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ゲショゲショ!

不慮の事故?系
雪降る公園で
「あぁ~い、あぁ~い、ぴぃ~…あぁ~い、あぁ~い、ぴぃ~…」
しんしんと雪の降り続ける公園で、もう1時間近くも誰かが泣いています。
声の元凶はミニイカ娘。
そこいら中にゴミのような雪の塊を作っては遊んでいたようですが、ふと遊びに飽きて周りを見回して、そこで初めて飼い主がいなくなったことに気づいたようです。
(自分が捨てられる訳はないでゲショ)
-そう信じるように、頭に雪をのせた滑稽な格好で、ただぎゃあぎゃあ泣き続けるのでした。

(プッ、泣いてる暇があるなら歩いて帰りゃいいのにバカだね)
(こいつ、何でこんな雪の日にノースリーブなんだ?)
(手袋にマフラーとかええかっこしてるけど、所詮飼い主の自己マンだよな)
(ぐっ…踏み潰してやりたいけど、今日はおニューのブーツだから我慢しよ)
降雪で早めに家路を急ぐ人たちは、パンダ座りでア~エア~エとダダをこねるミニイカ娘のことなど、本気で相手にしませんでした。

しかしその喧しい鳴き声は、別の更に大きな鳴き声でまったく聞こえなくなってしまいました。
「うわぁーん、おかあさぁーん!!」
小学生くらいの女の子が迷子になって途方に暮れているようです。自然と、衆目もその女の子の方へ向いていきました。
びしょ濡れの地べたにベタ座りして、ギャアギャア泣いている奇怪な生物のことなどもはや耳目から消し飛んでいるようです。

幸い、すぐにお母さんらしき女性がカサを持って駆け寄ってきました。
「○○ちゃんどこ行ってたのもう!」
『げしょぉー!』(ご主人様迎えに来たでゲショ!遅いじゃなイカ!!)
雪の中をノースリーブで出歩きたがるくせに、自分では体調管理もできない世間知らずのお嬢様ミニイカ娘にとって、今や「ご主人様」なんて誰でも良かったのです。
ミニイカ娘は女の子を追いかけるように、お母さんに向かって走り出しました。
(ハァ、ハァ、今夜も何とかエビにありつけるでゲショ!運がいいじゃなイカ!)
早くも頭の中が次の計算-餌の確保-でいっぱいのミニイカ娘は、わくてかもふもふと赤いホッペをテカらせて、触手で女の子の長靴に絡まりつきました。

「さぁ、早くおうちに帰って温まるのよ」
「うん、ごめんなさぁい」
「ほら、長靴についたそのゴミを落としなさい」
バタバタバタッ!
ぺちっ。
『うわぁぁぁぁ』

ズルズルッ、グシャリ。
『ピギィッ!!……』
「さぁ帰ろうね」
哀れ、雪の上に振り落とされたミニイカ娘は姿かたちもよく見えなくなってしまい、女の子に念入りに踏み潰されてしまったのです。

「うごぉ……ふごぉ…」
子供たちが帰った後、しんしんと雪が降り続ける公園には、首の千切れかかったミニイカ娘が凍えて蠢いていましたとさ。

(終わりでゲショ♪) 
edited by仂様 at
とっとこハム次郎1
スーパーからの帰り道。
手には大きな頭付きのエビが入ったレジ袋を下げている。
これは我が家の大事な家族であるハムスターの為に購入したエビだ。

我が家のハムスター、ハム次郎は変わっていた。
何故かはわからないがとにかくエビが大好物なのだ。
もちろんハムスターに与えるのはあまり良くない事もわかっている。
そこで1日1回、朝食時にほんの少しだけ茹でたエビを食べさせてあげる事にしていた。
そんなハム次郎、最近体調の方が優れない。
今朝は立ち上がる事も出来なかった。
しかしそれは仕方のない事。
ハムスターの寿命は2~3年と言われているが、ハム次郎は我が家に来てすでに3年目になる。
悲しい事だが、おそらくもう寿命なのだ・・・

ハム次郎の命があとどのくらい保つかはわからないが、せめて最後に大好きなエビを腹一杯食べさせてやりたいと思い、今日は特別大きなエビを用意してあげたのだ。
家に着き早速エビを食べさせてあげようとハム次郎の待つ部屋へと急ぐ。

「キュー!キュッ!!キューーーー!!」

すると部屋の中からハム次郎の悲痛な鳴き声が聞こえてきた。
こんな鳴き声今までに聞いた事もない、明らかに異常事態だ。
慌てて部屋に入ると目の前には信じられない光景が繰り広げられていた。
そこには全身真っ黒で横たわるボロボロのハム次郎の姿と、今まさにハム次郎に暴行を加えている最中の、薄汚い2匹のミニイカ娘の姿があった。

『チェィッ!、チェィッ!、チェェェィッ!』
1匹は横になったハム次郎の上に乗り、踏みつけるようにしてジャンプをしている。

『チッ!チチチッ!チチチチチッ!!』
もう1匹は横になったハム次郎の手を抑え、お腹目掛けてキックの連打を喰らわせていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

目の前で繰り広げられる悪夢のような光景に心も体も凍りつく。
何故ミニイカ娘がここに?
どこから侵入したんだ?
何故ハム次郎は暴行を受けている?
何故、何故、何故・・・・・・
沢山の何故に頭がいっぱいになる。
ダメだ、今はそんな事よりハム次郎を助けなければいけない!
俺は腹の底から絞り出すように声を上げた。

「ヤメローーーーーーッ!!!」

俺の声に攻撃を止める2匹のミニイカ娘達。
すると2匹は『どうだっ!』と言わんばかりに胸を張り万歳三唱の様な声を上げた。

「「ゲショショーーーイッ!ゲショショーーーイッ!ゲッショショーーーーーーーイッ!!」」

勝ち誇ったように万歳を続けるミニイカ娘達。
俺は凍り付いた足を無理やり引き剥がし、急いでハム次郎の元へと向かったが、時すでに遅く、ハム次郎の命の灯は消える寸前であった。
素人の俺でもわかる、これはもう助からない。
なんでハム次郎がこんな目に遭わなければならないのか・・・
目から熱い液体がこみ上げてくる。
ミニイカ娘達はそんな俺を後目に、瀕死のハム次郎の前で無邪気に笑いスキップをしていた。
そしてその笑顔を俺に向けると元気いっぱいに声を上げた。

『ゲーーショ!エビッショ!ゲショゲショピィッ!』
『エヘヘッ!ゲッソゲソゲソ!ギェビィィィィッ!』

・・・エビ?ギェビ?
そう言えば聞いた事がある。
ミニイカ娘は無類のエビ好きだと。
その為なら民家に不法侵入するヤツもいるらしいと。
そうか、こいつらはハム次郎から匂う微かなエビの匂いを嗅ぎ取って我が家に侵入したのか。
そしてハム次郎がエビを隠し持っていると思い込み、奪い取るために暴行を加えていたと。
そんな、そんな理由でハム次郎は死ななければならないのか。

・・・・・・・・・ユルセナイ

絶対に許さない!!!

『げそぉ~?、エビッショ・・・』

ミニイカ娘は俺と、俺が持っているレジ袋を交互に見つめて不安そうな顔をしている。
そうか、袋の中にエビがあるとわかっているのか。
クソが・・・お前等に喰わせるエビは無いんだよ!
俺は未だエビが貰えると思っているマヌケなミニイカ娘の1匹を、思いっきり張り手でぶっ飛ばしてやった。

バチーーーーーンッ!!
『ゲゾオオオォォォォォォォォ・・・・・』
ペチッ!

勢いよく吹っ飛んだミニイカ娘は壁に激突。
そのまま床にずり落ちピクピクと痙攣してしまった。
それを見たもう1匹のミニイカ娘は呆気にとられて硬直していたので、この隙に後ろから胴体部分を握って捕まえてやった。 

『ゲショゲショォォォォォ!』

慌てて逃げようと暴れるミニイカ娘。
そこで、掴んだ手を強めに握り締めながらギロリと睨み付けてやった。

『ゲショ・・ア、アワワワワ・・・』

すっかり怯えてしまったミニイカ娘は、しかしすぐに媚びた笑顔を作ると、まくし立てるように俺に向かって話しかけてきた。

『ゲッショ、ゲショゲショピィ!ピョピョピョピョピョーショ!ゲーショゲショピィ!?』
「何言ってんのかわかんねーーよっ!」
バチーーーンッ!
『ゲ・・ゲジョォォォ・・・』

