナックで我慢してくれ。
 買って来たばかりのエビスナックを与えると、ミニイカ娘は不満そうな目で僕と、触手で摘んだエビスナックを見比べていたが、「しょうがないでゲショ」とばかりにシャクシャクと齧り始めた。それを見て僕は、段ボール箱の中にザラザラとエビスナックの小山を積み上げておいた。

 さて、次はどうするかだ。
 捨てるのが駄目なら、僕の家に来たのと同様に、箱に詰めて適当な宛先に送り出せばいいんじゃないか。その際、不幸のミニイカ娘の手紙は無くても良いだろう。
 そう考えて、僕はエビスナックを食べて元気いっぱいのミニイカ娘の遊び相手を買って出た。段ボール箱から出して、午前中いっぱい部屋の中を好きなだけ走り回らせてあげて、お昼ご飯にさっきのエビスナックの残りを全部食べさせると、ミニイカ娘は遊び疲れと満腹感から、お昼寝を始めた。
 いい感じだ。
 僕はミニイカ娘を起こさないよう、そっと小箱の中に移し、蓋をした。家から少し離れた、滅多に利用しないコンビニにその小箱を持って行き、宅急便の荷札を貰って発送の準備をした。宛先も送り主も適当な出鱈目だ。これなら小箱は行き場をなくして、宅急便やさんで適当に始末してくれるだろう

―――そう考えながら、コンビニのカウンターで荷札を書き起こし、内容の記入欄を囲うとしたところで、小箱の中から「ピィイイイイイイ!!ビャー、ギャビャー!!」と耳障りな鳴き声が漏れ聞こえ始めた。
 しまった、早くもミニイカ娘が目覚めたようだ。
 僕の手が凍りついた。コンビニの店員さんが怪訝な顔をして、
「すみません、お客様、中に何が入っているんですか?」
と、尤もなことを訊いてくる。
「いえ、別に変なものじゃないです」
平静を装って答えたつもりだが、店員さんの表情が険しくなったところを見ると、相当噛みまくっていたかもしれない。
 店員さんは小箱を耳のそばまで持ち上げ、小さく左右に振った。すると小箱からポタポタと黒い液体が染み出てきたので、店員さんも思わず「ウゲッ!」と声を出し、小箱を投げ捨てるようにカウンターの上に置いた。黒い液体はトロトロと染み出し続け、カウンターの上に広がりつつある。
 万事休す。

「生き物を生きたまま、宅急便で送ってはいけません」
と、店長さんに厳重注意を受け、とぼとぼと僕は家路についた。液漏れしている小箱を持ち帰るためにビニール袋をもらえたのが、せめてもの慰めだ。

「おかしいな、家に来たときは大人しく寝てたのに」
 疑問に思い、ネットで調べてみると、ミニイカ娘は氷水で冷やしたり、特殊な薬品を吸引させたりすると、冬眠状態に入るらしい。僕に送りつけた人も、そんな手段を使ったんだろう。
 とはいえ、僕は特殊な薬品を入手できる立場の人間じゃない。ネットに書いてあった通りに氷水で冷やしてみても、
「何をするでゲショ!冷たいじゃなイカ!!」
と暴れるばかりで、一向に冬眠しない。何かコツでもあるんだろうか。 


【砂地獄】

 こうなると人目につかないところまで行って、置き去りにするしかないだろう。
 この季節、人目に付かない場所で、ミニイカ娘を置き去りにするのに打って付けの場所と言えば……海辺だろうな。

 僕は、ミニイカ娘を透明のプラスチックケースに入れて、最寄の浜辺に向かう電車に乗った。黒い小箱は、それに入れようとするだけでミニイカ娘が「私を捨てる気でゲショ!!」と暴れだすので、断念した。日が傾き始めた冬の浜辺には殆ど人がおらず、ミニイカ娘を置き去りにするには最適のロケーションだ。

