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ゲショゲショ!

前原一征様
ミニイカ娘と夢見るアラフォー女子


わたし OLの田嶋みずほ。通称みいちゃん。ちょっぴりぽっちゃり系の38歳独身娘。最近は合コンにも誘われないなあ、なんておもっている今日この頃。帰ってきたときになんとなくテレビをつけたらこんなのやってた。

ミニイカ娘婚活 最近はミニイカ娘の飼い主どうしでの出会いが増えています。では実際のカップルを見てみましょう。
20代とおぼしき女性「ミニイカちゃんのおかげで彼をゲットできましたぁ。」
ニコニコしながらミニイカにキスをする。
テレビではミニイカのファン交流会で出会いゴールインしたカップルの話が延々と繰り返されている。

これだ。みいちゃんに天啓おりた。さっそくミニイカちゃんを飼おう。

ここでみいちゃんの自己紹介をするね。
みいちゃんこと田嶋みずほは、38歳のOLでバリバリとは行かないけどがんばっている職場の花です。もっとも男の人は既婚者とオタクばっかりのつまんない職場だけど。
それでね、未来のだんな様はやっぱり、年収は最低でも600万以上、ただし土日くらいは家事をしてもらうつもりです。もちろん 人格的には酒・タバコ・ギャンブルをせず、ちゃんと話を聞いてくれるような方がいいなあ。オタクは論外!!
そんでね、一戸建て持ち家ではなくても、そこそこ利便性もあってキレイなマンションを購入できる位のレベル。
あ!もちろんローンでも可!
即金購入できるなら言うことナシなんだけれど。
優しく、経済力のあるダンナ様と子供と暮らす穏やかな生活を送るのが理想。
せっかく女に生まれたからには、せめて1人は子供を産みたい!
そんなすてきなだんなさまをゲットするために、まずはミニイカちゃんをゲット。

早速ペットショップにれっつごう
ペットショップれもん
店員「いらっしゃいませ。」
みいちゃん「ミニイカちゃんをください、わたしみたいにかわいい娘を。」
店員一瞬だけ影がさすが接客のプロとしての誇りが彼を支える。
店員「こちらです。この子たちは元気いっぱいで素直ですよ。」
みいちゃん「この娘にする。」

店員「20万円です。こちらのミニイカハウスとえさのセットは10万円、合計30万円です。」
ニコニコ顔の店員に対し今度はみいちゃんの顔に影がさす。
みいちゃん「いいわ、カードのリボ払いでいいかしら。」
みいちゃんはエステや旅行、グルメの大好きなOLで貯金は一切ない。
まあ、素敵な旦那さまをゲットすれば万事オッケーてね。てへっ。

こうして夢見るOLみいちゃんとミニイカ娘の共同生活が始まります。
職場から帰ってくるとミニイカちゃんが玄関までお出迎え。
ミニイカ「げしょげしょぴっぴ。」(はやくエビちょうだいよ~)
みいちゃん「ただいま、ミニイカちゃん。ご飯あげるね。」
ミニイカにえさのエビを与えるとたちまちにしてたえらげていく。

みいちゃんは、ミニイカを家で留守番させることがなんとなく可哀想に思えてきた。お休みの日のエステや旅行にもミニイカを連れ出すようになっていった。

ある日の職場で。
男性職員1 「最近、ミニイカがブームのようだね。」
男性職員2「ああ、そこでずいぶん問題があるようだ。」
男性職員1「どういうことだい。」
男性職員2「最近は飼い主がいい加減なのか、ミニイカが悪いのか、各地で問題を起こしている。たとえば、公共の場所でところ構わずスミをはいたりふんをしたり。ひどいときは子供に噛み付いて怪我をさせたなんて話もあるくらいだ。」
男性職員1「ひどい話だな。」
男性職員2「まったくだ。それで、この前顧問の弁護士の高野先生が、ミニイカがらみの事件で、ずいぶん忙しいようだ。」
そんな話を聞いたみいちゃんは怒鳴りこんだ。
みいちゃん「なにいってんのよ、ミニイカちゃんがスミを吹くのは生理現象よ、あったかく見守ろうって思わないの。なににみっちいこといってんのよ。」
男性職員2「占有動物を責任を持って管理することは当たり前です。問題を起こせば当然に不法行為責任を追及されます。」
みいちゃん「それがなんだっていうのミニイカちゃんも一生懸命生きてるのよ。あんたらみたいなオタクと、一緒にしないで。」
みいちゃんは理不尽なすて台詞をのこしその場を去った。

ある日お出かけ先でのことミニイカちゃんと旅行、みいちゃんはもミニイカもご機嫌です。

シーフードレストランでみいちゃんが食事をしていると、厨房から大きな音がした。
がしゃん、がやん、がしゃん。
みいちゃん「どうしたんだろうね、ミニイカちゃん。って、あれ、みにいかちゃん。」

厨房で
レストラン職員「このやろう、どこからはいってきた、このくそミニイカ。」
なんと、ミニイカが厨房に侵入してエビを食い荒らしている。
ミニイカ「げしょげしょべー。」(あっかんべ~)
ミニイカ「げしょ~げしょげしょしょ~」(のろまなカタツムリさんここまでおいででしょ)
完全にバカにしきっていいた。大柄なシェフは動きが遅い、その上ミニイカが厨房を荒らしたために足元がひどい有様だった。
シェフ「このやろう、うわああ。」シェフは転倒し怪我をしてしまった。