全力で放たれたデコピンが顔面にクリーンヒット!
鼻から墨を垂らしたミニイカ娘は痛そうに顔を蛇足で押さえた。
そんなミニイカ娘に諭すように優しく語りかけてやる。

「いいか、よく聞けよ、俺は例えそれが憎い奴だったとしても簡単に生き物の命を奪うのは良くない事だと思う、だからお前たちも殺さずに生きて返してやるよ」

そう、いくら憎い奴とは言え、ここで殺してしまったらハム次郎の命を奪おうとしたミニイカ娘と一緒になってしまう。

『ゲショ!ゲショゲショ~・・・』

俺の言葉が理解出来たのか、それとも単に優しい口調だったからか、ホッと胸をなで下ろしたミニイカ娘は俺に向けて薄汚い笑顔を見せた。

『エヘヘッ、ピャーショッ!』

「だがな・・・・・・」

暫しの沈黙、ミニイカ娘はキョトンとした顔で俺を見つめている。

「だが、ハム次郎が受けた苦しみは倍にして返してやるから覚悟しろ!!!」

『ゲ、ゲソォォォォォォ!!』

不意に怒鳴られたミニイカ娘は、再び逃げ出そうと必死になって蛇足と触手をバタバタさせた。

「今更逃げられると思ってんじゃねぇよ!」

ミニイカ娘を睨み付け、握る手に力を込めて締め上げていく。
ミシミシと骨が軋む音が聞こえ、ミニイカ娘は苦痛に顔を歪ませた。

『・・ギィ、グギギ・ショ・・・イ、イギギュイ・・・』

やがてミニイカ娘は口から墨を垂らすと、小さく呻き声を上げて抵抗しなくなってしまった。
手始めにコイツから、ハム次郎が受けた痛みと苦しみを返してやる。
先程言った通り殺すつもりは無いが、ただ生かして帰すつもりも無いのだ。
辺りを見回すと、手の届く所に鉄製の30cm定規があった。
それを手に取り、イカ帽子にあてがうと、ミニイカ娘の顔はみるみる青ざめていった。
これから自分の身に何が起こるのか、本能で理解したのだろう。

「いいか、10発だ、10発耐えたらお前は許してやる、いくぞっ!!!」

「いっぱーーーつ!」
パチーーーーーンッ!
『キュイィィィィィィィィィ!!!』

定規はイカ帽子の頂点を直撃!
マンガだったら星や火花が飛んだに違いない衝撃に、ミニイカ娘は目をクルクル回して朦朧としていた。
が、構わず2発目をお見舞いしてやる。

「2はーーーつ!」
パチーーーーーンッ!
『ゲショォォォォォォォォォ!!!』

「3ぱーーーつ!」
パチーーーーーンッ!
『ギャソォォォォォォォォ!!』

「4はーーーつ!」
パチーーーーーンッ!
『ゲジョォォォォォォ!』

「5はーーーつ!」
パチーーーーーンッ!
『ゲショォォォォ・・・』

右から左から、定規をしならせ打ち据えていく。
5発目が終わった所でミニイカ娘の様子を見ると、墨と涙で顔がグチャグチャになっていた。

「いいか、後5発だ、死ぬ気で耐えろよ!」

俺がそう言うとミニイカ娘は慌てた様子で俺を見つめて何やら口をパクパクさせた。

「何だ、何か言いたいことがあるのか?」

ミニイカ娘は小さく頷きゆっくりと口を開いた。

『げそ、げそげそ・・ゲショゲショゲーショ!ゲショォォォ・・・ゲショ・・』
ペコッペコッペコッペコッ・・・

ミニイカ娘はひとしきりしゃべり終わると何度も何度も頭を下げた。
どうやら自分の犯した罪を反省し謝罪しているようだ。

「そうかそうか、わかってくれたか~」

笑顔で俺が頷くとミニイカ娘は墨だらけの顔を拭ってニパッと笑顔の花を咲かせた。

「わかってくれればいいんだ、それじゃ6っぱーーーーーーーーーつ!!!」
パチーーーーーーーンッ!
『ギャソォォォォォォォォォォォォ!!!』

全力で振りかぶった一撃は再びイカ帽子の頂点にジャストミート!

「いまさら謝って済むと思ってんじゃねぇぞ糞ミニイカ!」 

力無くうなだれるミニイカ娘。
すると何やらブツブツと小声でぼやき始めた。

『げそげそげそげそげそ・・・ゲショゲショゲショピィ!?・・・ピョーショ・・・ピョピョピョゲーショ・・・』

俺に対して文句があるのだろう、その声色は明らかに恨みがこもっていた。

「ブツブツうっせーんだよクズが!!」

そう怒鳴りつけるとミニイカ娘は怒気を孕んだ声を上げた。
どうやら逆ギレしたらしい。

『ゲ・・ゲショショゲーショゲショ!!ゲショピィッゲショゲショピィ!!ゲソ、ゲソゲソゲソッ!ゲッショゲショゲシ「7はーーーーつ!」』
パチーーーーーンッ!
『げ、げそげそぉぉぉ・・・』

怒りの雄叫びを遮る形で放たれた7発目はクリティカルヒット!
ミニイカ娘は完全に戦意を喪失してしまったようだ。

「8っぱーーーつ!」
パチーーーーーンッ!
『ゲ・・・ショ・・ォォォ・・・』

「9はーーーつ!」
パチーーーーーンッ!
『ピョ・・・ピョ・・・・・』

「これで最後だ、10っぱーーーーーーつ!!!」
パチーーーーーーーーンッ!
『・・ピョ・・・ショ・・・』

10発終える頃にはイカ帽子はベコベコ、触手も力なくダランとしており、ミニイカ娘はすっかり虫の息になってしまった。

「よし、約束通りお前は許してやる」
edited by仂様 at
とっとこハム次郎2
次は張り飛ばされ壁に激突して倒れたミニイカ娘だ。
俺は握っていたミニイカ娘をその場に投げ捨てると、もう1匹のミニイカ娘の元へと向かった。
しかし先ほどの場所にミニイカ娘の姿が無い。
逃げたのか?
周りを見回すが何処にも見当たらない。
しばらく辺りを探っていると、微かにビニールを引っ掻くような音が聞こえてきた。

まさか!
音のした方を振り返る。
するとそこにはハム次郎の為に買ってきたエビのパックを開けようと、ビニールを引っ掻いているミニイカ娘の姿があった。

全く呆れた生き物だ。
同胞が死にかけ自身にも危険が迫っていると言うのに、この期に及んでまだエビを欲すると言うのかこのクソ生物は・・・
呆れて物が言えなくなる。

とにかくミニイカ娘に気取られぬよう、手にスリッパを構えて背後からそっと近づいた。
しかしエビに夢中のミニイカ娘は全然気が付く様子が無い。
そこで構えたスリッパを振りかぶりると、ミニイカ娘目掛けて一気に振り下ろした。

バコーーーーンッ!
『ギャソォォォォォォ!!』

バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコーーーーーーンッ!
『ギャソッ!ゲソッ!グショッ!ギャソッ!ゲピョォォォォォォ!』

バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!
『ゲショッ!・ゲッ!・・グェェジョ!・・・ゲピョ・・・ピョ・・グェ・・・ショ・・ゲ・・グ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

「ハァ、ハァ、ハァ・・・」
しばらくして鳴き声がしなくなった事に気付きスリッパを振りかぶる手を止める。

『・・・ゼピョ・・ブプ・・・ピョピョ・・・・・・・・・・』

そこにはつい先ほどまで【ミニイカ娘】だった物が瀕死の状態で転がっていた。
我を忘れてやりすぎてしまったか。
だがコイツ等は当然の報いを受けただけだ。
後はこのゴミをさっきのクズと一緒に表へと投げ捨てれば終わり。
そう思って定規で殴ったミニイカ娘を見ると、なんと、ふらふらと立ち上がり逃げようとする所だった。
あのダメージを受けてまだ動けるのか!?
さすが150年生きると言われている生き物、ハンパない生命力だ。
俺が感心している間にもミニイカ娘は立ち上がりトコトコと逃げ出してしまった。
これはいけない!
何とかミニイカ娘を捕まえようとするが、予想以上の回復を見せたミニイカ娘は思いのほかすばしっこく逃げて行く。

『ハッハッ、ヒッヒッ、ハッハッハッ、ゲショゲショォォォ!』

チョロチョロと走り回るミニイカ娘はなかなか捕まえられない。
しかし帽子に受けたダメージは簡単には抜けなかったようで、時折足がもつれたりよろけたりしていた。
おかげですぐに部屋の隅へと追い詰めることに成功、右手にスリッパを握りしめミニイカ娘に近づいていく。 

『アワワワワ・・ゲショゲショゲショ・・ゲショショゲショ・・・』

その時だった。

ピカァァァァァァァァァァァァァ!!!

部屋が眩い光に包まれる。
余りの眩しさに両手で目を覆った。
何が起きたんだ!?
指の隙間から部屋を見回すとそこには黄金に輝くレジ袋があった。
いや、よく見ると光っているのはレジ袋ではなく、袋の中のエビのようだった。
そして黄金に輝くエビは袋を突き破って飛び出し、俺とミニイカ娘の間に飛んで来た。
突然の事に状況が飲み込めず、ただ立ち尽くしていると、足下から何か声が聞こえてきた。

よく見ると先ほどのミニイカ娘が黄金のエビに向かって土下座をしていた。
そしてミニイカ娘が力強く頷いたかと思うと、黄金のエビはミニイカ娘の口元へと近づいていった。

あ~~~~~~~~~ん!