 僕はミニイカ娘の入ったプラスチックケースからミニイカ娘を出すと、砂浜に立たせた。このミニイカ娘は海を見るのが初めてなのか、珍しそうに見入っている。
 ここに置き去りにすれば、「群れからはぐれた野良ミニイカ娘」としか思われないだろう。
 僕は走ればミニイカ娘を置いてけぼりにするくらいの自信はあったけど、念には念をと思い、保冷パックからエビを5尾取り出した。エビの匂いに目を輝かせたミニイカ娘に
「よく味わって食べるんだよ(最後のご馳走かもしれないからね)」
と言い添え、浜辺の方々に投げ撒いた。ばら撒かれたエビを回収に走るミニイカ娘、おそらく頭の中はエビのことで一杯で、僕のことなど忘れている。
「今だ」そう思い、僕は振り返ることなく、その場からダッシュで駆け出した。
走りやすいランニングシューズを履いて来たんだ。足場は砂地だし服装は厚着だけど、足取りは軽快だ。

―――と、駆け出した5歩目だったろうか、右足に激痛が走った。砂に埋もれて気がつかなかった、割れたガラス瓶を思い切り踏んづけたのだ。
ガラスの欠片は柔らかいランニングシューズのソールを易々と貫き、僕の足の裏まで突き刺さった。
「ギャアアアア!!!!!」
痛みのあまり、僕は砂浜でのた打ち回った。
浜辺に来ていた釣り人が、声に気付いて僕の異変に気付き、駆け寄ってきた。
来てくれて助かった。いや、来てくれないほうが良かったのか。

 僕のそばに駆け寄った釣り人は、僕から程ないところで、丸いお腹をしているミニイカ娘の存在にもすぐに気が付いた。
「お前さん、これは何だい。これはお前さんが飼っているミニイカ娘かい?」
その目には敵意や怒りが滲み出ていた。釣り餌を失敬するミニイカ娘は釣り人にとっても忌まわしい存在なのだ。
 最初は僕もしらばっくれた。
「知らないですね。野生のものじゃないんですか?」
「そんな訳ないよ。野生のミニイカ娘なら、この時期はとっくに冬籠りだ。それに、こんなまん丸なお腹で満足そうな顔をしてるやつは、野生にゃいないよ」
僕は次第に言い訳が苦しくなってきた。おまけにミニイカ娘は僕の右足にしがみ付き「ご主人さま~、大丈夫でゲショか~、あんよイタイイタイしてるじゃなイカ~」とでも言わんばかりに、心配そうな表情を作って大泣きを始めた。
 その姿は、飼い主の負傷を心から案じる忠実なペットにしか見えない。くさい演技しやがって。

 言い逃れが出来ず、釣り人に僕は謝った。涙目になって、事の経緯を説明した。釣り人はポカンとした顔で聞いていたが、一通り聞き終ると、
「つまりお前さんにとって、このミニイカ娘は邪魔な存在で、だけど殺生はしたくないから、殺そうにも殺せずこんなことをしているって訳か?」
と訊ねてきた。
「そうなんです」
「だったら、このミニイカ娘は俺が殺して釣り餌にしちまっても良いかい?」
願っても無い申し出だ。僕は即座に了承した。

 釣り人はミニイカ娘を手に取り、何の躊躇いもなく帽子を捻って殺そうとして手が止まった。
「やっぱ、止めとくわ。お前さん、自分は肉とか食べるくせに、ミニイカ娘を殺すのは嫌だなんて、駄目だよそういうの。もっと生命の尊さを学んだほうがいい。これはお前さんが責任を持って世話するんだな」
 そう言って、ミニイカ娘を僕につき返した。

 僕は足を引きずりながら、釣り人に教えてもらった病院に行き、傷口の消毒と縫合手術をしてもらった。幸い、怪我は大したことはなかったようだ。病院を出る頃には、すっかり日は暮れていた。

 帰りの電車でミニイカ娘は終始ギャービィー喚きまくりで、僕をげんなりさせた。もうケースに入れられただけで騒ぐだろうから、今後は外に連れ出すわけにもいかなそうだ。 


【巣食うもの】

 マンションに着いても、ミニイカ娘はぶんむくれたままだった。僕はカレンダーを確認した。明日は月曜日、可燃ゴミの日だ。
 僕はむくれてソッポを向いたままのミニイカ娘の背後から近寄ると、ガムテープで猿ぐつわをかました。ついでに触手も
手足もガムテープで固めた。
「ウウウーーーー!!」と、怒った目で声にならない呻き声を上げるミニイカ娘。
「出来ればこの方法は取りたくなかったんだよ」
僕は半ば自分に言い訳するようにミニイカ娘に言うと、茶封筒の中に入れて、更にまたガムテープで封をした。