レストラン支配人「お客様、当店は、生き物の持込をご遠慮いただいております。」
みいちゃん「だって、ミニイカちゃんを置いておくなんて出来ない。あなたが責任もって面倒みてくれるの。」
レストランと多くのお客に迷惑をかけておきながら反省の色も見せない。
ミニイカ娘はというと、ゲージのなかからあっかんべーをして、くるくる踊りだした。
その様子に怒りを覚えた客の一人が席を立った。
客の男「失礼、あなたのやっていることは、明らかに占有動物の管理を怠っている、不法行為責任に問われます。さらに是だけの騒ぎを起こしその上にけが人まで出したこの事件は、業務上過失傷害が適用されます。ついでに、現行犯である以上刑事訴訟法上、貴方を現行犯逮捕、警察に引き渡すことも出来ます。どなたか携帯電話を貸していただけませんか、110番通報したいので。」
みいちゃんは、詰め寄って男性に文句を言いかけてやめた。彼の胸には金バッチ、弁護士バッジが輝いていたからだ。
みいちゃん「わかったわよ、弁償すればいいんでしょう。こんな店もうこりごりよ。」
ケージのミニイカも「げしょ~、ぶー。」なんとスミをはいて威嚇している。
みいちゃんは不満そうに店を出て行った。

みいちゃんが去ったあとのレストランで。
シェフ「有難うございます。それに不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。」
客「とんでもない、シェフ、今日は災難でしたね、大丈夫ですか。」
シェフ「重ねがさね有難うございます。貴方は?」
客「申し遅れました、私こういうものです。」
名刺には、弁護士 高野五十六 とあった。

 

みいちゃんの自宅で
みいちゃん「ああ~あ、ひどい目にあっちゃった。ねえ、ミニイカちゃん。」
ミニイカ「げしょ~げしょしょ」(えびー、えびーおいしいでげしょ)
みいちゃん「そうよね、そうおもうわよね。」
ミニイカ「げしょお、げしょしょ」(もっとえびたべさせて)
みいちゃん「あ~あ、サラ金にまで、借金して何とか弁償したけど。」
なんとなくつけたテレビで、みいちゃんが普段ぜったい見ない経済番組が流れていた。

キャスター「そこで、このファンドの出番ですね。」
エコノミスト「はい、当ファンド、愛称はミニイカちゃんのお家 は、ペット用のミニイカ娘の飼育、健康、販売に関する企業のみを厳選して集めたすばらしいファンドです。」
どことなく缶直人元総理大臣を髣髴とさせるファンドマネージャーが暑苦しく語る。
キャスター「ミニイカちゃんブーム真っ盛りですものね。」
エコノミスト「はい、最近は中国でもミニイカブームの火がつき、富裕層を中心に重要が大爆発なんです。」
キャスター「まあ、すてき。」
番組の最後に素敵なプレゼントのお知らせ。当ファンド申し込みは土井証券に。

みいちゃん「よしっ。これだわ。これで、借金なんか無くなるし、結婚資金もゲットね。」
ミニイカ「げっそ~げそげそ~。」(えび、えびがたべられそうなよかんでげそ~)
みいちゃん「ミニイカちゃん、儲かったら、えびをいっぱい食べさせてあげるね。」
ミニイカ「げそ!!げそそ、げしょ~。」(約束でげしょ、エビをいっぱいでげしょ)
翌日みいちゃんは土井証券で、ミニイカファンド愛称ミニイカちゃんのお家を300万円相当を購入した。全額サラ金からの借金である。

数ヵ月後、みいちゃんは、ミニイカ以外の全てを失っていた。
ミニイカファンドを購入してしばらく後の経済ニュース
エコノミスト「ギリシャのユーロ離脱により、ユーロは連日の安値更新、ヨーロッパ経済の不振はアジアに飛び火し、中国をはじめ、新興国でも経済は混乱している。多くのファンドも深刻な状態です。」
エコノミスト「特に、この、ミニイカ娘ファンドは、ミニイカに関連した企業で構成されているため、景気に大きく左右されます。そのうえ新興国のミニイカブームは今回のユーロ危機で吹き飛びましたから、多くのファンドの中でも最悪のファンドになっています。以上のことから・・・。」
もう、みいちゃんは何も聞こえない。

ミニイカが足元でえさをねだっている。
ミニイカ「げしょげしょぴいぴい。」(えび、えびちょうだいよ、やくそくのえび~)
そのとき玄関で物音がする。こわもてのおとこがたっている。
こわもて「とっくに返済日は過ぎているんですけどね。払ってください。」
みいちゃん「だって~おかねないし~。」
こわもて「だったら、出るとこでてもらおうじゃないか。」
後日、みいちゃんは財産を差し押さえられ、挙句に自己破産した。そして、業績の悪化した職場からリストラのされた。人員整理を命じられた人事担当者が、たまたま官報を見たのだ、企業努力の末の止む終えない人員整理。過失の無い従業員は出来るだけ切りたくなかったからだ。

みいちゃん「ミニイカちゃん。とうとう二人っきりになちゃったね。」
ミニイカ「げしょげしょ~げそぎゃーそ。」(えびー、えびをよこすでげしょ)
みいちゃん「そうよね、わたしわるくないよね、うっうっうっつ。」
ミニイカ「げしょげしょ~げそぎゃーそ。」(えびー、えびをよこすでげしょ)
みいちゃん「わかってくれるよね、ミニイカちゃん。一緒に死んでくれるよね。」
ミニイカ「げっ、げしょげしょぴいい。」(じょうだんじゃない、もっとえびをたべるでゲショ)
みいちゃん「ありがとミニイカちゃん。さあ、いこう。」
ミニイカ「げしょ~げしょげしょう。」(冗談じゃない死にたくないでゲショ120年生きるデげしょ)

翌朝、新聞の一面に『ミニイカファンド破綻』の文字が大きく踊っていた
そして、新聞の三面に小さな記事が載っていた。本当に小さな記事が彼女らの最後を伝えていた・・・

終わり

 

 

 

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