大きく口を開けるミニイカ娘。
まずい、このままではハム次郎のエビが食べられてしまう!
とっさに手を伸ばしミニイカ娘の目の前で光る黄金のエビを掴み取る。

ガチーーーーーーンッ!

有るべきはずのエビがなくなり上下の歯をぶつけ合わせてしまうミニイカ娘。
その歯は粉々に砕け散ってしまったようだ。

歯が無くなったミニイカ娘は『ヘヒョヘヒョ』と言う間抜けな声を上げエビを返せと鳴いているようだが、冗談では無い。
貴様等の様なクズには殻の欠片だってやるものか!

・・・それにしても不思議な事があるもんだ。
俺は手のひらの中で未だ光を発するエビを見た。

『ゲヒョゲヒョッ!エピ、ヘポエピ、ヘヒョヘヒョォォォ!』

ミニイカ娘はピョンピョン飛び跳ねエビを返せとまくし立てる。
だが、そうこうしている内にエビの光が徐々に弱まってきた。

『ヘ、ヘピョヘピョォォォォ!、ヘホヘホヘホヘホォォォォォォ・・ウ、ウェェェェェェェン!!』

エビが光を失っていくのを見たミニイカ娘は慟哭し、膝から崩れ落ちた。
そんなにこのエビが食べたかったのか・・・

と、その時だった。
瀕死だったはずのハム次郎が俺の手のひらに飛び乗ってきたかと思うと、今までに見た事無いような大口を開け、まだ微かに光を放つ黄金のエビを一口で食べてしまったのだ・・・・・・

またもや呆気にとられて立ち尽くす。
そんな俺を後目にハム次郎の体はどんどん大きくなりついには大型犬ほどの大きさになった。

『ゲショ、ピョ、ゲショショ・・・』

足元を見るとミニイカ娘も俺と同じく呆気に取られて立ち尽くしていた。
するとハム次郎はそのミニイカ娘をパクッとくわえると一口で食べてしまったのだ。
そしてスリッパで潰され墨塗れでピクピクしているミニイカ娘もヒョイッとくわえると、そのままゴクリと飲み込んでしまった。

もう、何が何だかわからない。
ただただ呆然とするばかりだ。
やがてハム次郎はみるみるうちに元の大きさになり、俺を見上げて元気よく鳴いた。

『キュゥゥゥゥゥゥゥッ!!!』

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今思い出してもあの時の出来事は夢だったんじゃ無いかと思う事がある。
しかしあれは間違いなく現実に起こった事だろう。
その証拠にハム次郎は10年経った今も『とっとこ』元気に走りまわり、あの日以来大好物となったミニイカ娘にかじりついているのだ。

『キュッキュ、キューーーッ!!』
『ゲショォォォォォォ・・・』

おわり 


<writed by ミニイカ娘が嫌い様>

edited by仂様 at
とっとこハム次郎 sideミニイカ娘1
「あ~、お腹減ったでゲソ~」

ここは海岸と住宅地を結ぶ道端の側溝の中。
そこには住宅街へ向けて歩く2匹のミニイカ娘の姿がありました。

「やっぱり海藻だけじゃ腹の足しにならんでゲソね~」
「クンクン・・」
「さて、今日はどの人間さんの家を侵略しやるでゲソかねっ!」
「クンクンッ・・・」

ミニイカ娘達の目的は『侵略』と称した民家への侵入、及び食料の奪略行為です。

「昨日は雨が降ってこの秘密の通路が使えなかったでゲソからね~」
「クンクンクンッ・・・」

そう、ミニイカ娘達はこの側溝を使う事により、カラスなどの天敵に見つからず、迅速に巣穴のある海岸と食料豊富な住宅街とを行き来していました。

「そう言えばこの前、侵略の途中で人間さんに捕まりそうになってヒヤヒヤしたでゲソね」
「クンクンッ、クンクンッ・・・」
「でも、あたし達が笑顔を見せたらすぐに許してくれたでゲソ!」
「クンクン?、クンクンクンッ・・・」

可愛いミニイカ娘達の前では人間はイチコロ。
彼女達は今まで何度も人間に捕らえられそうになりましたが、その度に媚びた笑顔や同情を誘う泣き声、愛らしい仕草を駆使して生き延びる事に成功していました。

「本当、人間さんは甘っちょろい生き物でゲソね~」
「クンクンクンッ、クンクンッ・・・」
「って、おぬしはさっきから何をしてるのでゲソ?」
「クンクンッ、エビのクンクンクンッ・・・、エビの匂いがするでゲショ!」
「クンクンクンッ・・・・・本当でゲソ、微かだけどこれはエビの匂いでゲソ!」

2匹は目に星を浮かべて喜びました。

「おぬし良く分かったでゲソね!お手柄じゃなイカ!?」
「ふふん!伊達に毎日お鼻を鍛えてるわけじゃないでゲショ!」
「おお、さすがはエビマイスターでゲソ!」

ミニイカ娘の嗅覚は人間とほぼ同じと言われています。
しかし、事エビだけに関しては人間の1億倍と言われていました。
その中でも飛び抜けて鼻が利く個体は畏敬の念を込め『エビマイスター』と周りのミニイカ娘達に呼ばれていました。

「エビの匂いはあっちからするでゲショ!行くでゲショ!」

エビの匂いのする方へ走り出した2匹のミニイカ娘。
走りながらミニイカ娘は思いました。

(これは神様の思し召しでゲショ、これからも毎日お祈りは欠かさないでゲショ!)

どの世界にも信心深い者はいるもので、このミニイカ娘も神の存在を信じておりました。
他の同胞に無いこの嗅覚は神が与えた特別な力に違いないと。

(あぁ、一度でいいから神様に会ってみたいものでゲショ・・・)

「何をボケッとしてるでゲソ?」
「な、何でもないでゲショ、エビの元へと急ぐでゲショーーーッ!!」

(神様、ありがとうでゲショ!)

ミニイカ娘は心の中で神様にお礼を言うと、再びエビの匂いのする方向へと駆け出して行きました。 

「間違いないでゲショ、この家の中からエビの匂いがするでゲショ!!」

ミニイカ娘達がたどり着いたのはとあるアパートの一室。

「よし!いつもみたいに《あの入口》から入るでゲソ!」

そう言ってミニイカ娘達が向かったのはドアに付いている郵便受けです。
玄関ドアに直接郵便受けが付いているタイプのこのドアは、民家に侵入して餌を漁る野良のミニイカ娘達にとって格好の侵入口でした。

「ウン・・ショ、ウンショ・・お邪魔しますでゲショ~~~!」
「ヨイショ、ヨイショ!、エビ天国に到着でゲソ~~~!」

触手を伸ばし、器用に蓋を開け、あっさりと侵入に成功するミニイカ娘達。

「さあ、エビは何処にあるでゲソ~?」
「クンクンッ・・・ん?」
「どうしたんでゲソ~?」
「おかしいでゲショ、エビの匂いがお外にいた時とあんまり変わらないでゲショ・・・」

ミニイカ娘は困惑してしまいました。
微かに匂っていたエビの匂い。
それは外にいるからで、家の中に入ればもっと強い匂いがすると思っていたからです。

「とにかく匂いの元をたどったらいいんじゃなイカ?」
「そうでゲショね、クンクンクンッ、あっちでゲショ!」

ミニイカ娘達がエビの匂いのする部屋へと向かうとそこには1匹のネズミが横たわっていました。

「クンクンッ、あのネズミから微かにエビの匂いがするでゲショ!」
「アイツがエビを持っているんでゲソ~?」

ミニイカ娘達は苦しそうに横たわるネズミの元へと駆け寄りました。

「おいっ!ネズミ!私達にもエビを分けなイカ!!」
「そうでゲショ、さっさとエビを寄越すでゲショ!」

しかしネズミは苦しそうに横になったまま何も答えません。

「キィィィィィ!、無視するんじゃないでゲソ!」
「待つでゲショ、クンクンッ、やっぱり・・・」
「なんでゲソ?」
「どうやらここにエビはもう無さそうでゲショ・・・」
「どう言う事でゲソ・・・・・・ハッ!わかったでゲソ!このネズミがエビを食べちゃったんじゃなイカ!?」
「ああ、間違いないでゲショ、コイツが全部食べちゃったんでゲショ!!」

・・・・・・・・・ユルセナイデゲショ

「許さないでゲソ!この泥棒ネズミめっ!」

ミニイカ娘達はネズミを取り囲むと、触手をしならせ叩き始めました。
ネズミはたまらず声を上げます。

『キュー・・キュ、キュー!・・キュー!?』
「何言ってんのかわかんねーでゲショ!」
バチーーーンッ!
「キュ、キュ~・・・・・」

全力で放たれた触手が見事顔面にヒット!
ネズミは涙を流して丸まってしまいました。

「こうなったらこの泥棒ネズミを退治して人間さんからエビをもらうでゲショ!」
「おぉ!それはいいアイデアじゃなイカ、早速やるでゲソ!」

ペチペチペチペチッ!
「エビを独り占めした罰でゲソ!」

バシバシバシバシッ!
「死んであたし達に詫びるでゲショ!」

元々弱っていたネズミは抵抗する事も出来ず、ミニイカ娘達から加えられる暴力にただ耐えるしかありません。

「なかなかしぶといヤツでゲソ!」
「ならば、必殺のお墨攻撃を喰らえでゲショ!」
ブシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!