 明朝出す予定の可燃ゴミの袋の口を開き、その封筒を中に押し込めて、再びゴミ袋の口を縛った。もう今のうちから、マンションのゴミ収集場に捨てておこう。明日の午前中には、ゴミ収集車に投げ込まれて、無残な運命を辿ることになるだろう。そう考えると良心の呵責を禁じえないが、かと言ってペット禁止のマンションで飼い続ける訳にもいかない。
「これで肩の荷が降りた感じだな」
そう呟いて、僕は眠りについた。

 翌日、仕事が終わり、マンションに帰ると、普段なら夜はいないはずのマンション管理人さんが居た。
 僕を待っていたようだ。
「ちょっと、402号室の鈴木さん、こんなものゴミの中に混ぜられちゃ困ります!」
 鈴木さんというのは僕のことだ。管理人さんは、ビニール袋に入れたミニイカ娘を突き出した。顔もワンピースもイカ墨塗れになっていた。
 ミニイカ娘は僕の顔を見ると「ゲショ~、ゲショ~」と甘えた声で鳴きながら、僕との再会を喜ぶかのように手や触手をバタつかせた。

 聞くと、朝、管理人さんがゴミを出そうと思い収集場のドアを開けたら、ゴミが異常に散乱していたので、何事かと思い見てみると、このミニイカ娘が収集場のゴミ袋を噛み破り、芋虫のように這いずり回って、生ゴミ漁りをしていたらしい。
ガムテープの猿ぐつわは、イカ墨を吐き出して粘着力を弱めさせて剥がしたようだ。今では触手や手足を固定していたガムテープも、管理人さんによって綺麗に剥がされている。

「いいですか、鈴木さん。まず証拠に、一番イカ墨で汚れた袋、この中には鈴木さんの名前の入ったゴミも混じっていました」
しまった、自分の名前の載ってる書類は、全部シュレッダー処理でもしておかないとな。
「それと、両隣の人の証言です。何だかあなたの部屋から、最近動物の鳴き声のようなものが聞こえると、お二人ともおっしゃられてましたよ」
やはり聞かれていたか。しかし簡単にチクるなよ。
「そして、今のそのミニイカ娘の態度、一応他の方にもお見せしましたが、ミニイカ娘がそんな懐いた態度を示したのは鈴木さん、あなただけです」
2時間サスペンスの素人探偵みたいだな。はいはい、わかりました。それも全て、こいつの演技なんですけどね。
「それで鈴木さん、このミニイカ娘、ガムテープでぐるぐる巻きにされてましたけど、それ、鈴木さんがやったのですか?もしかしてこんな可愛い生き物を虐待しているんですか?」
いや、それには色々込み入った事情があるんです。

 しかしわざわざ生け捕りにしなくても、管理人さんで殺処分してくれても良かったのにな。
「何言ってんですか。もしこれが住人のペットだったら、私の責任問題になります。ペット禁止のマンションだからと言って、私の一存で殺すことはできません。これは鈴木さんが責任を持って、始末してください。このマンションは、ペット禁止ですから」
 管理人さんは目を三角にして、ミニイカ娘を僕に突き返した。
 いや、ですから返さなくても、管理人さんが処分して下さっても…
「いいえ、お断りします。あなたが、自分で、始末してください!」
僕は、仕方なくミニイカ娘を引き取った。管理人さんは「近日中に始末するように」と、厳しくしつこく繰り返した。

 ミニイカ娘は、部屋で二人きりになると、とたんに態度を変えて無愛想になり、「早くエビを出すでゲショ!」と不機嫌そうに鳴き始めた。僕はその鳴き声を聞きながら、いよいよ自分の手で殺さなければならないかと、腹を括った。
 出来れば楽に―――安楽死させたい。 


【安らかに眠れ】

 マンションに着くと、僕はネットでミニイカ娘の安楽死について調べた。ところが、虐待・虐殺についてはテキストでも動画でも、いくらでも情報が検索されるのだが、安楽死は驚くほど少ない。
 ミニイカ娘の驚異的な生命力から、安楽死が成立しにくいようだ。

 その数少ない安楽死情報の中で、もっとも情報が多くて簡単そうなのが、ミニイカ娘の口を封じて帽子の部分を切除する方法だが、これは「直接自分の手を下す」感が強く、出来ればやりたくない。
 それに、手元を少し間違うと、虐待動画にあるようにミニイカ娘が苦悶の表情を浮かべ、のた打ち回って悲痛な断末魔を上げる。僕にはこれが耐えられそうにない。

