幸せ度ランキング

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幸せ度ランキング

出身大学はその後の人生にどれだけ影響するのか? これを明らかにするために、プレジデント誌では1970年代~2010年代の各年代に就職した関東、関西の働く男女計1000人にアンケート調査を実施。年代ごとに周りから見て「就職時に勢いがあって幸せそうな人」と、「今も幸せそうな人」の出身校について聞いた。

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調査概要/楽天リサーチの協力を得、12年8月2~6日にかけてインターネットを通じて調査を実施。調査対象は関東、関西の働く男女各500名。

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■学問をやった者は入社後に伸びる

バブル前夜は、大学がレジャーランドと呼ばれた時代である。この時代の大学生は、就職活動が深刻だったわけでもなく、学生運動の時代も去り、わりと平和だった。

大いに遊んでいた早稲田出身者が、就職時には元気があったためか高い評価を得ているが、30年後の「今の幸せ度」では慶應、東大に逆転負けしているのが興味深い。勢いだけあっても、入社後の努力で差が付いたということか。神戸大も上がってきている。同校は少人数教育でゼミも教員が徹底して絞る。バイトとサークル、旅行にばかり明け暮れた学生よりも、ゼミでしっかり勉強したり、ちゃんと卒業論文を書いたりなど、大学で学問をやった人間のほうが、長い目で見れば、組織の中枢で幹部として活躍できるのだ。

女子では、就職時に強かった上智、青山学院が今は凋落。逆に就職時に存在感のなかった京都女子、日本女子が急上昇している。手堅いのが武庫川女子大と東京女子で、就職時の高評価が今も落ちていない。長い目で見たときに、本当に女子力が付く大学がどこなのか、考えさせられる。

80年代を代表する大学といえば、男子13位の亜細亜大学だ。今回の調査ではここにしか登場しない。「あの頃の本学は、本当にパワーがあった」と振り返るのは、キャリアセンターの市川隆幸部長だ。「入試の志願者数は今の3倍の3万人。偏差値は60あり、国立大学を蹴って来る学生もいた」。

当時の衛藤瀋吉学長のスローガン「偏差値より個性値」の言葉通り、一芸入試で芸能人を集め、海外留学制度AUAPも脚光を浴びた。まさに、国際化時代の先端を走っていた。「当時の学生が役員や取締役になり、大学を支えてくださっている」と市川氏。

80年代後半から90年代前半、亜細亜大学は企業開拓に成功したこともあり、大企業だけでなく中小企業にも、大量に就職していった。離職率が低く、まだ社会には亜細亜大卒は多い。「人口の多い団塊ジュニア世代で、名門大を落ちたものの、入試で生存競争に勝ち残った学生たちが入ってきたのです。だから『名門に負けるものか。なにくそ、コノー!』という粘り強く元気な学生が多かった。そこも企業から歓迎された」(市川氏)。

学力を問わない推薦・AO入試の学生が増え、家計の事情からか海外留学者数も半減し、まるで日本経済の盛衰に合わせるかのように、今の亜細亜大には往年の勢いはない。「先輩、後輩や教職員と熱く語り合うような、コミュニケーションの場も減りました。上下関係を嫌う学生も増えています。あの時代の元気な卒業生との交流の機会を増やし、もう一度、活気を取り戻したい」(市川氏)。

(大学研究家 山内太地=文 浮田輝雄、武島 亨=撮影)