触手や蛇足による容赦のない殴打、そこに追い討ちをかけるように放たれた2匹のイカ墨はネズミの鼻や口を塞ぎ、呼吸が困難になったネズミはみるみる弱っていきました。

「だいぶ弱ってきたでゲショ!そろそろトドメをさしてやろうじゃなイカ!!」
「よしっ!あたしは上から踏んづけてやるでゲソ!!」
「だったらわたしはボディにキックを喰らわせてやるでゲショ!」

『キュー!キュッ!!キューーーー!!』

ミニイカ娘達の残虐非道な攻撃にネズミは悲痛な叫び声を上げました。 

ガチャッ!

すると部屋のドアが勢いよく開き、人間の男が飛び込んできました。
しかしミニイカ娘達はネズミに暴行を加えるのに夢中で気が付きません。

「ゲッソ、ゲッソ!踏み潰されて死ぬがいいでゲソ!」
「ゲショショショショショショ!お腹ボッコボコでゲショー!!」

すると立ち尽くしていた男が大きな叫び声を上げました。

『ヤメローーーーーーッ!!!』

突如発せられた大きな音に我に返るミニイカ娘達。
見るとネズミは既に虫の息でした。

「やったでゲショ!泥棒ネズミをやっつけたでゲショ!」
「よし!勝利を祝うでゲソ!」

「「バンザーーーーイッ!バンザーーーーイッ!バンザーーーーーーーイッ!!」」

すると人間が慌てた様子でミニイカ娘達の方へ近寄って来ました。
その手にはエビの匂いを放つ袋を持っています。

「おいっ!見るでゲソ!あのお兄ちゃんが持ってる袋はもしかして・・・」
「クンクンッ、そうでゲショ!この匂いは間違い無くエビの匂いでゲショ!」

ミニイカ娘達はとびきりの笑顔で男におねだりをしました。

「お兄ちゃん!泥棒ネズミは退治しといたでゲショ!だからエビ、いっぱいちょーだいでゲショ!」
「エヘヘッ!早く欲しいでゲソ、エッビィィィィッ!」

ミニイカ娘達は期待を込めて男を見つめましたが、男は何やら難しい顔をしています。

「どうしたんでゲショ?早くご褒美のエビがほしいでゲショ・・・」

エビが貰えないかもしれない。
ミニイカ娘達が不安に思った次の瞬間。

バチーーーーーンッ!!
「ゲゾオオオォォォォォォォォ・・・・・」
ペチッ!

男の手によって1匹のミニイカ娘が壁に叩きつけられました。
それを見て硬直したもう1匹のミニイカ娘も男によって捕らえられてしまいます。

「止めてでゲショ!離してでゲショ!」

ミニイカ娘は男の手から逃げようと必死に抵抗しましたが、男の手はそんなミニイカ娘をさらに締め上げ、怒りを込めた眼差しで睨み付けてきました。

「助けてショ・・あ、あわわわわ・・」
edited by仂様 at
とっとこハム次郎 sideミニイカ娘2
ミニイカ娘は小さい脳味噌で一生懸命考えました。
何故わたしは捕まっているの?
どうしてこのお兄ちゃんは怒っているの?
何故同胞はあんな目にあったの?
何故、何故、何故・・・・・・
沢山の何故に頭がいっぱいになるミニイカ娘。
ダメだ、今はそんな事よりここから逃げ出さなければ!
ミニイカ娘は自分が出来る最高の笑顔を作って話し掛けました。

「お兄ちゃん、何か勘違いしてるでゲショ!わたし達は泥棒ネズミをやっつけたんでゲショ!だから早く放してくれなイカ!?」
『何言ってんのかわかんねーーよっ!』
バチーーーンッ!
「い・・痛いでゲショ・・・」

男が放ったデコピンが顔面を直撃!
ミニイカ娘は鼻から墨を垂らしてしまいました。 

そんなミニイカ娘に男が何やら語りかけてきます。

「いいか、よく聞けよ、俺は例えそれが憎い奴だったとしても簡単に生き物の命を奪うのは良くない事だと思う、だからお前たちも殺さずに生きて返してやるよ」

ミニイカ娘には男が何を言っているのかわかりませんでしたが、その声はとても穏やかな物に感じました。

『お兄ちゃん!やっとわかってくれたでゲショ~・・・』

ホッとしたミニイカ娘は男に向かって笑顔の花を咲かせます。

「エヘヘッ、嬉しいでゲショ!」

『だがな・・・・・・』

暫しの沈黙、ミニイカ娘はどうしていいかわからずキョトンとしたまま固まってしまいました。
しかし次の瞬間、男は鋭い目でミニイカ娘を睨み付けると怒気のこもった声を上げました。

『だが、ハム次郎が受けた苦しみは倍にして返してやるから覚悟しやがれ!!!!』

「な、何故でゲショォォォ!!」

再び向けられた男の怒りに恐怖し、何とか逃げ出そうとするミニイカ娘。
だがその試みは失敗に終わります。

『今更逃げられると思ってんじゃねぇよ!』

男はミニイカ娘を睨み付けると、手に力を込めました。
ミシミシと音を立て締めつけられていく小さな体。

「・・ギィ、助けて・ショ・・・く、苦しいでゲショ・・・」

恐怖と苦痛で動く事が出来なくなってしまうミニイカ娘。
すると男はどこからか薄い鉄の棒を持ち出してミニイカ娘のイカ帽子にあてがいました。
冷たい鉄の感触にミニイカ娘の顔はみるみる青ざめていきます。

『いいか、10発だ、10発耐えたらお前は許してやる、いくぞっ!!!』

『いっぱーーーつ!』
パチーーーーーンッ!
「痛いでゲショォォォォォォ!!!」

棒はイカ帽子の頂点を直撃!
ミニイカ娘は意識が朦朧としてしまいましたが、そんな事にはお構いなしに2発が放たれました。

『2はーーーつ!』
パチーーーーーンッ!
「止めてゲショォォォォォォ!!!』

『3ぱーーーつ!』
パチーーーーーンッ!
「助けてゲショォォォ!!」

『4はーーーつ!』
パチーーーーーンッ!
「嫌でゲショォォォォ!」

『5はーーーつ!』
パチーーーーーンッ!
「許してゲショ・・・」

右から左から、イカ帽子に加えられる強烈な痛みにミニイカ娘の顔はイカ墨と涙でグチャグチャになってしまいました。

『いいか、後5発だ、死ぬ気で耐えろよ!』

攻撃が止み、解放されると思っていたミニイカ娘。
しかし再び男から怒気を孕んだ声を浴びせられとっさに口をパクパクさせました。

『何だ、何か言いたいことがあるのか?』

それを見た男はミニイカ娘に声を掛けてきました。

「話を、話を聞いて欲しいでゲショ・・わたし達は何も悪い事はしてないでゲショ!でも何か気に障らない事をしたのなら謝るから許して欲しいでゲショ・・・ごめんなさい、ごめんなさいでゲショ・・・」
ペコッペコッペコッペコッ・・・

ミニイカ娘は命惜しさに何度も何度も頭を下げました。

『そうかそうか、わかってくれたか』

するとその思いが通じたのでしょう。
男は穏やかな表情になり笑顔でうなずきました。
ミニイカ娘も嬉しくって笑顔がこぼれます。

『わかってくれればいいんだ、それじゃ・・・6っぱーーーーーーーーーつ!!!』
パチーーーーーーーンッ!
「痛いでゲジョォォォォォォォォォ!!!」

全力で振りかぶった一撃は再びイカ帽子の頂点にジャストミート!

『いまさら謝って済むと思ってんじゃねぇぞクソミニイカ!』

ミニイカ娘にはわかりませんでした。
何故この男が怒っているのか、どうして謝ったのに許してくれないのか。

「なんでわかってくれないんでゲショ・・・このお兄ちゃん頭おかしいんじゃなイカ!?・・・許せない・・・許せないでゲショ・・・」

ミニイカ娘はもう何が何だかわからなくなってしまいました。

『ブツブツうっせーんだよクソイカ!!』

再び浴びせられる男からの罵声。
ついにミニイカ娘の怒りが爆発しました!