 次に多いのが薬殺で、動画サイトで見ると注射針を打つと本当に安らかな顔で眠りにつくように死んでいく。しかし、動画のアップ主は、大学の薬学部か医学部の学生か何かだろう、使われている薬品はいずれも、名前を聞いたこともないし、ネットで調べる限りでは簡単に入手できるものでもない。
 市販の殺虫剤程度では、強靭な生命力のミニイカ娘は死なない。

 安楽死とは言いがたくなってくるが、次に多いのが餌を一切与えない餓死だ。
 大体2週間前後で餓死するようだが、中には自ら仮死状態に入り延命を図る個体もいるようで、言われるほど確実な方法ではなさそうに思われた。それに、餓死するまでの間、部屋でピィイイイイイと朝から晩まで泣き叫ばれたんじゃあたまらない。

 となると、あとは溺死か。

 ミニイカ娘が泳げないのは有名だが、湯船に入れても触手を可能な限り伸ばして何かに掴まるため、案外生存率が高いらしい。なので、室内で確実に殺すとなると、瓶詰めにするのがお勧めだそうだ。
 僕は適当な大きさの広口のガラス瓶を用意し、中を水で満たした。

 エビを腹いっぱい食べ、丸い腹をして寝ているミニイカ娘をそっと摘み上げると、手早く瓶に詰め込んで急いで蓋をした。僕に摘み上げられた時点で目を覚まし、何かされるんじゃないかと抵抗を始めたミニイカ娘だが、人間の力に敵うものではない。ただ、ミニイカ娘を詰め込むときに瓶の水がいくらか零れたのと、蓋を閉めるときに瓶と蓋との間に触手が挟まったようで、ミニイカ娘は瓶の上の方の少しばかりの空気を、触手伝いに這い上がって呼吸していた。

 今こうして目の前でもがいているミニイカ娘の姿と、自分の右手に今でも残っている、瓶に入れられまいとするミニイカ娘の最後の虚しい抵抗の感触から、僕は吐気を催し、トイレに駆け込んだ。トイレから戻ると、ミニイカ娘は依然わずかばかりの空気を吸って奮闘していた。僕は滅多に開けない戸棚の中に、その瓶を仕舞うと、頭から布団を被って眠りに就いた。早く忘れよう……

 明けて日曜日は何もせず過ごした。胸中では昨日のミニイカ娘はどうなったのか、見てみたい、いや見たくないというアンビバレンツな思いが交錯していた。その次の日から出社だ。仕事が始まると、土曜日のことは次第に記憶から薄れ始めた。しかし何か引っかかるものがある。と言うか、何かが落ち着かない。何だろう、この感覚は。 


【REBORN】

 そんな落ち着かない気持ちで過ごしていたある夜、とっくに忘れていたはずの戸棚の中の瓶の蓋が開き、無数のミニイカ娘が戸棚を押し開け、僕に迫ってきた。
「うわあああああ!!!!」
と悲鳴を上げて、僕は目覚めた。何だ、夢か……でも何だ今の夢は、何か落ち着かない気持ちを、妙に充足する力がある。
 真夜中だったが、僕はベッドから出ると、意を決して戸棚を開けてみることにした。
 ミニイカ娘を詰め込んだ瓶を見ると、その中には、無数の小さなミニイカ娘が入っていた。

 しばらく訳が分からなかった。
 産卵し、孵化したんだ。この瓶の中で。

 最後のあの夜腹が丸かったのは、満腹だったからじゃなく、身籠っていたんだな。
 幼体は水中をエラ呼吸で過ごし、餌がなくても生きていけると言うが、流石に閉ざされた瓶の中で孵化したミニイカ娘も既に殆ど死んだようで、瓶の下半分は小さなミニイカ娘の腐敗した死骸が漂っている。
 しかし、瓶の中に不規則な水流が生じているところを見ると、まだ何匹か生きている個体もいるようだ。

 僕は瓶の蓋を開けた。強烈な腐敗臭が鼻を刺激した。
 生まれて初めて頭上の蓋が取れたのを見て、水面上に不思議そうな顔をした小さなミニイカ娘が何匹か顔を揃えている。
「よく生きてたね。会いたかったよ」
僕は涎を垂らしながら呟いた。

(終わり) 
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