「ふ・・ふざけんじゃねーでゲショ!!何でわたしがこんな目にあわなきゃならないんでゲショ!!離せ、クソ人間めっ!ぶっ殺してやるでゲシ『7はーーーーつ!』」
パチーーーーーンッ!
「もう、嫌でゲショ・・・・・」
最早何を言ってもミニイカ娘の声は届きませんでした。 

『8っぱーーーつ!』
パチーーーーーンッ!
「い・・・痛い・・ゲショ・・・」

『9はーーーつ!』
パチーーーーーンッ!
「止め・・・助け・・・・・」

『これで最後だ、10っぱーーーーーーつ!!!』
パチーーーーーーーーンッ!
「・・死ぬ・・・ショ・・・」

容赦ないイカ帽子への攻撃、そして力が入らなくなっていく体。
ミニイカ娘は死を覚悟しました。
薄れゆく意識の中で微かに聞こえる男の声。

『よし、約束通りお前は許してやる』

その直後、男はミニイカ娘を床に叩きつけるとその場を離れていきました。

「グ、ゲジョ・・た、助かったで・・ゲ・ショ・・か?・・・」

ミニイカ娘が辺りを見回すと背後から大きな音が聞こえてきました。

バコーーーーンッ!
「痛いでゲソォォォォ!!」

慌てて振り返ると、そこには男から暴行を受ける同胞の姿がありました。

バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコーーーーーーンッ!
「止めてっ!痛いっ!助けてっ!お願いっ!痛いでゲソォォォォォ!」

バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!バコンッ!
「嫌でゲソ!・痛っ!・・助けてゲソ!・・・許して・・・もう・・嫌で・・・ゲソ・・苦・・死・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ミニイカ娘は戦慄しました。
このままではわたしも殺される、と。
ミニイカ娘はボロボロの体にムチを打って走り出しました。
すると先程の男が後を追って来るではありませんか。
ミニイカ娘は必死になって走ります。

「ハッハッ、絶対に、ハッハッハッ、逃げてやるでゲショ!」

しかし先程受けたダメージがまだ残っており、うまく走る事が出来ません。
程なくして部屋の隅へと追い詰められてしまいました。

「あわわわわ・・死ぬのは嫌でゲショ・・神様助けてゲショ・・・」

と、その時です。

ピカァァァァァァァァァァァァァ!!!

部屋が眩い光に包まれました。
そしてどこからか黄金に輝くエビが現れミニイカ娘に話しかけてきたのです。

『ミニイカ娘よ』
『私はお前の仲間の神で一番偉い者でゲソ、このエビに乗り移って語りかけてるのでゲソ』

このエビの言っていることは本当の事。
信心深いミニイカ娘にはそれがすぐにわかりました。
そこでミニイカ娘は土下座をして敬意を表しました。

「げそ~~~~」

『うむ、良きに計らえでゲソ』
『お前はあの人間を倒し、同胞の復讐を果たす覚悟と自信があるでゲソか?』

コクリッ!
ミニイカ娘は力強くうなずきました。

『宜しい、では私の力を授けよう』
『がんばるのでゲソよ』

そう言い残すと黄金のエビはミニイカ娘の口元へと近づいてきました。

あ~~~~~~~~~ん!

大きく口を開けるミニイカ娘。
するとあろう事か目の前のエビが男によってかすめ取られてしまいました。

ガチーーーーーーンッ!

ぶつかり合うミニイカ娘の歯と歯。
固いエビの殻ですら噛み砕く頑丈さが仇となり、ミニイカ娘の歯は無惨にも崩れ落ちてしまいました。
目に涙を貯め抗議するミニイカ娘。

「返すでゲショッ!エビ、私のエビ、返すでゲショォォォ!」

ミニイカ娘はピョンピョン飛び跳ねエビを返せとまくし立てます。
ですがそうこうしている間にもエビの放つ光はどんどん弱くなっていました。

「か、神様ああぁぁぁぁ!、行かないでゲショォォォォォォ・・ウ、ウェェェェェェン!!」

神の力が失われる・・・
この状況を打開する唯一の手段を失ったミニイカ娘は、ただただ泣き崩れるしかありませんでした。

と、その時です。
先程やっつけた筈の泥棒ネズミが男の手に飛び乗ると、黄金のエビ、ミニイカ娘の神様を一口で食べてしまったのです。
呆気にとられて動けなくなるミニイカ娘。
そんなミニイカ娘を尻目にネズミの体はどんどん大きくなりついには大型犬ほどの大きさになってしまいました。
そしてネズミはミニイカ娘の前に立ちはだかると、鋭い目つきで睨み付けてきました。

「そんな、神様、嫌でゲショ・・・」

最早ミニイカ娘には逃げる自信も戦う覚悟もありません。
ただ立ち尽くす事しか出来ないミニイカ娘は、巨大化したネズミに一口で食べられ、そのちっぽけで下らない生涯に幕を下ろすのでした。

おわり 


<writed by ミニイカ娘が嫌い様>
edited by仂様 at
スレ3→スレ4

スレ3↓

997名無しさん:2012/02/07(火) 21:44:32 ID:M3g3waDo0
宣誓!

998名無しさん:2012/02/07(火) 21:44:42 ID:M3g3waDo0
我々虐待派は!

999名無しさん:2012/02/07(火) 21:45:01 ID:M3g3waDo0
ミニイカ娘の幸せを!

1000名無しさん:2012/02/07(火) 21:45:14 ID:M3g3waDo0
心より願っております!!

スレ4↓

5名無しさん:2012/02/07(火) 21:47:09 ID:Rn7GqPf.0
前スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/school/10876/1314400376/997-1000
で幸せを願うと言ったな

「ビャービャ、ゲショゲショ!」

あれは嘘だ

「ピイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!」

 

edited bydude at
「ステキな日曜日」

ある晴れた日曜日、小ぶりなプラスチックケースの中の、20匹あまりのミニイカ娘は窮屈ながらも
ゲショゲショと楽しそうにお喋りしていた。

「ゲショゲショ♪今朝食べたエビは美味しかったでゲショ♪」
「夕べのエビも美味しかったでゲショ♪」
「私たちのご主人様、無愛想だけど心は優しいでゲショ」
「私たち、いいご主人様に飼ってもらえたでゲショ」

彼女たち、ミニイカ娘は、昨日まで養殖場の殺風景な養殖用ケージの中にいた。
養殖場で育てられたミニイカ娘は大概の場合、ある程度に成長すれば市場に出荷され、
小売店に買い取られ、最後は一般家庭の台所の俎上に乗せられる運命である。
ところが稀に、養殖場の職員と個人的なパイプでもあるのか、養殖場で直接ミニイカ娘を
買い取っていく人もいる。
今、プラスチックケースの中ではしゃいでいるミニイカ娘たちも、そうして前日に養殖場から
直接買われたパターンだ。

彼女たちは今、ケースのまま車の助手席に乗せられ、日曜日のドライブに連れ出されている。
ハンドルを握るご主人様は信号待ちの間、助手席のミニイカ娘をチラ見し、目の合ったミニイカ娘は
「私をもっと可愛がって欲しいでゲショ☆」と、目一杯の笑顔を見せて、ぴょんぴょん飛び跳ねたり
踊ったりしている。
そんなミニイカ娘の様子を見て、ご主人様も唇の端に笑みを浮かべた。
ご主人様の微かな表情の変化を目ざとく察知したミニイカ娘たちは、ますます張り切って
スキップしたりくるくる回ったりと、自己アピールに余念が無い。
プラスチックケースのミニイカ娘は「ゲッショ♪ゲショゲショ♪」と合唱するように鳴き声を上げ、
車の中はさながら遠足バスの賑やかさだ。

「私たち、きっと幸せになれるでゲショ!!」
「私たち、もっと幸せになれるでゲショ!!」
「ご主人様にエビをいっぱいもらって、いっぱい遊んでもらって、いっぱい可愛がってもらうでゲショ!!」

車が停まったのは小さな狭い砂浜であった。養殖場育ちのミニイカ娘も、養殖場で見たDVDで、
ここがどんな場所だか分かっている。

「ここは・・・“砂浜”でゲショか?」
「・・・それにしては、何か狭いんじゃなイカ?・・・」
「テレビで見た砂浜は、もっと広くて綺麗だったでゲショ」
「思ったほど楽しそうじゃないでゲショね・・・」

楽しい遠足だと思ったら、連れて来られたのがショボい浜辺でミニイカ娘たちはガッカリ。
早速みんなで「ゲビッ!!ギャビビッ!!」と不平の声を上げ始めた。

ところがご主人様は、そんなミニイカ娘の不平などどこ吹く風、ルーフトップの
シーカヤックを降ろし、カーゴスペースからパドルその他諸々の道具を運び出してきた。
最初は不満げに鳴き立てていたミニイカ娘たちも、興味津々でご主人様の様子に見入った。


「あれは何でゲショか?」
「DVDで見たことあるでゲショ。“ボート”って言うでゲショ」
「あれで海に浮かんでこれから遊ぶんじゃなイカ?楽しそうでゲショ♪」
「私たちをボート遊びに連れ出してくれるんでゲショ♪やっぱり優しいご主人様でゲショ♪」

さっきまでの不機嫌はどこへやら、みんな掌を返して「ゲッショ♪ゲショゲショ♪」と
ご主人様を讃える歌を歌い始めた。
ご主人様はミニイカ娘の期待に応えるかのように、荷物とともにミニイカ娘の入った
プラスチックケースをシーカヤックに積むと、砂浜から海に滑り出した。
ミニイカ娘たちは楽しさMAX!「どんぶらこっこ、どんぶらこ♪」と歌いながら、銘々が思い描く
これから始まる大冒険の展望を語り合った。

「この後、激流下りがあるでゲショ」
「渦に呑まれたりもするんでゲショ?」
「大波をかいくぐってサーフィンも楽しめるでゲショ!」
「お魚どもが、私たちのために飛び跳ねて躍って見せるでゲショ」
「ここは海だから、サメやシャチもでるんじゃなイカ?」
「ビェェェェェェェン!サメは怖いでゲショォォォォ!!出なくていいでゲショォォォォ!!!」
「大丈夫でゲショ!きっと優しいご主人様が私たちを護ってくれるでゲショ!!」

ベタ凪の沖合いにシーカヤックを漕ぎ出すと、ご主人様はプラスチックケースの蓋を開け、
中を覗き込んだ。
『どいつにしようかな? やっぱり一番元気のいい奴から始めるか』

言葉が分からなくても、人間が自分たちを品定めしている視線は敏感に察知できるミニイカ娘たちは、
一斉に「わたし~!!わたしを選んで欲しいでゲショオ~☆」と嬌声を上げた。
ご主人様はその中から一番元気そうな固体をつまみ上げた。
「嬉しいでゲショオオオ♪私がトップバッターでゲショオオオ♪」

喜色満面で媚を売るミニイカ娘の顔を見て、
『うん、実に元気が良さそうだ』
と、これまた満足そうな笑みを浮かべたご主人様は、左手で固定したミニイカ娘の背後から
右手に持った釣り針をブスリと突き刺した。

「???くぁwせdrftgyふじこlp!!!」
突然自分を襲った激痛に、事態が全く把握できないミニイカ娘は、ショックでピタリと動きが止まった。

『やべ、殺しちまったかな?ミニイカ娘は生命力が強くて、帽子が無傷なら死なないと
聞いてたんだけどな・・・そうだな、海水に浸けてみて、生きてるかどうか試してみるか』

釣り針に刺したミニイカ娘を、ちゃぷんと海水に垂らした。程なくミニイカ娘は呼吸困難から意識を
取り戻し、アップアップとおぼれ始めた。
ご主人様は釣竿を上げてミニイカ娘を手繰り寄せると、ゼェハァ荒い息をしているその顔を
しげしげと見つめて、ニヤリと笑った。

『期待通りの生命力だ。今日はこいつをソフトルアー代わりに、シーバス釣りにチャレンジだ』
そう呟いて、ご主人様はヒュンと釣竿を振り回し、ミニイカ娘をキャスティングした。
海面上に鮮やかなラインを描き、海水にぽちゃんと着水すると、ご主人様は緩急つけながらリールを回す。


「ゴボッ!ゲフッ!ガホッ!!・・・く、苦しいぃぃぃ・・・」
突き刺さった釣り針の痛みと、呼吸困難から、まさに昇天しそうな苦しみを味わいながら、しかし逞しい
生命力のミニイカ娘は、ご主人様の手元に手繰り寄せられるまで、この程度のことでは簡単に
死ぬことはなく、涙目でゼェゼェハァハァと息を切らすにとどまった。

『うん、流石にエビを充分に食べさせたことはある。簡単に死ぬことはなさそうだ』
ミニイカ娘の様子を手にとって確認すると、ご主人様は海中に再びキャスティング。
今度は緩急つけずに猛スピードで一気呵成に巻き戻した。

「ウゲッ!・・・ウガッ・・・ギャヒッ・・・・・・・」
海中で体に刺さった釣り針を猛スピードで引っ張られ、体を裂くような激痛に耐えかねて、
ご主人様の手元に手繰り寄せられる頃には白目を剥いて気を失ったミニイカ娘、優しいご主人様は
そんなミニイカ娘の顔を見ると、白い帽子をギュッっと捻って意識を取り戻させた。
『生餌を使うなら、活きのいい方が良いからな』

急所を突かれ、頭を抱えて痛みに耐えるミニイカ娘を一瞥し、ご主人様はキャスティング。
今度は一転して超スローモーに巻き戻した。

「ゴ・・・・・ゴボッ・・・・・・こ、呼吸が・・・息がく、苦しい・・・・・・」
海洋生物のくせに泳げないミニイカ娘、またしてもご主人様の手元に手繰り寄せられる頃には意識不明。
ご主人様もこの段階になると扱いを心得たもので、ミニイカ娘の帽子にビシッとデコピン一閃、
鮮やかに意識を回復させた。

『期待通りの生命力だ。後はシーバスがこいつに喰らい付いてくれるかどうかだが・・・』
そう呟きながらの4投目、今度は緩急つけながら巻き戻すと、釣竿にビビッと手応え。
見事80cmの中量級を釣り上げた。

『よっし!1匹目からこのクラス! 餌の大きさといい活きのよさといい、シーバス釣りに
ミニイカ娘は最適だ!!』
釣り上げたシーバスから針を外してやると、ミニイカ娘はそのまま口に咥えせさせて、
ご主人様はシーバスを放流した。
『キャッチ&リリースは釣り人の精神。もっと大きくなってから、また釣り上げてやるぜ』

さて、トップバッターがズタボロにされた挙句に魚の餌にされた様をまざまざと見ていた、
プラスチックケースの中のミニイカ娘たち、ケースの中で脱糞しながら声を失いガクブル状態。

『うわっ、くっせぇぇぇ!こいつら、うんち漏らしやがった・・・でも、臭いがきつい方がシーバスが
寄って来るかもな』
そう考えながら、2匹目の餌を取ろうとケースの蓋を開けると、「今だ!」と一斉にケースから逃げ出した。

「ビャビャッ、逃げるでゲッショ」
「このままでは、針に刺されて水責めにされて、魚の餌にされるでゲショ」
「速くこのボートから脱出・・・」

わらわらとシーカヤックの舳先に辿り着いたミニイカ娘達、でもそこから先は、深い、広い、海である。
「み、水でゲショ・・・?」
「底が見えないでゲショ。足も触手も届かないんじゃなイカ?」
「私たち、泳げないでゲショ・・・」
「こ、こっから先には逃げられないってことじゃなイカ!!」

しばし呆然としたミニイカ娘たち、気を取り直してご主人様の前に集まった。
「おぬし、ちょっといイカ? これでは私たちは逃げられないから、岸まで着けてくれなイカ?」


そんなミニイカ娘達の嘆願が伝わるはずも無く、ご主人様は一切構わず、群れの中から一番大きな
個体をつまみ上げると、釣り針に引っ掛け投げ入れた。

最早釣り餌になるか入水自殺するしか選択肢の無いミニイカ娘、逃げ惑うしかすべが無く、
狭いシーカヤックの中でかくれんぼするのが関の山。
最後の手段のイカ墨攻撃もゴム手袋で容易に遮られ、早々と万事休す。

『服は剥ぎ取った方が食い付きが良いかな』
『ああ、こいつ、もう息も絶え絶えだな。釣り餌になりそうにないや、捨てるか』
『今度はケースの中のうんちを擦り付けて臭いをきつくしてみよう』
『しまった、頭だけ噛み千切られて逃げられた!!』
『こいつは活きが悪いな。バラバラに千切って撒き餌にしてみようか』

難なくシーカヤック内のミニイカ娘を捕まえては釣り餌に使うご主人様は、コツコツと
釣果を上げ、ついに120cmの大物を釣り上げた。
『よっしゃあああああ!!これが釣れれば、今日は大満足だああああ!!!』

シーカヤックの上でガッツポーズを決めたご主人様、釣り上げた獲物をデジカメに収めると、
今までと同様にミニイカ娘を咥えさせたまま放流した。
『ああ、自然のものは自然に帰すのが一番だな』

満足そうに空を見上げたご主人様、達成感の浮かんだ顔でしばしの賢者タイムの後、
『今日はこのへんで終わるか』
と呟いた。

「も、もしかして私たち、魚の餌にされなくて済むでゲショか?」
残り数匹、舳先で身を寄せ合って震え上がっていたミニイカ娘たち、シーカヤック内に漂う
「今日はもう終わり」の雰囲気を察知し、生存の可能性に顔を輝かせた
―――のも束の間、ご主人様に一掴みに捉えられると、無造作に海中に投げ込まれてしまった。
『お前たちも、自然に帰れよおーーーー!!!元気でなあーーーー!!!』

ぽちゃんぽちゃんと音を立て、広い海に小さな波紋をいくつか残して、海に消えたミニイカ娘たち。

「ゴボゴボ・・・お、溺れるでゲショ・・・」
「・・・私たち、結局、助からないでゲショか?・・・」
「このままだとサメが来るでゲショ!!怖いでゲショ!!」
「サメが来る前に溺れ死ぬでゲショ・・・」
次々と海に沈むミニイカ娘たち、ある者は蛸に足を引っ張られ、ある者はシーバスに丸呑みされ、
ある者は潮に流され何処ともなく消え去り、最後まで海面でもがいていた1匹は、たまたま漂着した
板切れに乗り、安堵の表情で足を組んで寝そべっていたところを、沖まで羽を伸ばしていたカモメに
攫われ、遠い空へ去っていった。

そんな海に向かって、ご主人様は腹の底から叫んだ。
『やっぱり自然って、いーーーなーーー!!!!!』

気が付くと傾き始めた太陽を背に、シーカヤックを漕ぎ始めたご主人様。その頭の中では、
次は河口エリアで釣るか、あるいは遠くの浜まで遠征するか、そんなことを考えていた。

<終わり>

edited byアドミニイカ at
BD3巻リリース記念!

イカ娘のブルーレイ3巻が届いた。ミニイカ娘混入、という事で箱を開けてみると、、、
居ない。。。 どこだ?
箱の中のダンボールの隙間から「ゲショ・・・」と声がするので、ダンボールを捲ると
その裏にサササッと隠れてしまった。
そのうち出てくるだろう、と放っておいてブルーレイを鑑賞し始める。
途中で菓子でも食うか、と思い食べかけのえびせんの袋の中に手を入れると
「(ガサゴソ)ピャィ~、あわわ、あわわ」と声が聞こえるので中を覗くと
ミニイカ娘がえびせんを全部食ってしまっていた。
「こんにゃろぉ~!」
「ぎゃぃぃぃ~っ!」
袋の中からミニイカ娘を鷲掴みにして取り出すとえびせんのカスまみれ。
ジタバタ暴れるので腕をブンブン振ったら目を回したみたいで「ゲェ~ゲェェ~ゲショォォ~・・・」と鳴き声も弱々しくなり大人しくなった。
水道水で乱暴にあらってタオルで軽く拭いて机の上へ寝かす。
最初は可愛い、とも思ったがやはり食べ物を食い荒らす害獣のようだ。
というか、やはり害獣だった。
飼おうかとも思ったがこんな調子じゃ先が思いやられる。
食用にもなるらしいので、捌いてみようと思い立った。
「自業自得だ、こんにゃろぉ!」と喉元を鋏の先端で固定する。

 

「フェェ~、フェェ~ン!」と泣き出す。
知能も無いたかが5センチのイカのクセに泣き落としとはあざとい生き物だ。
しかし暫く様子を見ていたら、ちょっとだけ可哀想かも、という気持ちも出始めた。
そんな時、くしゃみをもよおす。
今年の花粉は酷い。
「はぁぁ、ふわぁぁ、ふわぁぁ~っくしょ~ん!!」と力んだ勢いで鋏にも力が入る。
プチン!とした感触を残し、ミニイカ娘の頭は机の上をゴロンと転がった。。。
「やっちまった~。。。」
とも思ったが、こいつは害獣なのだ。
可愛いらしいという感情もあったが、いきなり貪欲さを見せつけられて殺意を感じたのも事実だ。
泣き顔のまま転がった頭から生えた触手はまだピクピクと動いていた。
絶命してもなお動く触手が気持ち悪い。
顔は可愛いかも知れないがやっっぱりただのイカなんだよな、と思い
キッチンへ行って鍋で湯を沸かし始めた。
<終>

edited byアドミニイカ at
過失を装ってミニイカ踏み潰し

『キャッキャ♪ゲッショ、ゲッショ♪』 コロコロ…
「じょうず、じょうず、コロコロお上手♪ミニイカちゃ~ん♪」 カシャ、カシャ!
 

 

『ゲショ~♪ゲッsピギュッ!』 ブチュッ!


「…ん、今なんか踏んだ?」
「!!! きゃああああああ!!ミニイカちゃん!ミニイカちゃああん!!」
『ギュイイイイ!ギェジョオオオ!ビャア!ビャア!…』 プシャァァァ…ドクドク…

「ヤダ何これ!…ちょっと、私のブーツ汚れちゃったんですけど!」
「…はぁ!?待ちなさいよ!あんたのブーツとミニイカちゃん、どっちが大事だと思ってんのよ!」
「ホントに大事なら、こんな雪の日に外出させなきゃいいじゃないですか!
ミニイカって寒さに弱いのに、両腕むき出しのカッコで雪の上歩かせるなんて…大事にしてない証拠じゃない!」
『ム゛ゥィ…ギュィィ…』 ピクピク…

「うるさい!元はといえば、ロクに足元も見てないあんたが悪いんでしょ!このミニイカ殺し!謝れ!」
「ミニイカで遊ぶなら自分ン家でやってよ!迷惑なの!あーもう、近道で公園なんか通るんじゃなかった!
…それよりブーツのクリーニング代、ちゃんと出してもらえますよね?イカスミって自分じゃ落とせないんですよ!」
『グェボ…』 クター…

edited byアドミニイカ at
1->>529-532

昨日の夜、ドライブの帰りの山道で車の前を何か小動物のようなものが横切ろうとしていたので、俺は慌てて急ブレーキで停止した。間一髪轢かずに済んだらしい。念のため車から降りて見てみると、よほど怖かったのだろう、一匹のミニイカ娘が両手で頭を触手で体をガードしながら丸まって倒れた姿勢で気を失っていた。
このまま放置すると他の車に轢き殺されかねないので俺はこのミニイカを安全な場所に逃がそうと額を指で突っついてみたが、ミニイカは目を覚まさない。どこかの草むらに置いて帰ろうかと考えるも、それではタヌキや猛禽類に餌として差し出すようなもので後味が良くない。これも何かの縁かと少なくとも目を覚ますまでは面倒を見ることにし、俺はミニイカをダウンジャケットのポケットに仕舞って家路に就いた。
あと少しで自宅という頃、ミニイカがポケットからもぞもぞと這い出てきて、俺の顔を不思議そうに見上げ、
「ゲショ」
お、無事なんだな。俺が何とはなしに自分の人差し指を近づけてみたら、ミニイカは最初その指先をはみはみ甘噛みしていたが、すぐにゲショゲショ車の中をうろつき始めた。くんくん鼻を鳴らしているところから見て、何か食べ物を探しているようだ。しかし、生憎、車内にはミニイカが食うような物は何もない。そのうちミニイカはグズり出し、ついにはビエービエーと泣きながら、そこら辺にある物に八つ当たりを始めた。
俺は数ヶ月前に読んだ新聞記事を思い出した。かつてはその類稀な可愛らしさで愛玩ペットとして一世を風靡したミニイカも、最近はまさにその類稀な可愛らしさゆえにめっきりブームが去ってしまったのだという。つまり、あまりにも可愛いものだから飼い主はついつい甘やかし過ぎてしまい、そうされたミニイカは必然的に付け上がって飼い主の手が付けられないほど我が侭放題に育ち、こうなってしまうと遅まきながら矯正しようと思っても、何が良くて何が悪いかを体で覚えさせるべく心を鬼にして厳格な態度で臨む必要があるのだが、それができるような飼い主であれば、そもそも最初の段階から過剰に甘やかしたりすることも普通はなく、従って、大部分の飼い主が矯正を諦める結果となり、郊外の山間部などにミニイカを捨ててしまうといった事例が後を絶たないらしい。
俺が拾ったこのミニイカはまさにその典型例なのだろう。厄介なのを拾っちまったな…もう一度捨てるかな。そんな考えが頭を過ぎったが、俺の中途半端な責任感がそれを邪魔し、
「なぁ、静かにしろよ。餌をやらないわけじゃないんだ。あと少しすれば、食わせてやるから」
暴れるミニイカを軽く左手で抑制し、そう語り掛けると、なんとミニイカは俺に向かってイカ墨を吐き出し、ゲーッショゲッショゲショと笑った。そんな仕種さえ愛くるしく、なるほど、これでは鉄拳制裁が躊躇われるのも当然で、ミニイカの矯正とは実に困難な作業なのだなと当惑したものの、こんなんじゃ野生で生きていけるはずがないし、こいつのためを思えば仕方ないと覚悟を決めた俺はハザードを出して車を停め、左の肩から脇腹に掛けてべっとり付着したイカ墨をタオルで拭った。

その体の構造上、ミニイカは鋭利な物で切られたり刺されたりすることに対しては脆弱そのものである一方、面での強打に対しては痛みはあっても耐性自体はかなり高く、数百キロレベルの衝撃でもない限り、臓器にダメージを負うことも皆無と聞く。
ドアの肘掛部分によじ登り、あたかも不当な理由で監禁された車内から脱出しようとしているかのようにサイドウインドウを触手で叩いているミニイカの背中を俺は左手のタオルで掴み、その正面をこちらに向き直らせた。ミニイカはピギャギャ喚き散らし、手脚と触手を振り回しながら、またイカ墨を俺に吐き出そうと頬を膨らませ口を尖らせたが、俺はそれを食らう前に右手でミニイカを殴り付けた。
今まで殴られた経験などなかったのだろう、ミニイカは自分が何をされたのか理解できない様子でポカンとしていたが、徐々に涙目になっていった。
俺は罪悪感を禁じ得ず、
「お前が騒ぐからだぞ」
そう言った瞬間、不意打ちのつもりなのか、ミニイカは俺の顔に向け触手で攻撃してきた。
俺はそれを手で払い除け、その手でまたミニイカを殴打した。
するとミニイカは火を付けたようにピギャーピギャーと泣き出した。
二発はやり過ぎだったかなという後悔混じりに俺は右手の指でミニイカの頭を撫でつつ、
「痛かったか?お前が良い子にしてたら、もう殴ったりしないからな」
しばらくして、ミニイカはどうにか泣き止んだので、俺は続けて、
「よし、じゃ急いで帰るか。帰ったら、すぐ飯を食わせてやるぞ」
ジェスチャー混じりのその言葉にミニイカは両手の甲で顔の涙を拭うと、つぶらな瞳を輝かせ、口から涎を垂らした。
要は飴と鞭ってことなんだろうな。基本的にこいつは喜怒哀楽がそのまま出る単純で素直そうな奴だし、うん、乗りかかった船だ、野生で一人で生きていけるようになるまで俺が面倒見てやろう。俺はそう思った。
マンションの自室に着いて冷蔵庫のドアを開けた途端、ミニイカは俺の足に触手ごと纏わり付いてきたが、俺が大根を出して、その端を切って目の前に置くと、明らかな失望の色を浮かべ、ぷいっと顔を背けた。やっぱりそうか。こいつは偏食なんだ。俺は大根をミニイカの方にさらに押しやった。するとミニイカはそれを足蹴にした。間髪入れず、俺はミニイカを蹴り飛ばした。ごろごろ転がっていって頭から壁に激突したミニイカはまたあの調子で泣き出したが、今度は俺は何もせず無視していた。ミニイカは泣いても意味がないことを悟ったらしく、渋々大根を触手で持ち、ぽりぽりと完食した。俺がそれを見届け、明日の晩飯にフライにする予定だった大きなエビのパックを開けるや、ミニイカはゲッショー!と叫び声を上げて触手を互いに絡ませ合いながら走り出した。そんなにエビが好きなのかと思い、俺は6本あったエビをすべて大皿に乗せて床に置いた。ミニイカの食いっぷりは凄まじく、次々とエビを丸呑みしていったが、最後の1本はゆっくり味わうことにしたと見え、一口齧っては幸せそうな顔でもぐもぐと咀嚼して、んぐっと嚥下し、俺の顔を見てにっこり笑ってから次の一口に移り、そうやって全て食べ終えると、満足そうに腹を擦るのだった。
俺はミニイカの絡み合った触手を解いてやりながら、
「美味かったか?」
ミニイカは笑顔でゲショっと肯いた。

食欲が満たされたら今度は好奇心がうずき始めたようで、ミニイカは何か面白い物はないかと俺の部屋をあちこち探検し始めた。俺は入浴することにし、そのついでにやや汚れが目立つミニイカを洗ってやろうと考えた。
バスルームに入り、まず服ごとミニイカを洗ってシャワーで泡を流し、バスタブにぽちゃんと投げ入れ、自分の体を洗う。しかし、じきに様子が何か妙なことに気づいてバスタブを見ると、ミニイカが底に沈んで手脚と触手をバタつかせていた。
こいつ、イカっぽいくせに泳げないのか。俺は大急ぎでバスタブに手を突っ込み、ミニイカを拾い上げた。
ミニイカはしばらくゲションゲションと咳き込んでいたが、それが収まるや、俺に向かってイカ墨を吐き、俺の脚を宿主でポカポカ叩いた。
俺はそれを甘んじて受け、
「ごめんな、今のは俺が悪かった。てっきりお前は泳げるものだと思ったんだ。許してくれ」
しかし、ミニイカはまだ腹を立てているようで、ゲショゲショ不貞腐れていた。
そこで俺は洗面器に湯を張り、
「これはお前用の風呂な」
そこにミニイカを入れてやった。
これでミニイカはすっかり機嫌を直したらしく、湯をばしゃばしゃ跳ね上げ始めた。

風呂を出た俺がビール片手にソファに座ってケーブルテレビを点けたら、ミニイカは俺の足元に来て、隣に座らせてくれとねだった。俺はミニイカを片手で摘み上げ、自分の隣に置いた。ミニイカはテレビが好きらしく、俺がJスポにチャンネルを回せばラグビーに熱中し、MTVに回せばミュージッククリップに合わせてゲショゲショ口ずさみながら踊っていたが、ディスカバリーチャンネルに回し、画面一杯にドアップで映ったサメを見るなり、悲鳴とともにソファから転げ落ちて、部屋の隅まで走って逃げてしまった。
ちょうど俺の車に轢かれそうになった時と同じく、頭と体を両手と触手で守って丸まった姿勢で戦慄いているミニイカのところにいって、背中に指を置き、
「大丈夫。あれはテレビだ」
俺がそう繰り返していると、ミニイカは絶対にテレビを見ないですむよう触手で自分の視界を自ら狭めた格好で恐る恐る顔を上げ、
「…ゲショ?」
「テレビの中なんだよ。実際にいるわけじゃない」
意味が通じるとは思えなかったが俺はそう言って、チャンネルをラグビーに戻し、その画面を軽く叩きながら、
「ほら、分かるか?ラグビーなら平気だろ。見てみろよ」
ラグビー中継の音に安心したようにミニイカが触手を降ろしてテレビを見たので、俺はまた画面に手を触れ、
「な?こんな勢い良く走ってても、この中から出てはこれないんだよ」
いざとなればいつでも逃げ出せる慎重な歩みでこちらに近づいて来て、そろりそろりと伸ばした触手でテレビ画面に触れたミニイカはそこで初めて仕組みを理解したらしく、大きく息を吐き、自らを納得させるようにゲショっと言った。
試しにディスカバリーチャンネルに戻してみても、そこに写し出されたサメにミニイカは一瞬ビクっとなりこそすれ、さきほどのような恐慌を来たすことはないのを確認し、俺は以前録画しておいたジョーズのDVDをBDプレーヤーに入れて早送りしたうえで再生を始めた。怖がらせてしまった詫びと言っては何だが…。狙い通りちょうど巨大人喰いザメとロイ・シャイダー演ずる主人公の最終決戦のシーンで、ミニイカは俺のパジャマの裾にしがみ付いてそれを見ていたが、物語もいよいよクライマックス、主人公が空気ボンベを利用してサメを爆破させると、ミニイカは両手とすべての触手で万歳し、ゲショーと大歓声を上げながら、飛び跳ねたり、部屋中を走り回ったり、両腕を組んで触手を腰に当てまるで自分がサメを倒したかのような勝ち誇ったポーズを取ったりした。
ミニイカはまた俺のとこに駆け戻って来て、テレビを指差し、ゲショっゲショっと言って、爆破シーンをまた見せるよう催促した。
2回目ともなればミニイカはサメをもはや恐れず、それどころか、その末路を知っているせいだろう、ある時は何やら勇ましく掛け声を掛けながら画面の中のサメを触手で攻撃し、またある時は迫り来るサメから素早く身を翻し、そんなこんなで辿り着いたラストシーンではまた大はしゃぎしてから、もう一回とせがんだ。
俺はミニイカの気が済むまで10回くらい繰り返してやった。
そのうち、ミニイカは眠くなってきたようで、あくびを一つし、床に横になろうとしたが、俺は温かい場所で寝かせてやろうと思い、取り外し式のダウンジャケットのフードにミニイカを入れた。そのフカフカした感触が気に入ったと見え、ミニイカはゲッショゲッショ言いながらフードの中を転がっていた。
俺も眠くなり、フードごとミニイカをベッドに持って行き、それを枕元に置いて、自分も横になった。
隣を見ると、ミニイカと目が合い、ミニイカはにこっと笑った。
俺もつられて微笑み返し、右手の指でミニイカの額を撫でてやると、ミニイカは嬉しそうに気持ち良さそうにゲショーと呟き、両手で俺の指を握り締め、目を閉じた。
ミニイカとの生活が始まるのか…案外楽しいかもな…。ぼんやりそんなことを考えていたら、ふとあることを思い、
「そうだ、お前、寝る時はその帽子取ったらどうだ?」
俺はそう言って、もうすでにまどろみ掛けているミニイカの帽子を左手で脱がせてやり、自分も眠りに落ちていった。
翌朝、ブラインドの隙間から降り注ぐ爽やかな朝日と外から聞こえる小鳥たちの楽しそうな囀りに俺が目を覚ますと、隣には地獄の罪人もかくやというほどのおぞましい苦悶の表情に顔を醜く歪め、舌をだらりと口から出し、四肢をそれぞれ不自然な方向に折り曲げたまま、まるでミイラのように干からびたミニイカ娘の姿があった。

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